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公開番号2025110595
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-29
出願番号2024004517
出願日2024-01-16
発明の名称ステンレス鋼材
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250722BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】超臨界腐食環境における優れた耐全面腐食性及び耐孔食性と、極低温環境における優れた低温靭性とを有するステンレス鋼材を提供する。
【解決手段】本開示によるステンレス鋼材は、明細書に記載の化学組成を有し、式(1)を満たし、降伏強度が758MPa以下であり、ミクロ組織が、体積率で25~80%のフェライト、10~35%の残留オーステナイト、及び、残部がマルテンサイトからなり、元素の含有量と、ミクロ組織の体積率とが、次の式(2)を満たす。
0.10≦Cu+W≦1.85 (1)
0.0350≦(Ni+1.5Co)/(Vγ+3.3Vα′) (2)
ここで、式(1)及び(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量が単位:質量%で代入される。式(2)中のVγには、ミクロ組織中の残留オーステナイトの体積率が単位:%で代入され、Vα′には、ミクロ組織中のマルテンサイトの体積率が単位:%で代入される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.050%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:16.50~20.50%、
Ni:4.00~9.00%、
Mo:1.50~6.00%、
Cu:0.01~1.80%、
Co:0.01~1.00%、
N:0.200%以下、
sol.Al:0.001~0.100%、
O:0.0200%以下、
W:0~1.80%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
B:0~0.0050%、
希土類元素:0~0.100%、
V:0~0.50%、
Ti:0~0.300%、
Nb:0~0.300%、
Zr:0~0.200%、
Sn:0~0.0100%、
As:0~0.0100%、
Zn:0~0.0100%、
Pb:0~0.0100%、
Sb:0~0.0100%、及び、
残部:Fe及び不純物からなり、
式(1)を満たし、
降伏強度が758MPa以下であり、
ミクロ組織が、体積率で25~80%のフェライト、10~35%の残留オーステナイト、及び、残部がマルテンサイトからなり、
前記元素の含有量と、前記ミクロ組織の体積率とが、式(2)を満たす、
ステンレス鋼材。
0.10≦Cu+W≦1.85 (1)
0.0350≦(Ni+1.5Co)/(Vγ+3.3Vα′) (2)
ここで、式(1)及び(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量が単位:質量%で代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。また、式(2)中のVγには、ミクロ組織中の残留オーステナイトの体積率が単位:%で代入され、式(2)中のVα′には、ミクロ組織中のマルテンサイトの体積率が単位:%で代入される。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
請求項1に記載のステンレス鋼材であって、
W:0.01~1.80%、
Ca:0.0001~0.0100%、
Mg:0.0001~0.0100%、
B:0.0001~0.0050%、
希土類元素:0.001~0.100%、
V:0.01~0.50%、
Ti:0.001~0.300%、
Nb:0.001~0.300%、
Zr:0.001~0.200%、
Sn:0.0001~0.0100%、
As:0.0001~0.0100%、
Zn:0.0001~0.0100%、
Pb:0.0001~0.0100%、及び、
Sb:0.0001~0.0100%、からなる群から選択される1元素以上を含有する、
ステンレス鋼材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ステンレス鋼材に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
現在、地上での二酸化炭素(CO

)の濃度上昇が世界的に問題となっている。そのため、CO

の排出を抑制する取り組みが進められてきている。このようなCO

の排出を抑制する取り組みの中で、特に、CCUSが注目されてきている。
【0003】
CCUSは、Carbon dioxide Capture,Utilization and Storageの略称である。すなわち、CCUSは、CO

の回収、利用、及び、貯留の3つの技術を含む。このうち、CO

を貯留する技術として、発電所や工場等の産業施設から排出されたCO

を回収し、枯渇油井にCO

を圧入して貯留する技術が注目されてきている。
【0004】
このようなCO

貯留技術に用いられるステンレス鋼材には、優れた耐食性が求められる。これまでに、優れた耐食性を有するステンレス鋼材が、特開2011-190521号公報(特許文献1)、及び、特開2012-149317号公報(特許文献2)に提案されている。
【0005】
特許文献1に記載のステンレス鋼材は、マルテンサイトステンレス鋼材であって、質量%で、C:0.003~0.03%、Si:0.01~1.0%、Mn:3.0~6.0%、P:0.05%以下、S:0.003%以下、Ni:1.0~3.0%、Cr:15.0~18.0%、Mo:0~1.0%、Cu:0~2.0%、Ti:0~0.05%、N:0.05%以下、Al:0.001~0.1%、О:0.005%以下、及び、C+N:0.060%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなり、γmax(=420×C%+470×N%+23×Ni%+9×Cu%+7×Mn%-11.5×Cr%-11.5×Si%-52×Al%+189)が80以上、γpot(=700×C%+800×N%+10×(Mn%+Cu%)+20×Ni%-9.3×Si%-6.2×Cr%-9.3×Mo%-74.4×Ti%-37.2×Al%+63.2)が60~90であることを特徴とする。このマルテンサイトステンレス鋼材は、溶接部の機械特性及び耐食性に優れる、と特許文献1には開示されている。
【0006】
特許文献2に記載のステンレス鋼材は、油井用高強度マルテンサイト系ステンレス継目無鋼管であって、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.1~2.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:15.5超~17.5%、Ni:2.5~5.5%、Mo:1.8~3.5%、Cu:0.3~3.5%、V:0.20%以下、Al:0.05%以下、N:0.06%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなり、降伏強度:655~862MPaと、降伏比:0.90以上とを有し、耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物孔食性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2011-190521号公報
特開2012-149317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の二酸化炭素(CO

)の貯留技術では、枯渇油井にCO

を注入するために、鋼管内に注入するCO

を圧縮及び昇圧して、CO

を超臨界状態にする。一方、発電所や工場等の産業施設から回収されたCO

には、SOx及びO

が含まれる場合がある。ここで、SOxとは、SO

に代表される硫黄酸化物の総称である。SOxは、水に溶解して酸性化合物(硫酸や亜硫酸等)を形成し、鋼材表面に全面腐食や孔食を発生させる。
【0009】
したがって、SOx及びO

が含まれた超臨界CO

は、極めて厳しい腐食環境を形成する。本明細書では、SOx及びO

が含まれた超臨界CO

によって形成される腐食環境を、「超臨界腐食環境」という。すなわち、超臨界腐食環境で使用される鋼材では、従来の腐食環境よりもさらに優れた耐全面腐食性及び耐孔食性が求められる。
【0010】
近年さらに、CO

の貯留時には鋼材に極低温環境での靭性が求められる場合がある。具体的に、貯留する二酸化炭素ガスの圧力変化が起こると、Joule-Thomson効果によって、貯留される気体の温度が低下する場合がある。この場合、鋼材には、通常の温度をはるかに下回る、-80℃という極低温環境での靭性が要求される場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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