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公開番号
2025112672
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-01
出願番号
2024007049
出願日
2024-01-19
発明の名称
摺動材料
出願人
大同メタル工業株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C22C
21/02 20060101AFI20250725BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】アルミニウム合金に対するSiの添加量を多くすると、Si濃度の比較的高い領域の占める面積が大きくなる。Si濃度の比較的高い領域は他の領域より相対的に硬質ではあるが、これに予定外の外力がかけられたとき、当該Si濃度が高い領域が起点となって割れの生じるおそれがある。
【解決手段】この発明の摺動材料は、Siが添加されたアルミニウム合金を備え、該アルミニウム合金に対する焼鈍を経た摺動材料であって、Siの添加量は7.0~12.6質量%であり、アルミニウム合金には、その観察視野において、Si濃度が17質量%以上のSiリッチ領域が5面積%以上に存在する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
Siが添加されたアルミニウム合金を備え、該アルミニウム合金に対する焼鈍を経た摺動材料であって、
前記Siの添加量は7.0~12.6質量%であり、
前記アルミニウム合金には、その観察視野においてSi濃度が17質量%以上のSiリッチ領域が5面積%以上に存在する、摺動材料。
続きを表示(約 540 文字)
【請求項2】
6質量%以下のSnが更に添加されている、請求項1に記載の摺動材料。
【請求項3】
請求項1に記載の摺動材料からなる摺動層を備えた摺動部材。
【請求項4】
Siの添加量を7.0~12.6質量%としたアルミニウム合金の溶湯を準備する準備工程と、
前記溶湯から板状のワークを鋳造する鋳造工程と、
前記板状のワークを圧延する圧延工程と、
圧延された前記ワークを焼鈍する焼鈍工程と、を備える摺動材料の製造方法であって、
前記焼鈍工程においてSi濃度が17質量%以上のSiリッチ領域を5面積%以上とする、摺動材料の製造方法。
【請求項5】
前記鋳造工程では、ロールキャスターを用いて前記板状のワークを形成する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記焼鈍工程の焼鈍温度は430℃~570℃である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記準備工程において、6質量%以下のSnを更に添加する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の摺動材料を板状に形成して、裏金層に圧延する圧延工程を含む摺動部材の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は摺動材料、特にアルミニウム合金製の摺動材料の改良に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
自動車の軸受等の摺動部材の最上層(摺動層)を軟質金属製の摺動材料で形成することがあり、かかる摺動材料として、錫(Sn)を含むアルミニウム(Al)合金にシリコン(Si)を添加したものが提案されている(特許文献1)
一般的に、アルミニウム合金には耐摩耗性向上のためSiが、なじみ性付与のためSnが添加される。
【0003】
アルミニウム合金中のSiを含む領域は他の領域に比べて硬質な領域となる。これが回転軸に接触した場合に回転軸の突起を滑らかにし、また、これが回転軸と接触することでアルミニウム合金の摩耗が避けられるため、いわゆる耐摩耗性にSiが寄与しているといえる。
近年の内燃機関用エンジンでの燃費向上のため、GO-STOPなどエンジンの起動停止が多く行われる。エンジン停止時は、エンジンオイルの油膜切れを生じ、回転軸と軸受は固体接触を生じるため、軸受摺動面の耐摩耗性が必要となる。既述のように、一般的にSiを多く含むことによって、耐摩耗性が向上する。
本願発明に関連する特許文献2~6も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭58-67841号公報
特開2014-196813号公報
特許第5437703号公報
特開2010-280980号公報
特開2012-246945号公報
特許第4072132公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
耐摩耗性の向上を図るため、単にSiの添加量を多くしたアルミニウム合金製の摺動材料で摺動層を形成したとき、次の課題があった。
アルミニウム合金に添加されたSiは、アルミニウム合金において均一に固溶するものではなく、アルミニウム合金中に析出したSi相を核としてSi濃度の比較的高い領域が点在する。ここに、アルミニウム合金に対するSiの添加量を多くすると、かかるSi濃度の比較的高い領域の占める面積が大きくなる。Si濃度の比較的高い領域は他の領域より相対的に硬質ではあるが、摺動層に予定外の外力がかけられたとき、当該Si濃度が高く硬質な領域が起点となって摺動層に割れの生じるおそれがある。
換言すれば、摺動材料に用いるアルミニウム合金にSiを添加する際には、当該摺動材料で形成される摺動層の摺動特性を満足するように、耐摩耗性と割れ抑制という二律背反を制御する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、Siの添加量はもとより、アルミニウム合金におけるSi濃度が比較的高い領域を調整することで、耐摩耗性と割れ抑制を最適化できることを見出した。
Siが添加されたアルミニウム合金を備え、該アルミニウム合金に対する焼鈍を経た摺動材料であって、
前記Siの添加量は7.0~12.6質量%であり、
前記アルミニウム合金には、その観察視野において、Si濃度が17質量%以上のSiリッチ領域が5面積%以上に存在する、摺動材料。
【0007】
このように規定される第1局面の摺動材料は、例えば自動車用の軸受に適用される摺動層を形成したとき、耐摩耗性と割れ抑制維持という、優れた摺動特性を備える。
Siの添加量は7.0~12.6質量%とすることが好ましい。Siの添加量をかかる範囲とすることで、摺動材料として好適な硬さと耐摩耗性とを確保できる。12.6質量%を超えるとアルミニウム合金は割れやすくなる。
アルミニウム合金中のSiリッチ領域のSi濃度を17質量%以上と規定したのは下記の理由による。
図1はSi濃度(質量%、以下同じ)とその硬さとの関係を示す。
【0008】
図1の結果より、Si濃度が17質量%を超えるとその硬さが飛躍的に増大することがわかる。
なお、図1のグラフは8質量%のSiを添加したアルミニウム合金の溶湯を、後述する実施例と同様に板状に鋳造し、圧延処理を行った後に、熱風乾燥炉において500℃×8時間の条件で焼鈍して試料を調製し、その試料断面をナノインデンター(SHIMADZU社製 型番DUH-211S)により縦軸の硬さHVを測定し、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)(日本電子株式会社社製 型番のJXA-8530F)により横軸のSi濃度を分析した。
【0009】
Si濃度が17質量%以上の領域即ちSiリッチ領域がアルミニウム合金中に占める割合を5面積%以上とすることで、摺動材料に十分な耐摩耗性を与えることができる。
Si濃度が17質量%以上であるSiリッチ領域の面積%の上限は、Siの添加量と焼鈍条件によって規定されることとなるが、例えば、焼鈍の条件を430~570℃、5~10時間とし、Siの添加量を7.0~12.6質量%としたとき、Siリッチ領域の面積%の上限は25面積%となる。
Siが17質量%以上の領域の面積%の測定方法については後述する。
【0010】
摺動材料のなじみ性を確保するためアルミニウム合金にはSnを添加することが好ましいことは従来から知られているが、本発明者らの検討によれば、Snを添加することにより、焼鈍によりSiの析出が促進される傾向にあることが分かった。換言すれば、焼鈍工程におけるエネルギー消費を削減し、製造コストを抑えても、Si濃度が17質量%以上であるSiリッチ領域の面積%を充分に得ることができる。
しかしながら、第1局面で規定される摺動材料においては、Snの添加量は6質量%以下とすることが好ましい。
Snの添加量を6質量%以下とすることで、摺動材料に所望の硬さが備えられて耐摩耗性を維持できる。また、割れも抑制できる。
(【0011】以降は省略されています)
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