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公開番号
2024163021
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2024063871
出願日
2024-04-11
発明の名称
表示部材を保持し、制動デバイスが設けられたホイールセットを備えている機械式時計ムーブメント
出願人
ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
代理人
個人
主分類
G04B
35/00 20060101AFI20241114BHJP(時計)
要約
【課題】表示部材を保持し、制動デバイスが設けられたホイールセットを備えている機械式時計ムーブメントを提供する。
【解決手段】機械式時計ムーブメントは、表示部材、特にクロノグラフ針48を保持し、香箱によって回転駆動されるように意図された表示ホイールセット30と、表示部材の振動を防止するために、表示ホイールセット30が回転駆動トルクにさらされた際に表示ホイールセット30上に制動トルクを生成するように配置された制動バネ10と、を備え、制動バネ10と、表示ホイールセット30の心棒36との間に位置する介在部品、特にワッシャ8をさらに備え、介在部品8は、心棒36上で自在に回転するように取り付けられ、介在部品8と制動バネ10とは、通常動作において介在部品8が静止し、回転しないままであるように配置され、制動バネ10は全体として、制動トルクを生成するように、心棒36の方向に、介在部品8上に押圧力を発揮する。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
香箱と、機械式共振器に関連するがんぎ車セット(58)と、表示部材(48)を保持ことが意図された心棒(36)を備えている表示ホイールセット(30)と、前記表示ホイールセットに関連するとともに、制動バネ(10、10A、10B、11)、および、前記制動バネと、前記表示ホイールセットの前記心棒との間に配置された介在部品(8、68、78)を備えた制動デバイス(6)と、を備え、前記表示ホイールセットは、前記香箱によって回転駆動されることが可能であるが、前記香箱から前記がんぎ車セットへの歯車列の一部を形成せず、前記制動バネは、前記表示ホイールセットが回転駆動トルクにさらされるとすぐに、この制動バネが押圧する前記介在部品を介して、前記表示ホイールセット上の制動トルクを生成することが可能であるように配置されている、機械式時計ムーブメント(2)であって、前記介在部品と前記制動バネとが、通常動作において前記介在部品が静止し、回転しないままであるように配置されていることと、前記介在部品が、前記心棒の回転表面(35)に対して押圧する横方向表面(9)と、前記制動トルクを生成する、前記横方向表面と前記回転表面との間の摩擦力を生成するために、前記心棒に向けて全体の押圧力を前記制動バネが発揮する支え面(25)と、を有することと、を特徴とする、機械式時計ムーブメント(2)。
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【請求項2】
前記介在部品(8、68、78)は、前記表示ホイールセット(30)の前記心棒(36)に排他的に径方向の圧力を発揮することを特徴とする、請求項1に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項3】
前記心棒は中心軸(42)を規定し、前記回転表面(35)は筒状および軸方向であり、前記横方向表面(9)は軸方向であることを特徴とする、請求項2に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項4】
前記制動バネ(10、10A、10B、11)は、ワイヤーバネまたはストリップバネであって、前記ワイヤーバネまたはストリップバネの長手軸は前記ムーブメントの全体的な平面(50)に対して平行な幾何学的平面に位置する、ワイヤーバネまたはストリップバネであることを特徴とする、請求項2に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項5】
前記制動バネ(10、10A、10B、11)は、前記制動バネの中間部が前記押圧力を前記介在部品(8、68、78)の前記支え面に発揮するように配置されていることと、前記中間部のいずれかの側にそれぞれ位置する、前記制動バネの2つの端部は、前記中間部が前記押圧力を前記支え面に発揮するように、前記時計ムーブメントの2つの遠隔パーツ(16、20)によって応力がかけられることと、を特徴とする、請求項4に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項6】
前記制動バネ(10、10A、10B)は、前記時計ムーブメントによって締結されていないが、前記幾何学的平面内で2つの方向に前記制動バネの2つの前記端部が押圧する前記時計ムーブメントの前記遠隔パーツ(16、20)によるテンションの下で保持されることを特徴とする、請求項5に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項7】
前記介在部品と前記制動バネとは、前記ムーブメントがその全体的な平面においてさらされる加速度の結果として、前記制動バネの可能性のある長手方向の変位の事象においてさえも、前記介在部品と前記制動バネとの相対的配置が経時的に実質的に変化しないような方法で構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項8】
前記ムーブメントは、偏心器(20)であって、前記偏心器(20)の回転軸は前記幾何学的平面に対して垂直であり、かつ、前記偏心器(20)は、その回転軸の回転により、前記介在部品(8、68、78)の前記制動バネによって発揮される前記押圧力を変化させることを可能にするために、前記制動バネ(10、10A、10B、11)に対して押圧するように配置されていることを特徴とする、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項9】
前記介在部品は、前記表示ホイールセットの前記心棒(36)が中を通過する中心開口を有するワッシャ(8)であり、前記ワッシャの前記横方向表面(9)はその中心開口の筒状表面によって規定されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の機械式時計ムーブメント。
【請求項10】
前記介在部品は、前記表示ホイールセットの前記心棒(36)が中を通過する中心開口を有するワッシャ(8)であり、前記ワッシャの前記横方向表面(9)がその中心開口の筒状表面によって規定されることを特徴とする、請求項8に記載の機械式測時器ムーブメント。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部材、具体的には針を保持するホイールセットを備え、回転する際に表示部材が振動することを防止し、静止している際に、必要に応じて浮き上がることをも防止するように、ホイールセットに作用する制動デバイスによって形成される、振動防止デバイスとも称される防振デバイスを備えている、機械式時計ムーブメントに関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ピニオンにフィットした心棒を備えている、特にクロノグラフホイールセットであり、以下で「クロノホイールセット」としても称される時計のホイールセットのための防振デバイスを開示している。このピニオンは、クロノグラフ機構のための結合デバイスを形成する、以下で「駆動ホイール」と称されるクラッチホイールと噛み合う。ピボットの回転を案内するようにピボットにフィットする心棒が、時計製造において「シャフト」とも称されることに留意されたい。クロノグラフ機能の秒針のための防振デバイスは、前述の心棒に対して斜めに抗して支えるワイヤーバネを備えた摩擦デバイスによって形成されている。前述の心棒は、この目的のために円錐台状の肩部を有している。ワイヤーバネは、この肩部と、その直径が肩部の最小の直径に対応している円形筒状部とによって形成された角度での支持点を有し、このポイントにおいて、前述の心棒に斜めの力を及ぼす。それにより、ピニオンの噛合が駆動ホイールを押圧し、また、前述の肩部に対向するとともに心棒によって規定された軸に対して直交する心棒の下方環状表面が、クロノグラフホイールセットが旋回するベアリングに対して軸方向に押圧する。バネは、応力が無ければ直線を成すように設計されている。このバネは、第1の端部の側でムーブメントのフレームに締結されており、一方、第2の端の側の部分がテンション下にあり、上で説明したように、心棒に対して押圧される。
【0003】
多くの理由のために、この防振デバイスが、クロノグラフホイールセットに適用される摩擦力のモーメントの制御に関する問題を有する。さらに、摩擦力のこのモーメントを調整する方法は存在しない。次いで、クロノグラフ針(クロノ針)が除去されると、バネに軸方向の力がかけられ、この力が、このバネを損傷させ得る。
【0004】
特許文献2は、秒ホイールセットに印加される摩擦力のモーメントの制御を向上させるための解決策を記載している。この文献の教示によれば、ワイヤーバネまたはストリップバネが、その第1の端部において、プレートへのリベット留め技術によって締結される。プレートは、プレートが位置する側とは反対側の、バーの一方側に配置された、ねじ状のスロットを伴うヘッドを有するリベットによって浮いた状態に保持される。リベットは、摩擦フィットによってバーの穴内に挿入される介在筒状部品を有している。摩擦フィットは、リベット、そしてひいてはプレート、そしてひいてはバネの第1の端部が、ツールの助けによって特定の回転を経ることを可能にする。摩擦バネの第2の端部はフリーであり、秒ホイールセットの心棒上に圧入(force-fitted)/圧入(press-fitted)されるプラスチックワッシャに対して径方向に支持する。このワッシャは、バネの第2の端部が配置される横方向の溝を有している。このシステムは、時計ムーブメントにおいて組み立てるには非常に困難である。第1に、摩擦バネは、その第1の端部をスロット内に挿入し、次いで、このスロットの2つのエッジ上に材料を押しつけて、第1のリベット留め操作を実施することにより、プレートに締結しなければならない。次いで、摩擦バネを伴うプレートを、他方側からバーの穴内にリベットを挿入した後に、バーの内側に運ばなければならない。次いで、リベットの端部を押しつぶさなければならず、第2のリベット留め操作を実施して、プレートをリベットに締結しなければならない。摩擦バネをプレート、次いでバーに、2つの連続したリベット留め操作を介して組み立てる各段階において、摩擦バネを損傷させる高いリスクが存在することがわかる。最後に、バー、プレート、および摩擦バネの組み立ては、関連するバー内に配置されたベアリング内に、溝付きワッシャを保持する秒ホイールセットの心棒のピボットを挿入することと先天的に同時に、時計ムーブメント内で組み立てられる。そのような組み立ては、バネが、溝付きワッシャの頂部にスタックされていないことを必要とする。この理由は、バネがバーにしっかりと接続され、また、テンション下でバネの自由端を受領するように設計された溝付きワッシャが、心棒にしっかりと接続されているためである。このため、バネのための第1の組み立て/分解位置と、バネの自由端がワッシャの溝内に運ばれ、バネにテンションがかけられる第2の作動位置とが存在する。一方の位置から他方の位置に移動するために、時計メーカーは、リベットヘッドに作用するツールを使用しなければならない。このツールは、バネがメンテナンスのために取り外される際に、バネに、セットされたテンションを失わせる。結果として、秒ホイールセットが組み立てられる毎に、制動力のモーメントを再調整しなければならない。ここで記載した組み立て方法は、実施するには困難であるとともに時間がかかる。
【0005】
さらに、この防振デバイスは、秒ホイールセットが振動することを防止するために秒ホイールセットに印加される力のモーメントを調整することの問題に対する完全な解決策を提供しない。この理由は、摩擦力が、特に、プラスチックワッシャの横方向の溝のプロファイル、および、この溝内に挿入され、ワッシャに対して径方向に押圧するバネの端の形状によって規定されるためである。そのような摩擦力は、制御および再現が困難である。この理由は、この摩擦力が、バネおよび溝の寸法、それらのそれぞれの構成、ならびにそれらのそれぞれの表面仕上げに高度に依存するためである。別の問題が、秒ホイールセットの心棒上に介在部品を組み立てることが、ホイールセットの径方向の振動を増大させ、ひいては、そのような介在部品がない場合、特に、より少ない径方向の振動で慣習的な心棒上でバネが直接支持している場合よりも大きい変化を生じるという事実から生じる。さらに、時計に対する振動または衝撃の事象において、バネの第2の自由端が、溝付きワッシャから外れることになり得、もはや一定の制動トルクを保証しなくなる。さらに悪いことに、激しい衝撃の事象においては、もっぱら摩擦によって定位置に保持されるバネ締結プレートが、軸方向に移動し、ブレーキ設定を変更し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
スイス国特許発明第580301号明細書
西独国実用新案公開第6800934(U)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の上述の問題を解決すること、および、同様に、香箱からがんぎ車セットまでの歯車列の外に配置された、表示ホイールセットのための防振デバイスであって、この防振デバイスが、取り付けが容易であり、好ましい代替的実施形態では、問題のホイールセットの取り付けの前の準備段階において取り付けることができる、防振デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、香箱と、機械式共振器に関連するがんぎ車セットと、表示部材を保持ことが意図された心棒を備えている表示ホイールセットと、表示ホイールセットに関連するとともに、制動バネ、および、制動バネと表示ホイールセットの心棒との間に配置された介在部品を備えた制動デバイスと、を備え、表示ホイールセットは、香箱によって回転駆動されることが可能であるが、香箱からがんぎ車セットへの歯ホイール列の一部を形成しない、機械式時計ムーブメントに関する。制動バネは、表示ホイールセットが回転駆動トルクにさらされるとすぐに、この制動バネが押圧する介在部品を介して、表示ホイールセット上の制動トルクを生成することが可能であるように配置されている。介在部品と制動バネとは、通常動作において介在部品が静止し、回転しないままであるように配置されている。介在部品は、心棒の回転表面に対して押圧する横方向表面と、制動トルクを生成する、横方向表面と回転表面との間の摩擦力を生成するために、心棒に向けて全体の押圧力を制動バネが印加する支え面と、を有する。
【0009】
第1の有利な代替的実施形態によれば、介在部品および制動バネは、表示ホイールセットがムーブメント内で組み立てられ、制動デバイスが完全に組み立てられるとともに調整されると、前述の押圧力が一定のままであるような方法で構成される。
【0010】
好ましい概略的な代替的実施形態では、介在部品は、表示ホイールセットの心棒に排他的に径方向圧力を発揮する。
(【0011】以降は省略されています)
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