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公開番号
2025021114
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-13
出願番号
2023124843
出願日
2023-07-31
発明の名称
熱伝達抑制部材及び組電池
出願人
イビデン株式会社
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
H01M
50/291 20210101AFI20250205BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】電池セル間の間隔を確保しつつ、電池セルの変形による電池ケースの破壊及び電池の性能の低下を抑制することができ、異常時において所望の断熱性を確保することができるとともに、異常発生後において部材の再利用が可能であり、環境への負荷を低減することができる熱伝達抑制部材を提供する。
【解決手段】熱伝達抑制部材140は、平面視で外周を囲む枠体53と、枠体53の内側を複数の領域に分割する仕切り壁58a、58bと、複数の領域(第1領域57a、第2領域57b、第3領域57c)に配置された複数の断熱材(第1断熱材10a、第2断熱材10b)と、を有する。平面視において、仕切り壁58a、58bの長手方向に直交する方向の幅Wsは、枠体53の長手方向に直交する方向の幅Wfよりも小さい。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
平面視で外周を囲む枠体と、
前記枠体の内側を複数の領域に分割する仕切り壁と、
前記複数の領域に配置された複数の断熱材と、を有し、
平面視において、前記仕切り壁の長手方向に直交する方向の幅は、前記枠体の長手方向に直交する方向の幅よりも小さいことを特徴とする、熱伝達抑制部材。
続きを表示(約 680 文字)
【請求項2】
前記仕切り壁は、絶縁材料を主材料とすることを特徴とする、請求項1に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項3】
前記複数の断熱材は、互いに異なる性質を有する第1断熱材と第2断熱材とを有することを特徴とする、請求項1に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項4】
前記第1断熱材の弾性率は、前記第2断熱材の弾性率よりも高いことを特徴とする、請求項3に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項5】
前記第1断熱材は、前記複数の領域のうち中央に位置する領域に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項6】
前記複数の断熱材の主面を覆うフィルムを有することを特徴とする、請求項1に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項7】
前記平面視に直交する断面視において、前記複数の断熱材のうち少なくとも1つの厚さは、前記枠体の厚さよりも薄いことを特徴とする、請求項1に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項8】
前記複数の断熱材の主面を覆うフィルムを有することを特徴とする、請求項7に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項9】
前記断熱材と前記フィルムとの間に、空隙部を有することを特徴とする、請求項8に記載の熱伝達抑制部材。
【請求項10】
前記複数の断熱材のうち少なくとも1つの断熱材における少なくとも一方の主面に、弾性材が積層されていることを特徴とする、請求項7に記載の熱伝達抑制部材。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達抑制部材及び該熱伝達抑制部材を有する組電池に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から電動モータで駆動する電気自動車又はハイブリッド車等の開発が盛んに進められている。この電気自動車又はハイブリッド車等には、駆動用電動モータの電源となるための、複数の電池セルが直列又は並列に接続された組電池が搭載されている。
【0003】
また、この電池セルには、鉛蓄電池やニッケル水素電池等に比べて、高容量かつ高出力が可能なリチウムイオン二次電池が主に用いられている。そして、電池の内部短絡や過充電等が原因で、ある電池セルが急激に昇温し、その後も発熱を継続するような熱暴走を起こした場合、熱暴走を起こした電池セルからの熱が、隣接する他の電池セルに伝播することで、他の電池セルの熱暴走を引き起こすおそれがある。また、電池セルに熱暴走が生じると、この電池の内部でガスが発生し、内圧が上昇することにより電池セルの変形を引き起こす。
【0004】
上記のような熱暴走の発生に対する対策として、例えば、特許文献1には、熱伝達抑制効果に優れ、電池セルが膨張した際にも断熱材の厚さの減少を抑制して、高い断熱性能を維持可能な熱伝達抑制シートが開示されている。上記特許文献1に記載の熱伝達抑制シートは、第1の断熱材と第2の断熱材とを含み、第1の断熱材の熱伝導率が、第2の断熱材の熱伝導率よりも低い。また、第2の断熱材の圧縮強度が、第1の断熱材の圧縮強度よりも高く、第1の断熱材が、複数の第2の断熱材により挟持される。
【0005】
また、特許文献2には、圧縮応力に対し、断熱材の構造を保持して熱伝導率の悪化を抑制した断熱材が提案されている。上記特許文献2に記載の断熱材は、繊維とシリカエアロゲルとを含む複合層と、複合層中で、厚み方向に配置された樹脂支柱と、を含むものである。
【0006】
上記特許文献1及び2に記載の熱伝達抑制シート及び断熱材は、いずれも、断熱材が圧縮されて電池セル間の空隙が狭くなることを防止するものであり、これにより、熱伝導率の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2020-187869号公報
特開2017-215014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電池セルと断熱材とが接触している領域に、圧縮強度が高い断熱材や、樹脂支柱が配置されていると、電池セルに対して反発力が発生する。電池セルの熱暴走時においては、その主面の中央領域が最も変形しやすいため、中央領域におけるセル間の間隔が断熱材により固定されていると、複数接続された電池セルの最も外側の電池セルが電池ケース側に押圧されることになる。その結果、押圧された電池セルやケースの破壊が発生することがある。また、組電池化した電池セルに対し充放電サイクルを行う場合(すなわち「通常使用時」の場合)においても、わずかに電池セルの変形が発生している。したがって、充放電の際に電池セルの内圧の上昇及び低下が繰り返されると、電池セルに対して、ケース及び断熱材による押圧及び緩和が繰り返され、電池の性能が低下する原因となる。
【0009】
なお、上述のとおり、電池セルは、最も広い外面(主面)において、端部よりも中央の方が膨張によって突出しやすい。また、一般的に、電池セルの上方には、端子や排気弁が設けられており、異常時には排気弁側が高温になりやすく、変形も生じやすいため、異常時又は電池セルが大きく変形した場合に、断熱材が破損することがある。
【0010】
上記特許文献1に記載の熱伝達抑制シート、及び特許文献2に記載の断熱材においては、異常時に断熱材が破損した場合に、破損した断熱材は破棄せざるをえず、コストが増大するとともに、環境への負荷も大きくなる。また、特許文献2に記載の断熱材は、異常時において断熱性を維持することが困難である。
(【0011】以降は省略されています)
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