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公開番号
2025023090
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-14
出願番号
2024207668,2023575235
出願日
2024-11-28,2023-01-13
発明の名称
改変された組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質及び感染能に基づくAAVの分析方法
出願人
東ソー株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07K
14/46 20060101AFI20250206BHJP(有機化学)
要約
【課題】アデノ随伴ウイルス(AAV)への結合活性が向上した、改良AAV結合性タンパク質、および試料中に含まれるアデノ随伴ウイルス(AAV)を感染能の違いに基づき分析する方法を提供すること。
【解決手段】KIAA0319L(UniProt No.Q8IZA0)の細胞外領域ドメイン1(PKD1)およびドメイン2(PKD2)に相当する領域中の特定位置にあるアミノ酸残基を他の特定のアミノ酸残基に置換することで、前記課題を解決する。不溶性担体と当該担体に固定化したKIAA0319Lの細胞外領域ドメイン1またはドメイン2に相当するアミノ酸配列を少なくとも含むポリペプチドとを含む吸着剤に試料中に含まれるAAVを吸着させる工程と、前記吸着剤に吸着したAAVを溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、AAVの分析方法により、前記課題を解決する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該312番目から500番目までのアミノ酸残基において以下の
配列番号1の317番目のバリンがアスパラギン酸に置換
配列番号1の342番目のチロシンがセリンに置換
配列番号1の362番目のリジンがグルタミン酸に置換
配列番号1の371番目のリジンがアスパラギンに置換
配列番号1の381番目のバリンがアラニンに置換
配列番号1の382番目のイソロイシンがバリンに置換
配列番号1の390番目のグリシンがセリンに置換
配列番号1の399番目のリジンがグルタミン酸に置換
配列番号1の476番目のセリンがアルギニンに置換
配列番号1の487番目のアスパラギンがアスパラギン酸に置換
の全てのアミノ酸置換が生じており、かつ
以下の(1)から(5)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、アデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質;
(1)配列番号1の330番目のアラニンがバリンに置換
(2)配列番号1の330番目のアラニンがシステイン、フェニルアラニン、ロイシン、アルギニン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換
(3)配列番号1の331番目のチロシンがシステインに置換
(4)配列番号1の332番目のバリンがトリプトファンまたはチロシンに置換
(5)配列番号1の333番目のロイシンがシステインに置換。
続きを表示(約 3,500 文字)
【請求項2】
配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該312番目から500番目までのアミノ酸残基において以下の(1)のアミノ酸置換が少なくとも生じている、請求項1に記載のAAV結合性タンパク質;
(1)配列番号1の330番目のアラニンがバリンに置換。
【請求項3】
配列番号15から25、54から63、65、83、85、87、88ならびに90から92のいずれかに記載のアミノ酸配列のうち、25番目のセリンから213番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質。
【請求項4】
請求項2に記載のAAV結合性タンパク質にさらに以下の(I)から(CXVIII)のアミノ酸置換又はアミノ酸置換の組み合わせのいずれか1つが生じた、AAV結合性タンパク質:
(I)配列番号1の313番目のアラニンをバリンに置換
(II)配列番号1の334番目のグルタミンをロイシンに置換
(III)配列番号1の341番目のスレオニンをアラニンに置換
(IV)配列番号1の359番目のメチオニンをイソロイシンに置換
(V)配列番号1の366番目のイソロイシンをスレオニン置換
(VI)配列番号1の367番目のロイシンをバリンに置換
(VII)配列番号1の369番目のロイシンをグルタミンに置換
(VIII)配列番号1の379番目のフェニルアラニンをチロシンに置換
(IX)配列番号1の380番目のリジンをアスパラギンに置換
(X)配列番号1の394番目のバリンをアラニンに置換
(XI)配列番号1の398番目のバリンをアラニンに置換
(XII)配列番号1の404番目のリジンをアラニンに置換
(XIII)配列番号1の419番目のイソロイシンをフェニルアラニンに置換
(XIV)配列番号1の440番目のバリンをアラニンに置換
(XV)配列番号1の446番目のグルタミン酸をアスパラギン酸に置換
(XVI)配列番号1の448番目のリジンをグルタミン酸に置換
(XVII)配列番号1の453番目のグルタミン酸をリジンに置換
(XVIII)配列番号1の464番目のリジンをアスパラギンに置換
(XIX)配列番号1の464番目のリジンをグルタミン酸に置換
(XX)配列番号1の472番目のアスパラギンをチロシンに置換
(XXI)配列番号1の478番目のスレオニンをアラニンに置換
(XXII)配列番号1の480番目のバリンをアスパラギン酸に置換
(XXIII)配列番号1の318番目のグルタミンをアルギニンに置換および配列番号1の420番目のセリンをスレオニンに置換
(XXIV)配列番号1の328番目のロイシンをグルタミンに置換および配列番号1の343番目のスレオニンをプロリンに置換
(XXV)配列番号1の332番目のバリンをグルタミン酸に置換および配列番号1の412番目のバリンをイソロイシンに置換
(XXVI)配列番号1の332番目のバリンをアラニンに置換および配列番号1の473番目のチロシンをヒスチジンに置換
(XXVII)配列番号1の334番目のグルタミンをヒスチジンに置換および配列番号1の476番目のセリンをグリシンに置換
(XXVIII)配列番号1の340番目のグルタミン酸をアスパラギン酸に置換および配列番号1の369番目のロイシンをグルタミンに置換
(XXIX)配列番号1の350番目のスレオニンをアラニンに置換および配列番号1の476番目のセリンをグリシンに置換
(XXX)配列番号1の359番目のメチオニンをロイシンに置換および配列番号1の425番目のセリンをグリシンに置換
(XXXI)配列番号1の376番目のロイシンをプロリンに置換および配列番号1の488番目のセリンをスレオニンに置換
(XXXII)配列番号1の380番目のリジンをアルギニンに置換および配列番号1の389番目のヒスチジンをロイシンに置換
(XXXIII)配列番号1の382番目のイソロイシンをアスパラギン酸に置換および配列番号1の496番目のアスパラギンをチロシンに置換
(XXXIV)配列番号1の384番目のグルタミン酸をバリンに置換および配列番号1の479番目のバリンをアラニンに置換
(XXXV)配列番号1の389番目のヒスチジンをアスパラギン酸に置換および配列番号1の455番目のリジンをグルタミン酸に置換
(XXXVI)配列番号1の395番目のアスパラギンをアスパラギン酸に置換および配列番号1の430番目のグリシンをアラニンに置換
(XXXVII)配列番号1の396番目のバリンをグリシンに置換および配列番号1の411番目のイソロイシンをスレオニンに置換
(XXXVIII)配列番号1の409番目のイソロイシンをアスパラギンに置換および配列番号1の428番目のイソロイシンをバリンに置換
(XXXIX)配列番号1の416番目のフェニルアラニンをセリンに置換および配列番号1の434番目のスレオニンをアラニンに置換
(XL)配列番号1の423番目のスレオニンをアラニンに置換および配列番号1の480番目のバリンをアスパラギン酸に置換
(XLI)配列番号1の448番目のリジンをグルタミン酸に置換および配列番号1の478番目のスレオニンをアラニンに置換
(XLII)配列番号1の484番目のグリシンをセリンに置換および配列番号1の486番目のスレオニンをセリンに置換
(XLIII)配列番号1の312番目のセリンをプロリンに置換、配列番号1の329番目のアスパラギンをチロシンに置換および配列番号1の469番目のバリンをグルタミン酸に置換
(XLIV)配列番号1の315番目のグルタミン酸をグリシンに置換、配列番号1の411番目のイソロイシンをロイシンに置換および配列番号1の448番目のリジンをアスパラギンに置換
(XLV)配列番号1の324番目のアスパラギンをヒスチジンに置換、配列番号1の335番目のグルタミン酸をバリンに置換および配列番号1の464番目のリジンをグルタミン酸に置換
(XLVI)配列番号1の326番目のバリンをグルタミン酸に置換、配列番号1の403番目のアルギニンをセリンに置換および配列番号1の425番目のセリンをグリシンに置換
(XLVII)配列番号1の327番目のグルタミンをロイシンに置換、配列番号1の338番目のリジンをグルタミン酸に置換および配列番号1の451番目のロイシンをイソロイシンに置換
(XLVIII)配列番号1の328番目のロイシンをアルギニンに置換、配列番号1の360番目のグルタミン酸をアスパラギン酸に置換および配列番号1の403番目のアルギニンをヒスチジンに置換
(XLIX)配列番号1の343番目のスレオニンをアラニンに置換、配列番号1の345番目のアスパラギン酸をグリシンに置換および配列番号1の394番目のバリンをアスパラギン酸に置換
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のAAV結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項5に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項7】
請求項6に記載の発現ベクターで大腸菌を形質転換して得られる形質転換体。
【請求項8】
請求項7に記載の形質転換体を培養することによりAAV結合性タンパク質を発現させる工程と、得られた培養物から発現されたAAV結合性タンパク質を回収する工程とを含む、AAV結合性タンパク質の製造方法。
【請求項9】
不溶性担体と、当該担体に固定化した請求項1から4のいずれか一項に記載のAAV結合性タンパク質とを含む、AAV吸着剤。
【請求項10】
請求項9に記載のAAV吸着剤を含むカラム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus:AAV)に結合性を有するタンパク質及びアデノ随伴ウイルス(AAV)の分析方法に関する。より詳しくは、本発明は、AAVへの結合活性が向上した、改良AAV結合性タンパク質及び試料中に含まれるAAVを感染能の強さに基づき分析する方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
アデノ随伴ウイルス(AAV)はパルボウイルス科(Parvoviridae)、ディペンドウイルス属(Dependovirus)に分類される非エンベロープウイルスである。AAV外殻粒子は3種類のタンパク質(VP1、VP2およびVP3)で構成されており、約60のタンパク質分子がおよそVP1:VP2:VP3=1:1:10の比率で混在し集合することで、直径20nmから30nmの正二十面体の形状をしている。
【0003】
自然界でのAAVは自立性の増殖能を欠き、複製はアデノウイルスやヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスに依存する。前記ヘルパーウイルスが存在すると、AAVゲノムは宿主細胞内で複製され、AAVゲノムを含む完全なAAV粒子が形成され、宿主細胞からAAV粒子が放出される。一方、前記ヘルパーウイルスが存在しない場合、AAVゲノムはエピソームに維持された状態または宿主染色体に組込まれた状態(潜伏状態)となる。
【0004】
AAVはヒトを含む広範な種の細胞に感染可能で、血球、筋、神経細胞などの分化を終えた非分裂細胞にも感染すること、ヒトに対する病原性がないため副作用の心配が低いこと、ウイルス粒子が物理化学的に安定であること、などから、先天性遺伝子疾患の治療を目的とした遺伝子導入用のベクターとしての利用価値が注目されている。
【0005】
AAVのうち特定位置のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換することで、細胞への感染能の強さに違いが生じることが報告されている(非特許文献1)。したがって、AAVを遺伝子導入用のベクターとして用いる際は、前記感染能の強さの違いを迅速かつ簡便に分析する必要がある。
【0006】
遺伝子組換えAAVベクター(以下、単に「AAVベクター」とも表記)の製造は、通常、AAV粒子形成に必須な要素をコードする核酸を細胞に導入することで、AAVを産生する能力を有する細胞(以下、AAV産生細胞とも表記)を作製し、当該細胞を培養してAAV粒子形成に必須な要素を発現させることで行なう。製造したAAVベクターはAAV産生細胞から回収精製し、治療用AAVベクター製剤を得る。
【0007】
AAV産生細胞からAAVベクターを回収精製する方法として、不溶性担体と当該担体に固定化したAAV結合性タンパク質とを含む吸着剤を用いた、AAVとの結合親和性に基づくアフィニティークロマトグラフィによる方法があり、夾雑物質が共存したAAVベクターを含む溶液から当該ベクターを回収精製できる。具体例として、特許文献1には、KIAA0319L(UniProt No.Q8IZA0)の細胞外領域ドメイン1(PKD1)およびドメイン2(PKD2)を含み、ただしこれらドメイン中の特定位置にあるアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換することで、熱、酸およびアルカリに対する安定性が向上したポリペプチドを、不溶性担体に固定化するAAV結合性タンパク質(以下、単に「リガンドタンパク質」とも表記)として用いることで、AAVベクターの高純度な精製を実現している。
【0008】
AAVのうち特定位置のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換することで、細胞への感染能の強さに違いが生じることが報告されている(非特許文献1)。したがって、AAVを遺伝子導入用のベクターとして用いる際は、前記感染能の強さの違いを迅速かつ簡便に分析する必要がある。しかしながら、従来の分析方法は、非特許文献1でも開示しているように、培養細胞を用いた方法であり、多くの時間と労力を要した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
WO2021/106882号
【非特許文献】
【0010】
Lochrie,M.A.,et al.,Journal of virology,80(2),821,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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