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公開番号2025038011
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-18
出願番号2024213146,2020100687
出願日2024-12-06,2020-06-10
発明の名称改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び成形体の製造方法
出願人信越化学工業株式会社,学校法人金沢工業大学
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類C08L 101/00 20060101AFI20250311BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】熱可塑性樹脂との親和性及び接着性に優れる改質炭素繊維を含み、その成形体が機械的強度に優れる改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物及びその成形体の製造方法の提供。
【解決手段】(A1)4官能性シラン化合物等を加水分解縮合してなる親水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
(A2)該親水性球状シリカ微粒子の表面に、R1SiO3/2単位(R1は1価炭化水素基である)を導入する工程と、
(A3)R2 3SiO1/2単位(各R2は同一又は異なる1価炭化水素基である)を導入する工程
とを含む方法により、疎水性球状シリカ微粒子を製造する工程、
該疎水性球状シリカ微粒子を炭素繊維に添加し、混合することで改質炭素繊維を製造する工程、及び
該改質炭素繊維を熱可塑性樹脂に添加し、混合する工程
を有する改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
(A1)4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合生成物またはこれらの混合物を、加水分解および縮合することによって実質的にSiO
2
単位からなる親水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
(A2)該親水性球状シリカ微粒子の表面に、R
1
SiO
3/2
単位(式中、R
1
は置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基である)を導入する工程と、
(A3)(A2)工程で得られた球状シリカ微粒子の表面に、R
2
3
SiO
1/2
単位(式中、各R
2
は同一または異なり、置換または非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である)を導入する工程と
を含む方法により、粒子径が0.005~0.3μmの範囲で、粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8~1かつ疎水化度が50以上である疎水性球状シリカ微粒子を製造する工程A、及び
熱可塑性樹脂中に、前記工程Aにより得られた疎水性球状シリカ微粒子及び長さ0.3~10mmの炭素繊維を混合する工程
を有する改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、疎水性球状シリカ微粒子の量が炭素繊維の質量に対して少なくとも0.01質量%であり、疎水性球状シリカ微粒子及び炭素繊維の合計量が熱可塑性樹脂100質量部に対し0.5~40質量部である、製造方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記疎水性球状シリカ微粒子の製造方法が、
(A1)一般式(I):
Si(OR
3

4
(I)
(式中、各R
3
は同一または異種の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である)で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物またはこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解及び縮合することによって実質的にSiO
2
単位からなる親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得、
(A2)得られた該親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、一般式(II):

1
Si(OR
4

3
(II)
(式中、R
1
は置換または非置換の炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、各R
4
は同一または異種の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である)で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、該親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、該親水性球状シリカ微粒子の表面にR
1
SiO
3/2
単位(R
1
は前記の通りである)を導入して第一の疎水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得、
(A3)得られた該第一の疎水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、
一般式(III):

2
3
SiNHSiR
2
3
(III)
(式中、各R
2
は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である)
で示されるシラザン化合物、
一般式(IV):

2
3
SiX (IV)
(式中、R
2
は一般式(III)で定義した通りであり、XはOH基または加水分解性基である)で示される1官能性シラン化合物、
またはこれらの混合物を添加して、前記第一の疎水性球状シリカ微粒子の表面をこれにより処理して、該第一の疎水性球状シリカ微粒子の表面にR
2
3
SiO
1/2
単位(R
2
は一般式(III)で定義した通りである)を導入することにより第二の疎水性球状シリカ微粒子を得る方法である、
請求項1に記載の改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
疎水性球状シリカ微粒子の量が炭素繊維に対して0.01~20.0質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1~3のいずれか1項に記載の改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物を得、得られた改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物を加熱成形することを特徴とする成形体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性球状シリカ微粒子により表面改質された炭素繊維および熱可塑性樹脂とからなる改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
炭素繊維で強化された樹脂成形品は軽量で強度が高いことから、家電製品筐体、スポーツ用品、航空機用途、自動車用途などの広い分野で使用されている。従来の炭素繊維強化樹脂成形品はエポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂で製造されていたが、製造の煩雑さやリサイル性が考慮され、熱可塑性樹脂に代替化されつつある。更にはチョップ化された炭素繊維と熱可塑性樹脂を混合する際に、炭素繊維の分散性が悪く結果的に樹脂の流れが悪くなり、成形性に問題があった。
そこで、炭素繊維表面を各種のサイジング剤(集束剤)で処理して、分散性を向上させる提案がされている(特許文献1、2参照)。また、シート状の製品を製造する場合には、プリプレグを作製し、層状に加熱圧着するのが一般的であり、その際の界面密着性が問題となる。界面密着性を向上させる目的で、板状粒子を添加する提案もされている(特許文献3、4参照)。しかしながら、いずれの場合でも、熱硬化性樹脂と比較し、熱可塑性樹脂では界面接着性や機械的強度に劣っている。
【0003】
更には、熱可塑性樹脂とサイジング剤で処理して成る炭素繊維との相溶化剤として、ポリオレフィンとポリメタクリル酸ブロック共重合体(特許文献5参照)や、テルペン系樹脂(特許文献6参照)等が提案されているが、機械的な強度向上は満足いくものではなかった。
更にカチオン性界面活性剤でシリコーンゴム微粒子を水中に分散させた分散液で炭素繊維を処理する方法や、アニオン性界面活性剤でエチレン・酢酸ビニール共重合体微粒子を水中に分散させた分散液で炭素繊維を処理する方法も提案されている(特許文献7、8参照)が、事前に炭素繊維の電解酸化処理が必要であったり、分散液処理後の後乾燥など工程が煩雑であり、まだ機械的強度や接着性が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4094546号公報
特開2017-14628号公報
特開2016-97558号公報
特開2011-213991号公報
特開2018-145245号公報
特開2019-182940号公報
特許第3193534号公報
特許第3232169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、熱可塑性樹脂マトリックスとの親和性及び接着性を改良した改質炭素繊維を用いた改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物及びその成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、上記課題は炭素繊維に特定の疎水性球状シリカ微粒子を添加することにより解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
<1>
(A1)4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合生成物またはこれらの混合物を、加水分解および縮合することによって実質的にSiO
2
単位からなる親水性球状シリカ微粒子を得る工程と、
(A2)該親水性球状シリカ微粒子の表面に、R
1
SiO
3/2
単位(式中、R
1
は置換または非置換の炭素原子数1~20の1価炭化水素基である)を導入する工程と、
(A3)(A2)工程で得られた球状シリカ微粒子の表面に、R
2
3
SiO
1/2
単位(式中、各R
2
は同一または異なり、置換または非置換の炭素原子数1~6の1価炭化水素基である)を導入する工程
とを含む方法により、粒子径が0.005~0.3μmの範囲で、粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8~1かつ疎水化度が50以上である疎水性球状シリカ微粒子を製造する工程A、
該疎水性球状シリカ微粒子を長さ0.3~10mmの炭素繊維に、該炭素繊維の質量に対して少なくとも0.01質量%の量で添加し、混合することで改質炭素繊維を製造する工程B、及び
熱可塑性樹脂100質量部に対して該改質炭素繊維を0.5~40質量部添加し、混合する工程C
を有する改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【0008】
<2>
前記疎水性球状シリカ微粒子の製造方法が、
(A1)一般式(I):
Si(OR
3

4
(I)
(式中、各R
3
は同一または異種の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である)で示される4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物またはこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性有機溶媒と水の混合液中で加水分解及び縮合することによって実質的にSiO
2
単位からなる親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得、
(A2)得られた該親水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、一般式(II):

1
Si(OR
4

3
(II)
(式中、R
1
は置換または非置換の炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、各R
4
は同一または異種の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である)で示される3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物、またはこれらの混合物を添加して、該親水性球状シリカ微粒子の表面を処理することにより、該親水性球状シリカ微粒子の表面にR
1
SiO
3/2
単位(R
1
は前記の通りである)を導入して第一の疎水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液を得、
(A3)得られた該第一の疎水性球状シリカ微粒子の混合溶媒分散液に、一般式(III):

2
3
SiNHSiR
2
3
(III)
(式中、各R
2
は同一または異種の置換または非置換の炭素原子数1~6の一価炭化水素基である)
で示されるシラザン化合物、一般式(IV):

2
3
SiX (IV)
(式中、R
2
は一般式(III)で定義した通りであり、XはOH基または加水分解性基である)で示される1官能性シラン化合物、またはこれらの混合物を添加して、前記第一の疎水性球状シリカ微粒子の表面をこれにより処理して、該第一の疎水性球状シリカ微粒子の表面にR
2
3
SiO
1/2
単位(R
2
は一般式(III)で定義した通りである)を導入することにより第二の疎水性球状シリカ微粒子を得る方法である、<1>に記載の改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【0009】
<3>
疎水性球状シリカ微粒子を炭素繊維に対して0.01~20.0質量%の範囲で添加し混合する、<1>又は<2>に記載の改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【0010】
<4>
熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である<1>~<3>のいずれか1項に記載の改質炭素繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(【0011】以降は省略されています)

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