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公開番号2025013156
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2024065839
出願日2024-04-16
発明の名称自発重合が抑制されたスチレンスルホン酸アンモニウムの極性有機溶媒溶液、及び当該溶液を用いたスチレンスルホン酸アンモニウム共重合体の製造方法
出願人東ソー・ファインケム株式会社
代理人個人
主分類C08F 2/42 20060101AFI20250117BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】水分と低濃度の重合禁止剤によって自発重合が抑制されたスチレンスルホン酸アンモニウムの極性有機溶媒溶液、並びに該溶液を用いたスチレンスルホン酸アンモニウム共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】スチレンスルホン酸アンモニウムに対して300.0モル%以下の水分、20.0モル%以下の脂肪族アミン及び0.500モル%以下の有機系重合禁止剤を含む、自発重合が抑制されたスチレンスルホン酸アンモニウムの極性有機溶媒溶液、及びこれを用いた極性有機溶媒中でのスチレンスルホン酸アンモニウムの自発重合を抑制する方法を用いる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
スチレンスルホン酸アンモニウムと、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して300.0モル%以下の水分と、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して20モル%以下の脂肪族アミンと、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して0.500モル%以下の有機系重合禁止剤と、
を含む、自発重合が抑制されたスチレンスルホン酸アンモニウムの極性有機溶媒溶液。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
スチレンスルホン酸アンモニウムと、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して100.0モル%~300.0モル%の水分と、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して20.0モル%以下の脂肪族アミンと、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して0.0020モル%~0.500モル%の有機系重合禁止剤と、
を含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
スチレンスルホン酸アンモニウムと、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して300.0モル%以下の水分と、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して1.0モル%~20.0モル%の脂肪族アミンと、
スチレンスルホン酸アンモニウムに対して0.500モル%以下の有機系重合禁止剤と、
を含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
スチレンスルホン酸アンモニウムの含有量が、溶液全量に対して20.0重量%~45.0重量%である、請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
自発重合によるポリマーの含量が0.5重量%以下である、請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
前記極性有機溶媒の下記ハンセン溶解度パラメータ(a)~(c)が下記の範囲である、請求項1に記載の溶液。
(a)分散項δ

=16.5~18.5MPa
1/2
(b)分極項δ

=11.5~16.5MPa
1/2
(c)水素結合項δ

= 7.0~12.5MPa
1/2
【請求項7】
前記極性有機溶媒が、N-メチルピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンからなる群から選ばれる1以上の有機溶媒を80重量%以上含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項8】
前記有機系重合禁止剤が、フェノール系重合禁止剤及び/又は安定ニトロキシル系重合禁止剤である、請求項1に記載の溶液。
【請求項9】
前記脂肪族アミンが、炭素数8以下の脂肪族アミンである、請求項1に記載の溶液。
【請求項10】
前記有機系重合禁止剤が、2-メトキシフェノール、3-メトキシフェノール、4-メトキシフェノール、4-エトキシフェノール、4-シアノフェノール、4-ブトキシフェノール、3-エトキシフェノール、2,5-ジメトキシフェノール、2,6-ジメトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-tert-ブチルカテコール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2-メトキシハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-(2-ヒドロキシプロポキシ-3-(2-ヒドロキシエトキシ))-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オール、及び4-(3-ヒドロキシプロポキシ-2-(2-ヒドロキシエトキシ))-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オールからなる群から選ばれる1以上の重合禁止剤である、請求項1に記載の溶液。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度の重合禁止剤を含むことなく、効率的に自発重合が抑制されたスチレンスルホン酸アンモニウムの極性有機溶媒溶液、及び当該溶液を用いたスチレンスルホン酸アンモニウム共重合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
スチレンスルホン酸塩は、界面活性を有する強電解質型の水溶性モノマーであり、耐熱性とラジカル重合性に優れることから、乳化重合用の反応性乳化剤として使用される他、水系分散剤、水系洗浄剤、及び導電性ポリマーのドーパント等を製造するための原料として古くから使用されている。工業的に広く使用されているのはスチレンスルホン酸ナトリウム(以下、NaSSと略記する)だが、有機溶媒への溶解性に乏しく、且つアルカリ金属を含むため用途に制限があった。
【0003】
そこで、有機溶媒への溶解性が高いスチレンスルホン酸リチウム(以下、LiSSと略記する)が開発された。LiSSは、アルカリ金属塩でありながらN-メチルピロリドンなどの極性有機溶媒に高濃度で溶解し、油溶性の架橋性ビニルモノマーであるジビニルベンゼン等を加えて共重合することが出来るため、カチオン交換膜の簡便な製造方法として実用化されている(例えば、特許文献1及び2)。しかしながら、アルカリ金属を含むため、依然、用途に制限があり、さらに、近年のリチウム二次電池の需要拡大に伴う原料価格高騰の課題があった。
【0004】
上記背景から、アルカリ金属を含まず、且つ極性有機溶媒に可溶なスチレンスルホン酸アンモニウム(以下、AmSSと略記する)が古くから注目されていたが(例えば、非特許文献1)、製造方法や保存安定性に大きな課題があり、工業化に至らなかった。そこで、本発明者らがAmSSの製造方法と性質について研究を続けた結果、良好な保存安定性を有するAmSSの簡便な製造方法を見出した。
【0005】
AmSSはカラーフィルター用顔料分散剤の原料(例えば、特許文献3)、光学材料用ハードコート剤の原料(例えば、特許文献4)など、金属分が嫌われる電子材料用途の他、高価なLiSSの代替としての利用が期待されている。当該用途では、AmSSなどの酸性基含有ビニルモノマーとスチレン類、メタクリル酸エステル類などの油溶性ビニルモノマーをグリコールエーテル類、エステル類、N-メチルピロリドンなどの極性有機溶媒に均一溶解し、共重合することによってAmSS共重合体が製造される。
この際、AmSSにはアルカリ金属塩、アンモニウム塩あるいはAmSSの重合物など、極性有機溶媒に不溶な原料由来の不純物が含まれることがあるため、AmSSを極性有機溶媒に溶解した後、通常、当該溶液を濾過してから共重合に使用される。しかし、重合工程より前の工程、即ち重合開始剤を添加する前の工程において、AmSS由来の数十ppmを超える有機系重合禁止剤が存在するにも関わらず、AmSSが自発重合する課題があり、対策が強く求められていた。
【0006】
また、AmSSは殆ど市場に流通していなかったため、極性有機溶媒中でのAmSSと油溶性ビニルモノマーの共重合に関する報告例は殆どなかった。本発明者らが極性有機溶媒中でAmSSの(共)重合を検討した結果、AmSSはN-メチルピロリドンなどの極性有機溶媒に対してLiSSと同等の溶解性を示すが、該溶媒中でAmSSを単独重合、又はAmSSとスチレン類を共重合すると、重合初期の段階でポリマーが析出し、LiSSのようには(共)重合できないことが判明した。そこで、極性有機溶媒中、可能な限り高濃度でAmSSと油溶性ビニルモノマーを共重合できる方法が強く求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許第6221248号明細書
特許第7386705号公報
特許第5924282号公報
特開2016-79363号公報
【非特許文献】
【0008】
東洋曹達研究報告、第24巻、第1号、1980年、3~11頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記背景と課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、共重合反応性、共重合体の分子量、及びこれらの再現性など、ポリマー製造工程に悪影響を及ぼさない範囲で自発重合が抑制されたスチレンスルホン酸アンモニウムの極性有機溶媒溶液、及び当該溶液を用いたスチレンスルホン酸アンモニウム共重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らがスチレンスルホン酸アンモニウム(以下、AmSSと略記する)の物性を詳しく調べた結果、スチレンスルホン酸ナトリウム(以下、NaSSと略記する)やスチレンスルホン酸リチウム(以下、LiSSと略記する)と同様、水溶液中では安定で自発重合し難いが、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなど、特に塩基性の極性有機溶媒中では極めて意図せず、自発的に重合(自発重合、無触媒重合とも呼称される)し易いこと、さらに自発重合はラジカル機構で進行し、空気又は窒素などの不活性ガス何れの雰囲気下でも、遮光下でも自発重合することが判明した。また、AmSSはN-メチルピロリドン等の極性有機溶媒に対して、LiSSと同等の溶解性を示すが、当該溶媒中でAmSSを重合、又はAmSSと油溶性モノマーを共重合すると、ポリマーが析出して目的物が得られないことが判明した。
なお本明細書では上記した自発的に重合することを「自発重合」(青木修三,「総説 ミセルを反応場とする自発重合」,有機合成協会誌,第53巻,第5号(1995))を参照されたい。)あるいは「無触媒重合」(小川ら、「エチレンスルホン酸ナトリウムの無触媒重合」高分子論文集,Vol.74,No.2,pp.134-138(Mar.,2017)を参照されたい。)を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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