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公開番号2025003403
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2024099963
出願日2024-06-20
発明の名称燃料電池セルアセンブリ
出願人住友理工株式会社
代理人個人,個人
主分類H01M 8/0284 20160101AFI20241226BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】 構成要素同士を湿熱耐久性に優れる接着部材により接着し、耐久性に優れる燃料電池セルアセンブリを提供する。
【解決手段】 燃料電池セルアセンブリ(10)は、電極部材(2)と、電極部材(2)の面方向外側に配置され、ソリッドゴムを有するゴム組成物から製造されるガスケット(30)と、電極部材(2)およびガスケット(30)に積層されるセパレータ(50)と、ポリプロピレン系樹脂を有し、電極部材(2)およびセパレータ(50)の少なくとも一方と、ガスケット(30)と、を接着する接着部材(40)と、を備える。該ソリッドゴムは、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-ブテン-ジエンゴムから選ばれる一種以上であり、該ポリプロピレン系樹脂は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が7g/10分以上700g/10分以下である。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
電解質膜および電極触媒層を有する膜電極接合体を有する電極部材と、
該電極部材の厚さ方向に対して交差する方向を面方向として、該電極部材の面方向外側に配置され、ソリッドゴムを有するゴム組成物から製造されるガスケットと、
該電極部材および該ガスケットに積層されるセパレータと、
ポリプロピレン系樹脂を有し、該電極部材および該セパレータの少なくとも一方と、該ガスケットと、を接着する接着部材と、
を備え、
該ソリッドゴムは、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-ブテン-ジエンゴムから選ばれる一種以上であり、
該ポリプロピレン系樹脂は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が7g/10分以上700g/10分以下であることを特徴とする燃料電池セルアセンブリ。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
前記接着部材は、融点が160℃以上208℃以下の酸化防止剤を有する請求項1に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項3】
前記酸化防止剤の含有量は、前記ポリプロピレン系樹脂の質量を100質量部とした場合の0.01質量部以上10質量部以下である請求項2に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項4】
前記酸化防止剤は、フェノール系化合物およびアミン系化合物から選ばれる一種以上である請求項2に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項5】
前記接着部材の接着成分は、前記ポリプロピレン系樹脂のみである請求項1に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項6】
前記ポリプロピレン系樹脂は、酸により変性されていない請求項1に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項7】
前記接着部材は、前記電極部材の周縁部に配置され、該電極部材と前記ガスケットとを接着し、
前記ポリプロピレン系樹脂の融点は、130℃以上150℃以下である請求項1に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項8】
前記電極部材は、前記膜電極接合体の厚さ方向両面の少なくとも片面に配置されるガス拡散層を有し、
前記接着部材は、該ガス拡散層の周縁部に含浸される請求項7に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項9】
前記セパレータは、カーボン粉末および樹脂を有し、
前記接着部材は、該セパレータと前記ガスケットとを接着し、
前記ポリプロピレン系樹脂の融点は、130℃以上168℃以下である請求項1に記載の燃料電池セルアセンブリ。
【請求項10】
前記セパレータに含まれる前記樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂およびペルフルオロアルコキシアルカン樹脂から選ばれる一種以上である請求項9に記載の燃料電池セルアセンブリ。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、電極部材およびセパレータの少なくとも一方が接着部材によりガスケットと一体化されている燃料電池セルアセンブリに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
燃料電池は、多数のセルが積層されたスタック構造を呈する。セルの積層体は、積層方向両側に配置されたエンドプレートにより締結される。例えば、固体高分子型燃料電池のセルは、膜電極接合体(MEA)およびガス拡散層を有する電極部材と、電極部材を挟んで配置されるセパレータと、電極部材の周囲に配置され、反応ガスや冷媒に対して電極部材をシールするゴム製のガスケットと、を有する。MEAの電解質膜には、全フッ素系スルホン酸膜などの高分子膜が用いられる。このため、ガスケットの材料であるゴム組成物をMEAの近くに配置して硬化させる場合には、硬化時の加熱により電解質膜が変質しないように配慮する必要がある。また、樹脂を含んで形成されるセパレータを用いる場合にも、加熱によるセパレータの変形や劣化に配慮する必要がある。また、ゴム組成物を射出成形する場合には、射出圧によりガス拡散層を破損しないように配慮する必要がある。
【0003】
ガスケットのゴム成分としては、耐久性および高温特性に優れ、ガス透過性が小さいなどの観点から、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)などのソリッドゴムが用いられる。ソリッドゴムは、常温下で混練可能な固体であるが、シリコーンゴムなどの液状ゴムと比較すると流動性は低い。また、電解質膜などの耐熱温度を考慮した温度下では、硬化時間を長くせざるを得ず、生産性の低下を招く。よって、ソリッドゴムを用いる場合には、射出成形のように、ゴム組成物の硬化を利用して相手部材と接着させる方法ではなく、予めゴム組成物からガスケットを製造しておき、それを接着剤を用いて相手部材と接着させる方法が採用される。
【0004】
例えば、特許文献1には、ゴムガスケット表面の一部にプライマーを塗布し、当該プライマー塗布面を燃料電池を構成する金属部材に密着させて、ゴムガスケットを圧着固定した状態で加熱することにより、ゴムガスケットと金属部材とを接着させる方法が記載されている。プライマーとしては、シランカップリング剤系プライマー、変性オレフィン系接着剤などが挙げられている。特許文献2には、燃料電池の構成要素と架橋ゴム部材とを接着する接着剤層を、酸により変性されたオレフィン系熱可塑性樹脂の粉末と、シランカップリング剤含有液と、を有する液状組成物から形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-183198号公報
特開2023-34863号公報
特開2014-22131号公報
特開2007-66766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガスケットのシール性を高めるためには、相手部材との接着性を高める必要がある。固体高分子型燃料電池を作動させると、構成要素は70~90℃程度の温度で水分が存在する環境(湿熱環境)に晒される。よって、ガスケットと相手部材とを接着する接着部材には、初期(使用前)の接着性に加えて、湿熱環境で使用しても接着力が低下しにくい湿熱耐久性が要求される。特に、燃料電池をバスやトラックなどの長時間運転が求められる商用車に搭載する場合には、接着部材のより高い湿熱耐久性が要求される。
【0007】
この点、特許文献1に記載されている接着方法によると、相手部材が金属製の部材に限られるし、プライマーの湿熱耐久性も十分ではない。また、同文献において、プライマーを塗布したゴムガスケットと金属部材とを圧着させて50~120℃の温度で24時間以上保持する、と記載されているように、シランカップリング剤による接着性を発現させるためには長い時間を要するため、生産性が低い。特許文献2に記載されている接着剤層においても、シランカップリング剤は必須であり、酸変性オレフィン系熱可塑性樹脂の粉末を併用することにより接着時間を短縮できるものの、湿熱耐久性は十分とはいえない。
【0008】
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、構成要素同士を湿熱耐久性に優れる接着部材により接着し、耐久性に優れる燃料電池セルアセンブリを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本開示の燃料電池セルアセンブリは、電解質膜および電極触媒層を有する膜電極接合体を有する電極部材と、該電極部材の厚さ方向に対して交差する方向を面方向として、該電極部材の面方向外側に配置され、ソリッドゴムを有するゴム組成物から製造されるガスケットと、該電極部材および該ガスケットに積層されるセパレータと、ポリプロピレン系樹脂を有し、該電極部材および該セパレータの少なくとも一方と、該ガスケットと、を接着する接着部材と、を備え、該ソリッドゴムは、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-ブテン-ジエンゴムから選ばれる一種以上であり、該ポリプロピレン系樹脂は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が7g/10分以上700g/10分以下であることを特徴とする。
【0010】
本開示の燃料電池セルアセンブリにおいては、電極部材およびセパレータのいずれか一方またはその両方とガスケットとが、熱可塑性のポリプロピレン系樹脂を有する接着部材により接着される。接着部材として用いられるポリプロピレン系樹脂のMFRは、7g/10分以上である。本明細書におけるMFRは、特に断りがない限り、温度230℃、荷重2.16kgで測定される値とする。ポリプロピレン系樹脂において、MFRが7g/10分以上と比較的大きい場合、分子量は比較的小さくなる。よって、比較的低分子量のポリプロピレン系樹脂が、接着対象であるガスケットのゴム分子の間に入りこみ、分子間力が働くことにより、接着性が向上すると考えられる。ここで、ガスケットのゴム成分として用いられるソリッドゴムは、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-ブテン-ジエンゴムのなかから選ばれる。一般に、オレフィン系樹脂とエチレン-プロピレン系ゴムとは接着しにくいことが知られているが、本開示の燃料電池セルアセンブリにおいては、燃料電池のガスケットに必要なシール性などの特性が優れることに加えて、ポリプロピレン系樹脂とSP値(溶解度パラメータ)が近い先の三種類のゴムを選択することにより、ポリプロピレン系樹脂とのなじみ性を高めて、接着性を向上させている。このように、接着部材とガスケットとが強固に接着されるため、水分や酸素などが侵入しにくくなり、樹脂の酸化劣化などが抑制されて、接着部材の湿熱環境における耐久性が向上する。結果、燃料電池を長時間作動した場合にもガスケットによる高いシール性を維持することができ、耐久性に優れる燃料電池セルアセンブリを実現することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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