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公開番号2025020455
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-12
出願番号2024202001,2022547604
出願日2024-11-20,2021-09-07
発明の名称リン酸化タウタンパク質を標的とする免疫原性組成物
出願人国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 39/00 20060101AFI20250204BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】リン酸化タウタンパク質に対する抗体を誘導する免疫原性組成物を提供すること。
【解決手段】リン酸化タウタンパク質に対する抗体産生を誘導する抗原性ペプチドとキャリアタンパク質を含む免疫原性組成物であって、抗原性ペプチドが、(1)YSpSPGpSPG(配列番号2)、(2)AKpSpTPpTAE(配列番号5)、(3)AKpSpTPTAE(配列番号31)、(4)AKpSTPpTAE(配列番号32)、(5)AKSpTPpTAE(配列番号33)または(6)IVpYKpSPV(配列番号24)を含むヒトタウタンパク質の断片である組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
リン酸化タウタンパク質に対する抗体産生を誘導する抗原性ペプチドとキャリアタンパク質を含む免疫原性組成物であって、抗原性ペプチドが、
(1)YSpSPGpSPG(配列番号2)、
(2)AKpSpTPpTAE(配列番号5)、
(3)AKpSpTPTAE(配列番号31)、
(4)AKpSTPpTAE(配列番号32)、
(5)AKSpTPpTAE(配列番号33)または
(6)IVpYKpSPV(配列番号24)
を含むヒトタウタンパク質の断片である組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸化タウタンパク質を標的とする免疫原性組成物に関するものである。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
認知症は、老化に伴う記憶力や精神機能の低下といった現象ではなく、脳の器質的障害により、病的に知能が低下した状態を指す。認知症の原因疾患としてアルツハイマー病が知られている。アルツハイマー病の病理学的特徴として老人斑と神経原線維変化(Neurofibrillary tangle:NFT)がある。老人斑はアミロイドβというペプチドが神経細胞外に沈着することで形成される。NFTはタウタンパク質(Tau protein)が凝集線維化したものである。
【0003】
タウタンパク質は中枢神経系および末梢神経系の神経細胞(ニューロン)やグリア細胞に発現しているタンパク質で、微小管結合タンパク質(Microtubule-associated protein; MAP)の一種として発見され、微小管の重合や安定化を調節している。また微小管以外にもさまざまなタンパク質と結合しており、生後の脳の成熟、軸策輸送およびそのシグナル伝達の調節、熱ストレスに対する細胞応答、成体での神経発生など、脳神経系で起こるさまざまな現象に関わっている。タウタンパク質は、アミロイドβや炎症などが引き金となり、異常にリン酸化される。その結果、微小管は脱重合化し、タウタンパク質は微小管から外れてモノマーからオリゴマーとなり、さらに凝集・線維化しNFTとなって神経細胞にダメージを与え、細胞死を引き起こす。さらに、病的なタウタンパク質は細胞外へと放出または分泌されて、他の神経細胞に取り込まれ、その細胞内で新たな凝集体を形成することが知られている。この現象は「タウタンパク質の伝播」と称される。アルツハイマー病が重症になっていくにつれてタウ凝集体も広範囲に広がることが知られている。
【0004】
タウタンパク質には多数のリン酸化部位が存在することが知られており、アルツハイマー病患者の脳において検出されるリン酸化部位、アルツハイマー病患者と健常者の両方の脳において検出されるリン酸化部位、健常者の脳において検出されるリン酸化部位に分けられることが報告されている(非特許文献1)。これまでに、リン酸化タウタンパク質に対する抗体が作製され治療実験が行われているが、高い治療効果を示す有望な抗体は見出されていない。しかし、アルツハイマー病患者の脳において検出されているリン酸化部位のすべてについて抗体が検討されておらず、治療効果の高いエピトープを見出すことにより、アルツハイマー病の進行を阻害するワクチンの開発が期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Simic G et al, Biomolecules. 2016 Jan 6;6(1):6. doi: 10.3390/biom6010006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、リン酸化タウタンパク質に対する抗体を誘導する免疫原性組成物を提供することを課題とする。さらに、本発明はアルツハイマー病患者の脳に存在する病的過剰リン酸化タウタンパク質に対する抗体を誘導する免疫原性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]リン酸化タウタンパク質に対する抗体産生を誘導する抗原性ペプチドとキャリアタンパク質を含む免疫原性組成物であって、抗原性ペプチドが、
(1)YSpSPGpSPG(配列番号2)、
(2)AKpSpTPpTAE(配列番号5)、
(3)AKpSpTPTAE(配列番号31)、
(4)AKpSTPpTAE(配列番号32)、
(5)AKSpTPpTAE(配列番号33)または
(6)IVpYKpSPV(配列番号24)
を含むヒトタウタンパク質の断片である組成物。
[2]抗原性ペプチドが少なくとも2個のリン酸化アミノ酸を含む、前記[1]に記載の組成物。
[3]抗原性ペプチドが10アミノ酸以下である、前記[1]または[2]に記載の組成物。
[4]抗原性ペプチドが(1)~(6)のいずれかのリン酸化ペプチドである、前記[1]に記載の組成物。
[5]リン酸化タウタンパク質が病的過剰リン酸化タウタンパク質である前記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]キャリアタンパク質がスカシガイヘモシアニンである、前記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]抗原性ペプチドとキャリアタンパク質とのコンジュゲートを含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]さらにアジュバントを含む、前記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]タウオパチーの治療用である、前記[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]タウオパチーがアルツハイマー病である、前記[9]に記載の組成物。
[11]前記[1]~[8]のいずれかに記載の組成物を含む、タウオパチー治療用ワクチン。
[12]タウオパチーがアルツハイマー病である、前記[11]に記載のワクチン。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、アルツハイマー病患者の脳に存在するリン酸化タウタンパク質に対する抗体を誘導する免疫原性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
30種類のリン酸化タウエピトープ候補の一次スクリーニングの結果を示す図であり、各リン酸化タウエピトープ候補とAJペプチドのコンジュゲートをマウスに投与し、ピトープ候補に対する抗体価を測定した結果を示す図である。
一次スクリーニングで選択した11種類のリン酸化タウエピトープ候補の二次スクリーニングの結果を示す図であり、各リン酸化タウエピトープ候補とスカシガイヘモシアニン(KLH)のコンジュゲートをマウスに投与し、ピトープ候補に対する抗体価を測定した結果を示す図である。
二次スクリーニングで選択した8種類のリン酸化タウエピトープ候補の三次スクリーニングの結果を示す図であり、各リン酸化タウエピトープ候補とKLHのコンジュゲートをマウスに投与し、誘導された抗体が野生型マウスの脳抽出物中のタウタンパク質を認識せず、タウオパチーモデルマウスであるPS19 Tgマウスの脳抽出物中の過リン酸化タウタンパク質を認識するかどうかをウエスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。
三次スクリーニングで選択した3種類のリン酸化タウエピトープ候補とKLHのコンジュゲートをウサギに投与し、誘導された抗体がPS19 Tgマウスの脳抽出物中の凝集活性を有する過リン酸化タウタンパク質と結合するか否かを検討した結果を示す図である。
実施例3の実験プロトコールを示す図である。
リン酸化タウエピトープYAV-5のKLHコンジュゲートを投与したPS19 Tgマウスおよび野生型マウスの血清中和抗体価の推移を示す図である。
リン酸化タウエピトープYAV-5のKLHコンジュゲートを投与したPS19 Tgマウスの血清中和抗体価と脳脊髄液中和抗体価の関連性を示す図である。
リン酸化タウエピトープYAV-5のKLHコンジュゲートを投与したPS19 TgマウスのPBS可溶性脳抽出物のシーディング活性を測定した結果を示す図であり、(A)はタウバイオセンサー細胞における細胞内タウ凝集体の代表的な画像、(B)は細胞数(DAPI陽性細胞数)で正規化した細胞内タウ凝集体の数を示すグラフである。
リン酸化タウエピトープYAV-5のKLHコンジュゲートを投与したPS19 Tgマウスの脳の不溶性画分に含まれるタウ凝集体を測定した結果を示す図である。
リン酸化タウエピトープYAV-5のKLHコンジュゲートを投与したPS19 Tgマウスの脳のNFT様病変を観察した結果を示す図であり、(A)は抗AT8抗体で脳の組織切片を免疫染色した代表的な画像、(B)は海馬領域のAT8陽性細胞数をカウントした結果を示す図である。
リン酸化タウエピトープYAV-5のKLHコンジュゲートを投与したPS19 Tgマウスの脳脊髄液のタウ濃度を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、リン酸化タウタンパク質に対する抗体産生を誘導する抗原性ペプチドとキャリアタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。本発明の免疫原性組成物に含まれる抗原性ペプチドは、以下(1)~(6)のリン酸化ペプチドを含むヒトタウタンパク質の断片であればよい。
(1)YSpSPGpSPG(配列番号2)
(2)AKpSpTPpTAE(配列番号5)
(3)AKpSpTPTAE(配列番号31)
(4)AKpSTPpTAE(配列番号32)
(5)AKSpTPpTAE(配列番号33)
(6)IVpYKpSPV(配列番号24)
(【0011】以降は省略されています)

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