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公開番号
2025030227
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-07
出願番号
2023135337
出願日
2023-08-23
発明の名称
粒成長の予測方法
出願人
大同特殊鋼株式会社
,
国立大学法人東海国立大学機構
代理人
弁理士法人むつきパートナーズ
主分類
C23C
8/22 20060101AFI20250228BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】 浸炭処理における粒成長の予測を行う方法の提供。
【解決手段】 オーステナイト粒からなる空間に析出物を分散させたモデル空間を複数のセルに分割し、セルのそれぞれについて、析出物体積分率f及び結晶方位を与えるステップと、結晶方位及び温度Tから算出される粒界の易動度Mを算出するステップと、周囲のセルとの間における粒界の曲率半径R
L
を算出し、結晶方位から算出される粒界エネルギーσに、曲率半径R
L
、析出物径r及び析出物体積分率fの関数を乗じて与えられる粒成長の駆動力ΔGを算出するステップと、隣接するセルのうち最も小さい駆動力ΔGの置換候補セルを抽出し、置換候補セルの駆動力ΔGに易動度Mを乗じて得られる粒成長速度vについて生成させた一様乱数zよりも大きいときは置換候補セルに置き換える置換ステップと、タイムステップ後の析出物径rを与える再設定ステップと、を含み、易動度算出から再設定ステップを繰り返す。
【選択図】 図3
特許請求の範囲
【請求項1】
浸炭処理におけるオーステナイト粒の粒成長の予測方法であって、
前記オーステナイト粒からなる空間に析出物を分散させたモデル空間を複数のセルに分割した上で、初期析出物径r
0
、前記浸炭処理の温度T、一様乱数zの最大値z
max
とともに、前記セルのそれぞれに析出物体積分率f及び結晶方位と、を与える初期設定ステップと、
前記セルのそれぞれについて、前記結晶方位及び前記温度Tから算出される粒界の易動度Mを算出する易動度算出ステップと、
前記セルのそれぞれについて、周囲の前記セルとの間における前記粒界の曲率半径R
L
を算出した上で、前記結晶方位から算出される粒界エネルギーσに、前記曲率半径R
L
、析出物径r及び析出物体積分率fの関数を乗じて与えられる粒成長の駆動力ΔGを算出する駆動力算出ステップと、
前記セルのそれぞれについて、隣接する前記セルのうち最も小さい前記駆動力ΔGの置換候補セルを抽出し、前記置換候補セルの前記駆動力ΔGに前記易動度Mを乗じて得られる粒成長速度vについて生成させた一様乱数z(0≦z≦z
max
)よりも大きいときは前記置換候補セルに置き換える置換ステップと、
前記初期析出物径r
0
からタイムステップ後の前記析出物径rを与える再設定ステップと、
を含み、前記易動度算出ステップから前記再設定ステップを繰り返すことを特徴とする粒成長の予測方法。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記初期設定ステップでは、前記易動度を強調する指定セルの選択と、前記指定セルでの前記易動度の強調係数と、を与えておき、
前記易動度算出ステップは、前記指定セルにあっては、算出した値に強調係数を乗じて前記易動度Mとすることを特徴とする請求項1記載の粒成長の予測方法。
【請求項3】
位置xの前記セルにおいて、前記駆動力ΔGをΔG[x]、前記粒界エネルギーσをσ[x]、前記曲率半径R
L
をR
L
[x]、前記析出物径rをr[x]、前記析出物体積分率fをf[x]とし、p及びqを係数としたときに、
TIFF
2025030227000021.tif
13
121
で与えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒成長の予測方法。
【請求項4】
前記初期設定ステップでは、単位長さの粒界エネルギーE
0
と、を与えておき、
前記粒界エネルギーσ[x]は、セルxの周囲の前記結晶方位の異なるセルとの粒界エネルギーの和
JPEG
2025030227000022.jpg
27
116
(但し、δ
x,x'
は、セルxとセルx’が異なるとき0、同じとき1とする。また、θ
x
x'
はセルxとセルx’との結晶方位の傾角とする。)、
で与えられることを特徴とする請求項3記載の粒成長の予測方法。
【請求項5】
前記初期設定ステップでは、前記結晶方位を四元数で与えることを特徴とする請求項4記載の粒成長の予測方法。
【請求項6】
前記初期設定ステップでは、前記粒界の曲率半径R
L
を計算すべきセル範囲を特定する数値bを与えておき、
前記駆動力算出ステップでは、前記粒界の曲率半径R
L
を、
JPEG
2025030227000023.jpg
35
133
(但し、δ
x,x'
は、セルxとセルx’が異なるとき0、同じとき1とする。)
で与えることを特徴とする請求項3記載の粒成長の予測方法。
【請求項7】
タイムステップ毎の析出物径rは、時刻tのとき、
JPEG
2025030227000024.jpg
10
120
で与えられることを特徴とする請求項1記載の粒成長の予測方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸炭処理におけるオーステナイト粒の粒成長の予測方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
ギアやプーリー、シャフトといった動力伝達に使用される部品では、その表面を硬化させる処理として浸炭処理が広く採用されている。ここで、浸炭処理を迅速に進行させるべく高温にて処理した場合や、浸炭前に冷間鍛造を行っている場合には、浸炭処理時に異常粒成長が発生しやすいとされる。かかる浸炭中の異常粒成長は、熱処理ひずみ量を増大させ、また、部品の疲労強度の低下などを引き起こす原因となる。
【0003】
ここで、浸炭処理中の異常粒成長の抑制には、例えば、AlNやNbCといった析出物を鋼中に微細分散させ、いわゆる「ピン止め効果」を得ることが効果的である。そこで、この析出物によるピン止め効果から異常粒成長の発生予測を行うことができれば、必要なピン止めを得るための粒子量、すなわち、鋼中へのNbやAlといった粒子形成元素の添加量や、適切な浸炭温度といったプロセス条件を割り出すことが可能となる。
【0004】
例えば、特許文献1では、圧延時に断面内で歪、歪速度、及び温度の2次元分布を有する条鋼や棒鋼製品における異常粒成長のような組織異常を事前に予測する方法を開示している。ここでは、圧延毎に3次元圧延解析計算を行うとともに、各パス間及び最終冷却過程での断面内の温度分布の温度解析計算を行って、断面内での歪、歪速度、及び温度分布を考慮し最終組織を予測するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平6-182412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、浸炭中の異常粒成長の抑制には、析出物によるピン止め効果を得ることが効果的ではあるが、析出物は凝固偏析の影響を受けるなど、鋼中に均一に分散するとは限らず、析出物によるピン止めと異常粒成長との関係を予測することは難しかった。
【0007】
一方、結晶粒の成長のシミュレーション方法がいくつか提案されているが、空間をセルに分割し隣接セルの相互作用を計算するセルラーオートマトン(Cellular Automation)法が知られている。かかる方法を利用して浸炭処理におけるオーステナイト粒の粒成長のシミュレーションに析出物の分散状態による影響を導入することで異常粒成長の発生予測を行うことが考慮された。
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、浸炭処理におけるオーステナイト粒の異常粒成長の発生予測を含む粒成長の予測について、セルラーオートマトン法を用いてオーステナイト粒の粒成長のシミュレーションに析出物の分散状態による影響を導入し浸炭処理における粒成長の予測を行う方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による方法は、浸炭処理におけるオーステナイト粒の粒成長の予測方法であって、前記オーステナイト粒からなる空間に析出物を分散させたモデル空間を複数のセルに分割した上で、初期析出物径r
0
、前記浸炭処理の温度T、一様乱数zの最大値z
max
とともに、前記セルのそれぞれに析出物体積分率f及び結晶方位と、を与える初期設定ステップと、前記セルのそれぞれについて、前記結晶方位及び前記温度Tから算出される粒界の易動度Mを算出する易動度算出ステップと、前記セルのそれぞれについて、周囲の前記セルとの間における前記粒界の曲率半径R
L
を算出した上で、前記結晶方位から算出される粒界エネルギーσに、前記曲率半径R
L
、析出物径r及び析出物体積分率fの関数を乗じて与えられる粒成長の駆動力ΔGを算出する駆動力算出ステップと、前記セルのそれぞれについて、隣接する前記セルのうち最も小さい前記駆動力ΔGの置換候補セルを抽出し、前記置換候補セルの前記駆動力ΔGに前記易動度Mを乗じて得られる粒成長速度vについて生成させた一様乱数z(0≦z≦z
max
)よりも大きいときは前記置換候補セルに置き換える置換ステップと、前記初期析出物径r
0
からタイムステップ後の前記析出物径rを与える再設定ステップと、を含み、前記易動度算出ステップから前記再設定ステップを繰り返すことを特徴とする。
【0010】
かかる特徴によれば、粒成長の速度論による粒成長速度vがランダムに与えられる一様乱数zよりも大きい場合に粒成長の生じるとしたモデルを基にしたシミュレーションであり、空間を複数のセルに分割してセルラーオートマトン法を用いて粒成長の時間発展をステップごとに逐次計算し、空間上に不均一に分散した析出物の分散状態による影響を導入してオーステナイト粒の粒成長のシミュレーションをできるのである。
(【0011】以降は省略されています)
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