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公開番号2025032738
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2023138195
出願日2023-08-28
発明の名称基板処理方法および基板処理システム
出願人株式会社SCREENホールディングス
代理人個人,個人
主分類H01L 21/304 20060101AFI20250305BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】湿式処理を受けた基板の表面に有機溶媒を盛った状態の基板を湿式処理装置から超臨界処理装置に搬送し、超臨界状態の処理流体を用いて基板を乾燥させる基板処理システムにおいて、処理流体の消費量を削減して環境負荷を軽減しながら歩留まりの向上を図る。
【解決手段】本発明に係る基板処理方法および基板処理システムでは、液盛り状態を維持しつつ、パターン内が温められる。これにより、パターン内に存在する液体成分の対流拡散が促進される。つまり、内底面に存在していた残留液も有機溶媒に対流拡散して有機溶媒に混合される。その結果、パターンの内底面での残留液が存在しない状態、いわゆる残留液フリーで、超臨界状態の処理流体による乾燥処理が実行される。
【選択図】図6


特許請求の範囲【請求項1】
パターンが形成されたパターン形成面を有する基板を処理する基板処理方法であって
(a)湿式処理装置において、前記パターン形成面への薬液の供給による前記基板の湿式処理、前記パターン形成面へのリンス液の供給によるリンス処理、前記パターン形成面への有機溶媒の供給による置換処理、および前記パターン形成面への前記有機溶媒の供給により前記パターン形成面上に前記有機溶媒の液膜を液盛り状態に形成する液盛り処理を、この順序で実行する工程と
(b)前記液盛り状態のまま、前記湿式処理装置から前記基板を超臨界処理装置に搬送する工程と
(c)前記超臨界処理装置において、前記液盛り状態の前記パターン形成面に超臨界状態の処理流体を接触させることで、前記基板を乾燥させる工程と、を備え、
前記工程(a)、前記工程(b)および前記工程(c)の少なくとも1つにおいて、液盛り状態を維持しつつ前記パターン内を温めることを特徴とする基板処理方法。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記工程(a)で使用するリンス液は、
40
℃以上でかつ液盛り状態を維持することができる上限温度以下を有している、基板処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記工程(a)は、前記液盛り処理と並行して、前記パターン形成面と反対の前記基板の下面に加熱媒体を供給する第1加熱処理を有する、基板処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理方法であって、
前記加熱媒体は、
80
℃以上でかつ液盛り状態を維持することができる上限温度以下を有している、基板処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記工程(a)は、前記液盛り処理と並行して、前記パターン形成面と反対の前記基板の下面に対向して配置されたヒーターにより前記基板を加熱する第2加熱処理を有する、基板処理方法。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記工程(b)は
(b-1)搬送ロボットのハンドで前記湿式処理装置から前記基板を受け取る工程と、 (b-2)前記ハンドに設けられたヒーターにより前記湿式処理装置から受け取った前記基板を加熱しながら、前記ハンドを前記超臨界処理装置に移動させる工程と
(b-3)前記ハンドから前記超臨界処理装置に渡す工程と、
を有する、基板処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記工程(c)は
(c-1)支持トレイに前記基板を載置する工程と
(c-2)前記基板を載置した状態で前記支持トレイを水平方向に移動させることで、超臨界用の処理チャンバに前記基板を収容する工程と
(c-3)前記基板を収容した前記処理チャンバの内部の圧力を上昇させる工程と
(c-4)前記処理チャンバ内で前記超臨界状態の前記処理流体を前記基板と接触させて超臨界乾燥させる工程と
(c-5)前記工程(c-1)と前記工程(c-4)との間で、前記支持トレイに設けられたヒーターにより前記基板を加熱する工程と、
を有する、基板処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の基板処理方法であって
(d)前記パターン形成面に前記超臨界状態の前記処理流体を接触させる前に、前記液盛り状態を維持しながら前記基板に振動を付与することで、前記パターンに残留する前記リンス液を前記有機溶媒に混合させる工程をさらに備える、基板処理方法。
【請求項9】
パターンが形成されたパターン形成面を有する基板を処理する基板処理システムであって、
前記パターン形成面への薬液の供給による前記基板の湿式処理、前記パターン形成面へのリンス液の供給によるリンス処理、前記パターン形成面への有機溶媒の供給による置換処理、および前記パターン形成面への前記有機溶媒の供給により前記パターン形成面上に前記有機溶媒の液膜を液盛り状態に形成する液盛り処理を、この順序で実行する湿式処理装置と、
前記液盛り状態の前記パターン形成面に超臨界状態の処理流体を接触させることで、前記基板を乾燥させる超臨界処理装置と、
前記液盛り状態のまま、前記湿式処理装置から前記基板を超臨界処理装置に搬送する基板搬送装置と、を備え、
前記湿式処理装置、前記基板搬送装置および前記超臨界処理装置のうちの少なくとも1つは、前記液盛り状態を維持しつつ、前記パターン内を温めることを特徴とする基板処理システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、処理チャンバ内で基板を乾燥させる技術に関するものであり、特に液膜で覆われた基板を超臨界状態の処理流体で処理するプロセスに関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
半導体基板、表示装置用ガラス基板等の各種基板の処理工程には、基板の表面を各種の処理流体によって処理するものが含まれる。処理流体として薬液やリンス液などの液体を用いる湿式処理が従来から広く行われている。近年では、当該湿式処理後の基板を乾燥させるために、超臨界状態の処理流体を用いた処理も実用化されている。特に、微細パターンが形成されたパターン形成面を有する基板の乾燥処理においては、有益である。というのも、超臨界状態の処理流体は、液体に比べて表面張力が低く、パターンの隙間の奥まで入り込むという特性を有しているからである。当該処理流体を用いることで、効率よく乾燥処理を行うことが可能である。また、乾燥時において表面張力に起因するパターン倒壊の発生リスクを低減させることも可能である。
【0003】
例えば特許文献1に記載の基板処理システムでは、本発明の「湿式処理装置」の一例として基板現像装置が設けられている。この基板現像装置では、当該装置内での最終処理として、リンス液により濡れている基板に対し、本発明の「有機溶媒」の一例であるIPA(イソプロピルアルコール:isopropylalcohol)液が供給される。これにより、IPA置換が実行され、基板の表面からリンス液が除去される。また、基板の表面にIPA液を盛った液盛り状態が作り出される。つまり、IPA液を含む液膜がパドル状に形成される。その結果、基板の表面はIPA液で濡れた状態で維持される。そして、液盛り状態が維持されたまま基板は基板搬送装置により本発明の「超臨界処理装置」の一例に相当する基板乾燥装置に搬送され、超臨界状態の処理流体による乾燥処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2013-201302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板現像装置や基板洗浄装置などの湿式処理装置において、IPA置換によりリンス液などの液体がパターンの内部から完全に排出されるのが望ましい。しかしながら、パターンの内底面に液体が残留することがある。このように残留する液体(以下「残留液」という)を残したまま基板を基板乾燥装置(超臨界処理装置)に搬入し、超臨界乾燥処理を実行すると、次のような問題が発生することがある。つまり、液膜を構成する液体成分と超臨界状態の処理流体との置換が不完全になりやすい。そのため、それをカバーするために、処理流体の使用量を増大させるという対応策が考えられる。しかしながら、これはランニングコストの増大を招くとともに、大きな環境負荷を社会に与えてしまう。
【0006】
また、処理流体の使用量を増大させたとしても、パターンの内底面に残留液がそのまま残り、これがパターン倒壊の要因となることもあった。このため、残留液の存在が製品歩留まりの低下の主要因のひとつになっている。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、湿式処理を受けた基板の表面に有機溶媒を盛った状態の基板を湿式処理装置から超臨界処理装置に搬送し、超臨界状態の処理流体を用いて基板を乾燥させる基板処理システムにおいて、処理流体の消費量を削減して環境負荷を軽減しながら歩留まりの向上を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の態様は、パターンが形成されたパターン形成面を有する基板を処理する基板処理方法であって、(a)湿式処理装置において、パターン形成面への薬液の供給による基板の湿式処理、パターン形成面へのリンス液の供給によるリンス処理、パターン形成面への有機溶媒の供給による置換処理、およびパターン形成面への有機溶媒の供給によりパターン形成面上に有機溶媒の液膜を液盛り状態に形成する液盛り処理を、この順序で実行する工程と、(b)液盛り状態のまま、湿式処理装置から基板を超臨界処理装置に搬送する工程と、(c)超臨界処理装置において、液盛り状態のパターン形成面に超臨界状態の処理流体を接触させることで、基板を乾燥させる工程と、を備え、工程(a)、工程(b)および工程(c)の少なくとも1つにおいて、液盛り状態を維持しつつパターン内を温めることを特徴としている。
【0009】
また、この発明の他の態様は、パターンが形成されたパターン形成面を有する基板を処理する基板処理システムであって、パターン形成面への薬液の供給による基板の湿式処理、パターン形成面へのリンス液の供給によるリンス処理、パターン形成面への有機溶媒の供給による置換処理、およびパターン形成面への有機溶媒の供給によりパターン形成面上に有機溶媒の液膜を液盛り状態に形成する液盛り処理を、この順序で実行する湿式処理装置と、液盛り状態のパターン形成面に超臨界状態の処理流体を接触させることで、基板を乾燥させる超臨界処理装置と、液盛り状態のまま、湿式処理装置から基板を超臨界処理装置に搬送する基板搬送装置と、を備え、湿式処理装置、基板搬送装置および超臨界処理装置のうちの少なくとも1つは、液盛り状態を維持しつつ、パターン内を温めることを特徴としている。
【0010】
従来では、湿式処理装置において、パターン形成面への薬液の供給により薬液処理が実行された後で、従来技術では、リンス処理、置換処理および液盛り処理がこの順序で実行されていた。このため、パターンの内底面にリンス液が残留することがあり、この残留液が処理流体の消費増大や製品の歩留まり低下を招く要因となる。そこで、本発明では、液盛り状態を維持しつつ、パターン内が温められる。これにより、パターン内に存在する液体成分の対流拡散が促進される。つまり、内底面に存在していた残留液も有機溶媒に対流拡散して有機溶媒に混合される。その結果、パターンの内底面での残留液が存在しない状態、いわゆる残留液フリーで、超臨界状態の処理流体による乾燥処理が実行される。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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