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公開番号
2024167943
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-05
出願番号
2023084281
出願日
2023-05-23
発明の名称
GSR素子の製造方法
出願人
マグネデザイン株式会社
代理人
主分類
H10N
50/00 20230101AFI20241128BHJP()
要約
【課題】逆台形状溝を有する基板上に下部コイルと上部コイルと電極配線とからなるGSR素子の製造方法を提供する。
【解決手段】磁性ワイヤ73を配置するための溝71が形成された基板70において、平坦部と段差部のスリット幅の比を変更する。すなわち、段差部のスリット幅を下部コイルでは平坦部のそれより少し細く、上部コイルでは、平坦部より太くする。
【選択図】図7b
特許請求の範囲
【請求項1】
逆台形状溝を有する基板上に下部コイルと上部コイルと電極配線とからなるGSR素子の製造方法において、
(1)基板の全面に金属皮膜を成膜した後、感光性樹脂被膜を塗布する工程と、
(2)前記感光性樹脂被膜にラインとスペース(以下、L/Sという)からなるスリット付きのマスクにおいて、前記マスクのスリット幅は、平坦部(A)及び溝底部(B)とした場合、AとBの比が1:1.0未満とし、
(3)前記マスクを用いて、平坦部と溝部を同時に一括露光した後、現像して前記逆台形状溝の溝面に沿って前記下部コイルのパターンを形成する工程と、
からなることを特徴とするGSR素子の製造方法。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
逆台形状溝を有する基板上に下部コイルと上部コイルと電極配線とからなるGSR素子の製造方法において、
(1)溝内部に磁性ワイヤを配置し、接着性レジンで前記磁性ワイヤを固定した後、前記接着性レジンの上に、金属膜を成膜した後、感光性樹脂膜を塗布する工程と、
(2)前記感光性樹脂膜にラインとスペース(以下、L/Sという)からなるスリット付きのマスクにおいて、前記マスクのスリット幅は、平坦部(A)及び磁性ワイヤ上部(C)とした場合、AとCの比が1:1.0を超えるとし、
(3)前記マスクを用いて、平坦部と磁性ワイヤ上部を同時に一括露光した後、現像して前記磁性ワイヤに沿って前記上部コイルのパターンを形成する工程と、
からなることを特徴とするGSR素子の製造方法。
【請求項3】
溝深さ2μm~10μmの溝を有する基板上に直径5μmから15μmの磁性ワイヤとコイルピッチ2μmから5μmの磁性ワイヤを周回する検出コイルを有するGSR素子の製造方法において、
(1)前記磁性ワイヤを配置するための前記溝は、溝深さ2μm~10μm、溝幅10~18μmの逆台形状であり、
(2)前記磁性ワイヤを配置するための前記溝を形成した基板の全面に金属皮膜を成膜する工程と、
(3)前記感光性樹脂被膜にラインとスペース(以下、L/Sという)からなるスリット付きのマスク材において、前記スリット付きマスクのコイルピッチは、平坦部(A)及び溝底部(B)とした場合、AとBの比が1:1.0未満とし、
(4)前記マスクを用いて、下部コイルパターン形状を平坦部と溝部を同時に一括露光した後、現像して前記逆台形状溝の溝面に沿って前記下部コイルパターンを形成する工程と、
(5)前記下部コイルパターンのスペース部にめっき後、フォトレジストを剥離し、めっきされていない部分の金属膜をエッチングすることで前記逆台形状溝の溝面に沿って前記下部コイルを形成する工程と、
(6)前記下部コイルを形成した前記逆台形状溝に前記磁性ワイヤを配置し樹脂で固定した後に、基板全面に金属皮膜を成膜する工程と、
(7)前記感光性樹脂膜にラインとスペース(以下、L/Sという)からなるスリット付きのマスク材において、前記スリット付きマスクのコイルピッチは、平坦部(A)及び磁性ワイヤ上部(C)とした場合、AとCの比が1:1.0を超えるとし、
(8)前記マスクを用いて、上部コイルパターン形状を平坦部と磁性ワイヤ上部を同時に一括露光した後、現像して前記磁性ワイヤに沿って前記上部コイルパターンを形成する工程と、
(9)前記コイルパターンにめっき後、フォトレジストを剥離し、めっきされていない部分の金属膜をエッチングすることをすることで、前記溝に配置されて形成されており、その膜厚は0.2μm~3.5μmであることを特徴するGSR素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3に記載の溝を有する基板上に下部コイルと上部コイルと電極配線とからGSR素子の製造方法において、
フォトレジスト膜は下部コイル形成時には平坦部及び溝部において、上部コイル形成時には、平坦部と磁性ワイヤ上に均一に磁性ワイヤに沿って前記上部コイル及び電極配線を形成する工程とからなることを特徴とするGSR素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1~3に記載の溝を有する基板上に下部コイルと上部コイルと電極配線とからなるGSR素子の製造方法において、
フォトレジスト膜は下部コイル形成時には平坦部及び溝部において溝部の方が厚く、上部コイル形成時には、平坦部と磁性ワイヤ上において磁性ワイヤ上の方が厚くつきまわっており、いずれも厚くつきまわった膜厚は平坦部に比べて1.5倍~5倍で、かつ3.5μm以下とし、レジスト膜の厚みのアスペクト比(=レジスト膜厚さ/ライン幅)は1.5以下であることを特徴とするGSR素子の製造方法。
【請求項6】
請求項3の(5)および(9)において、前記スリット付きマスクを用いて、形成したコイルパターンを用い、エッチングを行うことで、下部コイルまたは上部コイルを形成することを特徴とするGSR素子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性ワイヤと磁性ワイヤを周回する下部コイルおよび上部コイルからなる検出コイルと電極配線とからなるGSR素子の製造プロセスにおいて、2μm~5μmのコイルピッチの検出コイルを有する狭ピッチマイクロコイルの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
高感度磁気センサには、ホールセンサ、GMRセンサ、TMRセンサ、高周波キャリアセンサ、FGセンサ、MIセンサ、GSRセンサなどがある。これらのセンサのうち、ホールセンサ、GMRセンサ、TMRセンサ、キャリアセンサは素子とASICが一体化されて小型化、薄型化は実現されているが、検出感度の改善が課題である。
一方、FGセンサ、MIセンサ、GSRセンサは高い感度を有するが、素子とASICが別々に配置されてワイヤボンディングで接合されており、センサの薄型化、小型化が課題である。
【0003】
この課題を解決するためのひとつの方法として、磁界検出素子のコイルピッチを微細化して、高感度化、小型化を図る方法がある。
本発明者らは技術開発に取り組んだ結果、センサの小型化、高感度化を実現した(特許文献1)。
特許文献1にて、コイルピッチ14μmのMI素子が開示されている。さらに、特許文献2にはSi基板上に磁界検出素子として、GSR素子を作成するプロセスが開示されている。特許文献2においてはそのコイルピッチは10μm以下が示されている。
【0004】
また、微細ピッチコイルを形成するためには、下部コイルと上部コイルの合わせが問題になることから、本発明者らは、視認性の高いアライメントマークの製造方法を検討し、コイルピッチ5.5μmを実現した。(特許文献3、特許文献4)
しかしながら、さらなるコイルピッチの微細化としては、コイルピッチ3μmが課題となっているがその具体的な解決策は示されていない。
【0005】
さらに、フォトレジスト層とフィルムからなるフィルムマスクを用いて、予め平坦面で狭ピッチコイルパターンを形成後、溝に貼り付ける方法も検討している。しかし、この方法は、優れた品質を確保することや、生産性が低いため、いまだ実用化されていない。(特許文献5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5747294号公報
特許第6924453号公報
特許第7203400号公報
特許第7207676号公報
公開特許公報2018-148189
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
溝付基板にスリット付きマスクを使って露光した場合、光の回折現象が生じて、溝底部にはマスクのスリット幅と同じ幅のスリットとレジストに焼き付けることができない。しかし一般的に、露光装置では平行な光が入射することから、本発明のように溝が浅い場合はスリット幅(d)、波長(λ)に影響されず、パターン幅は同じであると考えていた。つまり原理的には回折幅は小さいと判断されると考えられた。実際に、マスクのスリット幅を3μmとして、5.5μmピッチのコイル形成時には問題なくコイルパターンが形成できていた。
しかしながら、コイルピッチを2μmから5μmとさらなる狭ピッチコイルの形成するためには、マスクのスリット幅(スペース)及びライン幅(レジスト)を狭くする必要がある。そこで、マスクのスリットのスリット幅を1.5μmとして、狭ピッチコイルの検討を開始したところ、5.5μmピッチ(スリット幅3μm)では問題にならなかった溝内部のパターン幅が平坦部と比較して広がってしまうことがわかった。
【0008】
よく知られているように、回折現象のため、スリットを通過した光は回折によって少し広がる。
一方、光の回折強度は、スリットの中央位置を原点とし、そこからの距離をxとすると、
I(x)=I(0)(sin(αx)/αx)
2
(ただしh>>d)で記述されることが知られている。
α=πD/λh (D:スリット幅、λ:光の波長、h:マスクと基板との距離)
この式から光強度が70%に減衰する位置を実行回折幅xとして、gapのLとの関係をグラフにすると、図1になる。スリット幅1.5μmで3μm以下の狭ピッチを作製する場合では、実行回折幅xが片側0.75μm以上拡がるとコイルができないのであるが、h=7μmの場合、実行回折幅は0.4μmとなって、コイルパターンは形成できるという計算になる。
しかし、狭ピッチコイルを検討するに当たり、フォトレジスト膜が必須であるので、レジスト膜の厚さを1μm、スリット幅を1.5μm、h=7μmの場合としたところ、実行回折幅は、0.75μmと大きくなり、溝底部にはスリットを形成できないという結果となった。すなわち、溝内部のパターン幅が平坦部と比較して広がってしまうことがわかった。
拡がる原因は定かでないが、本発明者らは、実際の基板ではスリットとマスクと基板との距離の間には感光性樹脂被膜(レジスト膜)が存在しており、レジスト面においても、光の屈折現象が起きており、光の回折強度が強められるためではないかと考えている。
このように、コイルパターンが微細になり、スリット幅dが狭くなると、つまりスリット幅dとマスクと基板との距離hとの比=d/hが十分小さくなる、回折の影響を考慮した詳細な検討が必要である。
【0009】
また、生産性をあげるためにはフォトレジストの塗布方法として、スピンコート法が一般的であるが、本発明のような溝がある基板に塗布した場合、平坦部と段差部のフォトレジスト膜厚が異なるため、平坦部と段差部を一括露光した場合に、溝底面での回折幅がさらに広くなり、平坦部と溝部のスペース幅が変ってしまうと予想される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述のように、溝がある基板では、溝部の回折幅が大きくなってしまうことから、この対策として、溝部のスリット幅は基板面のそれより少し細くすればよいことを見出した。
またレジストの膜厚にも強く依存するので、極力溝底面のレジスト膜と基板平坦部のレジスト膜厚を同じにするようにした。またスピンコート法でレジストを塗布した場合、溝底面部のレジスト膜厚が厚くなりがちなので、極力薄めとすることにした。
まず、ワイヤ配置用の溝の溝部が影響する下部コイルについて検討を開始した。
図2に平坦部及び溝部にレジストが均一に塗布された場合の、スリット付きマスクとフォトレジスト表面までの距離と、スペース幅の関係を示す。フォトレジスト膜厚は1.0μm、コイルピッチは3μm、スリット幅は1.1μm、露光量は160mJ/cm2である。
これより、マスクスリット幅1.1μmに対して、溝が深くなるほど、形成したフォトレジストのスペース幅が太くなることがわかった。
この条件下では、レジスト膜厚1μmの場合、溝が7.0μmあるとスペース幅が広くなり、レジスト幅が細くなるため、パターンが出来ないことがわかる。
図3にはフォトレジスト膜厚1μmとフォトレジスト膜厚3μmの時のスペース幅と溝深さの関係を示す。コイルピッチは3μm、マスクスリット幅は1.1μm、露光量160mJ/cm2である。いずれの膜厚においても、溝が深くなるほどスペース幅は大きくなる。
ここで、溝深さが0μmのスペース幅が平坦部のスペース幅、各溝におけるスペース幅が、溝内部のスペース幅に相当する。したがって、マスク上で平坦部と溝内部のラインとスペースそれぞれに、溝深さを考慮した差分を展開することで、平坦部と溝内部のスペース幅を同等にできる。この比率を計算すると、スリット付きマスクのコイルピッチは、平坦部(A)及び溝底部(B)とした場合、AとBの比が1:0.8~0.995とすることで、平坦部と溝内部のスペース幅を同等にできる。
(【0011】以降は省略されています)
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