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公開番号2024171082
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2023087962
出願日2023-05-29
発明の名称スペクトラム監視装置、スペクトラム監視方法およびプログラム
出願人日本電気株式会社,日本電気航空宇宙システム株式会社
代理人個人,個人
主分類H04B 17/345 20150101AFI20241204BHJP(電気通信技術)
要約【課題】無線通信において電波異常(電波干渉)を監視する際に雑音による変動の影響を受けずに電波干渉の発生時刻及び発生個所を特定する。
【解決手段】スペクトラム監視装置は、無線送信された電波を受信して受信信号を生成し、受信信号からスペクトラム情報を計算して受信スペクトラム画像を生成し、受信スペクトラム画像を学習により再構成して再構成スペクトラム画像を生成し、受信スペクトラム画像と再構成スペクトラム画像の差分に基づいて干渉信号の有無を判定し、干渉信号の存在が判定されたとき、干渉信号が存在する周波数帯域を可視化する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
無線送信された電波を受信して受信信号を生成する受信部と、
前記受信信号からスペクトラム情報を計算して受信スペクトラム画像を生成するスペクトラム画像生成部と、
前記受信スペクトラム画像を学習により再構成して再構成スペクトラム画像を生成するスペクトラム再構成部と、
前記受信スペクトラム画像と前記再構成スペクトラム画像の差分に基づいて干渉信号の有無を判定する判定部と、
前記判定部により前記干渉信号の存在が判定されたとき、前記干渉信号が存在する周波数帯域を可視化する可視化部と、
を具備するスペクトラム監視装置。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記判定部は、前記受信スペクトラム画像と前記再構成スペクトラム画像のピクセル毎の第1の差分値の和が第1の閾値より大きい場合に異常と判定し、前記受信スペクトラム画像と前記再構成スペクトラム画像のレベル方向の第2の差分値を周波数帯域毎に算出し、前記第2の差分値が第2の閾値より大きい前記周波数帯域を雑音変動ではないと判定し、前記可視化部は前記判定部により異常と判定され、かつ、雑音変動ではないと判定された前記周波数帯域を可視化する、請求項1に記載のスペクトラム監視装置。
【請求項3】
前記学習用の学習モデルの生成時に正常と判定される第1のスペクトラムデータに係る第1の度数分布と異常と判定される第2のスペクトラムデータに係る第2の度数分布が重複するときの前記第1の差分値から前記第1の閾値を算出し、前記雑音変動のみによる第3のスペクトラムデータに係る第3の度数分布と前記干渉信号を含む第4のスペクトラムデータに係る第4の度数分布が重複するときの前記第2の差分値から前記第2の閾値を算出する、請求項2に記載のスペクトラム監視装置。
【請求項4】
無線送信された電波を受信して受信信号を生成し、
前記受信信号からスペクトラム情報を計算して受信スペクトラム画像を生成し、
前記受信スペクトラム画像を学習により再構成して再構成スペクトラム画像を生成し、
前記受信スペクトラム画像と前記再構成スペクトラム画像の差分に基づいて干渉信号の有無を判定し、
前記干渉信号の存在が判定されたとき、前記干渉信号が存在する周波数帯域を可視化する、スペクトラム監視方法。
【請求項5】
スペクトラム監視装置のコンピュータに実装されるプログラムであって、
無線送信された電波を受信して受信信号を生成させ、
前記受信信号からスペクトラム情報を計算して受信スペクトラム画像を生成させ、
前記受信スペクトラム画像を学習により再構成して再構成スペクトラム画像を生成させ、
前記受信スペクトラム画像と前記再構成スペクトラム画像の差分に基づいて干渉信号の有無を判定させ、
前記干渉信号の存在が判定されたとき、前記干渉信号が存在する周波数帯域を可視化させる、プログラム。
【請求項6】
無線送信された電波に係る受信信号から生成した受信スペクトラム画像と前記受信スペクトラム画像を学習により再構成して生成した再構成スペクトラム画像の差分に基づいて周波数帯域の異常領域を判定する異常判定部と、
前記周波数帯域の前記異常領域を可視化する可視化部と、
を具備するスペクトラム監視装置。
【請求項7】
無線送信された電波の受信信号から生成した受信スペクトラム画像と前記受信スペクトラム画像を学習により再構成して生成した再構成スペクトラム画像の差分に基づいて周波数帯域の異常領域を判定し、
前記周波数帯域の前記異常領域を可視化する、スペクトラム監視方法。
【請求項8】
スペクトラム監視装置のコンピュータに実装されるプログラムであって、無線送信された電波の受信信号から生成した受信スペクトラム画像と前記受信スペクトラム画像を学習により再構成して生成した再構成スペクトラム画像の差分に基づいて周波数帯域の異常領域を判定させ、
前記周波数帯域の前記異常領域を可視化させる、プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の電波干渉を監視するスペクトラム監視装置、スペクトラム監視方法およびプログラムに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
警察無線、消防無線、航空無線、鉄道無線などの重要無線通信には高度のセキュリティが必要であり、無線通信に対して妨害が発生した場合、人命に関わる事態に発展する可能性があるため、無線通信に対する電波干渉や通信障害を検知(監視)することが必要とされる。個人や自営業者が使用する無線通信技術として、Wi-Fiなどの無線LAN(Local Area Network)に加えて第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)、セルラー通信を応用したプライベートLTE(Long Term Evolution)やローカル5Gなどの通信システムが注目されている。プライベートLTEやローカル5Gでは、エリア毎或いは事業者毎にシステムを構築することが想定される。そのため、異なる事業者が敷設したシステムの隣接エリア間で電波干渉が発生する可能性がある。自システムに対する干渉を検知することにより、無線通信性能の劣化防止や劣化原因の解析を高効率的に行うことが期待される。
【0003】
無線通信において電波干渉や通信障害を検知する手法として種々の技術が開発されているが、電波の受信状態を検知する手法としてスペクトラム(周波数分布)を監視することが行われている。特許文献1は、無線通信において受信データに含まれる電波異常を精度良く検出する電波異常検知システムを開示しており、受信データの第1期間毎の第1特徴量と第1期間よりも長い第2期間毎の第2特徴量を用いて受信データに含まれる電波異常を検知するものである。特許文献2は、無線送信を行う送信装置を照合する送信装置照合装置を開示しており、送信装置から無線送信された信号を受信してスペクトログラム(周波数スペクトルの計算結果を示す3次元グラフ)を生成し、受信信号を信号領域に応じたパラメータで変換して特徴量を抽出して予め記憶された特徴量との類似度に基づいて送信装置を照合するものである。特許文献3は、電波の発射状況の異常を判定する異常判定装置を開示しており、無線電波を受信して所定の周波数帯における特徴量を抽出して記憶し、当該特徴量が予め設定された正常範囲内に入っているか判定した結果に基づいて無線電波の異常を検知するための閾値を設定した異常判定マスクを生成するものである。
【0004】
一方、データ分析のための機械学習(Machine Learning)や深層学習(Deep Learning)が開発されており、種々の画像における異常検知や無線通信における電波異常の検知に用いられる。深層学習において、自己符号化器(Autoencoder)は、入力データを次元圧縮して重要な特徴量だけ残した後、再度、元の次元に復元処理をするアルゴリズムであり、敵対的生成ネットワーク(GAN: Generative Adversarial Networks)はジェネレータ(Generator)とディスクリミネータ(Discriminator)という2つのネットワークを用いて、入力データから新たに疑似データを生成するものであり、音声や画像の生成に応用されている。非特許文献1は、GANを用いてデジタルテレビジョン受信周波数帯域における無線スペクトラム異常を検出する技術を開示している。非特許文献2は、GANを用いた異常検知技術を開示しており、空港の手荷物検査に用いられるX線画像の解析に応用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-182844号公報
特開2021-180388号公報
国際公開第2021/176805号
【非特許文献】
【0006】
L. Zhang, C.X. Huang, H. Tang, J.J. Yang, and M. Huang,“DTV radio spectrum anomaly detection based on an improved GAN”, 2020 XXXIIIrd General Assembly and Scientific Symposium of the International Union of Radio Science, 2020, pp. 1-4
S. Akcay, A.A-Abarghouei, T.P. Breckon, “GANomarly: Semi-Supervised Anomaly Detection via Adversarial Training”, ACCV2018, Dec. 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信システムに対する電波干渉を検知するとき、電波の受信レベルが所定の閾値を超えた場合に当該電波を異常と判定する手法が取られる。受信レベルの異常が検知された場合、電波干渉の発生時刻をログに記録するだけでなく、無線通信の監視目的によっては電波干渉に対する対策を実施するため、電波干渉(電波異常)が発生した周波数ビンを可視化することが望ましい。
【0008】
特許文献1では、電波干渉の発生時刻を特定することはできるものの、当該発生時刻において電波異常が発生した周波数ビンを特定しておらず、電波干渉発生個所を詳細に特定(可視化)することはできない。特許文献2は、送信装置(無線端末)から無線送信された電波を用いて送信源を照合する際に受信信号から生成したスペクトログラムに基づいて特定の信号領域を検出するものであり、標準化されている通信方式、標準化されていない通信方式、非意図的に電波を発信する装置を識別するものであるが、電波干渉の発生時刻や電波異常が発生した周波数ビンを特定するものではない。特許文献3は、重要無線通信に対する妨害に対処すべく所定周波数帯の特徴量に関する閾値を設定した異常判定マスクを生成して周波数スペクトラムにおける受信レベルの低下を検知しているが、特定の周波数帯における電波異常を検知できるものの、電波干渉の発生時刻に関連付けて電波異常が発生した周波数ビンを特定するものではない。
【0009】
非特許文献1は、GANモデルを用いて元のスペクトラム画像から再構成スペクトラム画像を生成しており、再構成されていないスペクトラムの個所を可視化することで詳細な電波干渉個所を特定することはできるものの、単なる雑音による周波数変動成分も可視化されてしまうため、電波干渉信号の発生個所を区別するのが困難である。このため、雑音による周波数変動の影響を受けずに電波干渉信号の発生個所を特定可能なスペクトラム監視方法が求められている。非特許文献2は、GANを用いた異常判定モデルを導入して高次元画像空間と干渉遅延空間の生成を学習しており、自己符号化器を用いた異常検知手法を提示している。特に、正常データで学習した自己符号化器は異常データを正しく復元できないため、入力データ(入力画像)と復元データ(再構成画像)の誤差(再構成誤差)が大きくなるという特徴を用いて、再構成誤差が所定の閾値以上であれば入力データは異常であると判定している。非特許文献2は、入力画像と再構成画像の誤差に応じて異常判定を行うのみであり、無線通信におけるスペクトラム画像による電波異常の検出を行うことはできない。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するスペクトラム監視装置、スペクトラム監視方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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