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公開番号
2024160788
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-15
出願番号
2023076147
出願日
2023-05-02
発明の名称
光学素子、及び光学設計方法
出願人
興和株式会社
代理人
個人
主分類
G02B
1/02 20060101AFI20241108BHJP(光学)
要約
【課題】光学特性の向上を図る光学素子、及び光学設計方法を提供する。
【解決手段】メタ原子の形状に基づき構成される微細パターンが形成された微細形状面11、及び平面状に形成された接合面12を有するメタレンズ1と、既存のレンズと同等の特徴を有し、前記接合面12と接合された接合用レンズ2と、を備えることを特徴とする。例えば、前記接合用レンズ2は、前記接合面12と接合された第1硝材2aと、前記接合面12と離間し、前記第1硝材2aと接合された第2硝材2bと、を少なくとも含むことを特徴とする。例えば、前記メタレンズ1の特徴を代替するバイナリーオプティクスを含む構成の光学設計に基づき、前記バイナリーオプティクスの有する第1段差パターンを設定する設定ステップと、第1算出ステップと、第1特定ステップと、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
メタ原子の形状に基づき構成される微細パターンが形成された微細形状面、及び平面状に形成された接合面を有するメタレンズと、
既存のレンズと同等の特徴を有し、前記接合面と接合された接合用レンズと、
を備えること
を特徴とする光学素子。
続きを表示(約 1,900 文字)
【請求項2】
前記接合用レンズは、
前記接合面と接合された第1硝材と、
前記接合面と離間し、前記第1硝材と接合された第2硝材と、
を少なくとも含むこと
を特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項3】
請求項1記載の光学素子を設計する光学設計方法であって、
下式(1)を満たす回折光学素子及び前記接合用レンズの条件を特定する第1制限条件ステップを備えること
を特徴とする光学設計方法。
B1∝λ
0
(N1-N2)/(R×(λ
1
-λ
2
)) ・・・(1)
B1:光学設計ソフトウェアを用いて前記回折光学素子を等価屈折法でモデル化する際の位相係数
λ
0
:前記回折光学素子の規格化波長
λ
1
:軸上色収差補正の対象とする第1補正対象波長
λ
2
:軸上色収差補正の対象とする第2補正対象波長
N1:前記第1補正対象波長に対し、前記接合用レンズの有する第1屈折率
N2:前記第2補正対象波長に対し、前記接合用レンズの有する第2屈折率
R:前記接合用レンズの有する凸面の曲率半径
【請求項4】
請求項1記載の光学素子を設計する光学設計方法であって、
下式(2)を満たす回折光学素子及び前記接合用レンズの条件を特定する第2制限条件ステップを備えること
を特徴とする光学設計方法。
B1∝λ
0
(φ
pc2
-φ
pc1
)/(-λ
1
(1-e´φ
pc1
)+λ
2
(1-e´φ
pc2
)) ・・・(2)
B1:光学設計ソフトウェアを用いて前記回折光学素子を等価屈折法でモデル化する際の位相係数
λ
0
:前記回折光学素子の規格化波長
λ
1
:軸上色収差補正の対象とする第1補正対象波長
λ
2
:軸上色収差補正の対象とする第2補正対象波長
φ
pc1
:前記接合用レンズにおける焦点距離の逆数(パワー)
φ
pc2
:前記回折光学素子における焦点距離の逆数(パワー)
e´:前記回折光学素子と前記接合用レンズとの間の幾何光学的な距離
【請求項5】
前記メタレンズの特徴を代替する前記回折光学素子の一つに含まれるバイナリーオプティクスを含む構成の光学設計に基づき、前記バイナリーオプティクスの有する第1段差パターンを設定する設定ステップと、
予め設定された第1波長に基づき、メタ原子の形状に対する位相の関係を示す第1位相データを算出する第1算出ステップと、
前記第1段差パターンから第1位相パターンを算出し、前記第1位相パターンに対応する前記微細パターンを、前記第1位相データを参照して特定する第1特定ステップと、
を備えること
を特徴とする請求項3又は4記載の光学設計方法。
【請求項6】
前記設定ステップは、前記バイナリーオプティクスと、初期設定用の従来レンズとを併用した構成の光学設計に基づき、前記第1段差パターンを設定すること
を特徴とする請求項5記載の光学設計方法。
【請求項7】
予め設定された前記第1波長とは異なる第2波長に基づき、前記第1位相データとは異なる第2位相データを算出する第2算出ステップと、
前記第2位相データを参照し、前記微細パターンに対応する第2位相パターンを特定する第2特定ステップと、
前記第1位相パターン及び前記第2位相パターンに基づき、前記接合用レンズを設計する設計ステップと、
をさらに備えること
を特徴とする請求項6記載の光学設計方法。
【請求項8】
前記設計ステップは、前記第2位相パターンに相当する第2段差パターンを特定し、前記第2段差パターンに基づき、前記接合用レンズを設計することを含むこと
を特徴とする請求項7記載の光学設計方法。
【請求項9】
前記第1算出ステップは、ベクトルモデルの光学シミュレーションを用いて前記第1位相データを算出すること
を特徴とする請求項5記載の光学設計方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子、及び光学設計方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、光学素子として「メタレンズ」(「フラットオプティクス」とも呼ばれている)が注目を集めており、世界各地の研究機関で研究・開発が行われている。この「メタレンズ」は、厚みのほぼないフラットレンズを実現できるとされている。この理由は、シリコンの表面にナノメートル規模のパターンを描くことで、レンズのような働きをするからであり、例えばToF(Time of Flight)への応用が検討されている。従来におけるToF用途のセンサーは、上部に複数のレンズを配置して光を集めるため、レンズの枚数に伴う厚みが生じる。これに対し、メタレンズを用いることで、1枚の板を“レンズ”として使えるため、センサーの薄型化が期待されている。特に、設計によっては複数枚のレンズで構成していた光学系を、1枚で実現できる可能性もある。
【0003】
また、メタレンズは、回折作用を用いて光を制御する素子であり、回折光学素子(以下、必要に応じてDOE(Diffractive Optical Element)とも記載する)の一種であるともいえるが、その形成されているパターンの寸法が、使用する波長より小さな値のものを必要とする。このため、「光トラップによる非線形性」を考慮する必要があり、これまで言われているDOEとは異なるものとして取り扱う必要がある。
【0004】
メタレンズは、例えばメタサーフェスと呼ばれる1回の露光及びエッチングにより、メタ原子の形状を示す微細パターンを形成した構造のうち、レンズ作用を有する構造を示す。また、メタレンズの特徴として、平坦な形状を有する。このため、バイナリーオプティクスと比較した場合、コンパクトな構成が可能となり、様々な応用が期待されている。なお、メタレンズとして形成される微細パターンとしては、例えば特許文献1に開示された内容等が挙げられる。
【0005】
なお、レンズ作用を有する構成のメタマテリアルとするならば、露光の回数は、1回のほか、例えば2回以上でもよい。ここでは1回の露光により形成された構造(所謂メタサーフェス)を「メタレンズ」とする。
【0006】
メタレンズを作製する方法として、ナノメートルオーダーのパターンを形成する場合には、半導体製造で使用されているリソグラフィー技術が有効である。例えば石英ウエハに酸化膜や窒化膜を成膜した上にホトレジストを塗布し、ナノメートルオーダーのパターンを露光し、現像する。残ったレジストの無い部分をエッチングすることで、ナノメートルオーダーのパターンを形成する。露光方法としては、電子ビーム、露光光として紫外線(i線やエキシマレーザー発振波長)の使用やナノインプリント等々、色々な方法が使用できる。
【0007】
1枚の石英ウエハ上に複数の微細パターンが形成されたあと、ダイシング等により、メタレンズ1個毎に切り分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2020-86055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の様に、メタレンズを作製する場合には石英ウエハが使用されるが、この石英ウエハの面に関しては、一方の面には微細パターンが形成され、他方の面には微細パターンが形成されず、平面状を示す(露光装置のチャックと呼ぶ保持機構のある部品に吸着するため)。この平らな面に反射防止の機能を付けることは困難であり、メタレンズを含む光学素子の光学性能の向上を図ることが難しい。このため、例えばメタレンズをToF等の計測に使用する場合、平らな面からの反射光がフレアやゴーストとなり、不具合が発生する恐れがある。
【0010】
ここで、通常レンズの反射防止膜は、誘電体膜を成膜することで形成可能としているが、メタレンズにおける石英ウエハの平らな面に、通常レンズと同様に誘電体膜を成膜する場合、反対側の微細パターンが形成された面にも誘電体膜が回り込み、計測結果に不具合が生じる場合がある。なお、マスク等を用いて、微細パターンが形成された面に付けた後の成膜も検討されているが、異物等の発生の原因となり得る。また、専用の高性能な成膜装置を用いた成膜により反射防止の対応ができたとしても、新しい装置の導入等でコストアップの原因となる。また、特許文献1の開示技術では、上述した光学特性の向上を図る必要性について、記載も示唆もされていない。
(【0011】以降は省略されています)
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