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公開番号
2025006101
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-17
出願番号
2023106690
出願日
2023-06-29
発明の名称
無菌成形装置および無菌成形方法
出願人
東洋製罐株式会社
代理人
弁理士法人平和国際特許事務所
主分類
B65B
55/08 20060101AFI20250109BHJP(運搬;包装;貯蔵;薄板状または線条材料の取扱い)
要約
【課題】簡素な構成で、効率的な殺菌を実現する無菌成形装置および無菌成形方法を提供すること。
【解決手段】殺菌処理機構50は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、殺菌処理機構50は、昇温エリアA2aよりも下流側においてプリフォームPに殺菌を施す下流側殺菌手段52を備え、下流側殺菌手段52は、少なくともプリフォームPの内表面に対して、紫外線光を含む殺菌光を照射するように構成されている無菌成形装置20。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、
ブロー成形ターレットと、前記ブロー成形ターレットの上流側に設定された昇温エリアにおいてプリフォームを成形温度まで昇温させるオーブン機構と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、
前記殺菌処理機構は、前記昇温エリアよりも下流側において前記プリフォームに殺菌を施す下流側殺菌手段を備え、
前記下流側殺菌手段は、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、紫外線光を含む殺菌光を照射するように構成されていることを特徴とする無菌成形装置。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記下流側殺菌手段は、前記プリフォームの外表面に対しても、紫外線光を含む殺菌光を照射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無菌成形装置。
【請求項3】
前記殺菌処理機構は、前記昇温エリアよりも上流側において前記プリフォームに殺菌を施す上流側殺菌手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の無菌成形装置。
【請求項4】
前記上流側殺菌手段によるカビに対する殺菌能力は、前記下流側殺菌手段によるカビに対する殺菌能力よりも高く設定されるとともに、前記上流側殺菌手段による殺菌と前記下流側殺菌手段による殺菌とで、カビについて容器の殺菌を完了させるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
【請求項5】
前記下流側殺菌手段による芽胞菌に対する殺菌能力は、前記上流側殺菌手段による芽胞菌に対する殺菌能力以上に設定されるとともに、前記上流側殺菌手段による殺菌と前記下流側殺菌手段による殺菌とで、芽胞菌について容器の殺菌を完了させるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
【請求項6】
前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームに対して、過酸化水素または過酢酸を含む殺菌流体を供給するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
【請求項7】
前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームに対して温水または水蒸気を供給する、または、前記プリフォームに対して水を供給した後に加熱処理を施すように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
【請求項8】
前記上流側殺菌手段は、殺菌流体を供給された前記プリフォームの殺菌対象箇所の表面温度が55℃以上になるように、前記殺菌対象箇所の表面温度よりも高い温度の殺菌流体を供給する、または、前記殺菌対象箇所に対して殺菌流体を供給した後に加熱処理を施すように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
【請求項9】
前記上流側殺菌手段は、その噴出口の中心軸線が前記プリフォームの軸線に対して斜めになるように配置された噴出ノズルから、前記プリフォームの口部内表面に対して殺菌流体を噴出するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
【請求項10】
前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームの少なくとも胴部内表面に対して殺菌剤を供給するように構成され、
前記下流側殺菌手段は、前記殺菌剤を分解可能な積算光量以上の殺菌光を、前記プリフォームの少なくとも胴部内表面に対して照射するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の無菌成形装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置および無菌成形方法に関し、特に、容器成形から内容物の充填・密封までを一貫して行うインラインブロー式の無菌充填システムに組み込まれる無菌成形装置および無菌成形方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、同一工場内において、ブロー成形による容器成形から、内容物の充填・密封までを一貫して行うインラインブロー式の充填システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような充填システムでは、無菌環境に維持された充填装置に容器を搬送する前に、容器を充分に殺菌する必要があり、特許文献1に記載される充填システムでは、ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理に加えて、ブロー成形後における容器段階における殺菌処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010-202284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、容器段階における殺菌処理を行う場合、殺菌処理機構が大型化するという問題や、プリフォームと比較して容器はその表面積が大きいことから必要とされる殺菌剤の量等が多くなるといった問題や、殺菌時間についても長くなるといった問題があることから、本出願人は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させる無菌成形装置を開発しようとしており、そのために、殺菌効率に関する更なる改良が要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、効率的な殺菌を実現する無菌成形装置および無菌成形方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無菌成形装置は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、ブロー成形ターレットと、前記ブロー成形ターレットの上流側に設定された昇温エリアにおいてプリフォームを成形温度まで昇温させるオーブン機構と、殺菌処理機構とを備え、前記殺菌処理機構は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、前記殺菌処理機構は、前記昇温エリアよりも下流側において前記プリフォームに殺菌を施す下流側殺菌手段を備え、前記下流側殺菌手段は、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、紫外線光を含む殺菌光を照射するように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の無菌成形方法は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、前記プリフォーム殺菌処理は、前記昇温エリアよりも下流側において前記プリフォームに殺菌を施す下流側殺菌処理を含み、前記下流側殺菌処理では、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、紫外線光を含む殺菌光を照射することにより、前記課題を解決するものである。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記下流側殺菌手段は、前記プリフォームの外表面に対しても、紫外線光を含む殺菌光を照射するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記殺菌処理機構は、前記昇温エリアよりも上流側において前記プリフォームに殺菌を施す上流側殺菌手段を更に備えていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段によるカビに対する殺菌能力は、前記下流側殺菌手段によるカビに対する殺菌能力よりも高く設定されるとともに、前記上流側殺菌手段による殺菌と前記下流側殺菌手段による殺菌とで、カビについて容器の殺菌を完了させるように設定されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記下流側殺菌手段による芽胞菌に対する殺菌能力は、前記上流側殺菌手段による芽胞菌に対する殺菌能力以上に設定されるとともに、前記上流側殺菌手段による殺菌と前記下流側殺菌手段による殺菌とで、芽胞菌について容器の殺菌を完了させるように設定されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームに対して、過酸化水素または過酢酸を含む殺菌流体を供給するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームに対して温水または水蒸気を供給する、または、前記プリフォームに対して水を供給した後に加熱処理を施すように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段は、殺菌流体を供給された前記プリフォームの殺菌対象箇所の表面温度が55℃以上になるように、前記殺菌対象箇所の表面温度よりも高い温度の殺菌流体を供給する、または、前記殺菌対象箇所に対して殺菌流体を供給した後に加熱処理を施すように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段は、その噴出口の中心軸線が前記プリフォームの軸線に対して斜めになるように配置された噴出ノズルから、前記プリフォームの口部内表面に対して殺菌流体を噴出するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームの少なくとも胴部内表面に対して殺菌剤を供給するように構成され、前記下流側殺菌手段は、前記殺菌剤を分解可能な積算光量以上の殺菌光を、前記プリフォームの少なくとも胴部内表面に対して照射するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記上流側殺菌手段は、前記プリフォームの胴部内表面に対して過酸化水素を含む殺菌流体を供給するように構成され、前記下流側殺菌手段による前記殺菌光の照射開始時における、前記プリフォームの胴部内表面のプリフォーム高さ方向中央位置における前記過酸化水素の付着量をA(mg/cm
2
)と規定し、前記プリフォームの胴部内表面のプリフォーム高さ方向中央位置における前記殺菌光の積算光量をB(mJ/cm
2
)と規定した場合、前記下流側殺菌手段は、B/Aが380以上になるように、前記殺菌光を照射するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記昇温エリアには、前記プリフォームに昇温処理を施す昇温ヒーターが設置され、前記昇温ヒーターは、前記昇温処理時に、前記プリフォームの口部の側方位置に位置せず、前記プリフォームの胴部の側方位置に位置するように設置され、前記下流側殺菌手段は、前記プリフォームの口部内表面のプリフォーム高さ方向中央位置における前記殺菌光の積算光量が、前記プリフォームの胴部内表面のプリフォーム高さ方向中央位置における前記殺菌光の積算光量よりも高くなるように、前記殺菌光を照射するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記下流側殺菌手段は、前記プリフォームの口部内表面のプリフォーム高さ方向中央位置における前記殺菌光の積算光量が、前記プリフォームの胴部内表面のプリフォーム高さ方向中央位置における前記殺菌光の積算光量の2倍以上になるように、前記殺菌光を照射するように構成されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記下流側殺菌手段は、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、紫外線光を含む殺菌光を照射することで殺菌を施す第1殺菌部と、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、殺菌流体を供給することで殺菌を施す第2殺菌部とを備え、前記第2殺菌部によるカビに対する殺菌能力は、前記第1殺菌部によるカビに対する殺菌能力よりも高く設定されるとともに、前記第2殺菌部による殺菌と前記第1殺菌部による殺菌とで、カビについて容器の殺菌を完了させるように設定されていてもよい。
上記いずれかの無菌成形装置または無菌成形方法では、前記下流側殺菌手段は、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、紫外線光を含む殺菌光を照射することで殺菌を施す第1殺菌部と、少なくとも前記プリフォームの内表面に対して、殺菌流体を供給することで殺菌を施す第2殺菌部とを備え、前記第1殺菌部による芽胞菌に対する殺菌能力は、前記第2殺菌部による芽胞菌に対する殺菌能力以上に設定されるとともに、前記第2殺菌部による殺菌と前記第1殺菌部による殺菌とで、芽胞菌について容器の殺菌を完了させるように設定されていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成で、効率的な殺菌を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一実施形態に係る無菌成形装置を備えた無菌充填システムを示す説明図。
昇温ヒーターの設置態様の一例を示す説明図。
上流側殺菌手段の設置態様の一例を示す説明図。
下流側殺菌手段の設置態様の一例を示す説明図。
試験1の試験結果を示す説明図。
試験2の試験結果を示す説明図。
試験3の試験結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る無菌充填システム10について、図面に基づいて説明する。
なお、本明細書で使用する「上流」「下流」の用語は、プリフォームPまたは容器の搬送方向における上流または下流を意味する。
(【0011】以降は省略されています)
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