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公開番号
2024118649
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-02
出願番号
2023025039
出願日
2023-02-21
発明の名称
スラグ移送設備
出願人
住友金属鉱山株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C22B
7/04 20060101AFI20240826BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】 高所のレードルからスラグ樋に向ってスラグを流下させる場合であっても損耗しにくい長寿命のスラグ樋を備えたスラグ移送設備を提供する。
【解決手段】 レードル2から供給されるスラグを所定の位置まで流す銅製で且つ肉厚部内に冷媒流路を備えた樋7を有するスラグ移送設備5であって、樋7は上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する長尺状の底部30と、底部30の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部31とから構成され、底部30の上面及び1対の壁部31の内壁面下部に当接する断面逆台形の炭素製の保護材35が底部30の上面に設けられており、保護材35と樋7との間の隙間が生じている部分に好ましくは不定形耐火物36が塗布されている。
【選択図】 図2
特許請求の範囲
【請求項1】
レードルから供給されるスラグを所定の位置まで流す銅製で且つ肉厚部内に冷媒流路を備えた樋を有するスラグ移送設備であって、前記樋は上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する長尺状の底部と、前記底部の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部とから構成され、前記底部の上面及び前記1対の壁部の内壁面下部に当接する断面逆台形の炭素製の保護材が前記底部の上面に設けられていることを特徴とするスラグ移送設備。
続きを表示(約 160 文字)
【請求項2】
前記保護材と前記樋との間の隙間が生じている部分に不定形耐火物が塗布されていることを特徴とする、請求項1に記載のスラグ移送設備。
【請求項3】
前記スラグが入ったレードルを載置させた状態で前記樋側に傾転させるレードル傾転機を更に有していることを特徴とする、請求項1に記載のスラグ移送設備。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄金属製錬で生成される熔体状のスラグを移送するスラグ移送設備に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
非鉄金属製錬においては、目的金属を含んだ原料に対して、先ず乾式製錬工程において熔錬処理することで該目的金属を濃縮した後、湿式製錬工程において電解処理することで高純度の目的金属を製造している。例えば銅製錬では、先ず乾式銅製錬工程において、主原料である銅品位20~30%程度の銅精鉱に対して熔錬炉、転炉、及び精製炉で順次処理することで銅品位99%程度の精製粗銅を生成した後、湿式製錬工程において、上記の精製粗銅を鋳造して得たアノードと別途用意したカソードとを電解槽に装入して電解精製を行うことで最終製品として銅品位99.99%の電気銅を製造している。
【0003】
より具体的に説明すると、乾式銅製錬工程では、上記熔錬炉として例えば自熔炉に銅精鉱とフラックスとを装入して熔融及び酸化させることで、主としてFeからなる不純物がスラグ(カラミとも称する)として分離除去されて銅品位60~70%程度のマット(カワとも称する)が生成される。このマットを略円筒形の容器を横置きにした形状の転炉にレードルを介して装入して更に酸化させることで、銅品位98%程度の粗銅が生成される。この粗銅を精製炉に装入して酸素等の不純物を除去することで、銅品位99%程度の精製粗銅が生成される。なお、上記の自熔炉で分離除去されたスラグは微量のマットを含んでいるので、錬カン炉に移送されて銅の回収が行なわれる。
【0004】
上記のレードルを介して転炉内に受け入れたマットは、転炉スラグ(転炉カラミとも称する)及び白カワに分離する造カン期(造カン工程とも称する)と、該造カン期で生成した白カワから硫黄を分離する造銅期(造銅工程とも称する)との2工程からなるバッチ操作で処理される。すなわち、先ず造カン期では、自熔炉から受け入れた銅品位60~70%程度のマットに対して、フラックスと称するSiO
2
を主成分とする硅石を加えると共に、空気又は酸素冨化空気を吹き込むことにより酸化処理が施される。これにより、Feをほとんど含まない銅品位70~80%程度の白カワと、Fe-SiO
2
系の転炉スラグとが生成され、これらは転炉内でそれぞれ下層側と上層側に分離する。この造カン期に続く造銅期では、上記転炉スラグを転炉から抜き出した後に残る白カワに対して、空気又は酸素冨化された空気を吹き込むことにより酸化処理が施され、これにより白カワに含まれている硫黄分がSO
2
として分離して粗銅が生成される。
【0005】
上記の造カン期で生成した転炉スラグは5%程度の銅を含んでいるため、転炉を回動させることでその炉口から転炉スラグのみを排出して上部が開放した金属製の容器からなるレードルに受け入れる。レードル内に受け入れた転炉スラグは、鋳カン機で鋳造された後、粉砕処理又は選鉱処理された後に例えば上記自熔炉に装入される。上記のレードルから鋳カン機への転炉スラグの供給にはスラグ樋が用いられる。このスラグ樋のように、一般的に1000℃を超える高温の熔体の流路となる樋には、当該高温の熔体が接しても容易に損傷することのない強度が求められる。そこで、このような高温の熔体に対する耐久性を備えた様々な樋が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1には、フェロニッケル製錬の電気炉の壁部から抜き出される熔融スラグ用のスラグ樋が開示されている。この特許文献1のスラグ樋は、冷却水の流路を備えた銅製の溝状部とその内側に設けられたカーボン製の内張部とからなり、内張部において熔融スラグに接する面は、流れ方向に垂直な断面形状が円弧になっている。また、この内張部は、熔融スラグの流れ方向に延在する両端部に各々好適にはマグネシア粉とマグネシア粒との混合物からなる不定形耐火物の堤状部が施工されている。これにより、1500℃以上の高温の熔融スラグを流しても熱による損傷が生じないので、メンテナンスが容易で且つ長寿命であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2015-183201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1のスラグ樋のように、電気炉の壁部から抜き出されるスラグが導入される場合は、該スラグ樋の導入側端部を該電気炉の壁部のスラグ排出口に近接させることができるので、スラグによる浸食が大きな問題になることはない。しかしながら、レードルからスラグ樋にスラグを供給する場合は、高所からスラグをスラグ樋の導入側端部に落下させることになるので、この落下したスラグによってスラグ樋の特に導入側端部が損耗する問題が生ずることがあった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高所のレードルからスラグ樋にスラグを供給する場合であっても容易に損耗することのない長寿命のスラグ樋を備えたスラグ移送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るスラグ移送設備は、レードルから供給されるスラグを所定の位置まで流す銅製で且つ肉厚部内に冷媒流路を備えた樋を有するスラグ移送設備であって、前記樋は上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する長尺状の底部と、前記底部の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部とから構成され、前記底部の上面及び前記1対の壁部の内壁面下部に当接する断面逆台形の炭素製の保護材が前記底部の上面に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高所のレードルからスラグ樋にスラグを供給する場合であっても、該スラグ樋が容易に損耗するのを防ぐことができるので、該スラグ樋の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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