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公開番号2025012689
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115724
出願日2023-07-14
発明の名称ニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C22B 23/00 20060101AFI20250117BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】凝集剤の使用量を増加させずに安定してニッケル(Ni)酸化鉱石スラリーの沈降濃縮処理を可能とするNi酸化鉱石スラリーの製造方法を提供する。
【解決手段】高圧酸浸出法によるNiの湿式製錬方法の原料に用いるNi酸化鉱石スラリーの製造方法であって、Ni酸化鉱石を所定の粒度に揃える粉砕・分級工程と、得られたNi酸化鉱石粒子に水を混合してNi酸化鉱石スラリーを調製するスラリー化工程と、得られたNi酸化鉱石スラリーを固液分離させてNi酸化鉱石スラリーを沈降濃縮するNi酸化鉱石スラリーの濃縮工程と、を有するNi酸化鉱石スラリーの製造方法において、固液分離させるNi酸化鉱石スラリー中のNi酸化鉱石のゼータ電位を±30mVの範囲内に調整して、Ni酸化鉱石スラリーを沈降濃縮することを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
高圧酸浸出法によるニッケルの湿式製錬方法の原料に用いるニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法であって、
上記ニッケル酸化鉱石を所定の粒度に揃える粉砕・分級工程と、
粉砕・分級工程で得られたニッケル酸化鉱石粒子に水を混合してニッケル酸化鉱石スラリーを調製するスラリー化工程と、
スラリー化工程で得られたニッケル酸化鉱石スラリーを固液分離させて該ニッケル酸化鉱石スラリーを沈降濃縮するニッケル酸化鉱石スラリーの濃縮工程と、
を有するニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法において、
固液分離させる上記ニッケル酸化鉱石スラリー中のニッケル酸化鉱石のゼータ電位を±３０ｍＶの範囲内に調整して、該ニッケル酸化鉱石スラリーを沈降濃縮することを特徴とするニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
続きを表示（約 530 文字）【請求項２】
正電荷を帯びる正電荷ニッケル酸化鉱石粒子、および、負電荷を帯びる負電荷ニッケル酸化鉱石粒子をそれぞれブレンドして、上記ニッケル酸化鉱石スラリー中のニッケル酸化鉱石のゼータ電位を±３０ｍＶの範囲内に調整することを特徴とする請求項１に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
【請求項３】
上記正電荷ニッケル酸化鉱石粒子、および、負電荷ニッケル酸化鉱石粒子の一方を粒径１．４ｍｍ以上のニッケル酸化鉱石粒子で構成し、他方を粒径１．４ｍｍ未満のニッケル酸化鉱石粒子で構成することを特徴とする請求項２に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
【請求項４】
固液分離させる上記ニッケル酸化鉱石スラリーのｐＨを調整して、ニッケル酸化鉱石スラリー中のニッケル酸化鉱石のゼータ電位を±３０ｍＶの範囲内に調整することを特徴とする請求項１に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
【請求項５】
アルカリ若しくは酸が添加された水を上記スラリー化工程のニッケル酸化鉱石粒子に混合して、固液分離させる上記ニッケル酸化鉱石スラリーのｐＨを調整することを特徴とする請求項４に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、高圧酸浸出法によるニッケルの湿式製錬方法の原料に用いるニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法に係り、特に、凝集剤の使用量を増加させずに安定してニッケル酸化鉱石スラリーの沈降濃縮処理を可能とするニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法に関する。
続きを表示（約 2,000 文字）【背景技術】
【０００２】
低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する方法として、高圧酸浸出（ＨｉｇｈＰｒｅｓｓｕｒｅＡｃｉｄＬｅａｃｈ：ＨＰＡＬ）法を用いた湿式製錬方法が知られている。この湿式製錬方法では、高圧酸浸出工程に送られて処理される鉱石は、ニッケルを浸出しやすいように、予め解砕機や湿式篩を使用して所定の大きさ以下に破砕および分級され、次いで水や工程水等を加えてスラリー化された、いわゆる鉱石スラリーが用いられている。
【０００３】
そして、この鉱石スラリーは、高圧酸浸出工程における酸消費量、得られる浸出液のニッケル濃度、および、その他の不純物濃度が所定の割合となるように、数種類の酸化ニッケル鉱石をブレンドして作られることが多い。
【０００４】
また、鉱石スラリーでは、鉱石スラリーを構成する鉱石スラリー中の固形分（鉱石固体分）の重量割合（以下「Ｓｏｌｉｄ％」と称する）が高い（または「大きい」とも称す）方が高圧酸浸出工程での単位時間当たりのニッケル通過量が増加することになり、相応して設備がコンパクトで済むことから投資や運転コストを低減でき、ニッケル回収効率も高くなる等好ましい。
【０００５】
このような鉱石スラリーから固液分離して（すなわち、鉱石スラリーを沈降濃縮処理して）高いＳｏｌｉｄ％を得ようとする場合、鉱石スラリー中における固形分の沈降速度ができるだけ大きい（または「速い」とも称す）ことが好ましく、鉱石スラリーの沈降速度を制御する方法として、例えば、特許文献１に開示された方法が知られている。
【０００６】
特許文献１には、ニッケル酸化鉱石から湿式製錬方法によりニッケル等の有価金属を回収する際、浸出工程等に固形物濃度（Ｓｏｌｉｄ％）の高い鉱石スラリーを効率的に供給するため、鉱石スラリーの沈降速度を向上させて固液分離する際の沈降濃縮に要する時間を短縮させ、あるいは、鉱石スラリーの降伏応力を低下させて流送する際の鉱石スラリーの固形物濃度を高めるニッケル酸化鉱石の前処理方法が開示され、具体的には、ニッケル酸化鉱石の水性スラリーに中和剤を添加し、ｐＨを等電点近傍に調整することにより鉱石スラリーの沈降速度または降伏応力を制御する方法が開示されている。
【０００７】
また、複数のシックナー（第１および第２シックナー）を用いて鉱石スラリーのＳｏｌｉｄ％を高くする鉱石スラリーの製造設備と製造方法が特許文献２に開示されている。
【０００８】
すなわち、特許文献２には、原料鉱石スラリーを予備濃縮して中間鉱石スラリーを得る第１シックナーと、第１シックナーよりシックニング（シックナーでの沈降濃縮）効果が高くかつ中間鉱石スラリーを濃縮して濃縮鉱石スラリーを得る第２シックナーとを備える鉱石スラリーの製造設備が開示され、更に、第１シックナーにより原料鉱石スラリーを予備濃縮して中間鉱石スラリーを得、かつ、第１シックナーよりシックニング効果の高い第２シックナーにより中間鉱石スラリーを濃縮して濃縮鉱石スラリーを得る鉱石スラリーの製造方法が開示されている。そして、特許文献２に開示された鉱石スラリーの製造設備と製造方法によれば、第１シックナーで予備濃縮された中間鉱石スラリーが第２シックナーに供給されるため、第２シックナーにおいて鉱石スラリーの沈降速度が速くなり、スラリー処理量を増加させることが可能となる。更に、後段のシックナーがシックニング効果の高い第２シックナーで構成されるため、固体成分率（Ｓｏｌｉｄ％）と比重の高い濃縮鉱石スラリーを製造することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
特開２００８－１８９９９９号公報
特開２０１５－０８６４５７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
ところで、特許文献１～２に開示された鉱石スラリーのシックニング（以下、「沈降濃縮」と称する）処理では、高分子炭化水素を主成分とする凝集剤が用いられる。凝集剤は、その添加量を増加させることで沈降速度を増加させることができるが、一方、凝集体自体に含まれる高分子炭化水素の割合が増加することに起因して、凝集体中の鉱石密度が低下し易い。このケースでは、かえって鉱石スラリーのＳｏｌｉｄ％を増加させることが難くなる。このため、沈降速度を増加させることのみに着目して過大に凝集剤の添加を行うことは、むしろ薬剤コストを増加させ、鉱石スラリーの粘度が上昇して設備負荷を増やしてしまう問題がある。また、液中の全有機炭素（ＴＯＣ）濃度を上昇させて排水処理を難しくさせる問題もあった。
（【００１１】以降は省略されています）

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