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公開番号2024166666
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-29
出願番号2023082900
出願日2023-05-19
発明の名称オートインデューサー-2阻害剤、バイオフィルム形成抑制剤、並びに殺菌作用の増強剤、及び殺菌作用の増強方法
出願人小林製薬株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 31/727 20060101AFI20241122BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本開示の目的は、オートインデューサー-2阻害剤を提供することである。
【解決手段】ヘパリン類似物質は、オートインデューサー-2に対して優れた阻害活性を示し、オートインデューサー-2阻害剤として利用できる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ヘパリン類似物質を含む、オートインデューサー-2阻害剤。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
キューティバクテリウム属細菌、シュードモナス属細菌、及びビブリオ属細菌よりなる群から選択される少なくとも1種の細菌のオートインデューサー-2を阻害するために使用される、請求項1に記載のオートインデューサー-2阻害剤。
【請求項3】
皮膚外用剤に配合して使用される、請求項1又は2に記載のオートインデューサー-2阻害剤。
【請求項4】
ニキビの予防又は治療が求められる皮膚に適用される、請求項1又は2に記載のオートインデューサー-2阻害剤。
【請求項5】
ヘパリン類似物質を含む、バイオフィルムの形成抑制剤。
【請求項6】
キューティバクテリウム属細菌及び/又はシュードモナス属細菌のバイオフィルム形成を抑制するために使用される、請求項5に記載のバイオフィルムの形成抑制剤。
【請求項7】
皮膚外用剤に配合して使用される、請求項5又は6に記載のバイオフィルムの形成抑制剤。
【請求項8】
ニキビの予防又は治療が求められる皮膚に適用される、請求項5又は6に記載のバイオフィルムの形成抑制剤。
【請求項9】
バイオフィルム中の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用を増強させるための剤であって、
ヘパリン類似物質を含む、殺菌作用の増強剤。
【請求項10】
キューティバクテリウム属細菌、シュードモナス属細菌、及びビブリオ属細菌よりなる群から選択される少なくとも1種の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用の増強のために使用される、請求項9に記載の殺菌作用の増強剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、オートインデューサー-2阻害剤、バイオフィルム形成抑制剤、バイオフィルム中の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用の増強させるための剤、及びバイオフィルム中の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用を増強させる方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
クオラムセンシングとは、同種菌の生産するシグナル物質であるオートインデューサーの菌体外濃度を感知することで、同種菌の菌密度を感知し、それに合わせて特定の遺伝子発現や表現型をコントロールする微生物間情報伝達機構の一つである。クオラムセンシングは、細菌感染、病原性発現、バイオフィルム形成、毒素産生等に関与していることが知られている。
【0003】
例えば、齲蝕の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンス、歯周病の原因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス、胃潰瘍及び胃癌の一因になるヘリコバクター・ピロリ、食中毒や出血性腸炎等の一因になるクロストリジウム・パーフリンジェンス等の多くの病原性細菌では、オートインデューサー-2(以下、AI-2)をシグナル分子としてクオラムセンシングを制御している。そのため、AI-2阻害剤を使用することにより、これらの病原性細菌のクオラムセンシングを阻害することができ、その結果、これらの病原性細菌によって引き起こされる各種感染症の予防又は治療が期待できる。
【0004】
また、ニキビ(尋常性ざ瘡)の発症にもクオラムセンシングが関与していると考えられている。具体的には、アクネ菌(Cutibacterium acnes)は、毛包内で形成されたバイオフィルム内でAI-2の産生能が高まり、リパーゼによる皮脂の分解を促進し、ニキビの増悪因子を増大させていることが報告されている(非特許文献1参照)。また、ニキビの予防又は治療には、抗菌剤等の薬剤によってアクネ菌の増殖を抑制することが有効であるが、アクネ菌は毛包内で形成されたバイオフィルムで保護されているため、薬剤を経皮適用しても、バイオフィルムが薬剤の浸透を妨げ、薬効を低減させている。AI-2阻害剤によってアクネ菌のクオラムセンシングを阻害することにより、アクネ菌のバイオフォルムの形成を抑制し、その結果、ニキビの予防又は治療薬の薬効を高めることが期待される。
【0005】
従来、AI-2に対して阻害活性がある成分について種々検討されている。例えば、特許文献1には、5-アミノ-n-吉草酸、ブタン-1,4-ジアミン、グアニン、アセト酢酸、γ-ヒドロキシ酪酸、ピペリジン、グルコン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、N
8
-アセチルスペルミジン及びウロカニン酸、並びにこれらの塩をAI-2阻害剤として使用できることが開示されている。また、特許文献2には、4,5-ジヒドロキシ-2-シクロペンテン-1-オンをAI-2阻害剤として使用できることが開示されている。
【0006】
しかしながら、AI-2の阻害活性やバイオフィルム形成抑制活性の更なる向上、AI-2の阻害活性やバイオフィルム形成抑制活性を有する製品の多様化への追従等のために、AI-2阻害剤やバイオフィルム形成抑制剤として使用できる新たな成分の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
S. M. Lwin et al., Acne, quorum sensing and danger, Clinical and Experimental Dermatology, Volume 39, Issue 2, p.162-167, 13 February 13 2014
【特許文献】
【0008】
特開2012-97036号公報
国際公開第2003/77844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の目的は、AI-2阻害剤を提供することである。また、本開示の他の目的は、バイオフィルム形成抑制剤を提供することである。また、本開示の更に他の目的は、バイオフィルム中の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用の増強させるための剤を提供することである。また、本開示の更に別の目的は、バイオフィルム中の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用を増強させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、ヘパリン類似物質には、AI-2に対して優れた阻害活性があり、皮膚や粘膜で形成されるバイオフィルムの形成を抑制する作用があることを知得し、AI-2阻害剤又はバイオフィルム形成抑制剤の有効成分として利用できることを見出した。更に、本発明者は、ヘパリン類似物質には、バイオフィルムの形成を抑制する作用に加え、バイオフィルム中の細菌に対する殺菌剤の殺菌作用の増強させる作用があることを見出した。本開示は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
(【0011】以降は省略されています)

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