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公開番号
2024118129
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-30
出願番号
2023024388
出願日
2023-02-20
発明の名称
鋼矢板
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
弁理士法人ブライタス
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20240823BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】強度と延性とに優れる鋼矢板を提供する。
【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.180%超0.250%以下、Si:0.10~0.31%、Mn:1.30~1.70%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Nb:0.015~0.050%、Al:0.010~0.050%、N:0.0020~0.0060%、残部:Feおよび不純物であり、金属組織がフェライトを含み、残部はパーライト、ベイナイトおよびMAから選択される一種以上を含み、ベイナイトおよびMAの合計面積率が40%未満であり、フェライトの平均結晶粒径が5.0μm以上であり、TSが490~680MPaであり、YSが390MPa以上であり、ELが16.0%以上である、鋼矢板。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
化学組成が、質量%で、
C:0.180%超0.250%以下、
Si:0.10~0.31%、
Mn:1.30~1.70%、
P:0.030%以下、
S:0.030%以下、
Nb:0.015~0.050%、
Al:0.010~0.050%、
N:0.0020~0.0060%、
残部:Feおよび不純物であり、
ウェブ部における凸部上面の直線部分の幅をwとしたとき、直線部分の一端から1/6wの位置で、かつ圧延方向と板厚方向とを含む面におけるウェブ部の凸部側1/4tの位置において、
金属組織がフェライトを含み、残部はパーライト、ベイナイトおよびMAから選択される一種以上を含み、
ベイナイトおよびMAの合計面積率が40%未満であり、
フェライトの平均結晶粒径が5.0μm以上であり、
TSが490~680MPaであり、YSが390MPa以上であり、ELが16.0%以上である、鋼矢板。
続きを表示(約 640 文字)
【請求項2】
前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ti:0.020%以下、
Cu:0.20%以下、
Ni:0.20%以下、
Cr:0.30%以下、
Mo:0.200%以下、
V:0.030%以下、
W:0.20%以下、
B:0.0020%以下、
Ca:0.0050%以下、
Mg:0.0050%以下、および
REM:0.0050%以下、
からなる群から選択される一種以上を含有する、請求項1に記載の鋼矢板。
【請求項3】
連続鋳造法により製造されたスラブを加熱炉で加熱後、前記スラブにブレークダウン圧延機で粗圧延、ユニバーサル圧延機で中間圧延、および仕上圧延機で仕上圧延する工程を順に行う、鋼矢板の製造方法であって、
スラブを、1200~1350℃に加熱し、
前記スラブに、粗圧延を行い、ウェブ部を有する粗形鋼片を形成し、
930℃以上の温度域で、前記粗形鋼片に、前記ウェブ部の累積圧下率が40%以上となるように、中間圧延を行い、900℃以上で当該中間圧延を終了することで、中間圧延体を形成し、
930℃未満の温度域で、前記中間圧延体に、ウェブ部の累積圧下率が15%以下となるように圧延を行うとともにフランジ部を成形する仕上圧延を行い、当該仕上圧延を700℃以上で終了する、請求項1または2に記載の鋼矢板の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼矢板に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
鋼矢板は、港湾、河川、土留(山留)などの工事において締切り材として用いられる鋼材である。鋼矢板には、様々な断面形状のものがあり、ハット形、U形、組合せ形、直線形などの断面形状を有するものがある。また、鋼矢板を用いた構造形式には、自立式、タイロッド式、セル式などの様々な種類がある。
【0003】
例えば、自立式は、鋼矢板の剛性と、鋼矢板が埋め込まれた地盤の抵抗力(水平方向の抵抗力)によって外力に抵抗する構造形式である。この方式は、地盤が良好で水深が小さいときに適用される場合が多く、例えば、護岸、岸壁、擁壁、土留めなどに用いられる。
【0004】
タイロッド式は、鋼矢板と、控え工をタイロッドまたはタイワイヤーで連結することにより壁体を安定させる構造形式であり、例えば、護岸、岸壁、擁壁などに用いられる。自立式の場合には、鋼矢板自体を支持する部材がなく、鋼矢板にしなりが生じるため、ヤング率を考慮した強度設計が必要になる。一方、タイロッド式の場合には、タイロッドによりしなりが抑制されるので、降伏強度を考慮した設計が必要になり、鋼矢板の高強度化が求められる。特に、タイロッド式の工法に用いる鋼矢板には、降伏強度が390MPa以上であることが必要とされる場合がある。
【0005】
従来から高強度の鋼矢板に関する技術が多数開示されている。例えば、特許文献1には、高強度の広幅鋼矢板に関する技術が開示されている。特許文献1により開示された技術によれば、降伏強度が390MPa以上の高強度鋼矢板を得られるとされている。また、特許文献2には、水中溶接性と靭性とに優れる鋼矢板に関する技術が開示されている。特許文献2により開示された技術によれば、強度が鋼矢板の規格値(JISのSY295のYS,TSの下限値)を満足する鋼矢板を得られるとされている。
【0006】
近年では、より強度の高い鋼矢板が求められており、強度を向上させる方法としては、鋼中のC含有量を高めることが挙げられる。特許文献1および特許文献2に記載の鋼矢板では鋼中のC含有量の最大値を0.20質量%としており、0.20質量%を超えるCを鋼中に含有させれば容易に鋼矢板の強度を高くすることができる。0.20質量%を超えるCを含有する鋼矢板は、例えば、特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2007-332414号公報
特開平9-287052号公報
特開平9-287020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、鋼矢板には、強度だけでなく、延性に優れることも求められる。強度に関し、鋼矢板の鋼中のC含有量を0.20%超とするのが望ましい。鋼中のC含有量を高めれば、高める程、強度が向上するからである。その一方、鋼中におけるC含有量が多くなれば、延びが低下する。ここで、特許文献1および2では、延性について、十分な検討がなされていない。また、特許文献3では、強度、延性ともに、検討されているものの、強度に関し、さらに改善の余地がある。従って、強度と延性とに優れる鋼矢板が求められている。
【0009】
以上を踏まえ、本発明は、強度と延性とに優れる鋼矢板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の鋼矢板を要旨とする。
(【0011】以降は省略されています)
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