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公開番号2024168908
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023085955
出願日2023-05-25
発明の名称真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータ
出願人エドワーズ株式会社
代理人個人
主分類F04D 19/04 20060101AFI20241128BHJP(液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ)
要約【課題】ロータに対する僅かな調整で、ロータの振れや振動を軽減することができる、真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータを提供する。
【解決手段】上側径方向電磁石104と軸方向電磁石106が発生する磁力による発生モーメントが、次式を満たす真空ポンプ。
式 MR+MA>MD
ただし、MR:上側径方向電磁石104の磁力によるモーメント、MA:軸方向電磁石106が発生する磁力によるモーメント、MD:ロータの不釣り合いによって生じる回転体103の重心周りのモーメント、とする。
【選択図】図6

特許請求の範囲【請求項1】
ガスを排気するロータの回転軸方向が非鉛直の状態で配置される真空ポンプであって、
前記ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段と、
前記ロータを前記ラジアル方向に磁力で非接触支持し、前記ロータの前記回転軸方向において前記ロータの重心より排気側に2つ設けられている能動型ラジアル方向磁力発生手段と、
前記ロータの前記回転軸方向において、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段よりも排気側に設けられているアキシャル方向磁力発生手段と、
を備え、
前記能動型ラジアル方向磁力発生手段と前記アキシャル方向磁力発生手段により、前記ロータの制御軸回りの傾きを拘束する磁気軸受装置を備えた真空ポンプであって、
前記能動型ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメントが、次式を
満たすことを特徴とする真空ポンプ。
式 MR+MA>MD
ただし、
MR:前記能動型ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメント、
MA:前記アキシャル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメント、
MD:前記ロータの不釣り合いによって生じる前記ロータの重心周りのモーメント、
とする。
続きを表示(約 230 文字)【請求項2】
前記ロータの前記重心から前記能動型ラジアル方向磁力発生手段までの前記回転軸方向の距離と前記重心から前記アキシャル方向磁力発生手段までの前記回転軸方向の距離の比が、1:5から1:10の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
請求項1に記載の真空ポンプに用いられる、ことを特徴とする磁気軸受装置。
【請求項4】
請求項1に記載の真空ポンプに用いられる、ことを特徴とするロータ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ、及び真空ポンプに用いられる磁気軸受装置、ロータに関するものであり、特に、ロータの振れや振動を制御する真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータに関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
真空ポンプを用いて廃棄処理を行い、内部を真空に保つ装置として、半導体装置、液晶製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置及び微細加工装置等が知られている。このような装置に用いられる真空ポンプは、回転翼が固定翼に対して相対的に回転することにより、装置内の気体が外部に排気されて装置内が真空に保たれる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、ロータの5自由度の内、3自由度を能動的に制御拘束し、残りの2自由度を受動的に拘束する磁気軸受を備えた真空ポンプが開示されている。このような真空ポンプでは、ロータ上部のラジアル方向の平衡点からの変位を計測する変位センサと、変位センサの計測値に基づいてロータを平衡点に引き戻す能動ラジアル軸受と、ロータをラジアル方向に指示する受動ラジアル軸受と、を備えている。そして、能動ラジアル軸受と受動ラジアル軸受とは、ガスの排気方向においてロータの重心を挟んで反対側に配置されている。
【0004】
特許文献1の真空ポンプでは、ロータが平衡点からラジアル方向に変位した場合に、能動ラジアル軸受がロータの上部に上部復元力を作用させると、受動ラジアル軸受が、ロータのアーマチャディスクに作用させる磁気抵抗に起因してロータの下側に作用する下部復元力がロータの姿勢に応じた傾斜力によって相殺されるため、軸受の共通点でのロータの振れと振動が減衰しにくいという問題があった。
【0005】
特許文献2は、特許文献1の問題を解決するためになされた構造であって、ガスを排気するロータをラジアル方向に磁力で非接触支持するラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)と、ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)と、を有する磁気軸受装置を備え、さらにラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)が、ガスの排気方向において、ロータの重心より排気側に2つ設けられているとともに、ラジアル方向変位手段(下側ラジアル軸受)が、ガスの排気方向において、ロータの重心の位置から排気側に設けられた構造としている。
【0006】
特許文献2の真空ポンプでは、ロータが平衡点からラジアル方向に変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力と、ロータの姿勢に起因する傾斜力とが同じ向きに生じるようにし、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効果的に制振できるようにしている。しかし、特許文献2の真空ポンプでは、上側のラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力は調整可能であるが、真空ポンプのサイズの制限により、その範囲は僅かである。また、下側のラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力も調整可能であるが、その調整範囲もわずかである。更に、真空ポンプの取付姿勢によってもその調整範囲は影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開昭59-83828号公報
特許第6927735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献2の真空ポンプでは、ロータが平衡点からラジアル方向に変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力と、ロータの姿勢に起因する傾斜力とが同じ向きに生じるため、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効果的に制振することができる。しかし、上側のラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)と下側のラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)がロータの下部にそれぞれ作用させて行う復元力の調整の範囲はそれぞれ僅かである。また、下側のラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力も調整可能ではあるが、その調整範囲もわずかであるという問題があった。更に、真空ポンプの取付姿勢によって、その調整範囲が更に限定されるという問題があった。
【0009】
そこで、ロータに対する僅かな調整で、ロータの振れや振動を軽減することができる、真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ガスを排気するロータの回転軸方向が非鉛直の状態で配置される真空ポンプであって、前記ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段と、前記ロータを前記ラジアル方向に磁力で非接触支持し、前記ロータの前記回転軸方向において前記ロータの重心より排気側に2つ設けられている能動型ラジアル方向磁力発生手段と、前記ロータの前記回転軸方向において、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段よりも排気側に設けられているアキシャル方向磁力発生手段と、を備え、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段と前記アキシャル方向磁力発生手段により、前記ロータの制御軸回りの傾きを拘束する磁気軸受装置を備えた真空ポンプであって、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメントが、次式を満たす真空ポンプを提供する。
式 MR+MA>MD
ただし、
MR:前記能動型ラジアル方向磁力発生手段の磁力が発生するモーメント、
MA:前記アキシャル方向磁力発生手段が発生する磁力が発生するモーメント、
MD:前記ロータの不釣り合いによって生じる前記ロータの重心周りのモーメント、
とする。
(【0011】以降は省略されています)

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