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公開番号2024120693
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027680
出願日2023-02-24
発明の名称銅合金板
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人個人,個人
主分類C22C 9/06 20060101AFI20240829BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】高い耐力と優れた曲げ加工性を実成できる銅合金板を提供する。
【解決手段】Ni:1.2~3.0質量%、Si:0.10~1.0質量%、Zn:0.01~3.0質量%を含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、厚さ方向の断面において、表面からの深さが板厚の10%までの範囲をEBSD測定したとき、CI値0.1未満である部分の合計面積率が10.0~60.0%である、銅合金板。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
Ni:1.2~3.0質量%、
Si:0.10~1.0質量%、
Zn:0.01~3.0質量%を含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
厚さ方向の断面において、表面からの深さが板厚の10%までの範囲をEBSD測定したとき、CI値0.1未満である部分の合計面積率が10.0~60.0%である、銅合金板。
続きを表示(約 200 文字)【請求項2】
さらに、Sn及びMgの1種以上を、
Sn:0質量%超1.0質量%以下、
Mg:0質量%超0.2質量%以下の範囲で含有する、請求項1に記載の銅合金板。
【請求項3】
さらに、Al、Mn、Cr、Ti、Zr、Fe、P、及びAgからなる群から選択される1種以上を、合計で0質量%超0.5質量%以下含有する、請求項1または2に記載された銅合金板。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、銅合金板に関し、特に、高い耐力を有し、且つ曲げ加工性に優れた銅合金板に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
電気電子部品用銅合金には、高い導電率、高い耐力(降伏応力)、高い引張強度、優れた曲げ加工性、優れた耐疲労特性、優れた耐応力緩和特性、高いヤング率などが要求される。それらの特性を満たすために、銅合金板の金属組織を制御することが行われている。
特に、高強度(高い耐力及び高い引張強度)と、優れた曲げ加工性とは両立が難しいため、様々な工夫がされている。
【0003】
特許文献1~4には、銅合金板の転位密度の指標としてKAM値を導入し、KAM値を1.0~3.0とすることにより、銅合金板の強度と曲げ加工性のバランスをとることを開示している。
なお、KAM値は、測定範囲の金属組織中に存在する転位密度の平均を求めるものである。
【0004】
特許文献5には、銅合金板の表面近くのせん断帯が少なくすることにより、耐力などの物性値を低下させることなく、優れた曲げ加工性としわのない曲げ部外観を達成できる銅合金板が得られることが開示されている。
せん断帯は、変形が局部的に集中した組織、すなわち歪が多くたまって転位密度が増加している部分であり、周りの組織に比べ変形しにくい。このため、せん断帯が存在する材料では、曲げ加工した際に、せん断帯を起点に不均一伸びが生じてしわや割れが発生しやすい。一方、せん断帯が形成されるまで圧延加工をしないと加工硬化はできず、要求される合金強度を達成することができない。
特許文献5では、せん断帯の分布に着目し、せん断帯の本数を銅合金板の表面近くで少なく、内部で多くすることにより、曲げ加工性を改善することができるとしている。
【0005】
特許文献6には、銅合金板の表面から5μmの深さまでのせん断集合組織の極密度を2~8にすることにより、プレス加工性、曲げ加工性及び強度に優れた銅合金板が得られることが開示されている。
通常、冷間圧延において、圧延時にロールと接する銅合金板の表層部と、板中央部とでは、形成される集合組織に差異がある。表層部では、ロールとの摩擦力の影響で材料がせん断変形されるためである。特許文献6では、この表層部の組織を表面集合組織(せん断集合組織)と称している。
なお、せん断集合組織の極密度は、X線回折法により、銅合金板の結晶方位をマクロ的に測定して得られる。
【0006】
また、特許文献7~9には、銅合金板のKAM値と、それに関連する物性について開示がある。
特許文献7~8には、銅合金板の転位密度の指標であるKAM値と、エッチングによる腐食との関係性について言及されている。
特許文献9には、EBSD法にて測定したGoss方位密度を2.0~6.0%とし、KAMの平均値を0.9~1.5°として、優れた耐疲労性を発揮させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第5690170号公報
特許第5314663号公報
特許第5476149号公報
国際公開第2013/018228号
特許第5281031号公報
特開2010-222618号公報
特許第06154565号公報
特許第06152212号公報
特許第05192536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車分野においては、環境規制対応、快適性、安全性の追求、また近年のCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)を背景とした先進運転支援システムにより、多種類の電子機器が実装され、その数が増加している。このため、端子、コネクター、リレー部品等には、さらなる小型化が要求されている。小型部品を製造するためには、特許文献1~6と同等の高い耐力を維持しつつ、さらに優れた曲げ加工性(特に、密着曲げ性)を実現することが求められている。
特許文献7~9には、曲げ加工性及び耐力を向上させる方法について開示されていない。
【0009】
本発明の実施形態では、高い耐力と優れた曲げ加工性を実成できる銅合金板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様1は、
Ni:1.2~3.0質量%、
Si:0.10~1.0質量%、
Zn:0.01~3.0質量%を含み、
残部がCu及び不可避不純物からなり、
厚さ方向の断面において、表面からの深さが板厚の10%までの範囲をEBSD測定したとき、CI値0.1未満である部分の合計面積率が10.0~60.0%である、銅合金板である。
(【0011】以降は省略されています)

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