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公開番号
2024137052
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023048406
出願日
2023-03-24
発明の名称
鋼材
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
アセンド弁理士法人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20240927BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】高強度を有し、かつ、耐水素脆性に優れた鋼材を提供する。
【解決手段】本開示による鋼材は、質量%で、C:0.15~0.50%、Si:0.05~0.50%、Mn:0.01~1.00%、P:0.0300%以下、S:0.0100%以下、Cr:0.20~1.20%、Mo:0.40~1.50%、Ti:0.0010~0.0300%、V:0.01~0.50%、Nb:0.0050~0.1000%、Al:0.0050~0.1000%、B:0.0001~0.0050%、N:0.0100%以下、及び、O:0.0050%以下、を含有し、残部はFe及び不純物からなり、マルテンサイト及びベイナイトの総面積率が90%以上であり、旧オーステナイト粒の結晶粒径が15.0μm以下であり、粒界でのMo偏析量[Mo]
SEG
及びMn偏析量[Mn]
SEG
が次式を満たす。
[Mo]
SEG
-[Mn]
SEG
>8.00
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.15~0.50%、
Si:0.05~0.50%、
Mn:0.01~1.00%、
P:0.0300%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:0.20~1.20%、
Mo:0.40~1.50%、
Ti:0.0010~0.0300%、
V:0.01~0.50%、
Nb:0.0050~0.1000%、
Al:0.0050~0.1000%、
B:0.0001~0.0050%、
N:0.0100%以下、
O:0.0050%以下、
W:0~2.00%、
Co:0~0.20%、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.50%、
Sn:0~0.50%、
Mg:0~0.0100%、
Ca:0~0.0100%、
希土類元素:0~0.0100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
マルテンサイト及びベイナイトの総面積率が90%以上であり、
降伏強度が758~965MPa未満であり、
旧オーステナイト粒の結晶粒径が15.0μm以下であり、
旧オーステナイト粒の結晶粒界を中心とし前記結晶粒界と直交する10nmの線分SLの一方の端点をE1、他方の端点をE2と定義し、
前記線分SLの前記端点E1から前記端点E2まで0.2nmピッチで配置される各測定点で、エネルギー分散型X線分光法による元素分析により、前記線分SL上の前記各測定点でのMo含有量(質量%)及びMn含有量(質量%)を求め、
前記線分SLにおいて、
前記線分SLでのMo含有量が最大の測定点をMoピーク測定点と定義し、
前記Moピーク測定点を中心とした2.0nm幅の領域を、Mo偏析領域と定義し、
前記端点E1と前記Mo偏析領域との間の領域を、第1Mo粒内領域と定義し、
前記端点E2と前記Mo偏析領域との間の領域を、第2Mo粒内領域と定義し、
前記第1Mo粒内領域内の全ての前記測定点でのMo含有量の算術平均値を、[Mo]
BM1
(質量%)と定義し、
前記第2Mo粒内領域内の全ての前記測定点でのMo含有量の算術平均値を、[Mo]
BM2
(質量%)と定義し、
前記線分SLにおいて、
前記線分SLでのMn含有量が最大の測定点をMnピーク測定点と定義し、
前記Mnピーク測定点を中心とした2.0nm幅の領域を、Mn偏析領域と定義し、
前記端点E1と前記Mn偏析領域との間の領域を、第1Mn粒内領域と定義し、
前記端点E2と前記Mn偏析領域との間の領域を、第2Mn粒内領域と定義し、
前記第1Mn粒内領域内の全ての前記測定点でのMn含有量の算術平均値を、[Mn]
BM1
(質量%)と定義し、
前記第2Mn粒内領域内の全ての前記測定点でのMn含有量の算術平均値を、[Mn]
BM2
(質量%)と定義したとき、
式(1)で定義されるMo偏析量[Mo]
SEG
と、式(2)で定義されるMn偏析量[Mn]
SEG
続きを表示(約 440 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、
W:0.01~2.00%、
Co:0.01~0.20%、
Cu:0.01~0.50%、
Ni:0.01~0.50%、
Sn:0.01~0.50%、
Mg:0.0001~0.0100%、
Ca:0.0001~0.0100%、及び、
希土類元素:0.0001~0.0100%、
からなる群から選択される1元素以上を含有する、
鋼材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鋼材であって、
前記鋼材は、油井用鋼管、ラインパイプ用鋼管、及び、高圧水素蓄圧器用鋼管のいずれかである、
鋼材。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の鋼材であって、
前記鋼材は、油井用継目無鋼管、ラインパイプ用継目無鋼管、及び、高圧水素蓄圧器用継目無鋼管のいずれかである、
鋼材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は鋼材に関し、さらに詳しくは、サワー環境で使用される鋼材に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)
【背景技術】
【0002】
油井やガス井(以下、油井及びガス井を総称して「油井」という)の中には、腐食性物質を多く含有する環境がある。腐食性物質は例えば、硫化水素等の腐食性ガス等である。本明細書において、硫化水素を含有する環境を「サワー環境」という。サワー環境の温度は、井戸の深さにもよるが、常温~200℃程度である。
【0003】
このようなサワー環境で使用される鋼材として、例えば、油井管として適用される、油井用鋼管や、ラインパイプとして適用される、ラインパイプ用鋼管等がある。このようなサワー環境で使用される鋼材では、高い強度が求められる。
【0004】
サワー環境で使用される鋼材ではさらに、腐食性物質との接触により、電気化学反応が起こり、鋼材表面に水素が発生する。この水素に起因して、鋼材に、硫化物応力腐食割れ(SSC)に代表される水素脆化割れが発生しやすい。したがって、サワー環境で使用される鋼材では、高い強度とともに、優れた耐水素脆性が求められる。
【0005】
サワー環境で使用される鋼材において耐水素脆性を高める技術が、特開2011-246798号公報(特許文献1)、及び、特開2015-38247号公報(特許文献2)に開示されている。
【0006】
特許文献1では、低合金鋼からなる油井用鋼管において、所定量の固溶Moを確保し、旧オーステナイト粒を微細化し、M
2
C型析出物を分散させる。これにより、耐SSC性を高めている。特許文献1ではさらに、旧オーステナイト粒界にMo偏析領域を形成することにより、耐水素脆性をさらに高めている。
【0007】
特許文献2では、低合金鋼からなる油井用鋼管において、Mo偏析領域をなるべく抑制することにより、耐水素脆性を高めている。
【0008】
さらに最近では、水素を燃料として走行する燃料電池自動車の開発、及び、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションの実用化が進められている。水素ステーションに設置される高圧水素蓄圧器には、高圧の水素ガスが貯蔵される。また、燃料電池自動車として、高圧水素蓄圧器を搭載した自動車の開発も進められている。このような高圧水素蓄圧器に利用される鋼材も、高い強度とともに、優れた耐水素脆性が求められる。
【0009】
高圧水素蓄圧器用途の鋼材において耐水素脆性を高める技術は、特開2009-74122号公報(特許文献3)に提案されている。特許文献3では、低合金鋼からなる鋼材において、V含有量及びMo含有量を従来よりも高めることにより、旧オーステナイト粒界の炭化物の形態を改善し、耐水素脆性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2011-246798号公報
特開2015-38247号公報
特開2009-74122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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