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公開番号2024148780
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023062216
出願日2023-04-06
発明の名称鋼材
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20241010BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】非磁性特性を有し、優れた曲げ加工性が得られ、かつ、加工時の切り屑処理性を高める鋼材を提供する。
【解決手段】本開示の鋼材は、質量%で、C:0.75~1.10%、Si:0.10~0.70%、Mn:11.00~18.00%、P:0.050%以下、S:0.010~0.070%、及び、N:0.005~0.024%、を含有し、残部はFe及び不純物からなり、鋼材の直径をDとしたとき、鋼材の軸方向に平行な断面のうち鋼材の表面から径方向にD/4深さ位置において、MnSを面積率で70%以上含有し、円相当径が1.0~5.0μmであるMn硫化物の1mm2当たりの個数が1.0×102~5.0×103個である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.75~1.10%、
Si:0.10~0.70%、
Mn:11.00~18.00%、
P:0.050%以下、
S:0.010~0.070%、及び、
N:0.005~0.024%、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
前記鋼材の直径をDとしたとき、前記鋼材の軸方向に平行な断面のうち前記鋼材の表面から径方向にD/4深さ位置において、MnSを面積率で70%以上含有し、円相当径が1.0~5.0μmであるMn硫化物の1mm

当たりの個数が1.0×10

~5.0×10

個である、
鋼材。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.75~1.10%、
Si:0.10~0.70%、
Mn:11.00~18.00%、
P:0.050%以下、
S:0.010~0.070%、及び、
N:0.005~0.024%、を含有し、
さらに、第1群~第4群からなる群から選択される1種以上を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
前記鋼材の直径をDとしたとき、前記鋼材の軸方向に平行な断面のうち前記鋼材の表面から径方向にD/4深さ位置において、MnSを面積率で70%以上含有し、円相当径が1.0~5.0μmであるMn硫化物の1mm

当たりの個数が1.0×10

~5.0×10

個である、
鋼材。
[第1群]
Cu:0.40%以下、及び、
Ni:0.40%以下、からなる群から選択される1種以上
[第2群]
Cr:1.50%以下、
V:0.25%以下、
Ti:0.100%以下、
Mo:1.00%以下、
Al:0.100%以下、及び、
Nb:0.050%以下、からなる群から選択される1種以上
[第3群]
B:0.0050%以下
[第4群]
Bi:0.20%以下、
Pb:0.09%以下、及び、
Ca:0.0100%以下、からなる群から選択される1種以上
【請求項3】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第1群を含有する、
鋼材。
【請求項4】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第2群を含有する、
鋼材。
【請求項5】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第3群を含有する、
鋼材。
【請求項6】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記化学組成は、前記第4群を含有する、
鋼材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼材に関し、さらに好ましくは、磁場環境での使用に適し、非磁性特性が求められる鋼材に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
リニアモーターカーの関連設備のような強磁場や、医療機器や地磁気測定機等の微弱磁場等の磁場環境で用いられる鋼材では、誘導電流の励起に起因したエネルギー損失やノイズの発生を抑制するため、非磁性特性(低い透磁率)が求められる。
【0003】
面心立方構造(fcc)の鋼材は、非磁性特性を有することが知られている。このような非磁性特性を有する面心立方構造の鋼材として、SUS304及びSUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼材、及び、Mnを多量に含有する高Mn鋼材が知られている。これらの鋼材のうち、オーステナイト系ステンレス鋼材は、Ni及びCr等の合金元素を多量に含有しており、高価である。そのため、非磁性特性を有する鋼材として、高Mn鋼材の利用が進んでいる。
【0004】
ところで、上述の用途の鋼材は、通常、切断加工や、曲げ加工が施された後、磁場環境に利用される。そのため、これらの鋼材では優れた非磁性特性だけでなく、優れた曲げ加工性も求められる。
【0005】
非磁性特性を有する鋼材の曲げ加工性を高める技術が、特開平3-13544号公報(特許文献1)及び特開2014-205908号公報(特許文献2)に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示された鋼材は、質量%で、C:0.55~0.80%、Si:0.5%以下、Mn:11~17%、Al:0.02~0.06%、N:0.02~0.06%、及び、P:0.02%以下、を含有し、残部はFe及び不可避的な不純物からなる化学組成を有する。特許文献1では、鋼材のC含有量を低く抑えることで曲げ加工性を高め、Al及びNを含有することで鋼材の強度を確保している。
【0007】
特許文献2に開示された鋼材は、質量%で、C:0.8~1.2%、Si:0.1~0.6%、Mn:13超~20%、Al:0.001~0.02%未満、P:0.040%以下、S:0.045%以下、及び、N:0.025~0.05%、を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなる。さらに、ミクロ組織の99.0面積%以上がオーステナイト組織であり、オーステナイト結晶粒度番号が8.0~10.5である。さらに、鋼表面にMn及びCrの少なくとも1種を含有し、厚み0.5から8.0μmの酸化スケールを有する。特許文献2では、オーステナイト結晶粒を所定の範囲とすることで常温での曲げ加工性を高め、さらに、上述の酸化スケールを形成することで、低温での曲げ加工性を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平3-13544号公報
特開2014-205908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、磁場環境に利用される鋼材は、上述のとおり、曲げ加工が施されるだけでなく、切断加工が施されて、所定の長さに切断される。切断加工が施された後、長期間経過後の鋼材において、非磁性特性が損失する場合があることを、本発明者らは初めて知見した。切断加工後の鋼材において、長期間経過後に非磁性特性が劣化する原因について、本発明者らは調査及び検討した。その結果、次のメカニズムにより、非磁性特性が劣化することが判明した。
【0010】
高Mn鋼材に対して切断加工を施す場合、バリ等の切り屑が長すぎることにより、鋼材から剥離せずに鋼材に残存する場合がある。切り屑が鋼材から剥離せずに残存する場合、剥離しきれない切り屑の近傍部分では塑性変形が生じ、過剰なひずみが導入される場合がある。このひずみの導入により、長期間経過後に加工誘起マルテンサイト変態が生じて、鋼材に局所的にマルテンサイトが生成する。マルテンサイトは強磁性を有するため、鋼材の非磁性特性が劣化する。
(【0011】以降は省略されています)

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