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公開番号2025001053
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-08
出願番号2021180891
出願日2021-11-05
発明の名称劇症型NK白血病に対する治療標的の同定
出願人学校法人東海大学
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C12N 5/10 20060101AFI20241225BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 腫瘍の創薬標的となりうる分子を同定し、これをノックダウンまたはノックアウトすることによる、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法を提供すること、および同定した分子を標的とする、腫瘍治療薬のスクリーニング方法に提供すること。
【解決手段】 本発明によれば、腫瘍細胞においてGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能をノックダウンまたはノックアウトすることを含む、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法(ただし、ヒトを処置する方法を除く)が提供される。さらに、(i)腫瘍細胞に候補物質を接触させること、(ii)腫瘍細胞におけるGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子またはそのタンパク質の発現レベルを測定すること、および(iii)候補物質を接触させなかった場合と比較して、前記発現レベルを減少させた候補物質を腫瘍の治療薬として選択することを含む、腫瘍治療薬のスクリーニング方法が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
腫瘍細胞においてGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能をノックダウンまたはノックアウトすることを含む、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法(ただし、ヒトを処置する方法を除く)。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記腫瘍細胞が、固形腫瘍または血液腫瘍の細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液腫瘍が、劇症型NK細胞白血病を含む白血病、悪性リンパ腫、または多発性骨髄腫から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
以下の(i)から(iii)を含む腫瘍治療薬のスクリーニング方法:
(i) 腫瘍細胞に候補物質を接触させること、
(ii) 腫瘍細胞におけるGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子またはそのタンパク質の発現レベルを測定すること、および
(iii) 候補物質を接触させなかった場合と比較して、前記発現レベルを減少させた候補物質を腫瘍の治療薬として選択すること。
【請求項5】
前記腫瘍細胞が、固形腫瘍または血液腫瘍の細胞である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記血液腫瘍が、劇症型NK細胞白血病を含む白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記腫瘍が、劇症型NK細胞白血病を含む白血病である、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
GGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能をノックダウンまたはノックアウトしたNK細胞。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍細胞においてGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能をノックダウンまたはノックアウトすることを含む、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法(ただし、ヒトを処置する方法を除く)に関する。さらに、本発明は、(i)腫瘍細胞に候補物質を接触させること、(ii)腫瘍細胞におけるGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子またはそのタンパク質の発現レベルを測定すること、および(iii)候補物質を接触させなかった場合と比較して、前記発現レベルを減少させた候補物質を腫瘍の治療薬として選択することを含む、腫瘍治療薬のスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
希少がんは症例数が少なく、臨床研究や治験を進めにくいことから、標準治療の確立が困難である場合が多い。例えば、劇症型NK細胞白血病(Aggressive NK cell Leukemia、以下ANKLと記載する)は、白血病のまれな型であり、発症頻度が低く、病態が未解明であり、それ故標準治療が未確立である。
【0003】
ANKLは、NK細胞の全身性腫瘍性増殖であり、ほとんど常にエプスタイン・バーウイルス(EBV)と関連し、侵攻性の臨床経過をたどり、生存中央期間2ヶ月未満の予後不良悪性疾患である(非特許文献1)。また、他の民族集団よりもアジア人にはるかに多く、日本ではAYA世代を含む青壮年期が発症ピークとなっている。
【0004】
ANKLの分子病因としては、STAT3およびRAS-MAPK経路遺伝子の変異およびDDX3Xおよびエピジェネティック修飾因子の変異が同定されているが、発症部位が異なる節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)との差がないと報告されている(非特許文献2)。また、EBV感染ヒト化リンパ増殖疾患マウスでは、マクロファージが腫瘍微小環境に重要な役割を有することが報告されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
J.K.C. Chan et al., Aggressive NK-cell leukaemia in WHO classification of tumours of haematopoietic and lymphoid tissues 4th edition 2008, edited by Steven H. Swerdlow et al., (World Health Organization classification of tumours) International Agency for Research on Cancer: pp 276-277.
Dufva, O., Kankainen, M., Kelkka, T. et al. Aggressive natural killer-cell leukemia mutational landscape and drug profiling highlight JAK-STAT signaling as therapeutic target. Nat Commun 9, 1567 (2018). https://doi.org/10.1038/s41467-018-03987-2
Hiroshi Higuchi, Natsuko Yamakawa, Ken-Ichi Imadome et al. Role of exosomes as a proinflammatory mediator in the development of EBV-associated lymphoma. Blood. 2018 Jun 7;131(23):2552-2567. doi: 10.1182/blood-2017-07-794529.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ANKLは、稀少疾患であるが故に病態解明が推進されず、予後不良疾患であるが、日本においても年間数十症例が新規発症していることやAYA世代や青壮年期に発症することを鑑みると治療法の開発は重要である。また、欧米ではさらに頻度が低いが、東アジアや南アメリカでは発症報告があるため、全世界的には多くの患者が発症している可能性がある。よって、ANKLに対して、創薬標的となりうる分子を同定し、生命予後を改善する治療法を開発することが求められている。
【0007】
本発明は、腫瘍の創薬標的となりうる分子を同定し、これをノックダウンまたはノックアウトすることによる、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法を提供すること、および同定した分子を標的とする、腫瘍治療薬のスクリーニング方法を提供することを課題とする。また、腫瘍の治療を可能にする新たな手法を提供することは、本発明の別の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1] 腫瘍細胞においてGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能をノックダウンまたはノックアウトすることを含む、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法(ただし、ヒトを処置する方法を除く)。
[2] 前記腫瘍細胞が、固形腫瘍または血液腫瘍の細胞である、[1]に記載の方法。
[3] 前記血液腫瘍が、劇症型NK細胞白血病を含む白血病、悪性リンパ腫、または多発性骨髄腫から選択される、[2]に記載の方法。
[4] 以下の(i)から(iii)を含む腫瘍治療薬のスクリーニング方法:
(i) 腫瘍細胞に候補物質を接触させること、
(ii) 腫瘍細胞におけるGGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子またはそのタンパク質の発現レベルを測定すること、および
(iii) 候補物質を接触させなかった場合と比較して、前記発現レベルを減少させた候補物質を腫瘍の治療薬として選択すること。
[5] 前記腫瘍細胞が、固形腫瘍または血液腫瘍の細胞である、[4]に記載の方法。
[6] 前記血液腫瘍が、劇症型NK細胞白血病を含む白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫から選択される、[5]に記載の方法。
[7] 前記腫瘍が、劇症型NK細胞白血病を含む白血病である、[4]から[6]のいずれか一に記載の方法。
[8] GGT1、IL-10R、CD16、RPM-1、およびシステイン関連酵素をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能をノックダウンまたはノックアウトしたNK細胞。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施例1の遺伝子欠損によるANKL細胞に対する増殖抑制効果を示す。
図2は、各種アミノ酸不含有培地でのANKL細胞の生存率を示す。システイン不含有培地での結果を線で囲って示す。グラフ中のANKL1およびANKL3は同じ患者の異なる時期に採取した試料を示す。
図3は、システインを含むアミノ酸20種類を添加した培地でのGGT1欠損ANKL細胞の生存率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載する本発明の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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