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公開番号2024177232
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2024169790,2022207784
出願日2024-09-30,2018-01-11
発明の名称非アルコール性脂肪性肝疾患の予防及び治療薬
出願人興和株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 45/06 20060101AFI20241212BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】非アルコール性脂肪性肝疾患や非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療が可能な医薬組成物や薬剤の組み合わせの提供。
【解決手段】本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患や非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療のためのペルオキシソーム増殖剤応答性レセプター(PPAR)αアゴニストとナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害剤との組合せを提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
PPARαアゴニストとSGLT2阻害剤とを組み合わせてなる肝疾患の予防及び/又は治療剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患の予防及び/又は治療剤に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease、NAFLD)は、アルコール性肝炎やウイルス性肝炎によらない脂肪性肝障害であり、一般人口の約3割に見られると推定されている。NAFLDは、肝細胞の脂肪沈着のみによる比較的予後の良好な単純性脂肪肝(simple steatosis)から、比較的重症の肝組織の線維化、肝硬変、肝細胞癌に至ることがある非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)までの症状を含めた総称である。近年ではC型肝炎を代表とするウイルス性肝炎の治療法が急速に進歩しており、将来的にはウイルスによる肝癌患者数の減少が見込まれる一方で、NASHを基盤にした肝癌患者数の増加が懸念されている(非特許文献1、2、3)。
【0003】
NAFLDの発症の機序としては、肝細胞への脂肪の蓄積の段階と炎症・線維化が進展する段階を分けた、「Two hit theory」が広く知られているが(非特許文献4)、近年では、他因子が同時並行で病態進行に関与する「Multiple-parallel hit theory」が提唱されている(非特許文献5)。NASHの診断に際しては、肝細胞の風船様変性(Ballooning)、Mallory-Denk体、及び線維化が重要な因子であり、日本消化器病学会のNAFLD/NASH診療ガイドラインでは、病理学的診断基準として「肝細胞の大滴性脂肪化に加えて、炎症を伴う肝細胞の風船様変性を認めるものをNASHとする」と定義されている。
Matteoniらは予後に重点を置いて病理所見からNAFLDを4段階に分け、Type3と4をNASHと定義している(非特許文献3、6)。肝細胞の肥大化及び風船様変性は肝細胞中の脂肪蓄積に由来する、細胞骨格が変性を来たした所見であり、これらの指標はNASHか否かを鑑別する上で重要な所見である。
【0004】
NAFLDの治療の原則は、食事療法、運動療法などの生活習慣の改善により、背景にある肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することにある。臨床では、生活習慣の改善に加えて、インスリン抵抗性、脂質代謝異常、高血圧、酸化ストレス等を標的とした薬物治療が行われている。インスリン抵抗性に対しては、インスリン感受性の増強作用にかかわる核内受容体PPARγのリガンドであるチアゾリジン系誘導体(ピオグリタゾンやロシグリタゾン等)、あるいは、ビグアナイド系薬物(メトホルミン等)等のインスリン抵抗性改善薬が使用されている。脂質代謝異常に対しては、PPARαアゴニストであるフィブラート系薬物(フェノフィブラートやベザフィブラート等)、スタチン系製剤、小腸コレステロール再吸収阻害薬(エゼチミブ等)等が、高血圧治療剤としては、アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬(ARB)等が使用されている(非特許文献1、3)。
この他、抗酸化剤として、ビタミンE等が使用されている。
【0005】
これらの薬物治療は、患者の基礎疾患等により適宜選択される。しかし、いずれの薬物治療も更なる検証が必要とされ、NAFLDの薬物療法として評価が定まったものは現在のところない。
【0006】
フィブラート系薬物では、NAFLDに対するフェノフィブラートの効果についての臨床試験が報告されている(非特許文献7)。また、特許文献1に開示された選択的なPPARα活性化作用を有する(R)-2-[3-[[N-(ベンズオキサゾール-2-イル)-N-3- (4-メトキシフェノキシ)プ口ピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、若しくはその塩又はこれらの溶媒和物が、非アルコール性脂肪性肝疾患の予防及び治療に対して有用であることが示されている(特許文献2)。一方、ナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害剤であるレモグリフロジンが臨床で作用検討がなされ、NASHの改善作用が報告されている(非特許文献8)。世界的なメタボリックシンドローム患者の増加に伴い、NASHの患者数の増加も予測されている。NASHは癌関連死の大きな要因を占める非ウイルス性肝細胞癌の原因と考えられる(非特許文献9)ことから、より有効な治療法の確立が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開2005/023777号
国際公開2015/005365号
【非特許文献】
【0008】
Chalasani N. et al. Hepatology, 55, 2005-23 (2012)
Musso G. et al. Nat. Rev. Drug Discov. 15(4), 249-74 (2016.1)
日本消化器病学会 NAFLD/NASH診療ガイドライン2014
Day CP. et al, Gastroenterology, 114(4), 842-5 (1998)
Tilg H. et al. Hepatology, 52, 1836-46 (2010)
Matteoni CA. et al. Gastroenterology, 116, 1413-9 (1999)
Fernandez-Miranda C. et al. Dig. Liver Dis., 40, 200-5 (2008)
Wilkison W. et al. Abstract O047. International Liver Congress; April 22-26, 2015
Fujii M. et al. Med. Mol. Morphol, 46, 141-52 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、肝細胞の脂肪滴の肥大化及び/又は風船様変性の予防及び/又は改善効果を有し、NAFLDやNASHの予防及び/又は治療が可能な医薬組成物や薬剤の組み合わせを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる現状に鑑み、本発明者らは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、特に症状の重い非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防及び/又は治療に有用な方法を見出すべく、NASHのモデル動物であるNASH-HCCマウスを用いて鋭意検討を行ったところ、PPARαアゴニストである(R)-2-[3-[[N-(ベンズオキサゾール-2-イル)-N-3- (4-メトキシフェノキシ)プ口ピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸(以下、化合物1と称する場合がある。)とSGLT2阻害剤(Expert Opin. Investig. Drugs (2013) 22(4):463-486等に開示)とを組み合わせて使用することで、強力な肝細胞の脂肪滴サイズの減少作用及び風船様変性の強力な抑制作用、ひいてはNAFLD及びNASHの予防及び/又は治療作用を見出し、本発明を完成した。
(【0011】以降は省略されています)

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