TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024171889
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089166
出願日2023-05-30
発明の名称歯科用有機無機複合フィラー及びその製造方法
出願人株式会社トクヤマデンタル
代理人
主分類A61K 6/893 20200101AFI20241205BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】 ラジカル重合性単量体を含む歯科用硬化性組成物に配合したときに、粘度上昇及び重合収縮を抑えながら無機粒子添加効果を得ることができる樹脂成分と無機粒子とが複合化した有機無機複合フィラーであって、更なる硬化体高強度化を図ることが可能で、且つ製造が容易な有機無機複合フィラーを提供する。
【解決手段】 例えば、m-キシリレンジイソシアナートのようなジイソシアネート化合物とグリセロールモノメタクリレートのようなラジカル重合性ジオール化合物とを重付加することにより得られる、ラジカル重合性基を含み、平均分子量が1500~4000の常温常圧で固体であるポリウレタンを樹脂成分とする有機無機複合粒子からなり、無機粒子の平均含有率が60~90質量%である有機無機複合フィラー。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
樹脂と無機粒子とが複合化した複合体粒子によって構成される粉粒体からなる有機無機複合フィラーであって、
前記樹脂が、分子内にラジカル重合性基を含み、平均分子量が1500~4000であり、常温常圧において固体である、ポリウレタンであり、
前記粉粒体に含まれる前記無機粒子の平均含有率が60~90質量%である、
ことを特徴とする有機無機複合フィラー。
続きを表示(約 2,600 文字)【請求項2】
前記ポリウレタンの分子中に含まれるラジカル重合性基の平均含有量が、前記ポリウレタン1gに対して1.0~3.0mmolである、請求項1に記載の有機無機複合フィラー。
【請求項3】
前記ポリウレタンが、架橋構造を有する、請求項1又は2に記載の有機無機複合フィラー。
【請求項4】
前記ポリウレタンが、ウレア構造を有する、請求項1又は2に記載の有機無機複合フィラー。
【請求項5】
請求項1に記載の有機無機複合フィラーを製造する方法であって、
分子内にラジカル重合性基を含み、平均分子量が1500~4000であり、常温常圧において固体であるポリウレタンの原料となる重付加性原料化合物を準備する原料準備工程;
前記工程で準備された重付加性原料化合物を有機溶媒中、重付加触媒の存在下に重付加反応させて前記ポリウレタンが前記有機溶媒に溶解若しくは分散したポリウレタン含有液を調製するポリウレタン含有液調製工程;
前記ポリウレタン含有液と、無機粉粒体とを、前記ポリウレタン含有液に含まれる前記有機溶媒以外の有機成分と前記無機機粉粒体との総質量に対する前記無機機粉粒体の質量の割合が60~90質量%の範囲内となるよう量比で混合して前記無機機粉粒体を構成する無機粒子がポリウレタン含有液中に分散したスラリーを調製するスラリー調製工程;及び
前記スラリーから前記有機溶媒を除去して、前記ポリウレタンと前記無機粒子とが複合化した粉体又は固体塊状物を得る乾燥工程;を含み、
前記原料準備工程では、
前記ポリウレタンの原料として必須な重付加性原料化合物として、
ジイソシアネート化合物(a);及び
分子内に、2個のヒドロキシ基と少なくとも1個のラジカル重合性基を有するラジカル重合性ジオール化合物(b);を準備し、
更に前記(a)及び前記(b)以外の重付加性原料化合物として、
分子内に2個のヒドロキシ基を有しラジカル重合性基を有しない非ラジカル重合性ジオール化合物(b´);及び/又は
分子内にヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる2~4個の置換基を有する、前記(b´)以外の化合物からなる、多官能重付加性化合物(c);を必用に応じて準備し、
前記ポリウレタン含有液調製工程では、
該工程で使用する前記(a)、前記(b)、前記(b´)及び前記(c)の量(モル)を、夫々a、b、b´及びcとし、前記(a)に含まれるイソシアネート基の総量(モル)をa
NCO
とし、前記(b)に含まれるヒドロキシ基の総量(モル)をb
OH
とし、前記(b´)に含まれるヒドロキシ基の総量(モル)をb´
OH
とし、前記多官能重付加性化合物(c)に含まれるヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基及びメルカプト基の総量(モル)をc
Sub
としたときに、
(1)前記(a)及び前記(b)、又は前記(a)、前記(b)及び前記(b´)を、
b´
OH
/b
OH
=0~1 及び
(b
OH
+b´
OH
)/a
NCO
=0.8~1.2
の条件{但し、(b´)を混合しないときは、b´=b´
OH
=0とする。}を全て満足する割合で混合して前記重付加反応を行うか、又は、
(2)前記(a)、前記(b)及び前記(c)、又は前記(a)、前記(b)、前記(c)及び前記(b´)を、
b´
OH
/b
OH
=0~0.8
(b
OH
+b´
OH
+c
Sub
)/a
NCO
=0.8~1.2 及び
c/(b+b´)=0.05~0.2
の条件{但し、(b´)を混合しないときは、b´=b´
OH
=0とする。}を全て満足する割合で混合して前記重付加反応を行う、
ことを特徴とする有機無機複合フィラーの製造方法。
【請求項6】
前記乾燥工程で粉体が得られた場合には粒度調整を行い、固体塊状物が得られた場合には破砕及び粒度調整を行ってからレーザー回折-散乱法で測定される平均粒子径が10~50(μm)の粉粒体とする粒度調整工程を更に含む、請求項5に記載の有機無機複合フィラーの製造方法。
【請求項7】
前記原料準備工程で前記(a)及び(b)を準備すると共に前記多官能重付加性化合物(c)として、分子内に3又は4個のヒドロキシ基を有するポリオール化合物又は該ポリオール化合物が有する3又は4個の内の1つのヒドロキシ基を除く他のヒドロキシ基の少なくも1つがカルボキシ基又はメルカプト基で置換された置換ポリオール化合物からなるポリオール系多官能重付加性化合物(c1)を準備し、
前記ポリウレタン含有液調製工程において、前記(2)の重付加反応を行うことにより、架橋構造を有する前記ポリウレタンを含有するポリウレタン含有液を調製する、
請求項5に記載の有機無機複合フィラーの製造方法。
【請求項8】
前記原料準備工程で前記(a)及び(b)を準備すると共に前記多官能重付加性化合物(c)として、分子内に2つのアミノ基を有する化合物又は分子内に1つのアミノ基と、1つのヒドロキシ基、1つのカルボキシ基又は1つのメルカプト基を有する化合物からなるアミン系多官能重付加性化合物(c2)を準備し、
前記ポリウレタン含有液調製工程において、前記(2)の重付加反応を行うことにより、ウレア構造を有する前記ポリウレタンを含有するポリウレタン含有液を調製する、
請求項5に記載の有機無機複合フィラーの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の有機無機複合フィラー、ラジカル重合性単量体、及びラジカル重合開始剤を含んでなることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の歯科用硬化性組成物の硬化体からなることを特徴とする歯科用修復材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用有機無機複合フィラー及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
重合性単量体(モノマー)、充填材(フィラー)、及び重合開始剤を含む歯科用硬化性組成物の硬化体からなる歯科用複合修復材は、治療した歯牙を修復するための材料として汎用されているが、修復時における上記歯科用硬化性組成物の操作性、硬化体の審美性や機械的物性等は、使用されるフィラーの種類や形状等によって影響を受ける。
【0003】
例えば、粒径が数μmを超える比較的大きな無機フィラーを配合した歯科用複合修復材は、硬化体の機械的強度が高いという特徴を持つものの、研磨性や耐摩耗性が悪く、臨床的に天然歯と同様な艶のある仕上がり面を得られないといった問題があった。一方で、平均粒径が1μm以下の無機粒子、特にその形状が丸みを帯びた無機粒子及び/又はその凝集体からなる無機フィラーを用いた場合、表面滑沢性は大きく改善されているが、ペーストの粘稠度が増加し、必然的に操作性を確保するためにモノマーの配合量を多くせざるを得ず、重合収縮量の増加、機械的強度の低下等を招いてしまうといった問題があった。
【0004】
以上の問題を解決する方法として、無機粒子と樹脂(重合性単量体の硬化体)との複合体からなる有機無機複合粒子によって構成される有機無機複合フィラーを使用する方法が提案されている。たとえば、特許文献1には、微小無機フィラーを含む重合硬化性組成物を重合硬化させた後にこれを粉砕して得た有機無機複合フィラーを用いることにより、微細フィラーを用いたときの特徴である優れた表面滑沢性や耐磨耗性を実現しながら、上記したような操作性の低下、重合収縮の増大といった問題を解決することができることが記載されている。
【0005】
近年、歯科用複合修復材料の機械的強度等の性能に対する要求は次第に高くなってきており、上記の有機無機複合フィラーを用いた歯科用複合修復材においても機械的強度の向上が望まれている。特許文献2では、分子中にラジカル重合性基及び当該ラジカル重合性基以外の官能基を有するラジカル重合性単量体、無機フィラー、並びにラジカル重合開始剤を含んでなる重合性組成物を重合硬化させた後に破砕し、表面にラジカル重合性基以外の前記官能基を有する有機無機複合フィラーを得、次いで分子中に前記官能基に対して反応性を有する官能基、及びラジカル重合性基を有する化合物と上記有機無機複合フィラーとを反応させて表面にラジカル重合性基を有する複合フィラーを得ることを特徴とする有機無機複合フィラーの製造方法が開示されている。また、特許文献3では、凝集粒子に樹脂を含浸させ、重合することで、機械的勘合を残存させ、高い強度を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2000―80013号公報
特開2002―338422号公報
国際公開第2011/115007号パンフレット
特開2019-210233号公報
国際公開第2021/153446号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した特許文献2に記載された方法によって得られる有機無機複合フィラーは、反応性を有する官能基、及び、ラジカル重合性基を有する化合物と反応させる必要があるため、その反応率による影響を受けるとともに、その反応率を容易に制御、特に高めることができない。また、追加の処理となり、その製造効率に劣る場合があった。一方、特許文献3の有機無機複合フィラーは、凝集粒子の間隙を残存させることで、それにより機械的勘合を利用しているため、その間隙の残存の制御が必要であり、また、機会的勘合のみの作用となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、歯科用複合修復材として使用される歯科用硬化性組成物に好適に使用される(硬化時の重合収縮量の増加や硬化体の機械的強度の低下等を引き起こし難いという特長を有する)有機無機複合フィラーであって、硬化体の機械的強度を向上させることができ、且つ調製が容易な有機無機複合フィラー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の第1の形態は、樹脂と無機粒子とが複合化した複合体粒子によって構成される粉粒体からなる有機無機複合フィラーであって、前記樹脂が、分子内にラジカル重合性基を含み、平均分子量が1500~4000であり、常温常圧において固体である、ポリウレタンであり、前記粉粒体に含まれる前記無機粒子の平均含有率が60~90質量%である、ことを特徴とする有機無機複合フィラーである。
【0010】
上記形態の有機無機複合フィラー(以下、「本発明のポリウレタン系有機無機複合フィラー」ともいう。)においては、前記ポリウレタンの分子中に含まれるラジカル重合性基の平均含有量が、前記ポリウレタン1gに対して1.0~3.0mmolであることが好ましい。また、前記ポリウレタンは、架橋構造を有するか、又はウレア構造を有することが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

個人
錠剤撒き器
3か月前
個人
歯の掃除具
1か月前
個人
男性用下着
5か月前
個人
穿刺補助具
5か月前
個人
入れ歯
7か月前
個人
身体牽引装置
1か月前
個人
乗馬テラピー
1か月前
個人
塗り薬塗り具
9日前
個人
染毛方法
29日前
個人
発熱器具
1か月前
個人
健康器具
8日前
個人
収納容器
2日前
個人
動体視力強化装置
2か月前
個人
鼻腔拡張具
3か月前
株式会社コロナ
脱臭機
3か月前
個人
磁器治療器
1か月前
個人
排便漏れ予防装具
5か月前
個人
挟圧手工爪矯正具
3か月前
個人
血管硬化度算出方法
2か月前
個人
マウスピース
5か月前
東レ株式会社
吸収制御剤
27日前
個人
口腔ケア用歯ブラシ
3か月前
株式会社ナカニシ
生検針
1か月前
東レ株式会社
下肢着用具
1か月前
株式会社ファンケル
化粧料
15日前
株式会社ニデック
眼科装置
2か月前
株式会社ダリヤ
皮膚洗浄剤
3か月前
株式会社ファンケル
化粧料
1か月前
株式会社ニデック
眼科装置
3か月前
株式会社ニデック
眼科装置
3か月前
大正製薬株式会社
内服液剤
1か月前
株式会社ニデック
眼科装置
6か月前
個人
圧排器具
5か月前
株式会社ファンケル
化粧料
2か月前
株式会社ニデック
眼科装置
2か月前
個人
唾液分泌促進具
2か月前
続きを見る