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公開番号2025019572
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-07
出願番号2023123245
出願日2023-07-28
発明の名称腐食環境用銅合金
出願人国立大学法人東北大学
代理人個人
主分類C22C 9/02 20060101AFI20250131BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】乾湿が繰り返される腐食環境等において、たとえ合金表面が腐食したとしても、表面電気抵抗を低い値で維持することができ、電気接点特性に優れた腐食環境用銅合金を提供する。
【解決手段】含有量が35原子%以上のCuと、含有量がいずれも10原子%以上30原子%以下のSnおよびZnと、含有量がいずれも1原子%以上20原子%以下のAlおよびNiとを有し、Snの含有量が90原子%以上であるSnリッチ相を有する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
含有量が35原子%以上のCuと、
含有量がいずれも10原子%以上30原子%以下のSnおよびZnと、
含有量がいずれも1原子%以上20原子%以下のAlおよびNiとを有し、
前記Snの含有量が90原子%以上であるSnリッチ相を有することを
特徴とする腐食環境用銅合金。
続きを表示(約 62 文字)【請求項2】
前記Snリッチ相の面積率が2.0%以上であることを特徴とする請求項1記載の腐食環境用銅合金。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食環境用銅合金に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
電気配線のコネクタ用の電気接点材料としては、銅(Cu)が主に用いられている。しかし、湿潤環境や温度上昇に伴い、Cuの表面にはCu
2
OやCuOなどを主体とする電気抵抗が高い腐食生成物が形成され、表面の電気抵抗が上昇し、電気接点としての機能が低下する。そのため、耐食性や耐酸化性に優れる金(Au)や銀(Ag)をCuの表面にめっきすることが行われている。しかし、貴金属めっきはコストが高いため、経済性が求められる自動車などの産業機器には、安価で比較的耐食性が高いスズ(Sn)が使用されている。
【0003】
しかし、Cu系電気接点材料は、長期にわたり腐食や酸化を抑制して低い表面電気抵抗を維持することは困難であるため、Snめっきに対する改良が行われている。たとえば、コネクタ用電気接点材料の最表面に、CuとSnの合金層を形成する技術(例えば、特許文献1参照)、最表面にSnもしくはSn合金層を形成し、その下側にCuとSnの金属間化合物を含む合金層を形成する技術(例えば、特許文献2参照)、Snめっき層にAg
3
Sn層を形成する技術(例えば、特許文献3参照)などである。
【0004】
ところで、自動車などの輸送機器における軽量化と省資源化のニーズにより、Snめっきの膜厚を極限まで薄くすることが求められている。Snは比較的軟らかい金属であり、車載用コネクタとして使用した場合には、振動などによる摺動に伴い、Snめっき層が損耗し消失する場合を想定しておく必要がある。電気自動車や自動運転の実現と普及に伴い、コネクタ部の接触不良は重大事故につながる恐れがあり、その回避が求められている。
【0005】
一方で、長期にわたり低い表面電気抵抗を維持するためのCu合金の組成やミクロ組織に関しては、具体的な条件が明らかにはされておらず、Snめっきが摩耗により消失した場合、Cu系電気接点材料が露出し、それ自体が腐食する状態を避けることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2010-267418号公報
特開2011-12350号公報
特開2011-26677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、乾湿が繰り返される腐食環境等において、たとえ合金表面が腐食したとしても、表面電気抵抗を低い値で維持することができ、電気接点特性に優れた腐食環境用銅合金を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上のような従来技術の限界を克服し、未解決の課題を解決するため、種々の試験研究を行い、本発明を完成させた。特に、Cu合金において、Sn、Zn、Al、Niの添加量を制御することにより、Snリッチ相が生成することを見出した。
【0009】
さらに、Snリッチ相が、Cuを主成分とする合金全体に対し、腐食環境において犠牲防食作用を発揮することを見出した。この際、犠牲防食に伴い、Snの腐食生成物が合金表面を覆うことになるが、Snの腐食生成物(酸化物や水酸化物など)は電気伝導性に優れるため、合金表面の電気抵抗を大きく増加させることはないことを見出した。
【0010】
本発明は、以上の新知見に基づくものであり、主旨は以下の通りである。すなわち、本発明に係る腐食環境用銅合金は、含有量が35原子%以上のCuと、含有量がいずれも10原子%以上30原子%以下のSnおよびZnと、含有量がいずれも1原子%以上20原子%以下のAlおよびNiとを有し、前記Snの含有量が90原子%以上であるSnリッチ相を有することを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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