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公開番号
2024148631
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-18
出願番号
2023061948
出願日
2023-04-06
発明の名称
鋼材
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
アセンド弁理士法人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20241010BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】110ksi級の降伏強度と、-100℃の極低温環境における優れた破壊靭性とを両立する鋼材を提供する。
【解決手段】本開示による鋼材は、質量%で、C:0.15~0.45%、Si:0.05~1.00%、Mn:0.05~1.00%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.005~0.100%、Cr:0.30~1.50%、Mo:0.40~2.00%、Ti:0.002~0.020%、Nb:0.002~0.100%、V:0.05~0.30%、B:0.0005~0.0040%、N:0.0100%以下、O:0.0040%以下、及び、残部がFe及び不純物からなり、降伏強度が758~862MPa未満であり、鋼材中において、長径が5.0μm以上のAl酸化物の個数密度が30個/200mm
2
未満であり、長径が5.0μm以上のSi酸化物の個数密度が5個/200mm
2
以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼材であって、
質量%で、
C:0.15~0.45%、
Si:0.05~1.00%、
Mn:0.05~1.00%、
P:0.030%以下、
S:0.0050%以下、
Al:0.005~0.100%、
Cr:0.30~1.50%、
Mo:0.40~2.00%、
Ti:0.002~0.020%、
Nb:0.002~0.100%、
V:0.05~0.30%、
B:0.0005~0.0040%、
N:0.0100%以下、
O:0.0040%以下、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.50%、
W:0~0.50%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Zr:0~0.0100%、
希土類元素:0~0.0100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
降伏強度が758~862MPa未満であり、
前記鋼材中において、
質量%で、Al含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上のAl酸化物の個数密度が、30個/200mm
2
未満であり、
質量%で、Al含有量が20%未満であり、Si含有量が20%以上であり、O含有量が10%以上であり、長径が5.0μm以上のSi酸化物の個数密度が、5個/200mm
2
以下である、
鋼材。
続きを表示(約 270 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の鋼材であって、
Cu:0.01~0.50%、
Ni:0.01~0.50%、
W:0.01~0.50%、
Ca:0.0001~0.0100%、
Mg:0.0001~0.0100%、
Zr:0.0001~0.0100%、及び、
希土類元素:0.0001~0.0100%からなる群から選択される1元素以上を含有する、
鋼材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鋼材であって、
前記鋼材は継目無鋼管である、
鋼材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は鋼材に関し、さらに詳しくは、CO
2
貯留技術に用いられる鋼材に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
現在、地上での二酸化炭素(CO
2
)の濃度上昇が世界的に問題となっている。そのため、CO
2
の排出を抑制する取り組みが進められてきている。このようなCO
2
の排出を抑制する取り組みの中で、特に、CCUSが注目されてきている。
【0003】
CCUSは、Carbon dioxide Capture,Utilization and Storageの略称である。すなわち、CCUSは、CO
2
の回収、利用、及び、貯留の3つの技術を含む。このうち、CO
2
を貯留する技術として、発電所や工場等の産業施設から排出されたCO
2
を回収し、枯渇油井にCO
2
を圧入して貯留する技術が注目されてきている。
【0004】
このようなCO
2
貯留技術に用いられる鋼材には、たとえば、110ksi級(110~125ksi未満、つまり、758~862MPa未満)の降伏強度が求められる。これまでに、110ksi以上の降伏強度を有する鋼材が、国際公開第2015/190377号(特許文献1)、国際公開第2016/038809号(特許文献2)、及び、国際公開第2017/149572号(特許文献3)に提案されている。
【0005】
特許文献1に開示される鋼材は、低合金油井用鋼管であって、化学組成が、質量%で、C:0.15%以上0.30%未満、Si:0.05~1.00%、Mn:0.05~1.00%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.005~0.100%、O:0.005%以下、N:0.007%以下、Cr:0.10%以上1.00%未満、Mo:1.0%超2.5%以下、V:0.01~0.30%、Ti:0.002~0.009%、Nb:0~0.050%、B:0~0.0050%、Ca:0~0.0050%、残部:Fe及び不純物であり、式(Mo/Cr≧2.0)を満たす。この鋼材はさらに、ASTM E112に準拠した旧オーステナイト粒の結晶粒度番号が7.0以上であり、200nm以上の円相当径を持つセメンタイトが母相100μm
2
あたり50個以上存在し、M
2
C型の合金炭化物の数密度が25個/μm
2
以上であり、降伏強度が758MPa以上である。この鋼材によれば、110ksi(758MPa)以上の降伏強度と、優れた耐硫化物応力腐食割れ性とを有する、と特許文献1には開示されている。
【0006】
特許文献2に開示される鋼材は、油井用高強度継目無鋼管であって、化学組成が、質量%で、C:0.20~0.50%、Si:0.05~0.40%、Mn:0.3~0.9%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Al:0.005~0.1%、N:0.008%以下、Cr:0.6~1.7%、Mo:0.4~1.0%、V:0.01~0.30%、Nb:0.01~0.06%、B:0.0003~0.0030%、O:0.0030%以下を含有し、残部:Fe及び不可避的不純物からなる。この鋼材はさらに、焼戻マルテンサイト相を体積率で95%以上とし、旧オーステナイト粒が粒度番号で8.5以上である組織を有し、鋼管の内面から1/4t位置(t:管厚)を中心に、電子線マイクロアナライザーによる各元素の面分析を行って得られた偏析部含有量と平均含有量との比であるX
M
を用いて定義される、偏析度指数Ps(=8.1(X
Si
+X
Mn
+X
Mo
)+1.2X
P
)が65未満であり、降伏強度が758MPa以上である。この鋼材は、降伏強度が758MPa以上を有し、耐硫化物応力腐食割れ性に優れる、と特許文献2に開示されている。
【0007】
特許文献3に開示される鋼材は、油井用低合金高強度厚肉継目無鋼管であって、化学組成が、質量%で、C:0.25~0.31%、Si:0.01~0.35%、Mn:0.55~0.70%、P:0.010%以下、S:0.001%以下、O:0.0015%以下、Al:0.015~0.040%、Cu:0.02~0.09%、Cr:0.8~1.5%、Mo:0.9~1.6%、V:0.04~0.10%、Nb:0.005~0.05%、B:0.0015~0.0030%、Ti:0.005~0.020%、N:0.005%以下、を含有し、N含有量に対するTi含有量の比の値(Ti/N)が3.0~4.0であり、残部:Fe及び不可避的不純物からなる。この鋼材はさらに、管長手直交断面全厚でのMo偏析度1.5以上となる測定点の累積度数率が1%以下であり、応力-歪曲線における0.4%歪時の応力に対する0.7%歪時の応力の比の値が1.02以下であり、肉厚40mm以上、かつ、降伏強度が758MPa以上である。この鋼材によれば、758MPa以上の降伏強度を有しつつ、優れた耐硫化物応力腐食割れ性を示す、と特許文献3には開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開第2015/190377号
国際公開第2016/038809号
国際公開第2017/149572号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、枯渇油井にCO
2
を圧入する際、圧入効率を高めるために、CO
2
ガスを圧縮及び昇圧して超臨界状態にする場合がある。一方、CO
2
が漏洩した場合、超臨界状態から気体となったCO
2
ガスは、圧力の急激な低下により温度が急激に低下する。この場合、環境の温度が通常をはるかに下回り、-80℃以下にまで低下する可能性もあり得る。そのため、このような二酸化炭素の貯留技術への適用が想定された鋼材には、高強度だけでなく、-80℃以下、具体的には-100℃の極低温環境における破壊靭性も求められる。一方、上記特許文献1~3では、-100℃の極低温環境における破壊靭性について、何ら検討されていない。
【0010】
本開示の目的は、110ksi級(758~862MPa未満)の降伏強度と、-100℃の極低温環境における優れた破壊靭性とを両立する鋼材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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