特許ウォッチ

公開番号2025012545
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115443
出願日2023-07-13
発明の名称タイヤ
出願人住友ゴム工業株式会社
代理人弁理士法人朝日奈特許事務所
主分類B60C 13/00 20060101AFI20250117BHJP(車両一般)
要約【課題】サイドウォールの耐クラック性を向上させたタイヤを提供すること。
【解決手段】一対のサイドウォールを備えるタイヤであって、前記サイドウォールを構成するゴム組成物がゴム成分とシリカとを含み、前記シリカの含有量が前記ゴム成分100質量部に対して20質量部以上であり、前記ゴム組成物の70℃における損失正接(tanδ)を70℃tanδとし、前記ゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)を70℃E*とし、前記タイヤの最大幅位置におけるサイドウォールの厚み(mm)をTとするとき、70℃tanδ、70℃E*およびTが、以下の関係を満たすタイヤ。
(1) 70℃tanδ<0.0253×T+0.083
(2) 70℃E*≦10.0
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
一対のサイドウォールを備えるタイヤであって、
前記サイドウォールを構成するゴム組成物がゴム成分とシリカとを含み、前記シリカの含有量が前記ゴム成分１００質量部に対して２０質量部以上であり、
前記ゴム組成物の７０℃における損失正接（ｔａｎδ）を７０℃ｔａｎδとし、前記ゴム組成物の７０℃における複素弾性率（ＭＰａ）を７０℃Ｅ＊とし、前記タイヤの最大幅位置におけるサイドウォールの厚み（ｍｍ）をＴとするとき、７０℃ｔａｎδ、７０℃Ｅ＊およびＴが、以下の関係を満たすタイヤ。
（１）７０℃ｔａｎδ＜０．０２５３×Ｔ＋０．０８３
（２）７０℃Ｅ＊≦１０．０
続きを表示（約 790 文字）【請求項２】
式（１）の左辺の値と右辺の値との差が０．０７０超である、請求項１記載のタイヤ。
【請求項３】
式（２）の右辺が６．０である、請求項１記載のタイヤ。
【請求項４】
前記ゴム組成物がカーボンブラックを含み、
ゴム成分１００質量部に対する、前記シリカの含有量（質量部）をＡ
SIL
とし、前記カーボンブラックの含有量（質量部）をＡ
CB
とするとき、Ａ
SIL
およびＡ
CB
が以下の関係を満たす、請求項１～３のいずれか１項に記載のタイヤ。
（３）Ａ
CB
／Ａ
SIL
≦１
【請求項５】
前記ゴム組成物がカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックがリカバードカーボンブラックを含む、請求項１～３のいずれか１項に記載のタイヤ。
【請求項６】
前記シリカが、平均一次粒子径が１６ｎｍ以下のシリカを含む、請求項１～３のいずれか１項に記載のタイヤ。
【請求項７】
前記タイヤのタイヤ重量（ｋｇ）をＧとし、最大負荷能力（ｋｇ）をＷＬとするとき、ＧおよびＷＬが、以下の関係を満たす、請求項１～３のいずれか１項に記載のタイヤ。
（４）Ｇ／ＷＬ≦０．０１８０
【請求項８】
式（４）の右辺が０．０１６５である、請求項７記載のタイヤ。
【請求項９】
前記一対のサイドウォールの少なくとも一方が、外表面に微小隆起が複数個形成された微小隆起形成部を有する、請求項１記載のタイヤ。
【請求項１０】
前記微小隆起の形状が、柱状、錐台状またはリブ状である、請求項９記載のタイヤ。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、タイヤに関する。
続きを表示（約 2,000 文字）【背景技術】
【０００２】
タイヤの燃費性能に対する要求が高まる中、タイヤの燃費性能の向上のため、タイヤのトレッド部だけでなく、サイドウォールなどの他の部材による低燃費化も検討されている。例えば、特許文献１では、所定の樹脂を含むゴム組成物をタイヤのサイドウォールに用いることで燃費性能を向上させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２０２１－１４５０６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
一方で、環境負荷低減の観点などから、タイヤの更なる長寿命化も求められており、サイドウォールの耐クラック性を向上させ、さらに、長寿命化を図る点には改善の余地がある。
【０００５】
本発明は、サイドウォールの耐クラック性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、以下のタイヤに関する。
一対のサイドウォールを備えるタイヤであって、
前記サイドウォールを構成するゴム組成物がゴム成分とシリカとを含み、前記シリカの含有量が前記ゴム成分１００質量部に対して２０質量部以上であり、
前記ゴム組成物の７０℃における損失正接（ｔａｎδ）を７０℃ｔａｎδとし、前記ゴム組成物の７０℃における複素弾性率（ＭＰａ）を７０℃Ｅ＊とし、前記タイヤの最大幅位置におけるサイドウォールの厚み（ｍｍ）をＴとするとき、７０℃ｔａｎδ、７０℃Ｅ＊およびＴが、以下の関係を満たすタイヤ。
（１）７０℃ｔａｎδ＜０．０２５３×Ｔ＋０．０８３
（２）７０℃Ｅ＊≦１０．０
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、サイドウォールの耐クラック性を向上させたタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
タイヤの断面における、タイヤ断面幅Ｗｔ、タイヤ断面高さＨｔ、およびタイヤ外径Ｄｔ等を示す図である。
柱状の微小隆起が複数個形成されたサイドウォールの外表面の略図である。
四角錐台状の微小隆起が複数個形成されたサイドウォールの外表面の略図である。
図３のＸ－Ｘ断面図である。
リブ状の微小隆起が複数個形成されたサイドウォールの外表面の略図である。
図５のＹ－Ｙ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
本発明は、以下のタイヤに関する。
一対のサイドウォールを備えるタイヤであって、
前記サイドウォールを構成するゴム組成物がゴム成分とシリカとを含み、前記シリカの含有量が前記ゴム成分１００質量部に対して２０質量部以上であり、
前記ゴム組成物の７０℃における損失正接（ｔａｎδ）を７０℃ｔａｎδとし、前記ゴム組成物の７０℃における複素弾性率（ＭＰａ）を７０℃Ｅ＊とし、前記タイヤの最大幅位置におけるサイドウォールの厚みをＴ（ｍｍ）とするとき、７０℃ｔａｎδ、７０℃Ｅ＊およびＴが、以下の関係を満たすタイヤ。
（１）７０℃ｔａｎδ＜０．０２５３×Ｔ＋０．０８３
（２）７０℃Ｅ＊≦１０．０
【００１０】
理論に拘束されることは意図しないが、本発明において、サイドウォールの耐クラック性能を向上させることができるメカニズムとしては以下が考えられる。すなわち、まず、（１）サイドウォールは転動時に変形するため、変形の蓄積によりクラックが発生しやすい。そこで、サイドウォールゴムの複素弾性率を所定値以下として柔らかくする。これにより、表面に発生する歪みに対し柔軟な変形が可能となるので、クラックの発生が抑制されると考えられる。また、（２）サイドウォールゴムの損失正接ｔａｎδは、高いほど転動時の変形により温度が上がり、破壊特性が低下し、クラックが発生しやすくなる。そこで、サイドウォールゴムの厚みに応じて、当該ｔａｎδを小さくする。これにより、サイドウォールゴムの厚みが厚い場合には、サイドウォールの剛性が担保されることで変形が抑制され、サイドウォールゴムの厚みが薄い場合には、変形による発熱が抑制されることで、サイドウォールでの温度上昇を抑えやすくなるので、破壊特性が高い状態が維持されると考えられる。さらに、（３）シリカは充填剤としてカーボンブラックよりも周囲のポリマーを束縛しにくい。このため、シリカを所定量以上配合することで、破断時伸びが向上し、ゴムの柔軟性が増加するので、クラックの発生が抑制されると考えられる。そして、上記（１）～（３）が協働することで、高い耐クラック性能が発揮されるものと考えられる。
（【００１１】以降は省略されています）

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