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公開番号
2024157057
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-07
出願番号
2021107429
出願日
2021-06-29
発明の名称
バレット食道の治療用組成物
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
主分類
A61K
45/00 20060101AFI20241030BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】本発明は、バレット食道の治療用組成物、より具体的には、バレット食道を正常な食道に復帰させる治療用組成物の提供、および当該治療用組成物を用いたバレット食道の治療方法の提供を解決課題とする。
【解決手段】本発明は、バレット食道の治療用組成物であって、MEK阻害剤を含む組成物である。さらに、本発明は、食道腺癌の予防用組成物であって、MEK阻害剤を含む組成物である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
バレット食道の治療用組成物であって、MEK阻害剤を含む前記組成物。
続きを表示(約 450 文字)
【請求項2】
前記MEK阻害剤が、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、ウリキセルチニブ、アベマシクリブ、U0126、PD184352(CI-1040)、PD98059およびBIX 02189からなるグループから選択される1または複数であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
食道腺癌の予防用組成物であって、MEK阻害剤を含む前記組成物。
【請求項4】
前記MEK阻害剤が、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、ウリキセルチニブ、アベマシクリブ、U0126、PD184352(CI-1040)、PD98059およびBIX 02189からなるグループから選択される1または複数であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
バレット食道を発症している患者に投与することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレット食道の治療用組成物に関する。より具体的には、本発明は、扁平上皮の再生を促すことにより、バレット食道に特徴的な組織形態である円柱上皮を食道本来の組織形態である扁平上皮に復帰させるための治療用組成物に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
バレット食道(Barrett’s esophagus)は、下部食道から上部食道の粘膜組織が扁平上皮から円柱上皮に変化したもので、 胃食道逆流症(gastroesophagealreflux disease:GERD)に伴って引き起こされる。バレット食道を発症すると、食道腺癌を発症するリスクが高まることが知られている。バレット食道から発症する食道腺癌が進行してしまった場合、その予後は不良である。バレット食道の治療法として、円柱上皮に変化した粘膜組織の切除療法および焼却療法などが行われている。しかし、粘膜切除を全周性に行うと食道狭窄を来す。また、焼却療法においては、表層のみが焼却され深部に残存したバレット食道粘膜組織から発がんすることがあり、このような場合には、腫瘍部が再生した表層に覆われて、発見が遅れるおそれがある。予後不良の食道腺癌の発症を予防するためにも、バレット食道を本来の食道に復帰させることは、非常に重要であると考えられる。しかしながら、現在のところ、上記の外科的な治療法以外のより非侵襲的で、効果的な治療法は開発されていない。
【0003】
ところで、バレット食道から食道腺癌へ移行する過程において機能する分子メカニズムの解明も行われている。Dulakらは、変異スペクトラム解析により、食道腺癌に関連すると考えられる26の変異した遺伝子を同定した(非特許文献1)。その中には、例えば、
TP53
、
CDKN2A
、
SMAD4
、
PIK3CA
、
SPG20
、
TLR4
、
ELMO1
および
DOCK2
などが含まれていた。Chaoらは、
TP53
の両アレル不活性化(biallelic inactivation)がバレット食道から食道腺癌への進行に関与していると報告している(非特許文献2)。また、Sommererらは、バレット食道から発症した食道腺癌の約32%において、
BRAF
および
KRAS2
の変異が存在することを見出し、Raf/MEK/ERK(MAPK)キナーゼパスウェイの異常がバレット食道から発症する食道腺癌の初期段階において関与していると結論付けている(非特許文献3)。
【0004】
以上のように、バレット食道から食道腺癌への進行に関与する可能性のある遺伝子変異について、徐々に解明されつつあるが、正常な食道からバレット食道へ変化する原因となる分子メカニズムについては、現在のところ明らかになっていない。そのため、バレット食道の治療において、外科的方法以外で有効な非侵襲的な治療法の開発はあまり進んでいない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Dulakら, Nat Genet., 45:478-486 2013.
Chaoら, Clin Cancer Res., 14:6988-6995 2008.
Sommererら, Oncogene 23:554-558 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、バレット食道の治療用組成物、より具体的には、バレット食道を正常な食道に復帰させる治療用組成物の提供、および当該治療用組成物を用いたバレット食道の治療方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、ラットの胃食道逆流症モデルに対し、MEK阻害剤を投与したところ、バレット食道の長さが短縮すること、およびバレット食道のびらん内に扁平上皮が再生することを見出した。
MEK(MAPK/ERK kinase)は、MAPKシグナル伝達経路において、ERK(extracellular signal-regulated Kinase)をリン酸化し活性化するキナーゼである。これまでに多くのがんにおいて、MAPKシグナル伝達経路を構成するRas、Raf、MEKなどの活性型変異・遺伝子増幅が数多く報告されている。今回、発明者は、正常な食道がバレット食道へ変化する過程においても、MAPKシグナル伝達経路を構成する因子が関与することを初めて見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)~(5)である。
(1)バレット食道の治療用組成物であって、MEK阻害剤を含む前記組成物。
(2)前記MEK阻害剤が、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、ウリキセルチニブ、アベマシクリブ、U0126、PD184352(CI-1040)、PD98059およびBIX 02189からなるグループから選択される1または複数であることを特徴とする上記(1)に記載の組成物。
(3)食道腺癌の予防用組成物であって、MEK阻害剤を含む前記組成物。
(4)前記MEK阻害剤が、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、ウリキセルチニブ、アベマシクリブ、U0126、PD184352(CI-1040)、PD98059およびBIX 02189からなるグループから選択される1または複数であることを特徴とする上記(3)に記載の組成物。
(5)バレット食道を発症している患者に投与することを特徴とする上記(3)または(4)に記載の組成物。
なお、本明細書において「~」の符号は、その左右の値を含む数値範囲を示す。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、バレット食道の治療用組成物、および当該治療用組成物を用いた非侵襲的なパレット食道の治療方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
バレット食道の長さに対するMEK阻害剤の影響。「プラセボ処置ラット」(逆流手術後プラセボ投与群)と「MEK阻害剤処置ラット」(逆流手術後MEK阻害剤投与群)のバレット食道の長さを測定した結果を示す。
MEK阻害剤によるバレット食道の治療効果(1)。「MEK阻害剤処置ラット」の食道の粘膜組織をヘマトキシリン+エオジン染色し、顕微鏡で観察した組織像を示す。破線で囲んだ領域に扁平上皮の再生が認められる。
MEK阻害剤によるバレット食道の治療効果(2)。「プラセボ処置ラット」由来の食道組織(A)および「MEK阻害剤処置ラット」由来の食道組織(B)をヘマトキシリン+エオジン染色し、顕微鏡で観察した組織像を示す。AおよびBにおいて、破線で囲んだ領域には円柱上皮が、実線で囲んだ領域には扁平上皮が観察された。
MEK阻害剤の効果の確認。「プラセボ処置ラット」由来の食道組織(A)および「MEK阻害剤処置ラット」由来の食道組織(B)を、抗pERK抗体で免疫染色した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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