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公開番号
2025016525
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-04
出願番号
2024180795,2023015526
出願日
2024-10-16,2017-12-22
発明の名称
RAF(急速進行性線維肉腫)ポリペプチドの標的分解のための化合物および方法
出願人
アルビナス・オペレーションズ・インコーポレイテッド
,
ARVINAS OPERATIONS, INC.
,
エール・ユニバーシティ
,
YALE UNIVERSITY
代理人
弁理士法人深見特許事務所
主分類
C07D
401/14 20060101AFI20250128BHJP(有機化学)
要約
【課題】RAF(急速進行性線維肉腫(Rapidly Accelerated Fibrosarcoma)、c-RAF、A-RAFおよび/またはB-RAFなど;標的タンパク質)の調節因子としての有用性を見出す二官能性化合物を提供する。
【解決手段】本開示は、標的タンパク質の分解(および阻害)をもたらすために標的タンパク質がユビキチンリガーゼに近接して配置されるように、一方の末端にフォンヒッペル-リンドウ、セレブロン、アポトーシス阻害タンパク質またはそれぞれのE3ユビキチンリガーゼに結合されるMDM2(mouse double-minute homolog 2)リガンドを含有し、他方の末端に標的タンパク質RAFを結合する部分を含む二官能性化合物を対象とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
化学構造:
ULM-L-PTM
を有する二官能性化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、多形体もしくはプロドラッグであって、
式中、
前記ULMは、E3ユビキチンリガーゼに結合する低分子E3ユビキチンリガーゼ結合部分であり、
前記PTMは、RAF(rapidly accelerated fibrosarcoma)タンパク質標的化部分を含む低分子であり、
前記Lは、ULMとPTMとを結合する結合部分または化学結合部分である、二官能性
化合物。
続きを表示(約 7,600 文字)
【請求項2】
前記E3ユビキチンリガーゼ結合部分が、フォンヒッペル-リンドウ(VLM)、セレブロン(CLM)、MDM2(mouse double-minute homolog2)(MLM)、およびIAP(ILM)から成る群から選択されるE3ユビキチンリガーゼを標的とする、請求項1に記載の二官能性化合物。
【請求項3】
前記PTMが化学構造PTM-IaまたはPTM-Ibによって表され、
TIFF
2025016525000957.tif
75
117
TIFF
2025016525000958.tif
63
114
式中、
二重破線の結合は芳香族結合であり、
V
PTM
、W
PTM
、X
PTM
、Y
PTM
、Z
PTM
は、以下の組み合わせ:C、CH、N、N、C;C、N、N、CH、C;C、O、C、CH、C;C、S、C、CH、C;C、CH、C、O、C;C、CH、C、S、C;C、CH、N、CH、C;N、CH、C、CH、C;C、CH、C、CH、N;N、N、C、CH、C;N、CH、C、N、C;C、CH、C、N、N;C、N、C、CH、N;C、N、C、N、C;およびC、N、N、N、Cのうちの1つであり、
X
PTM35
、X
PTM36
、X
PTM37
、およびX
PTM38
は、CHおよびNから独立して選択され、
R
PTM1
は、ULM、化学リンカー基(L)、CLM、ILM、VLM、MLM、ULM’、CLM’、ILM’、VLM’、MLM’、またはその組み合わせに共有結合され、
R
PTM2
は、水素、ハロゲン、アリール、メチル、エチル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、かつM2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)であり、
R
PTM3
は、不在、水素、アリール、メチル、エチル、その他のアルキル、環状アルキル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、かつM2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)であり、
R
PTM4
は、水素、ハロゲン、アリール、メチル、エチル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、かつM2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)であり、
R
PTM5
は、
TIFF
2025016525000959.tif
120
155
から成る群から選択される、請求項1または2に記載の二官能性化合物。
【請求項4】
前記PTMが化学構造PTM-IIaまたはPTM-IIbによって表され、
TIFF
2025016525000960.tif
70
143
TIFF
2025016525000961.tif
68
129
式中、
X
PTM1
、X
PTM2
、X
PTM3
、X
PTM4
、X
PTM5
、およびX
PTM6
はCHまたはNから独立して選択され、
R
PTM5
は、H、任意で置換されるアミド(例えば、アルキル基、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基で任意で置換される)、任意で置換されるアミン、
TIFF
2025016525000962.tif
25
114
、
-NHC(O)R
PTM5
から成る群から選択され、
R
PTM5
は、
TIFF
2025016525000963.tif
120
155
から成る群から選択され、
R
PTM6a
およびR
PTM6b
はそれぞれ水素、ハロゲン、またはC
1
-C
6
アルキル(直鎖、分枝鎖、任意で置換される)から独立して選択され、
R
PTM6
は、不在、水素、ハロゲン、アリール、メチル、エチル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、M2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)の群のうちいずれかであり、
R
PTM7
は、不在、水素、ハロゲン、アリール、メチル、エチル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、M2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)であり、
R
PTM8
、R
PTM9
またはR
PTM10
は、不在、水素、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、複素環、メチル、エチル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、M2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)から成る群から独立して選択され、
R
PTM11
は、不在、水素、ハロゲン、メチル、エチル、OCH
3
、NHCH
3
【請求項5】
R
PTM9
が前記共有結合位置であるとき、R
PTM7
およびR
PTM8
は、R
PTM7
およびR
PTM8
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、または
R
PTM8
が共有結合位置であるとき、R
PTM9
およびR
PTM10
は、R
PTM9
およびR
PTM10
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、または
RPTM10が共有結合位置であるとき、RPTM8およびRPTM9は、RPTM8およびRPTM9が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、請求項4に記載の二官能性化合物。
【請求項6】
前記PTMが化学構造PTM-IIIによって表され、
TIFF
2025016525000964.tif
73
159
式中、
X
PTM7
、X
PTM8
、X
PTM9
、X
PTM10
、X
PTM11
、X
PTM12
、X
PTM13
、X
PTM14
、X
PTM15
、X
PTM16
、X
PTM17
、X
PTM18
、X
PTM19
、X
PTM20
は、独立してCHまたはNであり、
R
PTM12
、R
PTM13
、R
PTM14
、R
PTM15
、R
PTM16
、R
PTM17
、R
PTM18
、R
PTM19
は、不在、水素、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環、メチル、エチル、その他のアルキル、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、M2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)から成る群から独立して選択され、
R
PTM20
は、4つ未満の非水素原子を含有する小さな基であり、
R
PTM21
は、トリフルオロメチル、クロロ、ブロモ、フルオロ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ブチル、iso-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、OCH
3
、NHCH
3
、ジメチルアミノまたはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OまたはNHであり、M2は水素、アルキル、環状アルキル、アリールまたは複素環である)から成る群から選択され、
R
PTM12
、R
PTM13
およびR
PTM16
のうち少なくとも1つは、ULM、化学リンカー基(L)、CLM、ILM、VLM、MLM、ULM’、CLM’、ILM’、VLM’、MLM’、またはその組み合わせに共有結合されるように修飾される、請求項1または2に記載の二官能性化合物。
【請求項7】
R
PTM12
が共有結合位置であるとき、R
PTM13
およびR
PTM14
は、R
PTM13
およびR
PTM14
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、かつ/もしくはR
PTM15
およびR
PTM16
は、R
PTM15
およびR
PTM16
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、
R
PTM13
が共有結合位置であるとき、R
PTM12
およびR
PTM16
は、R
PTM12
およびR
PTM16
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、かつ/もしくはR
PTM15
およびR
PTM16
は、R
PTM15
およびR
PTM16
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、または
R
PTM16
が共有結合位置であるとき、R
PTM12
およびR
PTM13
は、R
PTM12
およびR
PTM13
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、および/もしくはR
PTM13
およびR
PTM14
は、R
PTM13
およびR
PTM14
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記PTMが化学構造PTM-IVaまたはPTM-IVbによって表され、
TIFF
2025016525000965.tif
106
139
TIFF
2025016525000966.tif
106
126
式中、
X
PTM21
、X
PTM22
、X
PTM23
、X
PTM24
、X
PTM25
、X
PTM26
、X
PTM27
、X
PTM28
、X
PTM29
、X
PTM30
、X
PTM31
、X
PTM32
、X
PTM33
、X
PTM34
は、独立してCHまたはNであり、
R
PTM22
は、
TIFF
2025016525000967.tif
120
155
から成る群から選択され、
R
PTM25a
およびR
PTM25b
は、それぞれ水素、ハロゲン、またはC
1
-C
6
アルキル(直鎖、分枝鎖、任意で置換される)から独立して選択され、
R
PTM23
、R
PTM24
、R
PTM28
、R
PTM29
、R
PTM30
、R
PTM31
、R
PTM32
は、不在、結合、水素、ハロゲン、アリール(任意で置換される)、ヘテロアリール(任意で置換される)、シクロアルキル(任意で置換される)、複素環(任意で置換される)、メチル、エチル(任意で置換される)、その他のアルキル(直鎖、分枝鎖、任意で置換される)、OCH
3
、NHCH
3
またはM1-CH
2
-CH
2
-M2(式中、M1はCH
2
、OおよびNHであり、M2は水素、アルキル(直鎖、分枝鎖、任意で置換される)、環状アルキル(任意で置換される)、アリール(任意で置換される)または複素環(任意で置換される))から成る群から独立して選択され、
R
PTM25
は不在、水素、ハロゲン、C
1
-C
6
アルキル(直鎖、分枝鎖、任意で置換される)、OCH
3
、NHCH
3
またはSCH
3
から選択され、
R
PTM26
は不在、水素、ハロゲン、C
1
-C
6
アルキル(直鎖、分枝鎖、任意で置換される)、OCH3、NHCH
【請求項9】
R
PTM24
が前記共有結合位置であるとき、R
PTM31
およびR
PTM32
は、R
PTM31
およびR
PTM32
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、またはR
PTM29
およびR
PTM30
は、R
PTM29
およびR
PTM30
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に
共有結合を介して結合され、または
R
PTM29
が共有結合位置であるとき、R
PTM24
およびR
PTM32
は、R
PTM24
およびR
PTM32
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、および/またはR
PTM31
およびR
PTM32
は、R
PTM31
およびR
PTM32
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、または
R
PTM32
が共有結合位置であるとき、R
PTM24
およびR
PTM29
は、R
PTM24
およびR
PTM29
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合され、および/またはR
PTM29
およびR
PTM30
は、R
PTM29
およびR
PTM30
が付着する環を有する二環式基を形成するようなやり方で、共に共有結合を介して結合される、請求項8に記載の二官能性化合物。
【請求項10】
前記PTMが、PTM-1、PTM-2、PTM-3、PTM-4、PTM-5、PTM-6、PTM-7、およびPTM-8:
TIFF
2025016525000968.tif
190
156
TIFF
2025016525000969.tif
48
137
から成る群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の二官能性化合物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2016年12月23日に出願された米国仮出願第62/438,803号、および2017年11月7日に出願された米国仮出願第62/582,698号に対する優先権を主張するものであり、どちらも参照により本その全体が明細書に組み込まれる。
参照による組み込み
2016年8月5日に出願された米国特許出願第15/230,354号と、2016年7月11日に出願された米国特許出願第15/206,497号と、2016年7月13日に出願された米国特許出願第15/209,648号と、2016年10月11日に出願された米国特許出願第62/406,888号と、2015年4月14日に出願され、米国特許出願公開第2015/0291562号として公開された米国特許出願第14/686,640号と、2015年7月6日に出願され、米国特許出願公開第2016/0058872号として公開された米国特許出願第14/792,414号と、2014年7月11日に出願され、米国特許出願公開第2014/0356322号として公開された米国特許出願第14/371,956号と、2016年3月18日に出願され、米国特許出願公開第2016/0272639号として公開された米国特許出願第15/074,820号と、は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に引用されるすべての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所により発行された助成金番号NIH R35CA197589に基づく政府支援のもとなされたものである。政府は本発明において特定の権利を有する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【0002】
本明細書は、標的タンパク質結合部分およびE3ユビキチンリガーゼ結合部分を含む二
官能性化合物および関連する使用方法を提供する。当該二官能性化合物は、標的ユビキチン化の調節因子として有用であり、特に、本開示による二官能性化合物によって分解および/または別手段により阻害されるRAF(Rapidly Accelerated Fibrosarcoma)タンパク質に関して有用である。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの低分子薬剤は、酵素または受容体に密接に、および明確に定められたポケットにおいて結合する。一方で低分子化合物を使用してタンパク質-タンパク質相互作用を標的とすることは困難であることが良く知られており、その理由は、タンパク質の接触表面が大きいこと、および関与するのが浅い溝状または平坦なインターフェースであるためである。E3ユビキチンリガーゼ(そのうちの数百がヒトにおいて公知である)は、ユビキチン化に基質特異性を与える。ゆえに、特定のタンパク質基質に対する特異性があり、汎用的なプロテアソームの阻害剤よりもさらに魅力的な治療標的である。E3リガーゼのリガンドの開発は、タンパク質-タンパク質相互作用を破壊せざるを得ないという事実があるために部分的には困難であることが判明している。しかしながら近年の開発により、これらのリガーゼに結合する特定のリガンドが提供された。例えば、最初の低分子E3リガーゼ阻害剤であるナトリンの発見以来、E3リガーゼを標的とするさらなる化合物が報告されているが、未だこの分野は未開発である部分が多い。例えば、最初の低分子E3リガーゼであるMDM2(mouse double minute 2 homolog)阻害剤であるナトリンの発見以来、MDM2(すなわち、human double minute 2(HDM2))E3リガーゼを標的とするさらなる化合物が報告されている(J.Di,et al.Current Cancer Drug Targets(2011),11(8),987-994)。
【0004】
腫瘍抑制遺伝子のp53は、DNA損傷またはストレスに応じた細胞増殖の停止およびアポトーシスに重要な役割を果たしており(A.Vazquez,et al.Nat.Rev.Drug.Dis.(2008),7,979-982)、p53の不活化が腫瘍細胞生存の重要な経路の1つとして提唱されている(A.J.Levine,et al.Nature(2000),408,307-310)。癌患者においてp53の突然変異が約50%で発見されており(M.Hollstein,et al.Science(1991),233,49-53)、一方で野生型のp53を有する患者は、p53とMDM2とのタンパク質-タンパク質相互作用を通した、MDM2によるp53の下方制御が多く発見されている(P.Chene,et al.Nat.Rev.Cancer(2003),3,102-109)。発癌性ストレスシグナルが無い正常な細胞の状態では、MDM2はp53を低濃度で保持している。DNA損傷や細胞ストレスに応じてp53のレベルは上昇し、さらにp53/MDM2のオート制御システムからのフィードバックループにより、MDM2の上昇も生じる。言い換えれば、p53は転写レベルでMDM2を制御し、MDM2はその活性レベルでp53を制御する(A.J.Levine,et al.Genes Dev.(1993)7,1126-1132)。
【0005】
幾つかの機序により、MDM2によるp53の下方制御を説明することができる。まず最初にMDM2はp53のN末端ドメインに結合し、p53応答性遺伝子の発現を阻害する(J.Momand,et al.Cell(1992),69,1237-1245)。次いでMDM2はp53を核から細胞質へと往復させ、タンパク溶解性の分解を促進する(J.Roth,et al.EMBO J.(1998),17,554-564)。最後にMDM2は、内在的なE3リガーゼ活性を有しており、p53にユビキチンを結合させ、ユビキチン依存性26sプロテアソーム系(UPS)を通して分解させる(Y.Haupt,et al.Nature(1997)387,296-299)。MDM2はE3リガーゼとして機能することから、MDM2を疾患原因となるタンパク質へとリクルートさせ、そのユビキチン化と分解の活性を発揮させることは、非常に興味深い薬
剤開発手法である。
【0006】
魅力的な治療可能性のあるE3リガーゼの1つが、フォンヒッペル-リンドウ(von
Hippel-Lindau(VHL))腫瘍抑制因子であり、これはE3リガーゼ複合体VCBの基質認識サブユニットであり、この複合体はさらにエロンギン(elongin)BおよびC、Cul2ならびにRbx1から成る。VHLの主な基質は、低酸素誘導因子1α(HIF-1α)であり、これは低酸素レベルに対応して、血管新生成長因子のVEGF、および赤血球誘導型サイトカインのエリスロポエチンなどの遺伝子を上方制御する転写因子である。E3リガーゼの基質認識サブユニットに対するフォンヒッペル-リンドウ(VHL)の最初の低分子リガンドが作製され、結晶構造が取得され、この化合物がVHLの主要基質である転写因子HIF-1αの結合様式を模倣することが確認された。
【0007】
セレブロンは、ヒトにおいてCRBN遺伝子によりコードされるタンパク質である。CRBNのオルソログは、植物からヒトまで高度に保存されており、このことはその生理学的な重要性を明確に示すものである。セレブロンは、損傷を受けたDNA結合タンパク質1(DDB1)、カリン(Cullin)-4A(CUL4A)、およびカリン1(Cullins1)調節因子(ROC1)とのE3ユビキチンリガーゼ複合体を形成する。この複合体は多数の他のタンパク質をユビキチン化する。完全には解明されていない機序を介して、標的タンパク質のセレブロンユビキチン化は、線維芽細胞成長因子8(FGF8)および線維芽細胞成長因子10(FGF10)のレベル増加をもたらす。FGF8は次に、例えば四肢および耳胞の形成などの多数の開発プロセスを制御する。胚においてこのユビキチンリガーゼ複合体は四肢成長に重要であると最終的に結論づけられている。セレブロンが不在の状況下において、DDB1はDDB2と複合体を形成し、DNA損傷結合タンパク質として機能する。
【0008】
アポトーシス阻害タンパク質(IAP:Inhibitor of Apoptosis Proteins)はアポトーシスの抑制、すなわち細胞死に関与するタンパク質ファミリーである。ヒトのIAPファミリーには8つの構成因子が含まれ、多くの他の生命体もIAPホモログを含有する。IAPはE3リガーゼ特異的ドメインとバキュロウイルスIAPリピート(BIR:baculoviral IAP repeat)ドメインを含有し、これらが基質を認識し、そのユビキチン化を促進する。IAPはユビキチン化を促進し、そしてカスパーゼに直接結合し、これを阻害することができる。カスパーゼは、アポトーシスを実行するプロテアーゼである(例えば、カスパーゼ-3、カスパーゼ-7、およびカスパーゼ-9)。ゆえに、カスパーゼの結合を通して、IAPは細胞死を阻害する。しかしアポトーシス促進性の刺激はミトコンドリアタンパク質のDIABLO(second mitrochondria-derived activator of caspases、またはSMACとしても知られる)およびHTRA2(Omiとしても知られる)の放出を生じさせる。DIABLOとHTRA2の結合は、IAP活性を阻害すると考えられている。
【0009】
SMACは、XIAP、c-IAP1、c-IAP2、NIL-IAP、Bruce、およびサバイビンを含む本質的にすべての公知のIAPと相互作用する。成熟型SMACの最初の4つのアミノ酸(AVPI)がIAPの一部分に結合する。これがIAPの抗アポトーシス効果の阻害に必須であると考えられている。
【0010】
米国特許出願公開第2015-0291562号および同第2014-0356322号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの二官能性化合物が内因性タンパク質をE3ユビキチンリガーゼへとリクルートし、分解するように機能する。特に当該特許公開は、二官能性またはタンパク溶解性の標的化キメラ(PROTAC:pr
oteolysis targeting chimeric)化合物を記載しており、当該化合物は様々なポリペプチドおよび他のタンパク質の標的ユビキチン化の調節因子としての有用性が見いだされ、それらは当該二官能性化合物によって分解および/または別手段により阻害される。
(【0011】以降は省略されています)
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