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公開番号2024177923
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-24
出願番号2023096334
出願日2023-06-12
発明の名称異常ネルンスト効果素子及びその製造方法、並びに熱電変換デバイス
出願人三菱ケミカル株式会社,国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人,個人
主分類H10N 15/20 20230101AFI20241217BHJP()
要約【課題】合金からなる熱電材料の熱伝導率を抑制する。
【解決手段】異常ネルンスト効果素子1は、Co、Mn、およびGaを含有した焼結体2を含み、焼結体2の空隙率が20%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
Co、Mn、およびGaを含有した焼結体を含み、
前記焼結体の空隙率が20%以上である、異常ネルンスト効果素子。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記焼結体がホイスラー構造を持つ、請求項1に記載の異常ネルンスト効果素子。
【請求項3】
前記焼結体の電気抵抗率が200μΩ・cm以上である、請求項1に記載の異常ネルンスト効果素子。
【請求項4】
前記焼結体の異常ネルンスト係数の絶対値が1.0μV/K以上である、請求項1に記載の異常ネルンスト効果素子。
【請求項5】
Co、Mn、およびGaを含有する粉末を含む成形体を作製する工程を含み、
前記工程後に、700℃~1100℃の焼結温度で前記粉末を1MPa以下の圧力下で焼結する、異常ネルンスト効果素子の製造方法。
【請求項6】
前記工程において、前記粉末とエタノールとを混合した混合体を、10MPa~200MPaで一軸加圧した後に、前記圧力下での焼結を行う、請求項5に記載の異常ネルンスト効果素子の製造方法。
【請求項7】
前記工程において、前記粉末を型に充填し、10MPa~200MPaで一軸加圧した後に、前記型に前記粉末が充填された状態で前記圧力下での焼結を行う、請求項5に記載の異常ネルンスト効果素子の製造方法。
【請求項8】
前記工程において、前記粉末とバインダーとを混合した混合体を、10MPa~200MPaで一軸加圧した後に、前記圧力下での焼結を行う、請求項5に記載の異常ネルンスト効果素子の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の異常ネルンスト効果素子を備え、
前記焼結体の熱伝導率が15W/K・m以下である、熱電変換デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の異常ネルンスト効果素子を用いて、熱電変換を行う、熱電変換デバイス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、異常ネルンスト効果素子及びその製造方法、並びに熱電変換デバイスに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、異常ネルンスト効果(Anomalous Nernst effect)により起電力を生じる異常ネルンスト効果素子を用いた熱電変換デバイスが提案されている(例えば、下記特許文献1を参照。)。異常ネルンスト効果とは、磁性体に熱流を流して温度差が生じたときに、磁化方向と温度勾配の双方に直交する方向に電圧が生じる現象である。
【0003】
同じく温度勾配によって電圧を発生させる熱電変換デバイスとして、ゼーベック効果(Seebeck effect)を利用したものがよく知られている。ゼーベック効果では、温度勾配と同じ方向に電圧が生じることから、熱電変換デバイスが複雑な3次元構造となり、大面積化やフィルム化が困難である。また、毒性や希少性の高い材料が用いられており、脆弱で振動に弱く、さらに製造コストが高いという課題がある。
【0004】
一方、異常ネルンスト効果では、温度勾配に直交する方向に電圧が生じることから、この異常ネルンスト効果を用いた熱電変換デバイスでは、熱源に沿うように展開することができ、大面積化及びフィルム化に有利である。更に、廉価で毒性が少なく、且つ耐久性の高い材料を選択することができる。
【0005】
異常ネルンスト効果を示す物質は、Co

MnGa、Fe

Ga、Fe

Al、Mn

Ge、Mn

Sn、Mn

Ga、MnGe、Co、Fe、Nd

Mo



、Pt/Fe 多層膜、L1-FePt合金など様々な物質で報告されている。これらの中で、現在、最も高い異常ネルンスト係数の絶対値を有するものはCo

MnGaであり、既報で最高データは6.75-8μV/Kである。なお、これらの値は単結晶のデータである。
【0006】
異常ネルンスト材料を評価する指標は、異常ネルンスト係数と熱伝導率と電気抵抗率であり、さらにこれらから算出される無次元性能指数ZTとPower Factorである。異常ネルンスト係数は温度差1K当たりの熱起電力を意味している。
【0007】
異常ネルンスト係数S
ANE
は、下記式(1)で表される。

ANE
=ρ
yy
α
yx
-σ
yx
ρ
yy

SE
…(1)
ρ
yy
:縦抵抗
α
yx
:横熱電係数
σ
yx
:ホール電導度

SE
:ゼーベック係数
【0008】
なお、横熱電係数α
yx
は、下記式(2)で表される。
α
yx
=-(π

/3)・{(k


T)/e}(∂σ
yx
/∂ε)(モットの式) …(2)
但し、∂σ
yx
/∂εはフェルミ準位での値である。


:ボルツマン定数
ε:エネルギー
e:電荷素量
T:絶対温度
【0009】
無次元性能指数ZTは、下記式(3)で表される。
ZT=(S
ANE

・σ
xx
/κ
yy
)・T={S
ANE

/(ρ
xx
・κ
yy
)}・T …(3)
σ
xx
:電気伝導率
κ
yy
:熱伝導率
ρ
xx
:電気抵抗率
【0010】
合金熱電変換材料は、金属であるために熱伝導率が大きく材料内に温度差が付きにくく、形成される温度勾配が小さいこと、また熱電変換モジュールを介した熱流が大きくなりすぎるといった懸念点がある。設置する温度差環境、また熱流環境を最大限度利用できる熱伝導率を持つ熱電変換材料を用いた熱電変換モジュールを作製する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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