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公開番号2024148436
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023061558
出願日2023-04-05
発明の名称鋼材
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20241010BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】優れた伸線加工性及び耐緩み性が得られる鋼材を提供する。
【解決手段】本開示の鋼材は、質量%で、C:0.15~0.55%、Si:0.01~0.40%、Mn:0.20~1.80%、Cr:0.01~1.80%、Al:0.005~0.100%、及び、N:0.001~0.020%、を含有し、特定元素濃度Xを式(1A)とし、断面全体での特定元素濃度XをXaveとし、最大偏析部の特定元素濃度XをXmaxとし、断面の中心部の特定元素濃度XをXctrとしたとき、式(2)の全体偏析度Stotが0.02~0.30であり、式(3)の中心偏析度Sctrが0.02~0.30であり、鋼材の表面から最大偏析部までの最短距離が0.30D~0.48Dである。
X=C+Si/20+Mn/5+Cr/5(1A)
Stot=(Xmax-Xave)/Xave(2)
Sctr=(Xmax-Xctr)/Xctr(3)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
軸方向に垂直な断面が直径Dの円形状である鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.15~0.55%、
Si:0.01~0.40%、
Mn:0.20~1.80%、
P:0.030%以下、
S:0.040%以下、
Cr:0.01~1.80%、
Al:0.005~0.100%、及び、
N:0.001~0.020%、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
特定元素濃度Xを式(1A)とし、
前記断面全体での特定元素濃度XをXaveとし、
前記断面の最大偏析部の前記特定元素濃度XをXmaxとし、
前記断面の中心部の前記特定元素濃度XをXctrとしたとき、
式(2)で定義される全体偏析度Stotが0.02~0.30であり、
式(3)で定義される中心偏析度Sctrが0.02~0.30であり、
前記断面において、前記鋼材の表面から前記最大偏析部までの径方向の最短距離が0.30D~0.48Dである、
鋼材。
X=C+Si/20+Mn/5+Cr/5 (1A)
Stot=(Xmax-Xave)/Xave (2)
Sctr=(Xmax-Xctr)/Xctr (3)
ここで、式(1A)中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
軸方向に垂直な断面が直径Dの円形状である鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.15~0.55%、
Si:0.01~0.40%、
Mn:0.20~1.80%、
P:0.030%以下、
S:0.040%以下、
Cr:0.01~1.80%、
Al:0.005~0.100%、及び、
N:0.001~0.020%、を含有し、
さらに、第1群~第3群からなる群から選択される1種以上を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
特定元素濃度Xを式(1)とし、
前記断面全体での特定元素濃度XをXaveとし、
前記断面の最大偏析部の前記特定元素濃度XをXmaxとし、
前記断面の中心部の前記特定元素濃度XをXctrとしたとき、
式(2)で定義される全体偏析度Stotが0.02~0.30であり、
式(3)で定義される中心偏析度Sctrが0.02~0.30であり、
前記断面において、前記鋼材の表面から前記最大偏析部までの径方向の最短距離が0.30D~0.48Dである、
鋼材。
[第1群]
Cu:0.40%以下、
Ni:0.40%以下、
Mo:0.80%以下、
V:0.80%以下、及び、
B:0.0100%以下、からなる群から選択される1種以上
[第2群]
Ti:0.100%以下、及び、
Nb:0.100%以下、からなる群から選択される1種以上
[第3群]
Ca:0.010%以下、
Bi:0.300%以下、
Te:0.300%以下、
Zr:0.300%以下、及び、
Pb:0.090%以下、からなる群から選択される1種以上
X=C+Si/20+Mn/5+Cr/5+Mo/5 (1)
Stot=(Xmax-Xave)/Xave (2)
Sctr=(Xmax-Xctr)/Xctr (3)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。なお、対応する元素が含有されない場合、対応する元素記号には「0」が代入される。
【請求項3】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第1群を含有する、
鋼材。
【請求項4】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第2群を含有する、
鋼材。
【請求項5】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第3群を含有する、
鋼材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は鋼材に関し、さらに詳しくは、ボルトの素材に適した鋼材に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
ボルトは、自動車や産業機械等の機械構造物や、橋梁に代表される土木建築物等に利用される。ボルトの素材となる鋼材は次の製造工程で製造される。成分を調整した溶鋼を、円形又は角形の鋳型に流し込み、鋳片を製造する。鋳片を熱間加工し、軸方向に垂直な断面が円形状の鋼材(棒鋼又は線材)を製造する。また、鋼材を素材とするボルトは次の製造工程で製造される。鋼材に対して伸線加工(冷間引抜加工)を実施する。伸線加工後の鋼材に対して熱間鍛造又は冷間鍛造を実施して、ボルト頭部を含む素形材を成形する。素形材に対してねじ加工(切削又は転造)を実施して、ボルトのねじ部を形成する。以上の製造工程により、ボルトが製造される。なお、特に高い強度が求められるボルトでは、ねじ加工後に焼入れ焼戻しなどの熱処理が実施される。
【0003】
従来から、ボルトの素材に適した鋼材に関する検討がされている。ボルトの素材に適した鋼材は例えば、特開平11-012689号公報(特許文献1)、特開2000-204433号公報(特許文献2)に提案されている。
【0004】
特許文献1に開示された鋼材は、C:0.20~0.40重量%、Mn:0.05~3.2重量%、及びSi:0.001~0.15重量%を含有し、フェライト分率が(1-[C%]/0.4)×100以下である。特許文献1の鋼材は、フェライト分率をC含有量に応じて調整することにより、ボルトの強度を高める。
【0005】
特許文献2に開示された鋼材は、C:0.002~0.85%、sol.Al:0.1%以下、N:0.015%以下を含有し、さらに、Cr:2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、Nb:0.1%以下、V:0.2%以下、Zr:0.1%以下、及び、Mo:0.3%以下からなる群から選択される1種以上を含有し、内部摩擦試験における炭素のピーク高さが2.0×10
-4
以下、及び窒素のピーク高さが1.7×10
-4
以下である。特許文献2の鋼材は、上記構成を満たすことにより、冷間加工性を高める。
【0006】
ところで、機械構造物や土木建築物などに締結されたボルトは、締結後に振動等を受ける。振動等を継続的に受けた場合、締結されたボルトが緩んで締結軸力が低下する場合がある。最近では機械構造物や土木建築物の軽量化が進んでいる。軽量化に伴う剛性の低下を抑制するため、締結がより緩みにくいボルトが要求されている。以降の説明では、ボルト締結が緩みにくい特性を、「耐緩み性」と称する。
【0007】
ボルトの耐緩み性を向上するための技術が、国際公開第2010/092817号(特許文献3)に提案されている。特許文献3では、ボルトのねじ部の形状を調整することにより、耐緩み性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平11-012689号公報
特開2000-204433号公報
国際公開第2010/092817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のとおり、ボルトの素材に適用される鋼材では、伸線加工が実施される。そのため、ボルトの素材となる鋼材には、優れた伸線加工性が求められる。特許文献1及び特許文献2では、伸線加工性に関する検討はされていない。また、特許文献3では、ボルトのねじ部の形状を調整してボルトの耐緩み性を高めている。しかしながら、ボルトの素材となる鋼材の段階で、ボルトの耐緩み性を高める検討はされていない。
【0010】
本開示の目的は、優れた伸線加工性が得られ、素材として製造されたボルトにおいて、優れた耐緩み性が得られる、鋼材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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