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公開番号2025074733
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-14
出願番号2023185739
出願日2023-10-30
発明の名称細胞培養膜および測定方法
出願人豊田合成株式会社,国立大学法人東北大学
代理人弁理士法人明成国際特許事務所
主分類C12M 1/00 20060101AFI20250507BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞近傍のpHを精度良く測定できる細胞培養膜を提供すること。
【解決手段】細胞培養膜は、第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面とを有する膜本体と、第1面に重ねて形成された第1金属膜と、第2面に重ねて形成された第2金属膜との少なくとも何れか一方を含む金属膜と、金属膜に重ねて形成されたポリアニリン膜と、を備え、膜本体は、複数の孔を有し、複数の孔のそれぞれは、すり鉢状であり、少なくとも第1面に開口する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有する膜本体と、
前記第1面に重ねて形成された第1金属膜と、前記第2面に重ねて形成された第2金属膜との少なくとも何れか一方を含む金属膜と、
前記金属膜に重ねて形成されたポリアニリン膜と、を備え、
前記膜本体は、複数の孔を有し、前記複数の孔のそれぞれは、すり鉢状であり、少なくとも前記第1面に開口する、細胞培養膜。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1に記載の細胞培養膜であって、
前記複数の孔のそれぞれは、前記第2面に開口しない、非貫通孔であり、前記孔を区画する内周部を有し、
前記金属膜は、前記第2金属膜を含まず、前記第1金属膜を含み、
前記第1金属膜は、前記内周部を覆う金属内周部を有し、
前記ポリアニリン膜は、前記金属内周部を覆うポリアニリン内周部を有する、細胞培養膜。
【請求項3】
請求項1に記載の細胞培養膜であって、
前記複数の孔のそれぞれは、前記第1面から前記第2面に亘って貫通する貫通孔であり、前記第1面に開口する第1開口部と、前記第2面に開口する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを接続する内周部と、を有し、
前記金属膜は、前記第2金属膜を含まず、前記第1金属膜を含み、
前記第1金属膜は、前記内周部を覆って形成された金属内周部を有し、
前記ポリアニリン膜は、前記金属内周部を覆って形成されたポリアニリン内周部を有する、細胞培養膜。
【請求項4】
請求項1に記載の細胞培養膜であって、
前記複数の孔のそれぞれは、前記第1面から前記第2面に亘って貫通する貫通孔であり、前記第1面に開口する第1開口部と、前記第2面に開口する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを接続する内周部と、を有し、
前記金属膜は、前記第2金属膜を含まず、前記第1金属膜を含み、
前記第1金属膜は、前記内周部を覆って形成された金属内周部と、前記第2開口部を閉塞する金属閉塞部と、を有し、
前記ポリアニリン膜は、前記金属内周部と前記金属閉塞部とを覆って形成されたポリアニリン内周部を有し、
前記金属閉塞部は、クラックを有する、細胞培養膜。
【請求項5】
請求項3または4に記載の細胞培養膜であって、
前記複数の孔は、前記第1面における第1平均孔径が前記第2面における第2平均孔径よりも大きい、細胞培養膜。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の細胞培養膜であって、
前記膜本体は、ポリウレタンで形成されている、細胞培養膜。
【請求項7】
請求項5に記載の細胞培養膜であって、
前記第2平均孔径は、7μm以下である、細胞培養膜。
【請求項8】
請求項1に記載の細胞培養膜であって、
前記金属膜は、主に金(Au)からなる第1金属層を含む、細胞培養膜。
【請求項9】
請求項8に記載の細胞培養膜であって、
前記金属膜は、前記金属膜は、主に白金(Pt)からなる第2金属層と、主にチタン(Ti)からなる第3金属層と、をさらに含む、細胞培養膜。
【請求項10】
請求項1に記載の細胞培養膜を用いたpHの測定方法であって、
前記細胞培養膜を培養液に浸漬して、前記細胞培養膜の前記ポリアニリン膜上に細胞を培養する第1工程と、
前記培養液中に参照極を挿入し、前記金属膜を作用極として用い、前記参照極と前記作用極との間の電位差を測定する第2工程と、
測定した前記電位差を用いて、前記培養液のpHを求める第3工程と、を備える、測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、細胞培養膜および測定方法に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、細胞培養の状態を評価するために、培養液の物性値の測定や、培養液中の特定の物質の量の測定が行われている(例えば特許文献1)。特許文献1では、培養液の物性値であるpHセンサを設けた細胞培養チップが記載されている。この細胞培養チップでは、細胞が培養されるウェルの上部にpHセンサが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-113092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の細胞培養チップでは、ウェルの底面にて細胞が培養されるため、pHセンサにより測定されたpHは、細胞近傍のpHが反映されていない場合が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、細胞培養膜が提供される。この細胞培養膜は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有する膜本体と、前記第1面に重ねて形成された第1金属膜と、前記第2面に重ねて形成された第2金属膜との少なくとも何れか一方を含む金属膜と、前記金属膜に重ねて形成されたポリアニリン膜と、を備え、前記膜本体は、複数の孔を有し、前記複数の孔のそれぞれは、すり鉢状であり、少なくとも前記第1面に開口する。この形態によれば、ポリアニリン膜上に細胞を培養した場合に、ポリアニリン膜は細胞と接触または近接するため、金属膜を電極として用いるとともに、ポリアニリン膜をプロトンの応答膜として用いることにより、細胞近傍におけるpHを精度良く測定することができる。
(2)上記形態の細胞培養膜において、前記複数の孔のそれぞれは、前記第2面に開口しない、非貫通孔であり、前記孔を区画する内周部を有し、前記金属膜は、前記第2金属膜を含まず、前記第1金属膜を含み、前記第1金属膜は、前記内周部を覆う金属内周部を有し、前記ポリアニリン膜は、前記金属内周部を覆うポリアニリン内周部を有してもよい。この形態によれば、各孔に入り込んだ細胞と接触または近接するポリアニリン膜の面積を大きくすることができるため、細胞近傍のpHの測定精度をさらに向上させることができる。
(3)上記形態の細胞培養膜において、前記複数の孔のそれぞれは、前記第1面から前記第2面に亘って貫通する貫通孔であり、前記第1面に開口する第1開口部と、前記第2面に開口する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを接続する内周部と、を有し、前記金属膜は、前記第2金属膜を含まず、前記第1金属膜を含み、前記第1金属膜は、前記内周部を覆って形成された金属内周部を有し、前記ポリアニリン膜は、前記金属内周部を覆って形成されたポリアニリン内周部を有してもよい。この形態によれば、第1面と第2面とのそれぞれに、互いに異なる種類の細胞を培養した場合に、第1面に培養された細胞と、第2面に培養された細胞とが各貫通孔を通じて接触することができるため、生体内の状態により近い細胞の状態を作ることができる。
(4)上記形態の細胞培養膜において、前記複数の孔のそれぞれは、前記第1面から前記第2面に亘って貫通する貫通孔であり、前記第1面に開口する第1開口部と、前記第2面に開口する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを接続する内周部と、を有し、前記金属膜は、前記第2金属膜を含まず、前記第1金属膜を含み、前記第1金属膜は、前記内周部を覆って形成された金属内周部と、前記第2開口部を閉塞する金属閉塞部と、を有し、前記ポリアニリン膜は、前記金属内周部と前記金属閉塞部とを覆って形成されたポリアニリン内周部を有し、前記金属閉塞部は、クラックを有してもよい。この形態によれば、第1面に培養された細胞と、第2面に培養された細胞とがクラックを通じて接触することができ、クラックの大きさは、第2開口部の大きさよりも小さいため、生体内の状態により近い細胞の状態を作ることが期待できる。
(5)上記形態の細胞培養膜において、前記複数の孔は、前記第1面における第1平均孔径が前記第2面における第2平均孔径よりも大きくてもよい。この形態によれば、細胞は第1開口部から孔に入り込み、第2開口部を通過することなく、孔に入り込んだ状態で培養できる可能性を高めることができる。
(6)上記形態の細胞培養膜において、前記膜本体は、ポリウレタンで形成されていてもよい。この形態によれば、第1平均孔径が前記第2面における第2平均孔径よりも大きい複数の貫通孔を有する膜本体を簡便に作製することができる。
(7)上記形態の細胞培養膜において、前記第2平均孔径は、7μm以下であってもよい。この形態によれば、10μm程度の大きさの細胞を培養する場合、第1面と第2面とのいずれか一方に培養された細胞が、貫通孔を介して第1面と第2面とのいずれか他方に移動することを抑制することができる。
(8)上記形態の細胞培養膜において、前記金属膜は、主に金(Au)からなる第1金属層を含んでいてもよい。この形態によれば、主に金からなる第1金属層を金属膜として用いることができる。
(9)上記形態の細胞培養膜において、前記金属膜は、前記金属膜は、主に白金(Pt)からなる第2金属層と、主にチタン(Ti)からなる第3金属層と、をさらに含んでいてもよい。この形態によれば、主に金からなる第1金属層と、主に白金からなる第2金属層と、主にチタンからなる第3金属層との積層膜を金属膜として用いることができる。
(10)上記形態の細胞培養膜を用いたpHの測定方法であって、前前記細胞培養膜を培養液に浸漬して、前記細胞培養膜の前記ポリアニリン膜上に細胞を培養する第1工程と、前記培養液中に参照極を挿入し、前記金属膜を作用極として用い、前記参照極と前記作用極との間の電位差を測定する第2工程と、測定した前記電位差を用いて、前記培養液のpHを求める第3工程と、を備えてもよい。この形態によれば、細胞培養膜上に細胞を培養した場合に、金属膜を電極として用いたpHの測定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
細胞培養膜の断面の模式図。
細胞培養膜の製造工程を示すフローチャート。
pHを測定する測定方法の手順を示すフローチャート。
pHを測定する場合に組み立てられる測定システムを示す図。
導電性を有するポリアニリンの酸化還元反応を説明する図。
pHと電位差との関係を示す図。
細胞培養膜を用いて共培養した場合の模式図。
細胞培養膜の実施形態(C1)~実施形態(C3)を示す図。
細胞培養膜の実施形態(C4)~実施形態(C6)を示す図。
細胞培養膜の実施形態(C7)および実施形態(C8)を示す図。
培養容器の他の実施形態を示す図。
細胞培養膜の製造工程の各工程において作製された膜を観察したSEM像。
細胞が培養された細胞培養膜を観察したSEM像。
細胞を含む水溶液に塩化アンモニウムを添加した場合の化学反応を説明する図。
PBSに塩化アンモニウムを添加した場合の開回路電位の測定結果。
細胞が培養された細胞培養膜を観察したSEM像。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A-1.細胞培養膜の構成:
図1は、細胞培養膜10の断面の模式図である。細胞培養膜10は、膜本体20と、金属膜30と、ポリアニリン膜40とを備える。本実施形態において、細胞培養膜10は、ポリウレタンにより形成されている。金属膜30は、上層から下層に向かって、主に金(Au)からなる第1金属層31と、主に白金(Pt)からなる第2金属層32と、主にチタン(Ti)からなる第3金属層33とが、順に積層されて形成されている。第2金属層32と膜本体20との間に第3金属層33が配置されていることにより、第1金属層31および第2金属層32と、膜本体20との密着性を向上させることができる。金属膜30の他の実施形態として、金属膜30は、主に金(Au)からなる第1金属層31のみで構成されていてもよい。細胞培養膜10は、金属膜30と、ポリアニリン膜40とを備えるため、ポリアニリン膜40上に細胞を培養した後に、金属膜30を電極として用いるとともに、ポリアニリン膜40をプロトンの応答膜として用いることにより、後述する培養液305のpHを測定することができる。
【0009】
細胞培養膜10は、第1面21と、第1面21とは反対側に位置する第2面22とを有する膜本体20と、膜本体20に形成された複数の孔としての複数の貫通孔23とを有する。複数の貫通孔23は、第1面21から第2面22に亘って貫通する孔である。各貫通孔23は、第1面21に開口する第1開口部23aと、第2面22に開口する第2開口部23bと、第1開口部23aと第2開口部23bとを接続する内周部23cとを有する。細胞培養膜10は第2開口部23bを有することにより、第1面21と第2面22とのそれぞれに互いに種類の異なる細胞を培養した場合に、この種類の異なる細胞を接触させることができる。
【0010】
各貫通孔23は、すり鉢状である。貫通孔23の第1面21における孔径と、第2面22における孔径とは異なる。貫通孔23の第1面21における孔径を第1孔径Da、貫通孔23の第2面22における孔径を第2孔径Dbと称する。第1孔径Daは、第2孔径Dbよりも大きい。なお、貫通孔の場合、第2孔径Dbが第1孔径Daよりも小さい形状がすり鉢状に含まれる。さらに、内周部23cの形状が曲面である場合と平面である場合との両方がすり鉢状に含まれる。また、複数の貫通孔23の第1孔径Daの平均値である第1平均孔径と、第2面22における第2孔径Dbの平均値である第2平均孔径とは異なる。第1平均孔径は、第2平均孔径よりも大きい。これにより、後述するように、細胞300を貫通孔23の内部に入り込んだ状態で培養することができる。第2平均孔径は7μm以下が好ましい。これにより、後述するように、細胞培養膜10を用いて共培養を行う場合、第1細胞301が細胞培養膜10に播種された後、貫通孔23を通過しての播種された面とは反対側の面への第1細胞301の移動を抑制することができる。以下の記載において、貫通孔23を通過しての播種された面とは反対側の面への第1細胞301の移動を、「回り込み」と呼ぶ場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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