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公開番号2025096184
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2024209424
出願日2024-12-02
発明の名称有価物の回収方法
出願人DOWAエコシステム株式会社
代理人個人,個人
主分類C22B 26/12 20060101AFI20250619BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】リチウムイオン二次電池から亜鉛品位10ppm未満かつマンガン品位10ppm未満かつマグネシウム品位10ppm未満である高品質な炭酸リチウムを簡易的なプロセスで回収できる有価物の回収方法の提供。
【解決手段】リチウムイオン二次電池から亜鉛品位10ppm未満かつマンガン品位10ppm未満かつマグネシウム品位10ppm未満である炭酸リチウムを回収する有価物の回収方法は、リチウムイオン二次電池を熱処理する熱処理工程と、熱処理物を破砕した破砕物を分級する破砕・分級工程と、細粒産物をスラリーとするスラリー化工程と、湿式磁選工程と、非磁着物スラリー及び/又は非磁着物スラリーを固液分離して得た非磁着物に硫酸を添加して非磁着物を浸出する酸浸出工程と、酸浸出液をpH9.6以上11.5未満に中和する中和工程と、中和工程で得られた液を固液分離する中和ケーク固液分離工程とを含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
リチウムイオン二次電池から亜鉛品位10ppm未満かつマンガン品位10ppm未満かつマグネシウム品位10ppm未満である炭酸リチウムを回収する有価物の回収方法であって、
前記リチウムイオン二次電池を660℃以上の温度で熱処理することにより、熱処理物を得る熱処理工程と、
前記熱処理物を破砕した破砕物を分級することにより、前記有価物を含む、粗粒産物と細粒産物とを得る破砕・分級工程と、
前記細粒産物を水に浸けることにより細粒産物スラリーとするスラリー化工程と、
前記細粒産物スラリーを湿式磁選することにより、磁着物と非磁着物スラリーとに選別する湿式磁選工程と、
前記非磁着物スラリー及び/又は前記非磁着物スラリーを固液分離して得た非磁着物に硫酸を添加し、pHを0以上3.5以下として非磁着物を浸出した後に固液分離して酸浸出液と酸浸出残渣を得る酸浸出工程と、
前記酸浸出液をpH9.6以上11.5未満に中和する中和工程と、
前記中和工程で得られた液を固液分離する中和ケーク固液分離工程と、
を含むことを特徴とする有価物の回収方法。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記中和工程において、pH9.6以上11.0以下に中和する、請求項1に記載の有価物の回収方法。
【請求項3】
前記中和工程において、pH9.7以上10.9以下に中和する、請求項1に記載の有価物の回収方法。
【請求項4】
前記中和ケーク固液分離工程で得られた液に対してCO

を添加する炭酸カルシウム晶析工程と、
前記炭酸カルシウム晶析工程で得られた液を固液分離する炭酸カルシウム固液分離工程と、
を含む、請求項1に記載の有価物の回収方法。
【請求項5】
前記炭酸カルシウム晶析工程におけるCO

の添加量が、前記中和ケーク固液分離工程で得られた液のカルシウムイオンに対するモル比で0.1以上、かつリチウムイオンに対するモル比で0.5以下である、請求項4に記載の有価物の回収方法。
【請求項6】
前記炭酸カルシウム固液分離工程後に、炭酸カルシウム固液分離工程で得られた液に含まれるリチウムを電気透析により濃縮する濃縮工程を含む、請求項4に記載の有価物の回収方法。
【請求項7】
前記炭酸カルシウム固液分離工程後に、キレート樹脂によりカルシウムを吸着除去するカルシウム吸着除去工程を含む、請求項4に記載の有価物の回収方法。
【請求項8】
前記キレート樹脂がイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂である、請求項7に記載の有価物の回収方法。
【請求項9】
前記中和工程の中和剤に水酸化カルシウムを用いる、請求項1に記載の有価物の回収方法。
【請求項10】
前記炭酸リチウムの硫酸品位及びナトリウム品位がいずれも0.5質量%以下である、請求項1から9のいずれかに記載の有価物の回収方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池からの有価物の回収方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、従来の鉛蓄電池、ニッカド二次電池などに比較して軽量、高容量、高起電力の二次電池であり、パソコン、電気自動車、携帯機器などの二次電池として使用されている。例えば、リチウムイオン二次電池の正極には、コバルト及びニッケルなどの有価物が、コバルト酸リチウム(LiCoO

)、三元系正極材(LiNi

Co

Mn



(x+y+z=1))などとして使用されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、今後も使用の拡大が予想されていることから、製造過程で発生した不良品又は使用機器及び電池の寿命などに伴い廃棄されるリチウムイオン二次電池からリチウムなどの有価物を回収することが、資源リサイクルの観点から望まれている。リチウムイオン二次電池からリチウムなどの有価物を回収する際には、リチウムイオン二次電池に使用されている種々の金属又は不純物を分離して回収することが、回収物の価値を高める点から重要である。
【0004】
リチウムイオン二次電池からホウ素品位1ppm未満かつカルシウム品位100ppm以下である炭酸リチウムを回収する有価物の回収方法であって、前記リチウムイオン二次電池を660℃以上の温度で熱処理することにより、熱処理物を得る熱処理工程と、前記熱処理物を破砕した破砕物を分級することにより、前記有価物を含む、粗粒産物と細粒産物とを得る破砕・分級工程と、前記細粒産物を水に浸けることにより細粒産物スラリーとするスラリー化工程と、前記細粒産物スラリーを湿式磁選することにより、磁着物と非磁着物スラリーとに選別する湿式磁選工程と、前記非磁着物スラリーおよび/又は前記非磁着物スラリーを固液分離して得た非磁着物に硫酸を添加し、pHを0以上3.5以下として非磁着物を浸出した後に固液分離して酸浸出液と酸浸出残渣を得る酸浸出工程と、前記酸浸出液を水酸化カルシウムで中和する中和工程と、前記中和工程で得られた液を固液分離する中和ケーク固液分離工程と、前記中和ケーク固液分離工程で得られた液に対してCO

を添加する炭酸カルシウム晶析工程と、前記炭酸カルシウム晶析工程で得られた液を固液分離する炭酸カルシウム固液分離工程と、前記炭酸カルシウム固液分離工程後に、キレート樹脂によりカルシウムを吸着除去するカルシウム吸着除去工程と、を含むことを特徴とする有価物の回収方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓から、リチウムを回収する方法であって、アルミン酸リチウムを含有する前記電池滓を、酸性溶液中に浸出させる浸出工程と、浸出工程で得られる浸出後液のpHを上昇させて中和するとともに固液分離して、リチウム溶解液を得る中和工程とを含むリチウム回収方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
また、炭酸リチウムから水酸化リチウムを製造する方法であって、前記炭酸リチウムを水酸化カルシウムと液中で反応させ、水酸化リチウム溶液を得る水酸化工程と、陽イオン交換樹脂及び/又はキレート樹脂を用いて、前記水酸化リチウム溶液中のカルシウムイオンを除去するカルシウム除去工程と、カルシウム除去工程を経た水酸化リチウム溶液で水酸化リチウムを析出させる晶析工程とを含む、水酸化リチウムの製造方法が提案されている(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2023-106309号公報
特開2019-160429号公報
特開2021-172537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、回収した炭酸リチウム中の亜鉛品位が10ppm以上となる場合がある。リチウムイオン二次電池を焙焼して得られる電池滓には、電池パック又はモジュールの外装部材のめっきに由来すると推察される亜鉛、リチウムイオン電池パック・モジュール・セルの部材に微量含まれるマグネシウム、及び正極活物質に由来するマンガンが含まれ、電池滓を酸浸出した場合、ほとんど全量が酸性溶液に移行することを本発明者は知見した。この酸性溶液から回収した炭酸リチウムには、亜鉛、マンガン、及びマグネシウムが含まれ、これが炭酸リチウムをリチウムイオン二次電池等の材料に再使用する際に比容量やサイクル特性の低下を招くことを本発明者は知見した。
上記特許文献2の従来技術では、中和工程でマグネシウム及びマンガンがリチウム溶解液に残存する場合があり、リチウム溶解液から回収した炭酸リチウム中のマグネシウム及びマンガン品位が10ppm以上となる場合がある。
上記特許文献3の従来技術では、マンガンを除去するのに溶媒抽出工程を必要とし、高コストで複雑な処理プロセスが必要となる。
【0009】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、リチウムイオン二次電池から亜鉛品位10ppm未満かつマンガン品位10ppm未満かつマグネシウム品位10ppm未満である高品質な炭酸リチウムを簡易的なプロセスで回収できる有価物の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> リチウムイオン二次電池から亜鉛品位10ppm未満かつマンガン品位10ppm未満かつマグネシウム品位10ppm未満である炭酸リチウムを回収する有価物の回収方法であって、
前記リチウムイオン二次電池を660℃以上の温度で熱処理することにより、熱処理物を得る熱処理工程と、
前記熱処理物を破砕した破砕物を分級することにより、前記有価物を含む、粗粒産物と細粒産物とを得る破砕・分級工程と、
前記細粒産物を水に浸けることにより細粒産物スラリーとするスラリー化工程と、
前記細粒産物スラリーを湿式磁選することにより、磁着物と非磁着物スラリーとに選別する湿式磁選工程と、
前記非磁着物スラリー及び/又は前記非磁着物スラリーを固液分離して得た非磁着物に硫酸を添加し、pHを0以上3.5以下として非磁着物を浸出した後に固液分離して酸浸出液と酸浸出残渣を得る酸浸出工程と、
前記酸浸出液をpH9.6以上11.5未満に中和する中和工程と、
前記中和工程で得られた液を固液分離する中和ケーク固液分離工程と、
を含むことを特徴とする有価物の回収方法である。
<2> 前記中和工程において、pH9.6以上11.0以下に中和する、前記<1>に記載の有価物の回収方法である。
<3> 前記中和工程において、pH9.7以上10.9以下に中和する、前記<1>に記載の有価物の回収方法である。
<4> 前記中和ケーク固液分離工程で得られた液に対してCO

を添加する炭酸カルシウム晶析工程と、
前記炭酸カルシウム晶析工程で得られた液を固液分離する炭酸カルシウム固液分離工程と、
を含む、前記<1>に記載の有価物の回収方法である。
<5> 前記炭酸カルシウム晶析工程におけるCO

の添加量が、前記中和ケーク固液分離工程で得られた液のカルシウムイオンに対するモル比で0.1以上、かつリチウムイオンに対するモル比で0.5以下である、前記<4>に記載の有価物の回収方法である。
<6> 前記炭酸カルシウム固液分離工程後に、炭酸カルシウム固液分離工程後で得られた液に含まれるリチウムを電気透析により濃縮する濃縮工程を含む、前記<4>に記載の有価物の回収方法である。
<7> 前記炭酸カルシウム固液分離工程後に、キレート樹脂によりカルシウムを吸着除去するカルシウム吸着除去工程を含む、前記<4>に記載の有価物の回収方法である。
<8> 前記キレート樹脂がイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂である、前記<7>に記載の有価物の回収方法である。
<9> 前記中和工程の中和剤に水酸化カルシウムを用いる、前記<1>に記載の有価物の回収方法である。
<10> 前記炭酸リチウムの硫酸品位及びナトリウム品位がいずれも0.5質量%以下である、前記<1>から<9>のいずれかに記載の有価物の回収方法である。
<11> 前記炭酸リチウムのカリウム品位が50ppm以下である、前記<1>から<9>のいずれかに記載の有価物の回収方法である。
<12> 前記炭酸リチウムのホウ素品位が1ppm未満である、前記<1>から<9>のいずれかに記載の有価物の回収方法である。
<13> 前記リチウムイオン二次電池がリチウムイオン電池パック又はリチウムイオン電池モジュールである、前記<1>から<9>のいずれかに記載の有価物の回収方法である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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