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公開番号2025029925
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023134820
出願日2023-08-22
発明の名称圧縮機ユニット
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人個人,個人
主分類F04B 39/00 20060101AFI20250228BHJP(液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ)
要約【課題】支燃性ガスでもある酸素の液化を排除することを主目的とし、かつ往復動圧縮機において、メンテナンス性に対応しやすくする。
【解決手段】圧縮機ユニット10は、液体水素貯槽からボイルオフガスである水素ガスを圧縮する圧縮ステージ12を備える。圧縮ステージ12は、シリンダ部31と、ピストン32と、ピストン32をクランク機構14に接続するピストンロッド33と、シリンダ部31の外側に配置される覆い部25と、覆い部25とシリンダ部31との間の断熱用空間28に窒素ガスを供給する窒素ガス供給部46と、圧縮ステージ12が水素ガスを圧縮している間、断熱用空間28内に窒素ガスが供給されるように窒素ガス供給部46を制御する制御部50と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
液体水素貯槽からボイルオフガスである水素ガスを回収し、その少なくとも一部をエンジン、発電設備又はボイラの少なくとも一つを含む需要先に供給するレシプロ式の圧縮機ユニットであって、
前記液体水素貯槽から流出して吸込流路を流れる水素ガスを圧縮する圧縮ステージと、
前記圧縮ステージを駆動するクランク機構と、
を備え、
前記圧縮ステージは、
シリンダ部と、
ピストンと、
前記シリンダ部の外側に配置される覆い部と、
前記覆い部と前記シリンダ部との間の断熱用空間に窒素ガスを供給する窒素ガス供給部と、
前記断熱用空間内から窒素ガスを排出させる窒素ガス排出部と、
を備え、
前記圧縮機ユニットは、
前記圧縮ステージが水素ガスを圧縮している間、前記断熱用空間内に窒素ガスが供給されるように前記窒素ガス供給部を制御する制御部をさらに備えている、圧縮機ユニット。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記断熱用空間内が大気圧と略等しくなるようにするための均圧化手段をさらに備える、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記覆い部は、前記断熱用空間の形成が所定形状に維持されるように前記シリンダ部に固定された金属製の外筒部材によって構成されている、請求項1または2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
前記窒素ガス排出部は、前記断熱用空間に開口するように前記外筒部材に固定された排出配管と、前記排出配管に配置されたバルブである排出バルブと、を有する排出用通路部を備える、請求項3に記載の圧縮機ユニット。
【請求項5】
前記排出用通路部における窒素ガスの温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサによって検出された温度が窒素ガスの液化温度から想定される閾値以下となる場合に窒素ガスの供給量が増加するように前記窒素ガス供給部を制御する、請求項4に記載の圧縮機ユニット。
【請求項6】
綿状又はスポンジ状の断熱材をさらに備え、
前記覆い部は、前記断熱材を覆うように配置されたシート部材によって構成され、
前記窒素ガス供給部により前記シート部材の内側の前記断熱用空間内に窒素ガスが供給される、請求項1または2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項7】
前記覆い部は、通気性を有する、請求項6に記載の圧縮機ユニット。
【請求項8】
前記断熱用空間における窒素ガスの温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサによって検出された温度が窒素ガスの液化温度から想定される閾値以下となる場合に窒素ガスの供給量が増加するように前記窒素ガス供給部を制御する、請求項7に記載の圧縮機ユニット。
【請求項9】
前記圧縮ステージは、前記シリンダ部と前記クランク機構のケースとを繋ぐアダプタ部をさらに備え、
前記アダプタ部が、前記アダプタ部の内側の空間を複数の空間に仕切る少なくとも1つの仕切り部を備え、
前記複数の空間のうちの最も圧縮室側の空間に水素ガスが存在し、前記複数の空間のうちの最も前記クランク機構側の空間に窒素ガスが存在しており、
前記最も圧縮室側の前記空間における水素ガスの温度は、前記最もクランク機構側の前記空間における窒素ガスの液化温度よりも高い、請求項1または2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項10】
前記圧縮ステージは、前記ピストンが水平方向に摺動する横型であり、
前記シリンダ部は、
重力方向上側に位置する吸込弁と、
重力方向下側に位置する吐出弁と、
を備える、請求項1または2に記載の圧縮機ユニット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、レシプロ式の圧縮機ユニットに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、環境を考慮して、水素を発電や自動車等の燃料として用いることが考えられており、水素の需要が増大している。また、従来、液化天然ガス(LNG)、液体水素(LH2)などの低温のボイルオフガス(BOG)を圧縮機によって回収して駆動設備や発電設備等の需要先に供給することが行われている。特にLH2から発生したボイルオフガスは非常に低温である。このため、圧縮機がそのままボイルオフガスを吸入する構成を採用すると、極低温に適した材料を選択する必要があったり、熱変形量を考慮した設計条件を採用したり、厳重な断熱処理を実施したりする必要がある等の制約がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-172870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では次のような問題が指摘されている。「近年、新たなエネルギ源として、水素が注目されている。エネルギ源として水素を利用する場合にも、天然ガスのように、貯蔵及び輸送時には、液化した状態とすることが想定されている。しかし、水素は、液化温度が空気の液化温度よりも低いという特性を有する。そのため、天然ガス等を対象とした往復動圧縮機といった設備をそのまま水素に適用すると、極低温の液体水素に起因する不具合が生じる可能性がある。例えば、液体水素やそのボイルオフガスが供給される装置の周辺に液化空気を生じさせてしまう。」
【0005】
したがって、極低温の液体水素に起因する不具合を防止するという課題が検討されている。具体的には、圧縮部の周囲に真空領域を形成する容器部が形成されている。しかし、真空状態を保持するには、容器部において、内部点検するための蓋や、圧縮部へガスが出入りする部分との接続部などにシール手段が必要となる。また、容器部の内部が真空状態となるため、外圧(大気の圧力)と内部の圧力との差圧に耐えうるに必要な強度(板厚)や補強も必要となる。このため、メンテナンス性が犠牲になる。また、シリンダをサポートする部分の台座などを内部に設けるなど様々な工夫が必要なる。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気の主成分の一つであり、支燃性ガスでもある酸素の液化を排除することを主目的とし、かつ往復動圧縮機において、メンテナンス性に対応しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る圧縮機ユニットは、液体水素貯槽からボイルオフガスである水素ガスを回収し、その少なくとも一部をエンジン、発電設備又はボイラの少なくとも一つを含む需要先に供給するレシプロ式の圧縮機ユニットであって、前記液体水素貯槽から流出して吸込流路を流れる水素ガスを圧縮する圧縮ステージと、前記圧縮ステージを駆動するクランク機構と、を備える。前記圧縮ステージは、シリンダ部と、ピストンと、前記シリンダ部の外側に配置される覆い部と、前記覆い部と前記シリンダ部との間の断熱用空間に窒素ガスを供給する窒素ガス供給部と、前記断熱用空間内から窒素ガスを排出させる窒素ガス排出部と、を備える。前記圧縮機ユニットは、前記圧縮ステージが水素ガスを圧縮している間、前記断熱用空間内に窒素ガスが供給されるように前記窒素ガス供給部を制御する制御部をさらに備えている。
【0008】
本発明に係る圧縮機ユニットでは、覆い部とシリンダ部との間の断熱用空間に窒素ガスを充満させることにより断熱用空間内の空気の酸素濃度を極力低下させることができる。したがって、低温ガスである液体水素のボイルオフガス(吸込ガス)によってシリンダ部の周囲の空気(外気)が冷やされることにより支燃性ガスである酸素が液化することを防止することができる。
【0009】
また、特許文献1に開示された圧縮機のように、シリンダ部を点検、メンテナンスするために容器部の一部を開放するたびに、シリンダ部と容器部の間の空間に真空ポンプなどを接続して真空状態とする必要があるものと比べて、メンテナンス性が向上する。すなわち、断熱用空間を真空状態にする必要がないため、断熱用空間を真空にするための設備の取り付けを行う必要が無い。
【0010】
前記圧縮機ユニットは、前記断熱用空間内が大気圧と略等しくなるようにするための均圧化手段をさらに備えてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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