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公開番号2025027738
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-28
出願番号2023132817
出願日2023-08-17
発明の名称材料組織評価方法
出願人大同特殊鋼株式会社,国立大学法人 名古屋工業大学
代理人弁理士法人上野特許事務所
主分類G01N 23/2251 20180101AFI20250220BHJP(測定;試験)
要約【課題】画像の目視評価によることなく、材料の観察像において、材料組織が均一性高く分布している箇所と、不均一に分布している箇所とを区別することができる材料組織評価方法を提供する。
【解決手段】評価対象材に対して得られた観察像、または観察像の輝度を閾値によって区分した画像よりなる対象像に対して、対象像全体の輝度を平均した全体輝度平均値を含む輝度の範囲として、許容輝度範囲を設定し、対象像中に複数の部分領域を設定し、複数の部分領域のそれぞれにおける輝度を平均したものを領域内平均輝度として、複数の部分領域を、領域内平均輝度が許容輝度範囲の中に収まる均一領域と、領域内平均輝度が許容輝度範囲の中に収まらない不均一領域とに区別した画像として、不均一組織識別画像を作成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
評価対象材に対して得られた観察像、または前記観察像の輝度を閾値によって区分した画像よりなる対象像に対して、
前記対象像全体の輝度を平均した全体輝度平均値を含む輝度の範囲として、許容輝度範囲を設定し、
前記対象像中に複数の部分領域を設定し、前記複数の部分領域のそれぞれにおける輝度を平均したものを領域内平均輝度として、
前記複数の部分領域を、前記領域内平均輝度が前記許容輝度範囲の中に収まる均一領域と、前記領域内平均輝度が前記許容輝度範囲の中に収まらない不均一領域とに区別した画像として、不均一組織識別画像を作成する、材料組織評価方法。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
前記対象像は、前記観察像の輝度を二値化した二値化像である、請求項1に記載の材料組織評価方法。
【請求項3】
前記複数の部分領域のそれぞれを、横にm画素、縦にn画素の四角形のカーネルとして、
前記複数の部分領域は、前記観察像において、前記カーネルを、横方向および縦方向のそれぞれに、Δd画素ずつずらした領域として設定する、請求項1に記載の材料組織評価方法。
ここで、m、n、Δdは自然数であり、Δd<mかつΔd<nである。
【請求項4】
m=nであり、
Δd=1である、請求項3に記載の材料組織評価方法。
【請求項5】
前記許容輝度範囲は、前記複数の部分領域の前記領域内平均輝度を表示したヒストグラムにおいて、頂点を挟む範囲に設定される、請求項1に記載の材料組織評価方法。
【請求項6】
前記部分領域の大きさは、前記観察像中において、均一であるとみなす組織の大きさよりも大きく、不均一であるとみなす組織よりも小さい範囲に設定される、請求項1に記載の材料組織評価方法。
【請求項7】
前記観察像上で、
前記均一領域と前記不均一領域の一方を、所定の色彩で塗るか、
前記均一領域と前記不均一領域を、相互に異なる色彩で塗ることで、前記不均一組織識別画像を作成する、請求項1に記載の材料組織評価方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、材料組織評価方法に関し、さらに詳しくは、材料の観察像において、材料組織が不均一に分布した領域を検出するための方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
金属材料等において、材料組織の状態を判定することが、所望の材料特性を確保する観点から、重要である。材料組織の状態を判定するために、電子顕微鏡等を用いて、材料組織の観察が行われる。材料組織の状態としては、様々な観点からの評価がありうるが、その中の1つに、材料組織の分布の均一性を挙げることができる。材料中に複数種の材料組織が混在する場合に、材料組織の均一性、つまりそれら複数種の材料組織が均一に分布しているか不均一に分布しているかは、材料全体としての特性に大きな影響を与えうる。そのため、観察像において、材料組織が均一に分布している箇所と、不均一に分布している箇所を区別して検出することが重要となる。
【0003】
例えば、材料組織において、結晶粒の粒径や異方性、成分組成、生成相等の要素において、不均一な空間分布が発生する場合があり、それら各種の要素における不均一性を考慮して、材料組織を評価する方法として、標準試料の観察像との比較が用いられる場合がある。例えば、ISO 20160等の規格において、標準試料に対する観察像が提示されている。規格に提示された各等級に対応する観察像と、実際の対象試料に対して得られた観察像とを対照し、組織の均一性、粒度等の各種要素を比較することで、どの等級の観察像に類似しているかに基づいて、その対象試料の等級を決定することができる。また、標準試料との対照によらずに、組織の均一性の程度を評価できる手法として、特許文献1に、対象画像において、画素ごとの強度のばらつきの程度を見積もる統計処理を実施し、見積もられたばらつきの程度が小さいほど、評価対象材の組織の均一性が高いと判定する方法が開示されている。
【0004】
さらに、材料組織の均一性を評価するための基礎情報として、複数の異なる材料組織を、顕微鏡像等の観察像において識別する必要があり、そのための手法として、二値化等、閾値によって観察像内の組織を区分する方法が、広く用いられている。例えば、特許文献2に、閾値の決定方法が開示されている。また、閾値による材料組織の識別をさらに発展させた形態として、機械学習を利用して材料組織を識別することも提案されている。例えば、特許文献3に、鋼材の断面に対応する画像において、所定輝度よりも低輝度な低輝度領域のそれぞれが偏析領域であるか否かを目視で判定した判定結果と画像特徴量とを対応づけた分類データを用いたモデルにより、未知画像において特定された低輝度領域のそれぞれが偏析領域であるか否かを分類する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-099257号公報
特開平07-234942号公報
特開2019-007944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
材料中に複数種の材料組織が混在する場合に、それらの材料組織の分布の均一性は、材料特性に影響を与える可能性があるため、所定の特性を有する材料を得るための基礎情報として、材料の観察像において、材料組織の均一性を評価することが重要である。さらには、材料組織が均一に分布している箇所と、不均一に分布している箇所を区別して検出することが、有益となる。
【0007】
材料の観察像から、材料組織の均一性を評価するに際し、規格に提示された標準試料と、実際の対象試料とで、観察像を比較することで、材料組織の等級を判定する場合には、人間がそれぞれの観察像を目視して、組織の均一性の程度等を含めて、観察像に現れた特徴を比較することで、判定を行うことになる。この方法を用いる場合には、均一組織と不均一組織の差異が観察像上に現れていれば、それらの組織を区別して検出することができる。しかし、人間が画像の目視によって判定を行うため、観察者によって、評価結果にばらつきが生じてしまう。
【0008】
特許文献1の方法を用いれば、観察像において、材料組織の空間分布の均一性の程度を、目視観察によらずに、定量的に評価することが可能である。しかし、特許文献1の方法においては、観察像全体に対して、統計的な解析を適用するため、観察像全体としての均一性の程度を数値として得ることはできても、観察像の中の各領域について、均一性の程度を個別に評価することは難しい。例えば、複数種の材料組織が混在している観察像において、材料組織の分布の均一性が低いという評価結果が得られた場合に、観察像中のどの箇所に、材料組織が不均一に偏在しているのかに関する情報は、得られない。
【0009】
特許文献2に記載されている方法等により、閾値を定め、その閾値を用いて観察像中に混在する複数種の材料組織を判別することができれば、観察像の中で、着目している材料組織が分布している箇所を特定することができる。さらに、特許文献3に記載されているように、機械学習による判定を利用して、材料組織の識別を行えば、観察像中で異なる組織が類似した特徴を与える場合や、異なる材料組織が複雑に混在している場合等、単純な閾値を用いた判定では材料組織の識別が困難な場合にも、観察像中で、着目している材料組織の空間分布に関する知見を得ることができる。しかし、これらの方法を用いることで、観察像中で、複数種の材料組織を区別することができたとしても、それら複数種の材料組織の空間分布における均一性の程度を、観察像内の領域ごとに評価することは、直接的には行えない。よって、観察像内の各領域における材料組織の分布の均一性を評価するため、また観察像内で材料組織が不均一に分布している箇所を特定するためには、二値化や機械学習を利用して得られた、着目する材料組織の空間分布像に対して、目視観察による判定を行う必要が生じる。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、画像の目視評価によることなく、材料の観察像において、材料組織が均一性高く分布している箇所と、不均一に分布している箇所とを区別することができる材料組織評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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