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公開番号2024170967
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2023087767
出願日2023-05-29
発明の名称銅の製錬方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人
主分類C22B 15/00 20060101AFI20241204BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】 製錬炉の炉況を安定化させることで、銅滓・金銀滓を最大限に処理することのできる銅の製錬方法を提供する。
【解決手段】 ホッパー3から搬送手段4に排出した銅品位10%以上50%以下で且つFeを含有する銅原料を搬送手段4の後段に位置するシュート5を介して製錬炉としての例えば転炉10に投入して熱処理することで高濃度の銅を生成する製錬方法であって、シュート5の排出口又はサンプリング孔においてサンプリングすることで得た銅原料試料に対して、蛍光X線分析することでそのFe品位を求め、得られたFe品位に基づいて製錬炉に投入するSiO2分の投入量を求める。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
ホッパーから搬送手段に排出した銅品位10%以上50%以下で且つFeを含有する銅原料を前記搬送手段の後段に位置するシュートを介して製錬炉に投入して処理することで高濃度の銅を生成する製錬方法であって、前記シュートの排出口又はサンプリング孔においてサンプリングすることで得た銅原料試料に対して、蛍光X線分析することでそのFe品位を求め、得られたFe品位に基づいて前記製錬炉に投入するSiO

分の投入量を求めることを特徴とする銅の製錬方法。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
複数種類の銅原料に対して予め蛍光X線分析及び化学分析を行なうことで、これら分析により得られる分析結果からデータベースを作成しておき、前記銅原料試料に対して蛍光X線分析することで得られる分析結果を該データベースに照合することで前記Fe品位を求めることを特徴とする、請求項1に記載の銅の製錬方法。
【請求項3】
前記製錬炉が転炉であることを特徴とする、請求項2に記載の銅の製錬方法。
【請求項4】
前記銅原料が目開き53mmの篩の篩下であって且つ目開き5.6mmの篩の篩上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の銅の製錬方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、銅の製錬方法に関し、特に銅品位が10%以上50%以下で且つFeを含有する銅原料を処理する銅の製錬方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
非鉄金属製錬においては、目的金属を含んだ原料に対して、先ず乾式製錬工程において製錬炉で熔錬処理することで該目的金属を濃縮した後、湿式製錬工程において電解処理することで高純度の目的金属を製造している。例えば銅製錬では、先ず乾式銅製錬工程において、主原料である銅品位20~30%程度の銅精鉱に対して熔錬炉、転炉、及び精製炉で順次処理することで銅品位99%程度の精製粗銅を生成した後、湿式製錬工程において、上記の精製粗銅を鋳造して得たアノードと別途用意したカソードとを電解槽に装入して電解精製を行なうことで、最終製品として銅品位99.99%の電気銅を製造している。
【0003】
上記の乾式銅製錬工程についてより具体的に説明すると、熔錬炉としての例えば自熔炉に銅精鉱とフラックス(硅石)とを装入して熔融及び酸化処理することで、主としてFeからなる不純物がスラグ(カラミとも称する)として分離除去され、銅品位60~70%程度のマット(カワとも称する)が生成される。このマットを略円筒形の容器を横置きにして回動可能に支持した構造の転炉にレードルを介して装入して更に酸化処理することで、銅品位98%程度の粗銅が生成される。この粗銅を精製炉に装入して酸素等の不純物を除去することで、銅品位99%程度の精製粗銅が生成される。なお、上記の自熔炉で分離除去されたスラグは微量のマットを含んでいるので、樋を介して好適には電気炉からなる錬カン炉に移送し、ここで比重分離することで銅の回収が行なわれる。
【0004】
上記の一連の処理のうち、転炉の処理は、マットに含まれる硫化鉄を酸化することで生成した転炉スラグ(転炉カラミとも称する)を抜き出して硫化銅からなる白カワを炉内に残留させる造カン期(造カン工程とも称する)と、該白カワを酸化して金属銅を生成させる造銅期(造銅工程とも称する)との2段階でのバッチ操業となる。すなわち、先ず造カン期では、自熔炉から受け入れた銅品位60~70%程度のマットに空気又は酸素富化空気を吹き込んで該マットに含まれる硫化鉄を酸化することで、別途添加したSiO

を主成分とするフラックスと共にFeO-SiO

系の転炉スラグが生成される。この転炉スラグは比重差により転炉内において上層側に分離するので、転炉を傾転させて炉口から該転炉スラグを抜き出すことで、鉄分をほとんど含まない銅品位70~80%程度の白カワが転炉内に残留する。上記の造カン期に続く造銅期では、転炉スラグの抜き出し後に残留する白カワに対して、再び空気又は酸素富化空気を吹き込んで白カワに含まれる硫化銅を酸化することで粗銅が生成される。
【0005】
ところで、上記の造カン工程では、熔体の形態で自熔炉から受け入れる熔ヒとも称する上記カワの他、固体の形態を有するカワである固ヒ、銅品位95%程度の二次原料としての故銅、銅品位10~50%程度で貴金属を多く含む銅滓・金銀滓等が転炉に投入されて上記熔ヒと同時に処理される。これら固ヒ、故銅、銅滓・金銀滓のうち、特に銅滓・金銀滓は転炉内で吸熱するので、転炉の炉内状況が変動して転炉スラグの粘度が高くなった場合は、銅滓・金銀滓の投入を控えなければならず、その間は銅滓・金銀滓の処理の機会が失われる。
【0006】
すなわち、転炉の造カン期で生成される転炉スラグの性状の粘度が高くなりすぎると、転炉を傾転したときに炉内の転炉スラグを炉口からレードルに向けて排出するのが困難になり、一部の転炉スラグが炉内に残留するので、その分だけ転炉内の熔体の液位が高くなって次工程の造銅期、又は次回のバッチ操業に悪影響を及ぼすおそれがある。例えば、熔体レベルの上昇の結果、羽口から供給する空気の送風による炉口からの熔体の飛散量が増加するため、羽口からの送風量を抑えざるを得なくなって転炉の操業効率が低下する問題や、炉内残留物の増加により炉内の有効容積が減少する問題が生じる。従って、転炉スラグの粘度が高くなると、転炉内の熔体の温度を上昇させて通常の粘度に回復させる必要があり、上記のように銅滓・金銀滓の処理が中断するので、転炉の炉内状況が大きく変動して転炉スラグの粘度が高くなりすぎないように調整する技術が求められている。
【0007】
従来、乾式銅製錬工程においてスラグの粘度を調整する場合は、スラグのFe/SiO

値を指標として管理する方法が採られることがあった。この方法は、スラグに含まれるSiO

の含有量に対するFeの含有量のモル比であるFe/SiO

値が所定の範囲内に収まるように、サンプリングした原料に含まれるFe量から適切なフラックス量を算出して炉内に投入するものである。
【0008】
例えば特許文献1には、自熔炉又は反射炉のスラグをサンプリングしてその構成成分を定量分析すると共に、その1250℃における粘度を測定し、得られたスラグ構成成分の定量値及びこれを用いて求めたモルベースのT.Fe/SiO

値(すなわち、SiO

のモル量に対する全Feのモル量)、並びに粘度の値を用いて回帰式を算定し、この回帰式を用いて所望の粘度となるような原料銅鉱石と溶剤の構成成分の重量比を求め、得られた重量比に応じて該自熔炉又は反射炉に溶剤を投入する技術が開示されている。これにより、スラグの流動性を高めることができるので、スラグ中に機械的に懸垂されるCuの含有率を下げることができると記載されており、具体的にはスラグのモルベースのT.Fe/SiO

値が1.0~1.4で且つAl



含有率が4~8wt%であれば、スラグの粘度を500mPa・s以下に抑え得ることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2002-146448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自熔炉のように、ほぼ一定の組成を有する銅精鉱を原料に用いて連続的に処理を行なう場合は、上記のようにスラグのFe/SiO

値に基づいてフラックスの投入量を求めることで、粘度に代表されるスラグの性状を安定化できると考えられるが、転炉の場合は前述したように複数回の造カン期と造銅期からなるバッチ操業で原料の処理を行なううえ、この原料には自熔炉から移送される熔ヒのほか、固ヒ、故銅、銅滓・金銀滓等が用いられるので原料全体の組成を正確に把握するのが困難であった。
(【0011】以降は省略されています)

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