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公開番号2024176689
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095430
出願日2023-06-09
発明の名称車両の制御装置
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類F02D 45/00 20060101AFI20241212BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】エンジンマウントおよびその周辺部品の劣化状態を、適切に、かつ、精度よく、検知または推定することが可能な車両の制御装置を提供する。
【解決手段】動力源としてエンジンを搭載し、前記エンジンと車体との間で前記エンジンを支持して前記エンジンの振動を抑制する支持部材を備え、前記支持部材の劣化状態を評価または推定する車両の制御装置において、車速が所定値以下であり、かつ、前記エンジンがアイドリング運転されている状態で、前記エンジンの加速度および車体の加速度をそれぞれ周波数分析して、前記車体の加速度の爆発n次周波数成分が、前記車体の加速度の爆発1次周波数成分よりも所定の判定条件以上大きくなった場合に、前記支持部材の劣化が進行した旨を運転者に告知する(ステップS7)。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
動力源として少なくともエンジンを搭載し、前記エンジンと車体との間で前記エンジンを支持して前記エンジンの振動を抑制する支持部材を備え、前記支持部材の劣化状態を評価または推定する車両の制御装置であって、
前記車両の運転状態および前記エンジンの運転状態、ならびに、前記エンジンの加速度および前記車体の加速度をそれぞれ検出する検出部と、
前記車両を制御するとともに、前記劣化状態を定量的に評価または推定するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
車速が所定値以下であり、かつ、前記エンジンがアイドリング運転されている状態で、前記各加速度をそれぞれ周波数分析して、前記車体の加速度の爆発1次周波数成分の所定の整数倍の周波数成分である爆発n次周波数成分が、前記車体の加速度の爆発1次周波数成分よりも所定の判定条件以上大きくなった場合に、前記支持部材の劣化が進行した、または、前記劣化が進行する予兆がある旨を運転者に告知する
ことを特徴とする車両の制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンを搭載した車両の制御装置に関し、特に、エンジンと車体との間でエンジンを支持してエンジンの振動を抑制する支持部材(例えば、エンジンマウントやトルクロッドなど)の劣化状態を検知または推定する車両の制御装置に関するものである。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車用エンジンの故障や不良などの異常を検出するエンジン診断装置に関する発明が記載されている。この特許文献1に記載されたエンジン診断装置は、エンジンに装着した振動センサー(加速度センサー)の出力値から、周波数分析部を用いて低次のピーク周波数および高次のピーク周多数を算出する。また、エンジンの回転数センサーの出力値から、エンジン点火周波数および気筒点火周波数を算出する。そして、算出した各周波数、および、エンジンのパワーに基づいて、エンジンの異常を判定または表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平7-229815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載されたエンジン診断装置では、エンジン本体に直接装着した振動センサーからの情報を用いて、エンジンの異常状態が検出される。具体的には、エンジンの振動情報が線形予測法を用いた信号処理によって周波数領域のデータに変換される。それにより、特許文献1に記載されたエンジン診断装置によれば、時間領域のデータでは得られなかったエンジンの動作状態を決定する2つの要素(エンジンの回転に関する成分、および、エンジンの点火に関する成分)を定量的に求めることが可能になり、また、それらの特徴量を正規化して表示することによって、エンジンの異常判定が容易なる、とされている。
【0005】
一方で、特許文献1に記載されたエンジン診断装置は、上記のようにエンジン本体の異常状態を検知または推定できるものの、例えば、エンジンマウントやトルクロッドなどの、エンジンと車体との間でエンジンを支持する支持部材の経時変化および劣化の状態については考慮されていない。例えば、エンジンマウントが経時変化によって劣化すると、エンジン本体は正常であっても、実質的に、エンジンが加振源となって発生する振動が増大する。そのような場合、上記の特許文献1に記載されたエンジン診断装置では、エンジンマウントやその周辺部品の劣化状態を、直接的に、検知または推定することはできない。
【0006】
この発明は上記のような技術的課題に着目して考え出されたものであり、エンジンマウントやトルクロッドなどのエンジンの支持部材の劣化状態を、適切に、かつ、精度よく、検知または推定することが可能な車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、動力源として少なくともエンジンを搭載し、前記エンジンと車体との間で前記エンジンを支持して前記エンジンの振動を抑制する支持部材を備え、前記支持部材の劣化状態を評価または推定する車両の制御装置であって、前記車両の運転状態および前記エンジンの運転状態、ならびに、前記エンジンの加速度および前記車体の加速度をそれぞれ検出する検出部と、前記車両を制御するとともに、前記劣化状態を定量的に評価または推定するコントローラと、を備え、前記コントローラは、車速が所定値以下であり、かつ、前記エンジンがアイドリング運転されている状態で、前記各加速度の検出値をそれぞれ周波数分析して、前記車体の加速度の爆発1次周波数成分の所定の整数倍の周波数成分である爆発n次周波数成分が、前記車体の加速度の爆発1次周波数成分よりも所定の判定条件以上大きくなった場合に、前記支持部材の劣化が進行した、または、前記劣化が進行する予兆がある旨を運転者に告知することを特徴とするものである。
【0008】
なお、この発明における前記コントローラは、前記エンジンの加速度の爆発1次周波数成分が所定の範囲内である場合に、前記劣化状態の評価または推定を実施するように構成してもよい。
【0009】
また、この発明における前記コントローラは、前記エンジンの暖機が完了した状態で、前記劣化状態の評価または推定を実施するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明の車両の制御装置では、例えば、エンジンマウントやトルクロッドなどの、エンジンの支持部材の劣化状態を定量的に表すために、車体振動、すなわち、車体の加速度が検出される。また、その車体振動の発生源となるエンジンの振動、すなわち、エンジンの加速度も検出される。更に、それら車体の加速度およびエンジンの加速度の周波数分析がそれぞれ実施される。そして、それらの周波数分析結果によって得られるエンジンの爆発1次周波数成分、および、その爆発1次周波数成分の整数倍(n倍)の周波数成分である爆発n次周波数成分に基づいて、エンジンの支持部材の劣化状態が評価される。例えば、車体の加速度の爆発n次周波数成分が、その爆発1次周波数成分よりも、所定値以上大きくなった場合、あるいは、車体の加速度の爆発n次周波数成分が、その爆発1次周波数成分よりも、所定倍以上大きくなった場合に、車両の点検や部品交換などが必要なレベルまで、エンジンの支持部材の劣化が進行した、または、劣化が進行する予兆があると評価される。それとともに、その評価結果が運転者に告知される。そのため、車体の振動が大きくなり、エンジンの支持部材の劣化が進行していると推定される場合に、そのような状態を、適切に、かつ、精度よく、検知するとともに、速やかに運転者に認識させ、車両の点検や部品交換の実施を運転者に促すことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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