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公開番号
2024161390
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-19
出願番号
2024118255,2023020373
出願日
2024-07-23,2018-06-28
発明の名称
ヒトドメインを有する抗B細胞成熟抗原キメラ抗原受容体
出願人
個人
,
テネオバイオ、インコーポレイテッド
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/86 20060101AFI20241112BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】ウイルス組み換え発現ベクター、および哺乳類におけるがんを治療又は予防するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】B細胞成熟抗原(BCMA)へ抗原特異性を有するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、ウイルス組み換え発現ベクター、組み換え発現ベクターを含む単離された宿主細胞、細胞の集団、それらのいずれかを含む、哺乳類におけるがんを治療又は予防するための医薬組成物も提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
抗原認識ドメインと、膜貫通(TM)ドメインと、T細胞活性化ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、B細胞成熟抗原(BCMA)に対する抗原特異性を有し、前記抗原認識ドメインが、
(a)配列番号1~3、
(b)配列番号4~6、
(c)配列番号7~9、又は
(d)配列番号10~12
のアミノ酸配列を含むCAR。
続きを表示(約 750 文字)
【請求項2】
前記CARの全てのドメインがヒトのである、請求項1に記載のCAR。
【請求項3】
前記抗原認識ドメインが、約8~約40アミノ酸残基の長さを有するリンカーペプチドを含まない、請求項1又は2に記載のCAR。
【請求項4】
前記CARが抗体軽鎖可変領域を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項5】
前記抗原認識ドメインが、
(a)配列番号13、
(b)配列番号14、
(c)配列番号15、又は
(d)配列番号16
のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項6】
前記T細胞活性化ドメインが、以下のタンパク質のうちのいずれか1つのT細胞シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のCAR:ヒトCD28タンパク質、ヒトCD3-ゼータタンパク質、ヒトFcRγタンパク質、CD27タンパク質、OX40タンパク質、ヒト4-1BBタンパク質、ヒト誘導性T細胞共刺激タンパク質(ICOS)、前述のいずれかの改変バージョン、又は前述の任意の組み合わせ。
【請求項7】
配列番号17~28のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のCARをコードしているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項9】
配列番号29~40のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む、請求項8に記載の核酸。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の核酸を含むベクター。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2017年6月30日出願の米国仮特許出願第62/527,556号の利益を主張する。
続きを表示(約 6,800 文字)
【0002】
連邦支援の研究又は開発に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所、国立がん研究所によって、プロジェクト番号ZIABC01143905の下、政府の支援を受けて成された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
電子的に提出された文献の参照による援用
本明細書と同時に提出され、以下の通り特定されるコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:2018年6月25日付の「739534_ST25.TXT」という名称の67,061バイトのASCII(テキスト)ファイル。
【背景技術】
【0004】
がんは、公衆衛生上の懸念である。化学療法等の治療の進歩にもかかわらず、多くのがんの予後が不良である場合がある。例えば、多発性骨髄腫(MM)の治療によって寛解する場合もあるが、多くの患者は最終的に再発し、死に至る。したがって、がんの更なる治療法に対するアンメットニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、抗原認識ドメインと、膜貫通(TM)ドメインと、T細胞活性化ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、B細胞成熟抗原(BCMA)に対する抗原特異性を有し、該抗原認識ドメインが、(a)配列番号1~3、(b)配列番号4~6、(c)配列番号7~9、又は(d)配列番号10~12のアミノ酸配列を含むCARを提供する。
【0006】
本発明の更なる実施形態は、本発明のCARに関連する関連核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、及び医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明の追加の実施形態は、哺乳類におけるがんを治療又は予防する関連方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A~1Dは、CD8α分子のヒンジ及び膜貫通の領域、CD28共刺激分子の細胞質部分、並びにCD3ζT細胞活性化ドメインの細胞質部分と組み合わせた、FHVH74(A)、FHVH32(B)、FHVH33(C)、又はFHVH93(D)の完全ヒト重鎖のみ抗原認識ドメインを含むCARを表す図である。
図1E~1Hは、CD8α分子のヒンジ及び膜貫通の領域、4-1BB共刺激分子の細胞質部分、並びにCD3ζT細胞活性化ドメインの細胞質部分と組み合わせた、FHVH74(E)、FHVH32(F)、FHVH33(G)、又はFHVH93(H)の完全ヒト重鎖のみ抗原認識ドメインを含むCARを表す図である。
図1I~1Lは、CD8α分子のヒンジ及び膜貫通の領域、誘導性T細胞共刺激タンパク質(ICOS)の細胞質部分、並びにCD3ζT細胞活性化ドメインの細胞質部分と組み合わせた、FHVH74(I)、FHVH32(J)、FHVH33(K)、又はFHVH93(L)の完全ヒト重鎖のみ抗原認識ドメインを含むCARを表す図である。
図2は、実施例2に記載の通り、図示されている4つのFHVH CARが初代ヒトT細胞によって発現されたことを示す実験データを表す一連のグラフである。非形質導入(UT)T細胞がネガティブコントロールとして含まれ、11D5-3-CD828ZがポジティブコントロールCARとして提供される。培養2日目にT細胞に形質導入し、培養7日目に該細胞をBCMA-Fcタンパク質試薬で染色した。プロットは、ゲートした生リンパ球である。プロット上の数字は、CARを発現している(上)又はCARを発現していない(下)CD3+細胞の百分率である。
図3は、FHVH CARを発現しているT細胞によるBCMA特異的脱顆粒を示す実験データを表す一連のグラフである。これらグラフは、抗原特異的機能を評価するためのCD107a脱顆粒アッセイにおける、4つのFHVH CARのうちの1つが形質導入された初代ヒトT細胞の結果を示す。実施例3に記載の通り、BCMA陰性標的細胞(NGFR-K562)と比べて、BCMA
+
標的細胞(BCMA-K562)と共に培養したとき、各CARを発現しているT細胞はより多く脱顆粒した。UT細胞がネガティブコントロールとして含まれ、11D5-3-CD828ZがポジティブコントロールCARとして提供される。プロットは、ゲートしたCD3
+
リンパ球である。プロット上の数字は、CD107aをアップレギュレートしている(上)又はCD107aをアップレギュレートしていない(下)CD3+細胞の百分率である。
図4Aは、11D5-3-CD828Z CARがBCMA特異的に増殖したことを示す実験データを表すグラフである。プロットは、ゲートした生CD3
+
リンパ球である。白色ヒストグラムは、BCMA-K562(BCMAを発現している)標的細胞で刺激されたCAR
+
T細胞を表し、黒色ヒストグラムは、NGFR-K562(BCMA陰性)細胞で刺激されたCAR
+
T細胞を表す。全ての結果は、同じ患者由来の細胞を用いて同時に得られた。図4B~4Cは、実施例5に記載の通り、FHVH74-CD828Z(B)、又はFHVH32-CD828Z(C)CARがBCMA特異的に増殖したことを示す実験データを表すグラフである。
図4D~4Eは、実施例5に記載の通り、FHVH33-CD828Z(D)、又はFHVH93-CD828Z(E)CARがBCMA特異的に増殖したことを示す実験データを表すグラフである。図4Fは、表示したCARを形質導入したT細胞をBCMA
+
標的細胞と共に培養したときにCAR
+
T細胞の絶対数が増加したことを示す実験データを表すグラフである。CAR T細胞をBCMA-K562細胞と共に培養したとき、全てのCARを発現しているT細胞についてCAR
+
T細胞の数が増加した。Y軸は、CAR
+
T細胞の数(×10
6
)を表す。X軸は、T細胞をBCMA
+
標的細胞と共に培養した日数を表す。
図5Aは、UT細胞のBCMA
+
標的細胞を殺傷する能力と比べた、FHVH33-CD828Z CARのBCMA
+
標的細胞を殺傷する能力を示す実験データを表すグラフである。FHVH33-CD828Z CARを発現しているT細胞をRPMI8226標的細胞と共に、インビトロで4時間、表示したエフェクタ対標的比で培養した。細胞傷害性をデュープリケートで判定した。結果を平均の+/-標準誤差として提示する。Y軸は、CARの細胞傷害性%を表す。X軸は、T細胞の標的細胞に対する比を表す。図5Bは、UT細胞のBCMA
+
標的細胞を殺傷する能力と比べた、FHVH33-CD8BBZ CARのBCMA
+
標的細胞を殺傷する能力を示す実験データを表すグラフである。FHVH33-CD8BBZ CARを発現しているT細胞をRPMI8226標的細胞と共に、インビトロで4時間、表示したエフェクタ対標的比で培養した。細胞傷害性をデュープリケートで判定した。結果を平均の+/-標準誤差として提示する。Y軸は、CARの細胞傷害性%を表す。X軸は、T細胞の標的細胞に対する比を表す。
図6は、4-1BB共刺激ドメインを有するCARが初代ヒトT細胞の表面上で発現し、FHVH33-CD8BBZが最も高発現を示すことを示す実験データを示す一連のグラフである。プロットは、4つのFHVH CARのBCMA-Fc染色、11D5-3-CD828Z対照CARの染色、及びUT細胞の染色を示す。プロットは、ゲートした生リンパ球である。プロット上の数字は、BCMA-Fcで染色されている(上の数字)又は染色されていない(下の数字)細胞の百分率である。
図7A~7Bは、FHVH33-CD8BBZを発現しているT細胞(B)と比べた、UT細胞(A)におけるこのCARの発現を表す。プロットは、ゲートした生CD3
+
リンパ球である。プロットにおける数字は、BCMA-PE+(上)及びBCMA-PE-(下)の百分率である。
図7C~7Fは、CD107a染色によって評価したとき、FHVH33-CD8BBZが形質導入されたT細胞が、BCMA特異的に脱顆粒したことを示す実験データを示す。このデータは、FHVH33+BCMA-K562(E)及びFHVH33+NGFR-K562細胞(F)におけるCD107aのアップレギュレーションと比べた、UT+BCMA-K562(C)及びUT+NGFR-K562細胞(D)におけるCD107aのアップレギュレーションを示す。図7A~7Bに提示したのと同じT細胞培養物を使用した。プロットは、ゲートした生CD3
+
リンパ球である。プロットにおける数字は、CD107a+(上)及びCD107a-(下)の百分率である。
図7C~7Fは、CD107a染色によって評価したとき、FHVH33-CD8BBZが形質導入されたT細胞が、BCMA特異的に脱顆粒したことを示す実験データを示す。このデータは、FHVH33+BCMA-K562(E)及びFHVH33+NGFR-K562細胞(F)におけるCD107aのアップレギュレーションと比べた、UT+BCMA-K562(C)及びUT+NGFR-K562細胞(D)におけるCD107aのアップレギュレーションを示す。図7A~7Bに提示したのと同じT細胞培養物を使用した。プロットは、ゲートした生CD3
+
リンパ球である。プロットにおける数字は、CD107a+(上)及びCD107a-(下)の百分率である。
図7Gは、CARを発現しているT細胞がBCMA特異的にIFNγを生成したことを示す実験データを示す。T細胞をBCMA
+
細胞株BCMA-K562及びRPMI8226と共に培養したとき、大量のIFNγが放出された。Y軸は、IFNγの量(pg/mL)を表す。X軸は、実験で使用した標的細胞を表す。
図8は、標的初代ヒト骨髄腫骨髄細胞(黒色バー)又は対照標的PBMC(灰色バー)と共に共培養した際の、非形質導入(UT)又はFHVH33-CD828Z若しくはFHVH33-CD8BBZ CARが形質導入されたT細胞によって分泌されたIFNγの量(pg/mL)を示すグラフである。
図9Aは、マウスにおけるFHVH33-CD8BBZ T細胞の用量の力価測定を示す概略図である。雌(F)の7~8週(wk)齢のNSGマウスに、800万(M)個のRPMI8226細胞を皮内(i.d.)注射し、腫瘍を10日間成長させた。0日目に、様々な数のFHVH33-CD8BBZ発現T細胞をマウスに静脈内(IV)注入した。3日毎に(d)腫瘍を測定した。
図9Bは、CAR T細胞注入後の表示した日数における、0.2×10
6
(黒三角)、0.7×10
6
(黒丸)、又は2.2×10
6
(白丸)個のFHVH33-CD8BBZを発現しているT細胞で図9Aに示す通り処理されたマウスにおいて測定された腫瘍体積(mm
3
)を示すグラフである。未処理マウスを白三角によって表す。図9Cは、CAR T細胞注入後の表示した日数における、0.2×10
6
(黒三角)、0.7×10
6
(黒丸)、又は2.2×10
6
(白丸)個のFHVH33-CD8BBZを発現しているT細胞による処理後の図9Bに示すマウスの生存率を示すグラフである。未処理マウスを白三角によって表す。
図10Aは、CAR T細胞注入後の表示した日数における、SP6-CD828Z(三角)、11D5-3-CD8BBZ(四角)、FHVH33-CD8BBZ(白丸)、又はFHVH33-CD828Z(黒丸)CARを発現しているT細胞で処理されたマウスにおいて測定された腫瘍体積(mm
3
)を示すグラフである。未処理マウスを菱形によって表す。
図10Bは、CAR T細胞注入後の表示した日数における、SP6-CD828Z(三角)、11D5-3-CD8BBZ(四角)、FHVH33-CD8BBZ(白丸)、又はFHVH33-CD828Z(黒丸)CARを発現しているT細胞で処理されたマウスの生存率を示すグラフである。未処理マウスを菱形によって表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、抗原認識ドメインと、TMドメインと、T細胞活性化ドメインとを含むCARであって、BCMAに対して抗原特異性を有するCARを提供する。CARは、T細胞シグナル伝達ドメイン又はT細胞活性化ドメインに連結されている抗体の抗原認識ドメインを含有する、人工的に構築されたハイブリッドタンパク質又はポリペプチドである。CARは、モノクローナル抗体の抗原結合特性を利用して、選択された標的に対するT細胞の特異性及び反応性を非MHC拘束的にリダイレクトする能力を有する。非MHC拘束性抗原認識は、抗原処理とは無関係に抗原を認識し、それによって、腫瘍エスケープの主な機序をバイパスする能力を、CARを発現しているT細胞に与える。更に、T細胞で発現するとき、CARは、有利なことに、内因性T細胞受容体(TCR)のアルファ及びベータ鎖とは二量体化しない。
【0010】
本発明のCARは、B細胞成熟抗原(BCMA、CD269としても知られている)に対して抗原特異性を有する。BCMAは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである(例えば、Thompson et al.,J.Exp.Medicine,192(1):129-135(2000)及びMackay et al.,Annu.Rev.Immunol.,21:231-264(2003)を参照)。BCMAは、B細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)に結合する(例えば、Mackayら、前記、及びKalled et al.,Immunological Reviews,204:43-54(2005)を参照)。良性細胞の中でも、BCMAは、大部分がプラズマ細胞及び成熟B細胞のサブセットにおいて発現すると報告されている(例えば、Laabi et al.,EMBO J.,11(11):3897-3904(1992);Laabi et al.,Nucleic Acids Res.,22(7):1147-1154(1994);Kalledら、前記;O’Connor et al.,J.Exp.Medicine,199(1):91-97(2004);及びNg et al.,J.Immunol.,173(2):807-817(2004)を参照)。BCMA RNAは、多発性骨髄腫細胞において普遍的に検出されており、BCMAタンパク質は、数人の研究者らによって多発性骨髄腫患者からプラズマ細胞の表面上で検出されている(例えば、Novak et al.,Blood,103(2):689-694(2004);Neri et al.,Clinical Cancer Research,13(19):5903-5909(2007);Bellucci et al.,Blood,105(10):3945-3950(2005);及びMoreaux et al.,Blood,103(8):3148-3157(2004)を参照)。BCMAの発現は、ホジキンリンパ腫細胞の表面上でも検出されている(例えば、Chiu et al.,Blood,109(2):729-739(2007)を参照)。ヒトBCMAは、配列番号42のアミノ酸配列を有する。
(【0011】以降は省略されています)
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