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公開番号
2024161055
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-15
出願番号
2024141090,2022544779
出願日
2024-08-22,2021-01-22
発明の名称
安定化されたNAを有する組換えインフルエンザウイルス
出願人
ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファンデイション
,
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
7/01 20060101AFI20241108BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本明細書には、ワクチンの生成効率を向上させ、それによってワクチンウイルスの収量を向上できる、安定化されたNA四量体を有する修飾されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼが述べられている。
【解決手段】本発明は安定化されたノイラミニダーゼ(NA)四量体を有するウイルス粒子を形成するNA単量体をコードするNAウイルス断片を含む、単離された組換えインフルエンザウイルスを提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
安定化されたノイラミニダーゼ(NA)四量体を有するウイルス粒子を形成するNA単量体をコードするNAウイルス断片を含む、単離された組換えインフルエンザウイルス。
続きを表示(約 730 文字)
【請求項2】
修飾されていないNAストークを含むNAを有するインフルエンザウイルスに対比して、安定化された四量体を生成する修飾されたNAストークを有する、請求項1に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項3】
前記修飾されたNAストークが欠失を有する、請求項2に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項4】
前記修飾されたNAストークが挿入を有する、請求項2または3に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項5】
前記修飾されたNAストークが、前記修飾されていないストークに対比して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、請求項2、3、または4に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項6】
前記修飾されたNAストークでの少なくとも1つの置換が、システイン置換である、請求項5に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項7】
前記修飾されたNAストークが、少なくとも2つの置換を有する、請求項5に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項8】
前記NAが、N1の付番に対して48位にシステインを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項9】
前記NAが、N1の付番に対して50位にシステインを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組換えインフルエンザウイルス。
【請求項10】
前記NAが、N1の付番に対して48位および50位にシステインを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組換えインフルエンザウイルス。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月24日付け出願の米国出願第62/965,225号の出願日の利益を主張し、その開示は20~30件の参照によって本明細書内に組み込まれる。
続きを表示(約 4,300 文字)
【0002】
連邦政府からの資金援助の陳述
本発明は、米国国立衛生研究所から授与されたHHSN272201400008Cの下での政府の支援を受けて実施された。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザは、ウマなどの一部の哺乳類での主な呼吸器疾患であり、毎年、相当数の罹患および経済損失が発生している。また一部の鳥類では、インフルエンザウイルスに感染すると、重篤な全身疾患を引き起こし、死に至る可能性もある。インフルエンザウイルスゲノムが分割されるという性質により、2種以上のインフルエンザウイルスに感染した細胞では、ウイルスが複製される際に分割断片は再結合する。この断片の再結合は、遺伝子の変異や浮動との組合せによって、経時的に無数の分岐したインフルエンザウイルス株を生み出す可能性がある。これらの新たな株は、ヘマグルチニン(HA)タンパク質および/またはノイラミニダーゼ(NA)タンパク質の抗原変異を示し、特にHAタンパク質をコードする遺伝子は高い変異率を有する。現状のインフルエンザ予防の実務は、ワクチン接種が主流である。最も一般的には、不活化ウイルスワクチンが使用される。インフルエンザHAタンパク質は、ウイルスに対する宿主の防御免疫応答の主要な標的抗原でありかつ変異率が高いので、最新の流行に関連するインフルエンザウイルスの単離およびHA抗原の同定かつ特性解析は、ワクチン製造には重要なものとなる。流行の状況および予測に基づいて、ワクチンは、主流になると予測されるインフルエンザウイルス株に対して防御免疫応答を刺激するように設計される。
【0004】
インフルエンザウイルスには、一般的にA型、B型、C型、D型の4種類があり、これらのウイルスは、それらの内部のタンパク質間に血清学的な交差反応性が存在しないことで定義されている。A型インフルエンザウイルスは、その糖タンパク質であるHAタンパク質およびNAタンパク質の抗原性の差異かつ遺伝的な差異に基づいて、さらに亜型に分類される。既知のHA亜型およびNA亜型(H1~H18およびN1~N11)は全て水鳥から単離されていて、これら水鳥はインフルエンザの天然の保菌宿主として作用すると考えられている。
【0005】
NAに対する抗体は、インフルエンザウイルス感染症の予防に重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、卵中で増殖させたインフルエンザウイルスの不活化およびウイルス抗原の精製により生成された現状のインフルエンザワクチンでは、抗NA抗体を効率的に誘発することは不可能である。
【発明の概要】
【0006】
抗NA抗体の産生量が少なくなる原因の一つは、ホモ四量体として働くNAタンパク質の構造的な不安定性に起因している。NAの四量体は、抗原精製過程中に破壊される可能性がある。従って現状のワクチンが含むNAの量は、抗NA抗体の産生を誘発するのに不十分である。
【0007】
本開示は、その天然のホモ四量体構造を安定化させる、NAタンパク質中に特定の残基または修飾を持つインフルエンザウイルスに関し、かつそのウイルスを生成し、例えばワクチンにそのウイルスを用いる方法に関する。一実施態様では、安定化されたNA四量体を有するウイルス粒子を形成するNA単量体をコードするノイラミニダーゼ(NA)ウイルス断片を含む単離された組換えインフルエンザウイルスが提供される。一実施態様では、組換えインフルエンザウイルスは、安定化四量体をもたらす、親NAに対して修飾されたNAストークを持つ。一実施態様では、修飾NAストークは欠失を持つ。一実施態様では、修飾NAストークは、親NAに対して挿入を持つ。一実施態様では、修飾NAストークは、親NAに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を持つ。一実施態様では、修飾NAストークの少なくとも1つの置換は、システイン置換である。一実施態様では、修飾NAストークは、親NAに対して少なくとも2つの置換を持つ。一実施態様では、NAは、N1の付番に対して48位にシステインを持つ。一実施態様では、NAは、N1の付番に対して50位にシステインを持つ。一実施態様では、NAは、N1の付番に対して48位と50位の位置にシステインを持つ。一実施態様では、NAストークは、親NAに対して膜貫通ドメインのC末端から1~10残基内で修飾される。一実施態様では、NAストークは、膜貫通ドメインのC末端から10~20残基内で修飾される。一実施態様では、NAストークは、膜貫通ドメインのC末端から20~30残基内で修飾される。一実施態様では、NAストークは、膜貫通ドメインのC末端から30~50残基内で修飾される。一実施態様では、ストークドメインは、ジスルフィド結合を形成するNAのヘッド領域内で、保存されたシステインに至るNAの膜貫通ドメイン内の最終残基の後の最初の残基で始まり、あるいは保存されたシステインの前の1~2残基で始まる(Blumenkrantz et al., J. Virol., 87:10539 (2013)を参照)。一実施態様では、NAストークでの挿入は、1、2、3、4、または5、あるいは5~10、あるいは10~20、あるいはそれ以上の残基での挿入である。一実施態様では、NAストークでの欠失は、1、2、3、4、または5、あるいは5~10、あるいは10~20、あるいはそれ以上の残基での欠失である。一実施態様では、ストーク領域にシステインを持つNAは、例えば、別のシステインの1~10残基または1~5残基内で修飾された第2または第3のシステインを含む。一実施態様では、NAは、互いに1~2、2~3、3~4または5までの各残基内にある少なくとも2つのシステインをストーク領域内に持つ。一実施態様では、NAは、ストーク領域内に少なくとも2つのシステインを有し、そのうちの一方は、NA内の48残基のN末端またはC末端のいずれかの5残基内にあり、そのうちの他方は、NA内の50残基のN末端またはC末端のいずれかの5残基内にある。一実施態様では、システインは互いに隣接し、例えば、46および47残基、46、47、および48残基、47および48残基、47、48、および49残基、48および49残基、48、49、および50残基、49および50残基、または49、50、および51残基にあり、一実施態様では両方はストーク領域内に存在する。一実施態様では、システインは2つ離れた残基にあり、一実施態様では両方はストーク領域内に存在し、例えばシステインは、46および48、47および49、48および50、49および51、50および52、51および53などの各残基にある。一実施態様では、システインは3つ離れた残基にあり、例えばシステインは、45および48、46および49、47および50、48および51、49および52、50および53、51および54などの各残基にあり、一実施態様では、両方はストーク領域内に存在する。一実施態様では、システインは4つ離れた残基にあり、例えばシステインは、44および48、45および49、46および50、47および51、48および52、49および53、50および54、51および55などの各残基にあり、一実施態様では、両方はストーク領域内に存在する。一実施態様では、ストーク領域は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のシステイン残基を持つ。一実施態様では、ストーク領域内のシステインは、ストーク領域のN末端の30残基内に存在する。一実施態様では、ストーク領域内のシステインは、ストーク領域のN末端の20残基内に存在する。
【0008】
本明細書での記載のように、構造的に安定化されたノイラミニダーゼ四量体を発現する高増殖性の組換えインフルエンザウイルスを調製した。一実施態様では、NA-48CもしくはNA-50Cのいずれか、または両方を含む組換えインフルエンザウイルスは、安定化NA四量体を発現しかつ効率的に複製する。従って、構造的に安定化されたNA四量体を発現する高増殖性の組換えインフルエンザウイルスの生成を可能にするインフルエンザNAでのアミノ酸変異を用いて、より多量のNA抗原を含むインフルエンザワクチン、すなわち抗NA抗体を効率的に誘発できるより多量のNA抗原を含むインフルエンザワクチン株を生成できる。
【0009】
一実施態様では、有効量の組換えインフルエンザウイルスまたはその一部分を含むワクチンが提供される。一実施態様では、ワクチンは、全ウイルスワクチンである。一実施態様では、ワクチンは、スプリットウイルスワクチンである。一実施態様では、ワクチンは、サブユニットワクチンである。一実施態様では、ワクチンはさらにアジュバントを含む。一実施態様では、ワクチンはさらに薬学的に許容可能な担体を含む。一実施態様では、担体は鼻腔内投与または筋肉内投与に適している。一実施態様では、ワクチンはさらに、少なくとも1種のその他のインフルエンザウイルス単離株を含む。
【0010】
一実施態様では、安定化NA四量体を持つインフルエンザウイルスを調製する方法が提供される。この方法は、安定化NA四量体を持つインフルエンザウイルスを生成するのに有効な量で、1つ以上のベクターを細胞に接触させる工程を含み、この1つ以上のベクターは、例えばストーク領域内に少なくとも1つのシステインをコードするインフルエンザウイルスNA断片用の核酸、インフルエンザウイルスPA断片用の核酸、インフルエンザウイルスPB1断片用の核酸、インフルエンザウイルスPB2断片用の核酸、インフルエンザウイルスNP断片の用の核酸、インフルエンザウイルスNS断片用の核酸、インフルエンザウイルスM断片用の核酸、およびインフルエンザウイルスHA断片用の核酸を含む。一実施態様では、NAは、N1、N2、N3、またはN5である。一実施態様では、NAは、N4、N6、N7、N8、またはN9である。一実施態様では、細胞は哺乳類細胞である。一実施態様では、細胞は、Vero細胞、293T細胞、またはMDCK細胞である。
(【0011】以降は省略されています)
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