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公開番号
2024132601
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-01
出願番号
2023043437
出願日
2023-03-17
発明の名称
放射性廃液の処理方法および放射性物質捕捉剤
出願人
国立大学法人信州大学
,
国立大学法人 東京大学
,
国立大学法人 熊本大学
代理人
個人
,
個人
主分類
G21F
9/16 20060101AFI20240920BHJP(核物理;核工学)
要約
【課題】放射性元素以外の不純物を含む放射性廃液を、低コストで効率的に処理することが可能な処理方法と、この処理方法に用いることのできる放射性物質捕捉剤を提供すること。
【解決手段】放射性物質と10mEq/L以上のナトリウムを含む放射性廃液に、シクロデキストリンと高吸水性高分子とをこの順で、または同時に接触させる接触工程を有する放射性廃液の処理方法と、シクロデキストリンと高吸収性高分子とを含有する放射性物質捕捉剤。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
放射性物質と10mEq/L以上のナトリウムを含む放射性廃液に、シクロデキストリンと高吸水性高分子とをこの順で、または同時に接触させる接触工程を有することを特徴とする放射性廃液の処理方法。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
前記放射性物質が、放射性ヨウ素(I)、放射性アスタチン(At)、放射性セシウム(Ce)、放射性ロジウム(Rh)から選ばれる1以上である請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項3】
前記放射性廃液が、尿素窒素を8mg/dL以上含有する請求項1または2に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項4】
前記放射性廃液1Lに対して、前記シクロデキストリンを0.5g以上3g以下で接触させる請求項1または2に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項5】
前記シクロデキストリン1重量部に対し、前記高吸水性高分子を0.5重量部以上50重量部以下で前記放射性廃液に接触させる請求項1または2に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項6】
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリンである請求項1または2に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項7】
前記接触工程後に、水を減らす減量工程、
を有する請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項8】
前記接触工程後または前記減量工程後に、放射性物質を含むシクロデキストリンと高吸水性高分子とを密封する密封工程、
を有する請求項1または7に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項9】
前記接触工程が、前記放射性廃液をシクロデキストリンと高吸収性高分子とに同時に接触させ、前記放射性廃液の全量を吸水させる吸水工程であることを特徴とする請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
【請求項10】
放射性物質と10mEq/L以上のナトリウムを含む放射性廃液から放射性物質を捕捉する放射性物質補足剤であって、
シクロデキストリンと高吸収性高分子とを含有する放射性物質捕捉剤。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃液の処理方法と、この処理方法に用いることのできる放射性物質捕捉剤に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
科学研究や、治療・診断等の医学分野等において、様々な放射性同位体が用いられている。日本国では、原子力規制委員会告示第六号により、放射性物質を含む放射性廃液は、一般排水として放出できる濃度基準が設けられており、放射性物質が所定の濃度限度以下となるまで保管するか希釈してから排水する必要がある。
例えば、放射性ヨウ素(
123
I、
125
I、
131
I)は、甲状腺に蓄積する性質を利用して甲状腺疾患の診断薬や治療薬に用いられている。放射性ヨウ素(
131
I)の内用療法では、患者への放射性ヨウ素(
131
I)の一般的な投与量は0.37~7.4GBqであり、その8~9割は数日中に尿として排泄される(ICRP publ.78, 2001など)。この放射性ヨウ素(
131
I)を含む尿を、一般排水として放出できる濃度基準以下にするためには、半年以上保管して放射能の減衰を待つか、4000万倍程度に希釈しなければならない。
【0003】
このように、放射性同位体を含む放射性廃液の排水処理には、貯留槽・希釈槽等を備えた大型の排水設備が必要である。また、放射性元素の中には、ヨウ素、アスタチン等のように揮発性の高いものも存在し、排水設備が故障等した際も放射性廃液が外部へ漏出しないようにする必要もあるため、排水設備のみならず、それを取り囲む建屋等も専門の対策が必要である。そのため、放射性廃液を処理するための排水設備の設置と維持は、非常に高コストであり、低コストな放射性廃液の処理方法が求められている。
【0004】
放射性廃液中の放射性元素を水から分離することができれば、長期間の保管、または大量の水による希釈が不要となるため、排水処理費用が軽減できる。出願人らは、精製水中の放射性ヨウ素を、活性炭またはシクロデキストリンからなる回収剤により効率的に回収できることを報告している(非特許文献1、2)。しかし、尿のような不純物を多く含む溶液では、放射性ヨウ素とともに他の不純物も吸着してしまうため、精製水の場合と比較して放射性ヨウ素の吸着率は低下してしまう。そのため、不純物を多く含む溶液から放射性元素(放射性ヨウ素)を分離するには大量の回収剤が必要であり、また、使用後の大量の回収剤を減衰するまで保管する必要があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
廣田昌大、他5名、「活性炭の放射性ヨウ素吸着能向上に関する基礎的研究」、Isotope News、公益財団法人日本アイソトープ協会、2017年、6月号 No.751、75-76頁
Hirota,M.,Higaki,S.,Ito,S. et al. “Effects of 2-hydroxypropyl α-cyclodextrin on the radioactive iodine sorption on activated carbon.” J Radioanal Nucl Chem,328,659-667,(2021).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、放射性元素以外の不純物を含む放射性廃液(以下、廃液ともいう)を、低コストで効率的に処理することが可能な処理方法と、この処理方法に用いることのできる放射性物質捕捉剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.放射性物質と10mEq/L以上のナトリウムを含む放射性廃液に、シクロデキストリンと高吸水性高分子とをこの順で、または同時に接触させる接触工程を有することを特徴とする放射性廃液の処理方法。
2.前記放射性物質が、放射性ヨウ素(I)、放射性アスタチン(At)、放射性セシウム(Ce)、放射性ロジウム(Rh)から選ばれる1以上である1.に記載の放射性廃液の処理方法。
3.前記放射性廃液が、尿素窒素を8mg/dL以上含有する1.または2.に記載の放射性廃液の処理方法。
4.前記放射性廃液1Lに対して、前記シクロデキストリンを0.5g以上3g以下で接触させる1.~3.のいずれかに記載の放射性廃液の処理方法。
5.前記シクロデキストリン1重量部に対し、前記高吸水性高分子を0.5重量部以上50重量部以下で前記放射性廃液に接触させる1.~4.のいずれかに記載の放射性廃液の処理方法。
6.前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリンである1.~5.のいずれかに記載の放射性廃液の処理方法。
7.前記接触工程後に、水を減らす減量工程、
を有する1.~6.のいずれかに記載の放射性廃液の処理方法。
8.前記接触工程後または前記減量工程後に、放射性物質を含むシクロデキストリンと高吸水性高分子とを密封する密封工程、
を有する1.~7.のいずれかに記載の放射性廃液の処理方法。
9.前記接触工程が、前記放射性廃液をシクロデキストリンと高吸収性高分子とに同時に接触させ、前記放射性廃液の全量を吸水させる吸水工程であることを特徴とする1.~8.のいずれかに記載の放射性廃液の処理方法。
10.放射性物質と10mEq/L以上のナトリウムを含む放射性廃液から放射性物質を捕捉する放射性物質補足剤であって、
シクロデキストリンと高吸収性高分子とを含有する放射性物質捕捉剤。
11.前記シクロデキストリン1重量部に対し、前記高吸水性高分子を0.5重量部以上50重量部以下含む10.に記載の放射性物質捕捉剤。
12.吸水体として、10.または11.に記載の放射性物質捕捉剤を含む尿吸収物品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の処理方法により、放射性元素以外の不純物を多く含む放射性廃液中の放射性元素を、効率的に捕捉することができる。
本発明の処理方法は、減量工程において、放射性元素を残留させたまま廃液から水を取り除くことができ、これにより放射性元素と水とを分離することができる。本発明の処理方法は、不純物を多く含む廃液であっても放射性元素と水とを分離することができるため、濃度限度以下への希釈が不要となり、放射性元素が十分に減衰するまで保管するスペースを大幅に狭くすることができる。そのため、本発明の処理方法により、放射性廃液の排水処理費用を削減することができる。
本発明の処理方法は、ヨウ素、アスタチン等の揮発性を有する放射性元素の揮発を抑制することができるため、処理時や保管時における空間中の放射性物質濃度の上昇を抑えることができ、廃液処理に関わる者の被ばくリスクを軽減することができる。
本発明の処理方法は、特に放射性同位体の投与を受けた患者の尿の処理に好適に用いることができる。
【0009】
本発明の放射性物質捕捉剤は、シクロデキストリンと高吸水性高分子を主成分とし、特殊な材料は不要であるため、非常に低コストである。また、本発明の放射性物質捕捉剤は、放射性廃液に接触、吸水させるだけでよく、複雑な操作が不要であるため、特殊な訓練等が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
模擬廃液(W)に蓋をして保管したときの経時でのヨウ素残存率を示すグラフ。
SAP1gを添加した模擬廃液(W)について、各αCD量における含水量の経時変化を示すグラフ。
SAP1gを添加した模擬廃液(U)について、各αCD量における含水量の経時変化を示すグラフ。
αCD、SAPのいずれも添加していない、模擬廃液(W)と模擬廃液(U)のヨウ素残存率の経時変化を示すグラフ。
模擬廃液(W)の全サンプルについて、90日経過後のヨウ素残存率を示すグラフ。
模擬廃液(U)の全サンプルについて、90日経過後のヨウ素残存率を示すグラフ。
模擬廃液(W)のαCDが0%または5%でありSAPが0gまたは1gであるサンプルについて、ヨウ素残存率の経時変化を示すグラフ。
模擬廃液(U)のαCDが0%または2%でありSAPが0gまたは1gであるサンプルについて、ヨウ素残存率の経時変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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