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公開番号
2024180146
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-26
出願番号
2023099622
出願日
2023-06-16
発明の名称
胃幹細胞培養用培地、培養方法
出願人
国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
代理人
主分類
C12N
5/00 20060101AFI20241219BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】動物血清や細胞培養上清などの未確認成分を含まない胃の幹細胞の増殖培地を提供する。また、培養した増殖細胞の不均一性を解決する胃の幹細胞の増殖培地を提供する。さらに、これらの培地を用いた胃培養幹細胞の製造方法を提供する。
【解決手段】NF-κBシグナル経路の活性化因子及びEGF-Erkシグナル阻害剤のうちの少なくとも一種を含む胃幹細胞増殖培地。該培地を用いた胃培養幹細胞の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
NF-κBシグナル経路の活性化因子及びEGF-Erkシグナル阻害剤のうちの少なくとも一種を含む胃幹細胞増殖培地。
続きを表示(約 900 文字)
【請求項2】
NF-κBシグナル経路の活性化因子が、TNFファミリーの遺伝子組換えタンパク質、インターロイキンファミリーの遺伝子組換えタンパク質、Betulinic acid、Prostratin、PMA、Calcimycin (A23187)からなる群から選択される、請求項1記載の胃幹細胞増殖培地。
【請求項3】
NF-κBシグナル経路の活性化因子が、TNFSF1(TNF-α)、TNFSF2(TNF-β、LT-α)、TNFSF3(LT-β)、TNFSF4(OX40L、CD252、gp34)、TNFSF5(CD40L、CD154、gp39)、TNFSF6(FasL、CD95L、Apo1L)、TNFSF7(CD27L、CD70)、TNFSF8(CD30L、CD153)、TNFSF9(4-1BBL、APCs)、TNFSF10(TRAIL、Apo2L)、TNFSF11(RANKL、TRANCE、OPGL、ODF)、TNFSF12(TWEAK、Apo3L)、TNFSF13(APRIL、TALL-2, TRDL-1)、TNFSF13B(BAFF、BLYS, THANK)、TNFSF14(LIGHT、HVEML、LT-γ)、TNFSF15(VEGI、TL1A)、TNFSF18(GITRL)、EDA-A1、EDA-A2からなる群から選択される、 請求項1記載の胃幹細胞増殖培地。
【請求項4】
NF-κBシグナル経路の活性化因子が、TNFSF10(TRAIL、Apo2L)、TNFSF12(TWEAK、 Apo3L)からなる群から選択される、請求項1記載の胃幹細胞増殖培地。
【請求項5】
EGF-Erkシグナル阻害剤がEGF受容体キナーゼ阻害剤または Erk阻害剤である請求項1~4記載の胃幹細胞増殖培地。
【請求項6】
EGF-Erkシグナル阻害剤がエルロチニブ、または、SCH779284である請求項1~4記載の胃幹細胞増殖培地。
【請求項7】
請求項1~6の胃幹細胞増殖培地を用いた胃培養幹細胞の製造方法
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃幹細胞培養用培地、培養方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
胃は、食物を強酸性条件下でプロテアーゼにより分解するとともに付着菌を殺菌し、下流の腸管での栄養分の吸収を促進する特殊化した消化器官である。胃の内腔は複雑に入り組んだ胃腺と呼ばれる上皮細胞集団で覆われており、胃腺の上部に存在する表層粘液細胞はムチンと呼ばれる糖たんぱく質を大量に分泌して粘液層を形成し、胃液と隔離することで強酸性のタンパク質分解酵素液から胃組織を守っている。この表層粘液細胞はその下部に存在する頸部の幹細胞から常時供給されている。表層粘液細胞は、幹細胞から次々と分化して成熟化し、数日間で役目を終えて胃腺上部から脱落し新しい表層粘液細胞と入れ代る。胃は胃酸や消化酵素を分泌する胃体部と主にホルモンや粘液を分泌する幽門前庭部に区別されるが、胃体部の幹細胞は、頸部粘液細胞や胃酸を分泌する壁細胞、消化酵素を分泌する主細胞などにも分化すると考えられている。
【0003】
長年にわたる疾患研究では、永久に増殖するがん細胞株や短期間のみ培養可能な、増殖能が限られた成体組織の初代培養細胞が使用されてきた。ところが、小腸組織でLgr5陽性の幹細胞を試験管内で増殖させる培養条件が発見されたことを契機に(非特許文献1、特許文献1)、癌などの疾患臓器や正常組織から組織細胞を生体の外に取り出して、長期間増殖培養させて解析する新たな培養技術が開発されてきた。特に成体組織の増殖性の細胞を3次元培養で培養して増殖させることで、「オルガノイド」とよばれる生体ミニ組織を試験管内で培養により作り出す技術が急速に発達している。正常組織や疾患組織から様々な幹細胞を含む細胞を取り出して、試験管内で増やして分化させ、ミニ組織を作り出して詳細に解析すること、さらには治療薬を探索することが可能になってきた。小腸組織を試験管内で増殖させる培養条件が最適化され、また、Lgr5陽性細胞が他の組織にも存在することから、類似の培地で様々な組織がオルガノイドとして試験管内で培養される技術が開発されてきている。
【0004】
胃の幹細胞に関してもこのような培養方法が報告されている(非特許文献2-4)。具体的には、細胞増殖因子のWntやR-Spondin、FGF10、また、ペプチドホルモンであるガストリンなどが含まれている。しかし、これらの培地の多くは、動物血清や細胞培養上清を含んだ未確認成分を多く含む培地であり、ロット管理の面からも問題点が指摘されていた。また、培養で増殖させると自発的に分化して複数種の細胞が混在するようになり、その不均一性も培養上の課題と考えられていた。さらに、胃の幹細胞に特化した培地でないため、製造される幹細胞を選択的に増殖させる培地が存在しないことも課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
WO2010/090513
【非特許文献】
【0006】
Sato T et al. Nature, 459, 259-262, 2009
Baker N et al. Cell Stem Cell 6, 25-36, 2010
Huebner AJ et al. Nature Cell Biology 25, 390-403, 2023
Mahe, M. M. et al. Curr Protoc Mouse Biology 3, 217-240, 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、動物血清や細胞培養上清などの未確認成分を含まない胃の幹細胞の増殖培地を提供することにある。また、製造される幹細胞を選択的に増殖させることで、培養した増殖細胞の不均一性を解決する胃の幹細胞増殖培地を提供することにある。さらに、これらの培地を用いた胃培養幹細胞の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、化学成分と遺伝子組換え精製タンパク質のみを含む胃幹細胞増殖培地を見出し、本発明を完成させた。特に本発明は、幹細胞性を維持する因子としてTnfsf12やTNFαなどのNF-κBシグナル経路を活性化する因子を含む胃幹細胞増殖培地を提供する。また本発明は、幹細胞が表層粘液細胞へと分化するのを抑制するEGF-Erkシグナル阻害剤を含む胃幹細胞増殖培地を提供する。さらに本発明は、胃組織から作製された胃培養幹細胞を提供する。
【0009】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1] NF-κBシグナル経路の活性化因子及びEGF-Erkシグナル阻害剤のうちの少なくとも一種を含む胃幹細胞増殖培地。
[2] NF-κBシグナル経路の活性化因子が、TNFファミリーの遺伝子組換えタンパク質、インターロイキンファミリーの遺伝子組換えタンパク質、Betulinic acid、Prostratin、PMA、Calcimycin (A23187)からなる群から選択される、[1]記載の胃幹細胞増殖培地。
[3] NF-κBシグナル経路の活性化因子が、TNFSF1(TNF-α)、TNFSF2(TNF-β、LT-α)、TNFSF3(LT-β)、TNFSF4(OX40L、CD252、gp34)、TNFSF5(CD40L、CD154、gp39)、TNFSF6(FasL、CD95L、Apo1L)、TNFSF7(CD27L、CD70)、TNFSF8(CD30L、CD153)、TNFSF9(4-1BBL、APCs)、TNFSF10(TRAIL、Apo2L)、TNFSF11(RANKL、TRANCE、OPGL、ODF)、TNFSF12(TWEAK、Apo3L)、TNFSF13(APRIL、TALL-2, TRDL-1)、TNFSF13B(BAFF、BLYS, THANK)、TNFSF14(LIGHT、HVEML、LT-γ)、TNFSF15(VEGI、TL1A)、TNFSF18(GITRL)、EDA-A1、EDA-A2からなる群から選択される、 [1]記載の胃幹細胞増殖培地。
[4] NF-κBシグナル経路の活性化因子が、TNFSF10(TRAIL、Apo2L)、TNFSF12(TWEAK、 Apo3L)からなる群から選択される、[1]記載の胃幹細胞増殖培地。
[5] EGF-Erkシグナル阻害剤がEGF受容体キナーゼ阻害剤または Erk阻害剤である[1]-[4]記載の胃幹細胞増殖培地。
[6] EGF-Erkシグナル阻害剤がエルロチニブまたはSCH772984である[1]-[4]記載の胃幹細胞増殖培地。
[7] [1]-[6]の胃幹細胞増殖培地を用いた胃培養幹細胞の製造方法
【発明の効果】
【0010】
本発明の増殖培地により、胃の幹細胞を化学的に特定された成分のみを含む培地で幹細胞を安定かつ未分化な状態で長期に培養し増殖させることが可能となる。従って動物血清由来の未知の成分の混入に伴うロット管理の問題を克服し、市販培地として安定供給が容易となる
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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