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公開番号2025027605
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-28
出願番号2023132501
出願日2023-08-16
発明の名称中枢神経系用薬服用の評価のための方法および装置
出願人国立研究開発法人理化学研究所,学校法人順天堂
代理人個人,個人,個人
主分類C12Q 1/04 20060101AFI20250220BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】中枢神経系用薬服用の有無または影響を非侵襲的に評価するための技術を提供する。
【解決手段】被検者における中枢神経系用薬服用の有無または影響を評価するためのデータを収集する方法であって、被検者から採取された被検唾液試料中のマイクロバイオームの組成を決定することを含む、方法。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
被検者における中枢神経系用薬服用の有無または影響を評価するためのデータを収集する方法であって、
前記被検者から採取された被検唾液試料中のマイクロバイオームの組成を決定することを含む、方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記マイクロバイオームの組成を決定することは、前記被検唾液試料中に含まれる16S rRNA遺伝子核酸の配列を決定することを介して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定されたマイクロバイオームの組成のα多様性またはOTU数を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロバイオームの組成を決定した後に、参照マイクロバイオームと比べて組成中の割合が増加した微生物種類および減少した微生物種類のリストを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記決定されたマイクロバイオームの組成のデータを、学習済みモデルに入力することと、
前記学習済みモデルに、前記被検者における中枢神経系用薬の服用の有無および服用された中枢神経系用薬の種類の推測を出力させることとをさらに含み、
前記学習済みモデルは、
参照被検者の集団から採取された個々の参照唾液試料中のマイクロバイオームの組成のデータと、個々の前記参照被検者における中枢神経系用薬服用の有無および服用された中枢神経系用薬の種類のデータとを教師データとして機械学習させたモデルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
被検者における中枢神経系用薬服用の有無または種類を評価する評価装置であって、
被検者の唾液マイクロバイオームの組成のデータを入力して(a)多変量解析を行うか、または(b)α多様性もしくはOTU数の計算を行い、唾液マイクロバイオームの組成特徴を表す指標を出力する解析部と、
前記唾液マイクロバイオームの組成特徴を表す指標に基づいて前記被検者における中枢神経系用薬服用の有無または種類を評価する評価部を備える、
評価装置。
【請求項7】
(a)前記解析部は多変量解析を行って、参照マイクロバイオームと比べて組成中の割合が増加している微生物種類および減少している微生物種類のリストを出力し、前記評価部は、前記リストを1つ以上の既知の組成変化シグネチャーと比較し、その比較結果に基づいて、前記既知の組成変化シグネチャーに対応する種類の服薬事象の有無の評価を行うか、または、
(b)前記解析部はα多様性もしくはOTU数の計算を行い、前記評価部は、前記計算されたα多様性もしくはOTU数を参照レベルと比較し、α多様性またはOTU数が参照レベル未満であれば被検者はNMDA受容体拮抗薬を服用していたと評価する、
請求項6に記載の評価装置。
【請求項8】
被検者における中枢神経系用薬服用の有無または種類を評価する評価装置であって、
被検者の唾液マイクロバイオームの組成のデータを学習済みモデルに適用して被検者における中枢神経系用薬の服用の有無および服用された中枢神経系用薬の種類を推測する評価部を備え、
前記学習済みモデルは、参照被検者の集団から採取された個々の参照唾液試料中のマイクロバイオームの組成のデータと、個々の前記参照被検者における中枢神経系用薬服用の有無および服用された中枢神経系用薬の種類のデータとを教師データとして機械学習させたモデルである、
評価装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者における中枢神経系用薬服用の有無または影響を評価することに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
軽度認知障害(MCI)は認知症の前臨床段階であり、MCI例のおよそ半数はアルツハイマー病等を含む認知症へと進行する。現在日本では、アルツハイマー型認知症治療薬としてドネペジル(例えば商品名アリセプト(登録商標))、ガランタミン(例えば商品名レミニール(登録商標))、メマンチン(例えば商品名メマリー(登録商標))、およびリバスチグミン(例えば商品名イクセロン(登録商標)パッチ;これは服用薬ではなく経皮吸収型製剤である)が認可、販売されている。これらはいずれも中枢神経系用薬であって、ドネペジル、ガランタミンおよびリバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、メマンチンはNMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗薬である。現在100種類超の薬剤がアルツハイマー病についての臨床試験に係属中であるが、過去の大多数の薬剤臨床試験は失敗に終わってきている。しかしながら、個々の療法に反応を示す可能性が高い適切な患者集団を選抜して試験を行うことが、治療薬開発の成功を促進し得ると考えられる(非特許文献1)。認知症を引き起こし得る原疾患は多様であり、アルツハイマー病のほか、例えばレビー小体型認知症およびパーキンソン病が含まれる。MCIを含め初期の段階では特に、原疾患を区別することが難しくなり得る。原疾患が異なれば、異なる種類の中枢神経系用薬が処方され得る。例えばパーキンソン病患者にはレボドパ(ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)と併用され得る)、ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬、NMDA受容体拮抗薬等、またはこれらの組合せが処方され得る。
【0003】
非特許文献2~4は、認知障害を有する患者のマイクロバイオームが対照と比べて変化していたことを記載している。非特許文献5は、パーキンソン病患者の口腔(oral)微生物叢と腸微生物叢の間に明確なコネクションがあったことを記載している。非特許文献5でいうところの口腔微生物叢とは頬内スワブ試料の微生物叢である。特許文献1は、診断および治療目的のために血液、リンパ液、唾液等の体液試料からエクソソーム画分を単離し当該エクソソーム画分におけるマイクロバイオームを検出することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2020/163724号
【非特許文献】
【0005】
Alzheimer's Research & Therapy (2014) 6:37
Scientific Reports (2019) 9:1008
Alzheimer’s Dement. (2020) 12:e12000
Front. Neurol. (2020) 11:137
npj Parkinson’s Disease (2022) 8:87
【発明の概要】
【0006】
治療薬服用後の身体の応答あるいは薬物影響の動態を追跡することは、新薬開発または治療の文脈において有用となる手順であるが、中枢神経系用薬に対する応答については有効なバイオマーカーが実質的に存在しない。薬自体の経時的な血中濃度を測定することは侵襲的であって患者への負担が比較的大きい。また、服薬コンプライアンスおよび服薬アドヒアランスに関する大きな問題があり、特に認知機能低下患者に関してはそれらの問題は重要である。認知機能低下ゆえに、治療薬を正しく服用すべきこと、および治療薬を正しく服用したか否かを、患者自身が覚えていないあるいは認識していないということが臨床の場面で頻繁に見られ、治療を複雑化させている。従って、患者の服薬行動を客観的かつ非侵襲的に評価できる手法が望まれる。
【0007】
本発明者らは、抗認知症薬を含む中枢神経系用薬の服用が、腸マイクロバイオームよりも大きく唾液マイクロバイオームを改変し得ることを発見した。この発見に基づけば、唾液試料を用いて、中枢神経系用薬服用の有無または影響を非侵襲的かつ比較的高い感度で評価することができる。
【0008】
本開示の一態様の方法は、被検者における中枢神経系用薬服用の有無または影響を評価するためのデータを収集する方法であって、前記被検者から採取された被検唾液試料中のマイクロバイオームの組成を決定することを含む。
【0009】
本開示の一態様の評価装置は、被検者における中枢神経系用薬服用の有無または種類を評価する評価装置であって、被検者の唾液マイクロバイオームの組成のデータを入力して(a)多変量解析を行うか、または(b)α多様性もしくはOTU数の計算を行い、唾液マイクロバイオームの組成特徴を表す指標を出力する解析部と、前記唾液マイクロバイオームの組成特徴を表す指標に基づいて前記被検者における中枢神経系用薬服用の有無または種類を評価する評価部を備える。
【0010】
本開示の別の一態様の評価装置は、被検者における中枢神経系用薬服用の有無または種類を評価する評価装置であって、被検者の唾液マイクロバイオームの組成のデータを学習済みモデルに適用して被検者における中枢神経系用薬の服用の有無および服用された中枢神経系用薬の種類を推測する評価部を備え、前記学習済みモデルは、参照被検者の集団から採取された個々の参照唾液試料中のマイクロバイオームの組成のデータと、個々の前記参照被検者における中枢神経系用薬服用の有無および服用された中枢神経系用薬の種類のデータとを教師データとして機械学習させたモデルである。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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