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公開番号
2025035516
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-13
出願番号
2023142609
出願日
2023-09-01
発明の名称
曲げ加工装置
出願人
株式会社オプトン
代理人
個人
主分類
B21D
7/024 20060101AFI20250306BHJP(本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き)
要約
【課題】多関節ロボット(40)を用いて被加工部材(S)の送り動作や捻り動作などを行う曲げ加工装置(1)を小型化し、製造費用も抑制可能とする。
【解決手段】曲げ型(21)と締め型(22)とで被加工部材を挟持し、被加工部材に圧力型(23)を当接させた状態で、曲げ型および締め型を回動させることによって被加工部材を曲げ加工する。その後、圧力型および締め型を被加工部材から離間させる際には、移動拘束部(31、33)をチャック(30)または被加工部材に当接させて被加工部材の動きを拘束し、被加工部材を送り方向に移動させる場合には、移動拘束部も被加工部材と一緒に移動させる。こうすれば、圧力型が被加工部材から離間している間は、被加工部材がスプリングバックで戻ろうとする力を移動拘束部で受けることができるので、小さな多関節ロボットを用いることが可能となる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
長尺形状で所定個数の曲げ位置が設定された金属製の被加工部材に対して曲げ加工を行う曲げ加工装置(1)であって、
前記被加工部材の一端側を把持するチャック(30)と、
前記被加工部材を把持した前記チャックを移動させる多関節ロボット(40)と、
円周形状に形成された曲げ側面(21a)と、前記曲げ側面に連続する直線形状に形成された保持側面(21b)とを有する曲げ型(21)と、
前記曲げ型の前記保持側面に対して向かい合わせに設けられて、前記保持側面に向かって移動することによって、前記保持側面との間で前記被加工部材を保持可能な締め型(22)と、
前記曲げ側面の前記円周形状の中心軸を中心として前記曲げ型および前記締め型を所定の曲げ方向に回動させる型回動部(26)と、
前記締め型に対して前記チャック側に隣接する位置に設けられて、前記回動前の前記締め型が前記保持側面に接近する方向と平行な方向に移動可能な圧力型(23)と、
前記チャック、前記多関節ロボット、前記締め型、前記型回動部、および前記圧力型の動作を制御する制御部(50)と
を備え、
前記制御部は、
前記被加工部材上の前記曲げ位置の一つが、前記曲げ型の前記保持側面と前記締め型とに対して位置決めされるように、前記多関節ロボットを用いて前記チャックの位置を、前記被加工部材の軸方向に移動させる送り制御と、
前記送り制御が終了すると、前記締め型を前記保持側面に接近させることによって前記保持側面と前記締め型とで前記被加工部材を保持すると共に、前記圧力型を移動させることによって前記被加工部材に当接させた状態で、前記型回動部を用いて前記曲げ型および前記締め型を前記曲げ方向に回動させることによって前記被加工部材を曲げ加工する曲げ制御と、
前記曲げ制御が終了すると、前記圧力型および前記締め型を前記被加工部材から離間させて、前記型回動部で前記曲げ型および前記締め型を前記曲げ方向とは逆方向に回動させることによって、前記曲げ型および前記締め型を前記曲げ加工する前の位置に復帰させる復帰制御と
を、前記曲げ位置の個数に対応する回数だけ繰り返して実行する制御部であり、
少なくとも前記復帰制御中および前記送り制御中は、前記チャックまたは前記被加工部材に当接することによって、前記被加工部材が前記圧力型の方向に移動する動きを拘束しながら、前記被加工部材と共に前記軸方向に移動する移動拘束部(31、33)が搭載されている
ことを特徴とする曲げ加工装置。
続きを表示(約 740 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の曲げ加工装置であって、
前記移動拘束部は、前記被加工部材の軸回りに前記被加工部材が回転可能な状態で、前記被加工部材が移動する動きを拘束する
ことを特徴とする曲げ加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載の曲げ加工装置であって、
前記チャックは、
前記被加工部材の端面の方向から前記被加工部材を把持すると共に、
把持した前記被加工部材に対して同軸上に形成されたチャック軸(30c)を備えており、
前記移動拘束部(31)は、前記チャック軸の軸回りには回転可能であるが、軸方向には移動し得ない状態で、前記チャック軸に取り付けられており、
前記多関節ロボットは、
前記チャック軸を軸方向に移動させることによって、前記被加工部材を、前記被加工部材の前記軸方向に移動させ、
前記チャック軸を軸回りに回転させることによって、前記被加工部材を、前記被加工部材の軸回りに回転させる
ことを特徴とする曲げ加工装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の曲げ加工装置であって、
前記移動拘束部は、前記チャックと前記圧力型との間の位置で前記被加工部材に当接することによって、前記被加工部材の前記圧力型の方向への移動を拘束しており、
前記制御部は、前記曲げ制御中に前記圧力型を前記被加工部材に当接させてから前記曲げ制御を終了するまでの間に、前記移動拘束部を前記被加工部材から離間させると共に、前記送り制御中に前記被加工部材と共に移動させていた前記移動拘束部を移動前の位置に復帰させる制御を行う
ことを特徴とする曲げ加工装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺形状で所定個数の曲げ位置が設定された金属製の被加工部材に対して曲げ加工を行う曲げ加工装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
パイプなどの長尺形状で金属製の被加工部材を所定の形状に曲げ加工するためには、ベンダーと呼ばれる曲げ加工装置が用いられる。この曲げ加工装置には「曲げ型」と呼ばれる金型や、「締め型」と呼ばれる金型が搭載されており、曲げ型には、円周形状の曲げ側面や、曲げ側面に連続した直線形状の保持側面が形成されている。また、締め型は、曲げ型の保持側面に対して向かい合う位置に搭載されており、締め型を曲げ型の保持側面に向かう方向に移動させることによって、曲げ型の保持側面との間でパイプなどの被加工部材を挟んで保持することが可能となっている。更に、曲げ型および締め型は、曲げ側面の円周形状の中心軸を中心として、全体を回転させることが可能となっている。尚、以下では、締め型を曲げ型に近づける方向に移動させることを、「締め型を前進させる」と称し、締め型を曲げ型から遠ざける方向に移動させることを、「締め型を後退させる」と称することにする。
【0003】
また、曲げ加工装置には、被加工部材の一端側を掴んで移動させるチャックや、「圧力型」と呼ばれる金型も搭載されている。圧力型は、締め型から見てチャック側に隣接する位置に搭載されており、締め型が曲げ型に向かって移動する方向に対して平行に移動させることが可能となっている。
【0004】
被加工部材を曲げ加工する際には、チャックで被加工部材を掴んだ後、チャックを移動させることによって、被加工部材に設定された曲げ位置が曲げ型と締め型との間の位置に対して所定位置(少し手前の位置)となるように被加工部材を移動させる。続いて、締め型を曲げ型に向かって前進させることによって、曲げ型と締め型とで被加工部材を挟持すると共に、圧力型も締め型と同じ向きに移動させることによって被加工部材に当接させる。尚、以下では、圧力型を被加工部材に当接する方向に移動させることを、「圧力型を前進させる」と称し、圧力型を被加工部材から離間する方向に移動させることを、「圧力型を後退させる」と称することにする。そして、締め型および圧力型を被加工部材に当接させた状態で、曲げ型および締め型を回動させる。回動方向は、締め型が圧力型から遠ざかる方向(以下、この方向を「曲げ方向」と称する)である。被加工部材は曲げ型と締め型とで挟持されているので、被加工部材は曲げ型および締め型と一緒に回動しようとするが、圧力型で押さえられているので圧力型よりもチャック側の被加工部材は回動することができない。このため、被加工部材は、圧力型から締め型までの部分が、曲げ型の曲げ側面に巻き付けられるようにして曲げ加工されることになる。また、このときに被加工部材が曲げ加工される角度は、曲げ型および締め型を回動させた角度に応じた角度となり、被加工部材が曲げ加工される半径は、曲げ型の曲げ側面の半径に応じた半径となる。
【0005】
以上のようにして被加工部材の一箇所を曲げ加工したら、締め型および圧力型を後退させることによって被加工部材から離間させた後、曲げ方向に回動させた曲げ型および締め型を、曲げ方向とは逆方向に回動させることによって元の位置まで復帰させる。その後、チャックを被加工部材の軸方向に移動させることによって、被加工物上に設定された次の曲げ位置が曲げ型と締め型との間の位置に対して所定位置となるように、被加工部材を移動させる。また、被加工部材の曲げ方向を変更する場合は、被加工部材を軸回りに回転させておく。尚、以下では、被加工部材を軸方向に移動させる動作を「送り動作」と称し、被加工部材を軸回りに回転させる動作を「捻り動作」と称することにする。その後、締め型を前進させてさせて被加工部材を挟持する共に、圧力型を前進させて被加工部材に当接させた状態で、再び、曲げ型および締め型を曲げ方向に回動させることによって、被加工部材上の新たな曲げ位置を曲げ加工する。このような工程を繰り返すことによって、被加工部材が所望の形状に曲げ加工されることになる。
【0006】
ここで、曲げ加工装置の中には、多関節ロボットの先端にチャックを装着しておき、多関節ロボットを用いてチャックを移動あるいは回転させることによって、送り動作や捻り動作を実現する曲げ加工装置も提案されている。多関節ロボットは、送り動作や捻り動作以外にも様々な動作を柔軟に実行可能なので、従来の曲げ加工装置では困難であった曲げ加工が可能となる。更には、保管されている被加工部材を多関節ロボットで取り上げて、そのまま曲げ型と締め型とで挟持させて曲げ加工することも可能であり、こうすれば作業効率を改善させることも可能となる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6654351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、多関節ロボットを用いて被加工部材の送り動作や捻り動作などを行う曲げ加工装置は、装置が大型化し、更に製造費用も高くなるという問題があった。この理由は次のようなものである。
【0009】
先ず、金属材料は荷重を加えると弾性変形するが、更に大きな荷重を加えると弾性変形の限界を超えて塑性変形するようになり、塑性変形した分は荷重を除いても元の形状に戻らなくなる。その一方で、塑性変形後も一部の変形は弾性変形のままで残るので、弾性変形のままの部分は荷重を除くと元の形状に復帰する。このように塑性変形後に荷重を除いた時に、弾性変形のままで残った分が元の形状に戻ろうとする現象は「スプリングバック」と呼ばれる。
【0010】
ここで、曲げ加工も金属材料を塑性変形させているので、被加工部材を曲げ加工した後に締め型および圧力型を被加工部材から離間させると、スプリングバックによって被加工部材が少しだけ戻ろうとする。多関節ロボットが被加工部材の端部を把持している場合は、被加工部材がスプリングバックで戻ろうとする力は多関節ロボットが受けることになる。そして、被加工部材が太くなるとスプリングバックによる力も大きくなるから、多関節ロボットがその力を支えきれなくなったり、多関節ロボット全体が傾いたりする虞が生じる。こうしたことを避けようとすると、高出力で且つ頑丈な多関節ロボットが必要となり、その結果、曲げ加工装置が大型化して、製造費用も高くなるという問題が生じる。
(【0011】以降は省略されています)
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