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公開番号2025004831
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-16
出願番号2023104683
出願日2023-06-27
発明の名称圧電素子
出願人日本特殊陶業株式会社
代理人弁理士法人暁合同特許事務所
主分類H10N 30/50 20230101AFI20250108BHJP()
要約【課題】高い絶縁破壊強度を実現できる圧電素子を提供する。
【解決手段】圧電素子10は、第1内部電極13と、第1内部電極13とは電位の異なる第2内部電極14と、第1内部電極13と第2内部電極14との間に存在する内部圧電体12と、が積層され、内部圧電体12が、ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む無鉛圧電磁器組成物を主相とし、さらにマンガンを含む酸化物からなる副相から構成される圧電素子10であって、内部圧電体12は、中心を含む断面で見たとき、積層方向において、第1内部電極13と第2内部電極14とが重なる領域を積層方向に8等分したとき、最も第1内部電極13側の領域を第1領域とし、最も第2内部電極14側の領域を第2領域としたときに、第1領域と第2領域とにおける副相の面積の割合のうち、大きい方の値R1と、第1領域と第2領域とを除く他の領域における副相の面積の割合のうち、最小値R2とが、R2/R1≧3を満たす。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
第1の電極と、前記第1の電極とは電位の異なる第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に存在する圧電体と、が積層され、
前記圧電体が、ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む無鉛圧電磁器組成物を主相とし、さらにマンガンを含む酸化物からなる副相から構成される圧電素子であって、
前記圧電体は、中心を含む断面で見たとき、積層方向において、前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域を前記積層方向に8等分したとき、最も前記第1の電極側の領域を第1領域とし、最も前記第2の電極側の領域を第2領域としたときに、
前記第1領域と前記第2領域とにおける前記副相の面積の割合のうち、大きい方の値R1と、前記第1領域と前記第2領域とを除く他の領域における前記副相の面積の割合のうち、最小値R2とが、R2/R1≧3を満たす、圧電素子。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
1つの前記第1の電極、1つの前記圧電体、および1つの前記第2の電極がこの順に並んで積層されたものを1つのユニットS、1つの前記第2の電極、1つの前記圧電体、および1つの前記第1の電極がこの順に並んで積層されたものを1つのユニットTと定義した場合に、前記第1の電極あるいは前記第2の電極を共有しながら前記ユニットSとTが交互に構成されている、請求項1に記載の圧電素子。
【請求項3】
前記R1が1.0%以下である、請求項1に記載の圧電素子。
【請求項4】
前記第1の電極および前記第2の電極がニッケルを主成分とする、請求項1または請求項2に記載の圧電素子。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、圧電素子に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、圧電性を示すセラミックスとして、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)が広く利用されてきた。しかし、PZTは成分に鉛を含むために、環境負荷が問題視されており、近年、無鉛圧電セラミック素材の開発が進められている。一般に圧電セラミックスは、有鉛無鉛を問わず高い絶縁特性が求められる。しかし、無鉛圧電セラミック材料の一つであるニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物は一般的に緻密な組織形成が難しく、絶縁性に課題がある。このような課題に対し、例えばニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物にマンガン(Mn)を添加することで、絶縁特性を向上させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-26998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の構成の無鉛圧電磁器組成物においても、絶縁破壊強度は充分ではなく、さらなる改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される圧電素子は、第1の電極と、前記第1の電極とは電位の異なる第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に存在する圧電体と、が積層され、前記圧電体が、ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む無鉛圧電磁器組成物を主相とし、さらにマンガンを含む酸化物からなる副相から構成される圧電素子であって、前記圧電体は、中心を含む断面で見たとき、積層方向において、前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域を前記積層方向に8等分したとき、最も前記第1の電極側の領域を第1領域とし、最も前記第2の電極側の領域を第2領域としたときに、前記第1領域と前記第2領域とにおける前記副相の面積の割合のうち、大きい方の値R1と、前記第1領域と前記第2領域とを除く他の領域における前記副相の面積の割合のうち、最小値R2とが、R2/R1≧3を満たす。
【発明の効果】
【0006】
本明細書によって開示される圧電素子によれば、高い絶縁破壊強度を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、実施形態の圧電素子の断面図である。
図2は、図1の枠F内の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
(1)本明細書によって開示される圧電素子は、第1の電極と、前記第1の電極とは電位の異なる第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に存在する圧電体と、が積層され、前記圧電体が、ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む無鉛圧電磁器組成物を主相とし、さらにマンガンを含む酸化物からなる副相から構成される圧電素子であって、前記圧電体は、中心を含む断面で見たとき、積層方向において、前記第1の電極と前記第2の電極とが重なる領域を前記積層方向に8等分したとき、最も前記第1の電極側の領域を第1領域とし、最も前記第2の電極側の領域を第2領域としたときに、前記第1領域と前記第2領域とにおける前記副相の面積の割合のうち、大きい方の値R1と、前記第1領域と前記第2領域とを除く他の領域における前記副相の面積の割合のうち、最小値R2とが、R2/R1≧3を満たす。なお、断面による分析方法は一般的に用いられる手法であり、十分に広い断面積で分析ができていれば三次元的な情報を断面でも表現できるため、問題ないと考えられる。
【0009】
圧電層に含まれる、マンガンを含む酸化物からなる副相は、ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物が有する空孔を埋めることで絶縁破壊強度を高める効果を発揮するが、電極の近傍に存在すると、局所的な電界歪みを誘起し、絶縁破壊強度を低下させてしまうと推察される。より詳細には、マンガンを含む酸化物自身の絶縁特性は低くないが、電極近傍に主相と混在することで、誘電率の違いによって電界に歪みが生じる。そのため、絶縁破壊強度の向上の観点から、主相の空孔を埋めるために副相としてマンガン酸化物を入れる方がよいが、断面において、電極近傍における副相の面積が大きいと電界歪みの観点から絶縁破壊強度が低下する。そのため、電極近傍の副相の面積は小さいことが好ましい。そこで、上記の構成によれば、電極近傍の領域(第1領域と第2領域)における副相の面積の割合を、電極から離れた領域(第1領域と第2領域とを除く他の領域)における副相の面積の割合よりも小さくすることにより、電界の歪みを抑制し、マンガンを含む酸化物による絶縁破壊強度の向上効果を最大限に発揮させることができる。ただし、マンガンは必ずしも副相だけに存在するのではなく、主相に固溶する場合(ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物のニオブが一部マンガンに置換された構造となる場合)もあり得る。
【0010】
(2)上記(1)の圧電素子において、1つの前記第1の電極、1つの前記圧電体、および1つの前記第2の電極がこの順に並んで積層されたものを1つのユニットS、1つの前記第2の電極、1つの前記圧電体、および1つの前記第1の電極がこの順に並んで積層されたものを1つのユニットTと定義した場合に、前記第1の電極あるいは前記第2の電極を共有しながら前記ユニットSとTが交互に構成されていることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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