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公開番号2024145542
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023057939
出願日2023-03-31
発明の名称高クロム鋳鉄
出願人古河機械金属株式会社
代理人個人
主分類C22C 37/06 20060101AFI20241004BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】耐摩耗性が向上した高クロム鋳鉄を提供する。
【解決手段】C、CrおよびFeを含む高クロム鋳鉄であって、前記Cの含有量が4.0質量%以上7.0質量%以下であり、前記Crの含有量が15.0質量%以上40.0質量%以下であり、前記Feの含有量が48.0質量%以上81.0質量%以下であり、共晶組織と、炭化物相を含む初晶組織とを含み、前記初晶組織の平均径が30μm以下である、高クロム鋳鉄。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
C、CrおよびFeを含む高クロム鋳鉄であって、
前記Cの含有量が4.0質量%以上7.0質量%以下であり、
前記Crの含有量が15.0質量%以上40.0質量%以下であり、
前記Feの含有量が48.0質量%以上81.0質量%以下であり、
共晶組織と、炭化物相を含む初晶組織とを含み、
下記方法1による、前記初晶組織の平均径が30μm以下である、高クロム鋳鉄。
(方法1)
前記高クロム鋳鉄を研磨することによって組織観察用試験片を作製し、次いで、前記組織観察用試験片の研磨面を電子顕微鏡(SEM)により観察し、次いで、得られたSEM写真を画像処理ソフトウェアにより解析することにより、前記初晶組織の平均径を求める。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記共晶組織が前記初晶組織を取り囲んでいる、請求項1に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項3】
下記方法2による、前記初晶組織の面積比率X

が30%以上である、請求項1または2に記載の高クロム鋳鉄。
(方法2)
前記高クロム鋳鉄を研磨することによって組織観察用試験片を作製し、次いで、前記組織観察用試験片の研磨面を電子顕微鏡(SEM)により観察し、次いで、得られたSEM写真を画像処理ソフトウェアにより解析することにより、前記初晶組織の面積比率X

を求める。
【請求項4】
前記Cの含有量が4.1質量%以上5.5質量%以下であり、前記Crの含有量が20.0質量%以上35.0質量%以下である、請求項1または2に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項5】
前記Cの含有量が4.2質量%以上5.0質量%以下であり、前記Crの含有量が23.0質量%以上32.0質量%以下である、請求項1または2に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項6】
前記Cの含有量が4.3質量%以上4.8質量%以下であり、前記Crの含有量が25.0質量%以上30.0質量%以下である、請求項1または2に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項7】
前記Feの含有量が55.0質量%以上76.0質量%以下である、請求項1または2に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項8】
SiおよびMnからなる群から選択される一種または二種の元素をさらに含む、請求項1または2に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項9】
前記Siの含有量が0質量%超え2.0質量%以下である、請求項8に記載の高クロム鋳鉄。
【請求項10】
前記Mnの含有量が0質量%超え5.0質量%以下である、請求項8に記載の高クロム鋳鉄。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高クロム鋳鉄に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
高クロム鋳鉄は、主要構成元素が鉄(Fe)、カーボン(C)、およびクロム(Cr)であり、高硬度の炭化物とそれを取り囲むマトリックス組織からなり、耐摩耗性に優れた材料である。
このような高クロム鋳鉄に関する技術としては、例えば、以下の特許文献1~5に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1(特開2001-49381号公報)には、C:3.8~4.5%、Si:1.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:10.0~20.0%、Mo:3.0~4.5%、W:3.0~4.0%、Nb:3.0~5.0%、(何れも重量%)および不可避的不純物の元素を含み残部が実質的にFeの高Cr鋳鉄よりなり、最適な熱処理温度で加熱保持した後、焼入れ処理を施してロックウェル硬度C(HRC)69またはショア硬度(Hs)100以上の高硬度を具えると共に、前記WおよびNbの炭化物形成作用により補正したC重量%とCr重量%の関係においてFe-Cr-C系の炭化物共晶線より常に低C側の亜共晶範囲に含まれることを特徴とする耐摩耗合金鋳鉄材が記載されている。
そして、特許文献1には、前記耐摩耗合金鋳鉄材が、本来の耐摩耗性向上については定評のある過共晶の範囲に入りながら、靭性を失わない亜共晶範囲とほぼ実質的に同じ靭性を保って、極めて高硬度のW、Nb炭化物を形成する効果と、比較的安定した亜共晶範囲の基地強度とを並立させ、かつ、微細なCr炭化物を分散析出させた理想的な耐摩耗部材を提供する効果があると記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2003-286537号公報)には、C2.4~3.5wt%、Si0.5~1.5wt%、Mn0.5~2.5wt%、Cr14~21wt%、Mo2~4wt%、Ni0.5~2.5wt%、および残部がFeと不可避不純物からなり、硬さ62~67HRC、残留応力-200~200MPaであることを特徴とする大物用高クロム鋳鉄鋳物が、耐用寿命を長くし、かつ、使用中の破損を防止し得ると記載されている。
【0005】
特許文献3(特開2008-75108号公報)には、質量%で、C:1.6~3%、Si:0.3~2%、Mn:0.3~2%、Cr:6~15%、Mo:2~8%、V:4~8%、Nb:0.5~4.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、焼入れ焼戻処理を施されてなることを特徴とする耐摩耗部材用鋳物によれば、従来の高クロム鋳鉄や高マンガン鋳鋼に比べて格段に優れた耐摩耗性を有し、さらに高クロム鋳鉄よりも高い強度と優れた靭性とを兼備する、耐摩耗部材用として好適な耐摩耗性鋳物を安価にしかも容易に製造でき、産業上格段の効果を奏すると記載されている。
【0006】
特許文献4(特開2012-219346号公報)には、マンガンの含有量が2.15重量%~3.5重量%である高クロム鋳鉄が、耐摩耗性を向上できると記載されている。
【0007】
特許文献5(特開2013-237904号公報)には、質量%でC3.0~3.4%、Si0.3~1.0%、Mn0.5~1.2%、Cr16~20%、Mo0.3~1.0%、5×Mo%≧Ni%≧2×Mo%、および残部がFeと不可避不純物からなり、製品肉厚が1~6インチであることを特徴とする高クロム耐摩耗鋳鉄が、Moの省資源、コストダウンを図ることができると共に、鋳物製品の内部まで均一な硬さとなるように焼入れすることが可能になったため、鋳物製品の耐久性が向上すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2001-49381号公報
特開2003-286537号公報
特開2008-75108号公報
特開2012-219346号公報
特開2013-237904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、耐摩耗性が向上した高クロム鋳鉄を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、C、CrおよびFeを特定の比率で含む高クロム鋳鉄であって、炭化物相を含む初晶組織の平均径が特定の範囲にあることにより、高クロム鋳鉄の耐摩耗性を向上できることを見出して、本発明を完成させた。
(【0011】以降は省略されています)

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