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公開番号2024163219
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2024151276,2023020564
出願日2024-09-03,2018-06-08
発明の名称N-置換アミノ酸を含むペプチドの合成方法
出願人中外製薬株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C07K 1/06 20060101AFI20241114BHJP(有機化学)
要約【課題】 本発明は、N-置換アミノ酸またはN-置換アミノ酸類縁体を含むペプチドを高純度かつ高効率にて製造する、新規な方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係るN-置換アミノ酸又はN-置換アミノ酸類縁体を含むペプチドの製造方法は、
Fmoc保護アミノ酸、Fmoc保護アミノ酸類縁体、またはFmoc保護ペプチドを準備する工程、
Fmoc保護アミノ酸等のFmoc骨格を有する保護基を塩基で脱保護する工程、および
新たなFmoc保護アミノ酸等を添加して、アミド結合を形成する工程を含み、
ペプチドの製造が固相法によって行われる場合には、得られたペプチドを、TFAよりも弱酸となる条件下で固相から切り出すことを特徴とする。また、得られたペプチドの少なくとも1つの側鎖が、塩基性条件下では脱保護されずTFAよりも弱酸となる条件下で脱保護される保護基を有することを特徴とする。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも1つのN-置換アミノ酸又はN-置換アミノ酸類縁体を含むペプチドの製造方法であって、
1)ペプチドを準備する工程であって、前記ペプチドを構成するアミノ酸またはアミノ酸類縁体の少なくとも1つの側鎖が、塩基性条件下では脱保護されず、水中でのpKaの値が1~5である弱酸とイオン化能Y
OTs
値が正の値で水中でのpKaが5~14である溶媒を含む、弱酸溶液を用いる条件下で脱保護される保護基を有する工程、
2)前記保護基を、前記弱酸溶液を用いる条件下で脱保護する工程を含む、製造方法。
続きを表示(約 2,900 文字)【請求項2】
工程1)で準備する前記ペプチドが、1つの反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基をC末端側に含み、かつもう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はカルボン酸類縁体をN末端側に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記1つの反応点と前記もう1つの反応点とを結合させ、前記ペプチドを環化させる工程をさらに含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記もう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はカルボン酸類縁体がN末端にあり、かつ前記結合がアミド結合である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記もう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はカルボン酸類縁体がN末端にあり、かつ前記結合が炭素-炭素結合である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
工程1)において、前記保護基は、ヒドロキシ基、フェノール基、イミダゾール基、およびカルボン酸基から選択される少なくとも1つの官能基を保護している、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
側鎖の保護基が、pH1からpH7の範囲で脱保護される保護基であるか、又は10%以下のTFAにおいて脱保護される保護基である、請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
側鎖の保護基が以下のa)~d)から選択される、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法:
a)側鎖の保護基がSer、Thr、Hyp、及び、それらの誘導体の側鎖のヒドロキシル基の保護基である場合、以下の一般式で表わされるMOM骨格基、Bn骨格、Dpm骨格、Trt骨格、シリル骨格及びBoc骨格から選ばれるいずれかの保護基;
b)側鎖の保護基がTyr及びその誘導体の側鎖のヒドロキシル基の保護基である場合、以下の一般式で表わされるMOM骨格、Bn骨格、Dpm骨格、Trt骨格、シリル骨格、Boc骨格及びtBu骨格から選ばれるいずれかの保護基;
c)前記側鎖の保護基がHis及びその誘導体の側鎖のイミダゾール環の保護基である場合、以下の一般式で表わされるMOM骨格、Bn骨格及びTrt骨格から選ばれるいずれかの保護基;
d)前記側鎖の保護基がAsp、Glu、及び、それらの誘導体の側鎖のカルボン酸基の保護基である場合、以下の一般式で表わされるMOM骨格、Bn骨格、Dpm骨格、Trt骨格、tBu骨格、フェニル-EDOTn骨格及び保護をするカルボン酸基の炭素原子を3つのアルコキシ基が置換した骨格に変換したオルトエステル骨格から選ばれるいずれかの保護基;
<MOM骨格を有する保護基>
TIFF
2024163219000116.tif
23
149
(式中、
R1はHであり、R2はHであり、かつXはメチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、2,4-ジメトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、または2-トリメチルシリルエチルであるか、
R1はメチルであり、R2はHであり、かつXはエチルであるか、
R1、R2、R3は、いずれもメチルであるか、または
R1とXは、一緒になって-CH

-CH

-CH

-または-CH

-CH

-CH

-CH

-を形成し、かつR2はHであり
ここで、R1、R2、およびXのいずれかがメチルまたはエチルである場合、これらの基はさらにアルキル、ベンジル、またはアリールで置換されていてもよい。)
<Bn骨格を有する保護基>
TIFF
2024163219000117.tif
55
149
(式中、
R1~R5は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、またはハロゲンであり、かつR6およびR7はアルキルであるか、
R1、R2、R4、およびR5は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、またはハロゲンであり、R3はメトキシであり、かつR6およびR7はHであるか、
R1およびR3がメトキシであり、R2、R4、およびR5は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、またはハロゲンであり、かつR6およびR7はHであるか、または
R1、R4、およびR5は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、またはハロゲンであり、かつR2とR3は一緒になって-O-CH

-O-を形成する。)
<Dpm骨格を有する保護基>
TIFF
2024163219000118.tif
90
149
(式中、
R1~R10は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲンであるか、または
R1~R4およびR7~R10は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲンであり、かつR5およびR6は一緒になって-O-または-CH

-CH

-を形成する。)
<Trt骨格を有する保護基>
TIFF
2024163219000119.tif
103
149
(式中、
R1~R15は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲンであるか、
R1、R2、およびR4~R15は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲンであり、かつR3は、メチルまたはメトキシであるか、
R1はClであり、かつR2~R15は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲンであるか、または
R1~R4、およびR7~R15は、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲンであり、かつR5とR6は一緒になって-O-を形成する。)
<シリル骨格を有する保護基>
TIFF
2024163219000120.tif
30
149
(式中、
R1~R3は、それぞれ独立してアルキル、またはアリールである。)
<Boc骨格を有する保護基>
TIFF
2024163219000121.tif
54
149
【請求項9】
溶媒が、フルオロアルコールである、請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
フルオロアルコールがTFE又はHFIPである、請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、N-置換アミノ酸を含むペプチドの合成において、高純度かつ高い合成効率にて合成することが可能なペプチドの新規な合成方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
ペプチドは医薬品としてこれまでに40種以上が上市されている価値の高い化学種である(非特許文献1)。中でも、環状ペプチドやN-メチル化(もしくはN-アルキル化)された非天然型ペプチドは、脂溶性の向上による膜透過性の向上や、加水分解酵素への耐性獲得による代謝安定性の向上が見込まれている(非特許文献2)。最近、細胞内へ移行させたり、経口剤としたりするための鍵となるドラッグライク(薬らしさ:好ましくは、膜透過性と代謝安定性の両立を示す。)な環状ペプチドについての考察が進行している(非特許文献3、4)。また、ドラッグライクな環状ペプチドに必要とされる条件を明らかにした特許文献が公開され(特許文献1)、創薬におけるその重要性とその認知度が高まってきている。
【0003】
一方で、N-アルキルアミノ酸などに代表される非天然型アミノ酸を数多く含むペプチド合成法の開発の進捗は比較すると限定的である。多くが天然型ペプチドで確立された手法をそのまま非天然型ペプチドに適用している。
【0004】
ペプチドの合成法として、Fmoc法とBoc法が広く知られており、これらの多くの知見は、天然型ペプチドの合成法の開発から得られた。Fmoc基は酸に対して安定であるため、N末端のアミノ基をFmoc基で保護した場合、その脱保護反応はDBUやピペリジンといった塩基によって行う。そのため、ペプチド側鎖官能基の保護基として、例えば酸にて脱保護可能なものを利用し、N末端のアミノ基の選択的な脱保護を行ってペプチド鎖の伸長を行う。良く利用される保護基として、Fmoc法ではアミノ酸側鎖の保護基にはt-ブチル(tBu)基やトリチル(Trt)基など、トリフルオロ酢酸(TFA)程度の酸での脱保護が可能なものを採用でき、Boc法に比べて温和な条件にて、樹脂からのペプチドの切り出し工程や側鎖官能基の保護基の脱保護をおこなうことができる。
【0005】
しかしながら、比較的温和な条件での樹脂からの切り出し工程や側鎖官能基の保護基の脱保護を行えるFmoc法による固相合成法においても、TFAを用いた樹脂からの切り出し工程もしくは側鎖官能基に有する保護基の脱保護工程において、N-アルキル化されたペプチド合成には以下のような問題点があることが明らかになってきた。
【0006】
通常、Fmoc法にてペプチド合成を行った場合、樹脂からの切り出し工程や側鎖官能基の保護基の脱保護は、TFAを用いることが一般的である。多くの場合、樹脂からの切り出し反応と側鎖官能基の脱保護反応を、90%TFA水溶液を用いて、同時に行う。しかしながら、N-メチル化されたペプチド、特にN-メチルアミノ酸が連続している配列の場合には、オキサゾロニウム経由での酸加水分解が進行し、ペプチド鎖が切断されてしまう副反応が知られている(非特許文献5、6)。また、セリンやスレオニンといったβ-ヒドロキシ基を有するアミノ酸が配列中に含まれているペプチドの場合には、TFAを用いたこれらの工程において、酸加水分解だけでなく、N→Oアシルシフト反応も副反応として進行し、デプシペプチド化してしまう可能性があることが知られている(非特許文献7、8)。
【0007】
この酸を用いた切り出し工程および脱保護工程における加水分解の問題に対しては、低濃度のTFA溶液を用いて、反応時間を短く制御することで回避しようとする試みが行われている。例えばAlbericioらの報告によると、NMe-IB-01212と命名されたペプチドの固相合成の際、N-メチル化された環状ヘキサペプチドに含まれるアミノ基上のBoc基の脱保護をTFA-DCM(1:1)の溶液で行った場合、N-Me部位でのペプチドの分解が認められた。分解を避けるべく、より低濃度のTFAを用いたり、反応時間を最小限にしたりすることで改善を試みているものの、充分な改善には至っていない(非特許文献9)。そもそも、これまでのペプチド合成に汎用される保護基では、低濃度のTFA溶液での脱保護工程では、樹脂からの切り出し反応は満足できる速度にて進行する一方、側鎖の脱保護反応が進行しないか、進行が極端に遅い場合がある。
【0008】
また、高度にN-メチル化されたペプチドの加水分解と同じ反応機構で進行するN末端のAc-MePheの切断を防ぐために、FangらはTFAを用い、反応温度を4℃まで低下させてArg側鎖の保護基であるPbf基の脱保護を行っている(非特許文献10)。しかし温度を下げるこの方法においても、Ac-MePheの切断を完全に防ぎきることは難しく、目的物が極大となる時間で反応を停止させるに留まっている。
【0009】
さらに、脱保護時の問題点に加えて、伸長工程における低反応性の問題も知られている。新たに形成させるアミド結合のN末端がN-メチルアミノ酸である場合、その2級アミンの嵩高さによって、続くアミノ酸とのアミド形成反応(伸長反応)が十分に進行しない場合がある(非特許文献2、5)。
【0010】
この伸長工程での問題点に対しては、全く同じ反応条件を2度かそれ以上繰り返すことによって、未反応点を減らすという工夫がなされてきた(2度繰り返す方法はダブルカップリングと呼ばれている)。また、縮合するアミノ酸の活性化について、例えばより高活性な酸ハライドに替えることによって、縮合効率を改善しようと取り組まれてきた(非特許文献11)。しかしながら、ダブルカップリングのように同じ反応条件を繰り返し行う場合には、時間と試薬コストが2倍かそれ以上かかってしまうし、酸ハライドでの縮合を行う場合には、要事調製が必要であり、なおかつ生成した酸ハライドがペプチド合成の工程の間に安定に存在し得るかの点にも懸念が残る。また、反応によってHClやHFが発生してしまうため、脱保護反応が進行してしまう懸念があるという点も問題となりうる。
(【0011】以降は省略されています)

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