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公開番号
2024152597
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2024004164
出願日
2024-01-15
発明の名称
ホスホニウム基を有するカチオン性ポリマーおよびこれを含むポリマー粒子または医薬組成物
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人籾井特許事務所
主分類
C08L
101/02 20060101AFI20241018BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】ミセル等のポリマー粒子の構造安定性および/またはポリマー粒子に内包された物質の安定性を向上できるキャリアを提供すること。
【解決手段】本発明は、側鎖にホスホニウム基を有するカチオン性ポリマーセグメントと、親水性ポリマーセグメントと、を有する、カチオン性ブロックコポリマー;側鎖にホスホニウム基を有するホスホニウム基含有アミノ酸残基を含む、カチオン性ポリアミノ酸;上記カチオン性ブロックコポリマーおよび/または上記カチオン性ポリアミノ酸を含む、ポリマー粒子;および、上記カチオン性ブロックコポリマーおよび/または上記カチオン性ポリアミノ酸と、薬剤と、を含む、医薬組成物;を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
側鎖にホスホニウム基を有するカチオン性ポリマーセグメントと、親水性ポリマーセグメントと、を有する、カチオン性ブロックコポリマー。
続きを表示(約 950 文字)
【請求項2】
前記ホスホニウム基が、N-メチルペンタンアミドの5位の炭素に導入して得られるホスホニウムカチオンとして測定した場合に、-1以上のオクタノール/水分配係数を有するホスホニウム基である、請求項1に記載のカチオン性ブロックコポリマー。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーセグメントが有する前記ホスホニウム基の数が、5以上である、請求項1に記載のカチオン性ブロックコポリマー。
【請求項4】
前記カチオン性ポリマーセグメントが、側鎖にホスホニウム基を有するホスホニウム基含有アミノ酸残基を含むカチオン性ポリアミノ酸で構成されている、請求項1に記載のカチオン性ブロックコポリマー。
【請求項5】
前記カチオン性ポリアミノ酸の重合度に対する前記ホスホニウム基含有アミノ酸数の割合が、5%以上である、請求項4に記載のカチオン性ブロックコポリマー。
【請求項6】
前記親水性ポリマーセグメントが、ポリ(エチレングリコール)、ポリサッカライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリアミノ酸、ポリ(リンゴ酸)、またはこれらの誘導体で構成されている、請求項1に記載のカチオン性ブロックコポリマー。
【請求項7】
側鎖にホスホニウム基を有するホスホニウム基含有アミノ酸残基を含む、カチオン性ポリアミノ酸。
【請求項8】
前記ホスホニウム基が、N-メチルペンタンアミドの5位の炭素に導入して得られるホスホニウムカチオンとして測定した場合に、-1以上のオクタノール/水分配係数を有するホスホニウム基である、請求項7に記載のカチオン性ポリアミノ酸。
【請求項9】
重合度に対する前記ホスホニウム基含有アミノ酸残基数の割合が、5%以上である、請求項7に記載のカチオン性ポリアミノ酸。
【請求項10】
重合度が5以上150以下である、請求項7に記載のカチオン性ポリアミノ酸。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホニウム基を有するカチオン性ポリマー(例えば、カチオン性ブロックコポリマーまたはカチオン性ポリアミノ酸)、および、当該カチオン性ポリマーを含むポリマー粒子または医薬組成物に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、アンチセンス核酸、siRNA等の核酸医薬、プラスミドDNA、mRNA等の治療用タンパク質の遺伝子をコードした核酸からなる遺伝子医薬、さらには、sgRNA(single guide RNA)とCas9ヌクレアーゼとを用いたゲノム編集技術等が急速に発展している。また、抗体、ホルモン、酵素等のタンパク質医薬についても、関心が高まっている。
【0003】
アニオン性薬剤を目的の細胞、組織等に送達するための薬剤送達システム(DDS)用キャリアとしては、静電相互作用を駆動力としてアニオン性薬剤と複合体(ポリイオンコンプレックス:PIC)を形成可能なカチオン性ポリマーが提案されている。例えば、特許文献1には、カチオン性ポリマーセグメントと親水性ポリマーセグメントとを含むカチオン性ブロックコポリマーと核酸とが、ミセル状のPIC(PICミセル)を形成することが開示されている。
【0004】
しかしながら、従来技術で得られるPICミセルにおいては、生体内アニオン性物質によってミセルが崩壊する場合や分解酵素がミセル内部に侵入してアニオン性薬剤を分解する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-002280
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、ミセル等のポリマー粒子の構造安定性および/またはポリマー粒子に内包された物質の安定性を向上できるキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の実施形態によるカチオン性ブロックコポリマーは、側鎖にホスホニウム基を有するカチオン性ポリマーセグメントと、親水性ポリマーセグメントと、を有する。
[2]上記[1]に記載のカチオン性ブロックコポリマーにおいて、上記ホスホニウム基が、N-メチルペンタンアミドの5位の炭素に導入して得られるホスホニウムカチオンとして測定した場合に、-1以上のオクタノール/水分配係数を有するホスホニウム基であり得る。
[3]上記[1]または[2]に記載のカチオン性ブロックコポリマーにおいて、上記カチオン性ポリマーセグメントが有する上記ホスホニウム基の数が、5以上であり得る。
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載のカチオン性ブロックコポリマーにおいて、上記カチオン性ポリマーセグメントが、側鎖にホスホニウム基を有するホスホニウム基含有アミノ酸残基を含むカチオン性ポリアミノ酸で構成され得る。
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載のカチオン性ブロックコポリマーにおいて、上記カチオン性ポリアミノ酸の重合度に対する上記ホスホニウム基含有アミノ酸残基数の割合が、5%以上であり得る。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載のカチオン性ブロックコポリマーにおいて、上記親水性ポリマーセグメントが、ポリ(エチレングリコール)、ポリサッカライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリアミノ酸、ポリ(リンゴ酸)、またはこれらの誘導体で構成され得る。
[7]本発明の実施形態によるカチオン性ポリアミノ酸は、側鎖にホスホニウム基を有するホスホニウム基含有アミノ酸残基を含む。
[8]上記[7]に記載のカチオン性ポリアミノ酸において、上記ホスホニウム基が、N-メチルペンタンアミドの5位の炭素に導入して得られるホスホニウムカチオンとして測定した場合に、-1以上のオクタノール/水分配係数を有するホスホニウム基であり得る。
[9]上記[7]または[8]に記載のカチオン性ポリアミノ酸の重合度に対する上記ホスホニウム基含有アミノ酸残基数の割合が、5%以上であり得る。
[10]上記[7]から[9]のいずれかに記載のカチオン性ポリアミノ酸の重合度が5以上150以下であり得る。
[11]本発明の実施形態によるポリマー粒子は、上記[1]から[6]のいずれかに記載のカチオン性ブロックコポリマーおよび/または上記[7]から[10]のいずれかに記載のカチオン性ポリアミノ酸を含む。
[12]上記[11]に記載のポリマー粒子は、ミセルまたはベシクルであり得る。
[13]上記[11]または[12]に記載のポリマー粒子は、薬剤をさらに含み得る。
[14]上記[13]に記載のポリマー粒子において、上記薬剤が、核酸およびタンパク質から選択される少なくとも一種であり得る。
[15]本発明の実施形態による医薬組成物は、上記[1]から[6]のいずれかに記載のカチオン性ブロックコポリマーおよび/または上記[7]から[10]のいずれかに記載の上記カチオン性ポリアミノ酸と、薬剤と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カチオン性基としてホスホニウム基を有するカチオン性ポリマーをDDSキャリアとして用いることにより、ポリマー粒子の構造安定性および/またはポリマー粒子に内包された物質の安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1Aは、N-メチルペンタンアミドの5位の炭素に種々のホスホニウム基またはアミノ基が導入されたホスホニウムカチオンまたはアンモニウムカチオンのCLogPを示す。
図1Bは、N-メチルペンタンアミドの5位の炭素に種々のホスホニウム基が導入されたホスホニウムカチオンのCLogPを示す。
図2は、Cy3/Cy5でダブル標識したmRNA内包ミセルを、520nmで励起した際の蛍光スペクトルおよびFRET ratioを示す。
図3は、mRNA内包ミセルのFBS耐性評価の結果を示す。
図4は、mRNA内包ミセルの細胞内タンパク質発現評価の結果を示す。
図5は、mRNA内包ミセルの血中滞留性評価の結果を示す。
図6は、ASO内包ミセルの安定性評価1の結果を示す。
図7は、ASO内包ミセルの安定性評価2の結果を示す。
図8は、cRGD修飾mRNA内包ミセルの細胞取り込み評価におけるU87細胞の蛍光観察画像を示す。
図9は、cRGD修飾mRNA内包ミセルの細胞取り込み評価で得られた蛍光観察画像における蛍光強度の解析結果を示す。
図10は、cRGD修飾mRNA内包ミセルの細胞内タンパク質発現評価の結果を示す。
図11は、cRGD修飾mRNA内包ミセルの血中滞留性評価の結果を示す。
図12は、mRNA内包ミセルのin vivo発現評価の結果を示す。
図13は、mRNA内包ミセルの安定性評価の結果を示す。
図14は、PEG-PLL、PEG-PLL(TPP)、およびPEG-PAsp(DET(TPP))の滴定曲線を示す。
図15は、種々のカチオン性ポリマーを用いて調製したCy5標識mRNA内包ミセルとインキュベーションした細胞の蛍光観察画像を示す。
図16(a)は、種々のカチオン性ポリマーを用いて調製したCy5標識mRNA内包ミセルとインキュベーションした細胞におけるCy5由来の蛍光強度を示し、図16(b)は、上記細胞におけるmRNAとリソソームの共局在を評価するために算出したピアソンの係数値を示す。
図17は、Fab’修飾mRNA内包ミセルの細胞内タンパク質発現評価の結果を示す。
図18は、Fab’修飾mRNA内包ミセルのin vivo発現評価の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。各実施形態は、文脈からそのような理解が明らかに不適切である場合を除いて適宜組み合わせることができる。また、本明細書中で、数値範囲を表す「~」は、その上限および下限の数値を含む。
(【0011】以降は省略されています)
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