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公開番号2025042050
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-27
出願番号2023148845
出願日2023-09-14
発明の名称環状ケテンアセタールの分解抑制方法、重合用組成物およびポリマー
出願人国立大学法人信州大学
代理人弁理士法人お茶の水内外特許事務所
主分類C08F 224/00 20060101AFI20250319BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】環状ケテンアセタールの分解抑制方法、環状ケテンアセタールを含む重合用組成物、環状ケテンアセタール由来の繰り返し単位を有するポリマーを提供する。
【解決手段】下記式(1)で示される環状ケテンアセタールを、環状ケテンアセタールとラジカル共重合可能な疎水性ビニルモノマー中で保存する環状ケテンアセタールの分解抑制方法と、この環状ケテンアセタールとこの疎水性ビニルモノマーとを含み、不活性ガス雰囲気下、5℃で10日間保存した後に、分解生成物と環状ケテンアセタールとのピーク面積比が1%以下である重合用組成物、および重合用組成物を原料とするポリマー。
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(式中、環Aは、置換基を有していてもよく、置換基が縮合環を形成していてもよい、5~7員環である。)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(1)で示される環状ケテンアセタールを、前記環状ケテンアセタールとラジカル共重合可能な疎水性ビニルモノマー中で保存する環状ケテンアセタールの分解抑制方法。
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2025042050000017.jpg
44
164
(式中、環Aは、置換基を有していてもよく、置換基が縮合環を形成していてもよい、5~7員環である。)
続きを表示(約 590 文字)【請求項2】
下記式(1)で示される環状ケテンアセタールと、前記環状ケテンアセタールとラジカル共重合可能な疎水性ビニルモノマーとを含み、
不活性ガス雰囲気下、5℃で10日間保存した後にガスクロマトグラフィーにより分析したときに得られるクロマトグラムにおける、環状ケテンアセタールの分解生成物と環状ケテンアセタールとのピーク面積比(分解生成物/環状ケテンアセタール)が1%以下である重合用組成物。
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2025042050000018.jpg
44
164
(式中、環Aは、置換基を有していてもよく、置換基が縮合環を形成していてもよい、5~7員環である。)
【請求項3】
請求項2に記載の重合用組成物を原料とするポリマー。
【請求項4】
下記式(2)で表されるアリルアルコール系モノマー由来の繰り返し単位を有する請求項3に記載のポリマー。
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2025042050000019.jpg
38
164
(式中、Rは、C

-C

アルキル基、C

-C

ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Wは、水素原子、またはトリアルキルシリル基を示す。)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ケテンアセタールの分解抑制方法と、環状ケテンアセタールを含む重合用組成物、環状ケテンアセタール由来の繰り返し単位を有するポリマーに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
高分子化合物の化学分解は、その分解の前後での物性変化を利用した解体性接着材料、レジスト材料、自己修復材料といった先端機能材料、生体適合性材料や薬物輸送などの医療材料として応用されている。さらに、近年、高分子化合物の化学分解を利用することにより、ケミカルリサイクルの高効率での実現や、自然界における分解を促進することが求められており、環境調和型材料として期待されている。
こうした背景から、高分子化合物の主鎖に、光・熱・酸・塩基といった特定の刺激に応答して切断する、エステル結合やアセタール結合のような弱い共有結合を導入する分子設計が検討されている。
【0003】
そのため、環状ケテンアセタール(以下、CKAともいう)をモノマーとしてラジカル開環重合を行い、主鎖にエステル結合を導入する手法が注目を集めている(非特許文献1)。CKAとビニルモノマーとをラジカル共重合することにより、主鎖にエステル結合を導入することができ、このエステル結合は、強塩基を用いた加水分解により切断することができる。また、本発明者らは、主鎖を直接切断するのではなく、隣接する単位の側鎖に求核性基を発生させ、主鎖-側鎖間のエステル交換反応により主鎖切断を誘導することを提案している(非特許文献2-4)。
しかし、CKAは、水酸基により分解・失活してしまう(非特許文献1のFig.88(b)等、非特許文献5)。そのため、CKAが保存中に水と反応して失活する、CKAと共重合するモノマーが限定される等の問題があった。また、CKAは、グローブボックス等を使用して不活性ガス雰囲気下で保存し、使用直前に計量し他の重合試薬と混合する必要があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Antoine Tardy,Julien Nicolas,Didier Gigmes,Catherine Lefay,Yohann Guillaneuf、“Radical Ring-Opening Polymerization:Scope,Limitations,and Application to (Bio)Degradable Materials”、Chem Rev.、2017 Feb 8、117(3)、1319-1406
外山果歩、高坂泰弘、「アリルアルコール誘導体と環状ケテンアセタールの共重合を鍵とする易分解性ビニルポリマーの合成」、高分子学会年次大会予稿集、第71巻、1号、2C10、2022年5月
外山果歩、川内萌恵、高坂泰弘、「主鎖-側基間の分子内エステル交換反応を利用したビニルポリマーの高速分解」、第71回高分子討論会予稿集、3B19、2022年9月
外山果歩、高坂泰弘、「隣接単位の側基脱保護をトリガーに主鎖切断するビニルポリマーの創成」、第72回高分子討論会予稿集、2C13、2023年9月
Mothe,S.R.,Chennamaneni,L.R.,Tan,J.,Lim,F.C.H.,Zhao,W.,Thoniyot,P.,“A Mechanistic Study on the Hydrolysis of Cyclic Ketene Acetal (CKA) and Proof of Concept of Polymerization in Water.”,Macromol. Chem. Phys. 2023, 2300221.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
環状ケテンアセタールの分解抑制方法と、環状ケテンアセタールを含む重合用組成物、環状ケテンアセタール由来の繰り返し単位を有するポリマーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.下記式(1)で示される環状ケテンアセタールを、前記環状ケテンアセタールとラジカル共重合可能な疎水性ビニルモノマー中で保存する環状ケテンアセタールの分解抑制方法。
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2025042050000002.jpg
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(式中、環Aは、置換基を有していてもよく、置換基が縮合環を形成していてもよい、5~7員環である。)
2.下記式(1)で示される環状ケテンアセタールと、前記環状ケテンアセタールとラジカル共重合可能な疎水性ビニルモノマーとを含み、
不活性ガス雰囲気下、5℃で10日間保存した後にガスクロマトグラフィーにより分析したときに得られるクロマトグラムにおける、環状ケテンアセタールの分解生成物と環状ケテンアセタールとのピーク面積比(分解生成物/環状ケテンアセタール)が1%以下である重合用組成物。
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2025042050000003.jpg
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164
(式中、環Aは、置換基を有していてもよく、置換基が縮合環を形成していてもよい、5~7員環である。)
3.2.に記載の重合用組成物を原料とするポリマー。
4.下記式(2)で表されるアリルアルコール系モノマー由来の繰り返し単位を有する3.に記載のポリマー。
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164
(式中、Rは、C

-C

アルキル基、C

-C

ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Wは、水素原子、またはトリアルキルシリル基を示す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の分解抑制方法により、環状ケテンアセタールの分解を抑制することができ、副生成物の生成を抑えながら保存することができる。環状ケテンアセタールを原料として用いる場合に、直前に環状ケテンアセタールを合成する必要がなく、事前に合成して本発明の方法による分解を抑制した環状ケテンアセタールを用いることができるため、原料としての使用性が各段に向上する。
本発明の重合用組成物は、環状ケテンアセタールとこれと共重合可能なビニルモノマーを含むため、そのまま、または他のコポリマーを加えて重合反応に用いることができる。
本発明のポリマーは、原料である環状ケテンアセタールをポリマー製造の直前に合成する必要がないため、短期間で製造することができる。本発明のポリマーは、環状ケテンアセタールの分解物に由来する不純物が実質的に含まれないため、設計に近い物性を有するポリマーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
参考例1、実施例1~5における所定時間保存後のガスクロマトグラム。
実施例6で得られた二元共重合体の

H―NMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
本発明は、下記に記載された実施態様に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の技術的思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
本明細書において、「A~B」(A、Bは数値)との記載は、その両端を含む数値範囲、すなわち、「A以上B以下」を意味する。
【0010】
・環状ケテンアセタール(CKA)
本発明で使用する環状CKAは、下記一般式(1)で表される。
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(式中、環Aは、置換基を有していてもよく、置換基が縮合環を形成していてもよい、5~7員環である。)
(【0011】以降は省略されています)

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